とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回でナメック星編の佳境です。
これからはギニュー特戦隊などとの
原作の奪い合いに近くなるんで、少し気を付けます。



『帝王の裁決』

着陸してから俺はすぐにベジータ王子の方向へと向かう。

俺はベジータ王子との戦いでベジータ王子に超サイヤ人について知らせなくてはならない。

 

「あっという間だなぁ」

 

すぐにベジータ王子を見つけて俺は目の前に降り立つ。

地球で戦ったときは脅威だったのに今では赤子の手をひねるほど簡単に思えるよ。

 

「ガタバルか、貴様その服は……」

 

戦闘服を見て驚いているようだな。

しかし、次の瞬間にやりと笑う。

どうやら俺の計画をくみ取ったようだ。

 

「あなたに会いに来たんですよ」

「大方連れて来いというものだろう?」

 

やはりそう言った方向で考えるか。

こっちからすればそんなつもりは全くない。

 

「超サイヤ人への成り方を教えるつもりでしてね……」

 

その言葉を聞いた瞬間、ベジータ王子が驚く。

伝説であるはずの存在を俺が知っているのだから。

 

「貴様……なぜ成り方を?」

 

ズノーの星で聞いただけだ。

俺自身は伝説の存在でどうやってなれるのかは特に知らなかった。

 

「全知の星で聞いたんですよ、それには更なる発展形についても知っているという事がありました」

 

伝説の発展などもはや眉唾物の類だ。

しかし信用に足るだけの説得力があった。

 

「なるほどな、教えてもらおうか」

 

そう言いながらも構えている。

こちらがやはりやめたといったときに力ずくで聞き出す気か?

 

「いいですよ、でも……」

 

俺からすれば好都合だ。

一気に接近して脇腹に重い蹴りを叩き込む。

バキッといい音が鳴って横に飛んでいく。

 

「がはっ……」

 

こっちを睨み付けながら呻いて血をわずかに吐き出す。

やはりかなりの差がついてしまっているな。

今のもかなり力を抑えたものだし。

 

「瀕死になって強くなってもらう必要があります

そして善悪を問わない純粋な心をあなたがもち、心の底から怒ればその変身はできます」

 

それを理解したのか、苦笑いを浮かべながらこっちを睨んでいる。

戦闘力がある程度ないとなれないからな。

完膚なきまでに痛めつける。

 

「理解はしたが、こちらも手出ししない主義ではないんでな!!」

 

左拳を突き出す。

この程度の速度、今の自分ならば目をつぶっていても避けられる。

 

「その程度が限界なんだよ!!」

 

腕を掴んでへし折る。

頭を下げて痛みで歪んだ顔を見せまいとする。

 

「俺をそんな目で見下すなぁ!!」

 

俺への怒りでぞわりとベジータ王子の毛が逆立っていく。

蹴りを放つがそれを全然速度が乗っていない。

その蹴りを紙一重で避けてそのまま気のビームで貫く。

 

「ぐうっ…!」

 

地面に落ちていく間に次は右肩へ肘の一撃を叩き込む。

肩の骨がバキッと鳴っていた。

 

「がああっ……」

 

もう両腕もやられている。

片足、肋骨も。

生死の境をぎりぎりまで見極めて回復をさせる。

それが重要なのだ。

 

「このベジータ様をなめるなよ!!」

 

圧倒的な実力差に対するふがいなさの怒りなのか、一気に気が噴き出していく。

俺が実力をつけて、一度経験してようやく至った場所にこんな短時間で至るとは恐れ入る。

あの時の俺もこんな感じだったのか。

白目をむき、一気に気が溢れている。

 

折れた腕でこっちに一撃を放つ。

 

「どうやら気絶をしたようだな」

 

しかし、痛みが先に神経の伝達を打ち切って気絶させた。

そう言って俺はベジータ王子を上空へ放り投げて気弾の一撃を放つ。

吹っ飛ばすような一撃でそのまま遠くまで飛んでいく。

方向は集落でターブルやピオーネがきちんといる場所。

 

その方向を見てから俺は別の集落でのドラゴンボールを手に入れに行く。

これが成功すれば奪い合ってきたこの均衡が崩れる。

こちらが5個。

ピオーネ達が1個。

最長老様の家に1個。

俺たちが、即合流をすれば一気に6個で、あっという間に7個へ王手がかかる。

さらに俺がナメック語を使えるためその時点で願いがかなう。

 

「おっと、ベジータ王子の気が回復したか」

 

すぐに気弾は目的地まで飛ばしたらしい。

そして即座に治療。

一気に大きくなっているところを考えると相当痛めつける事に成功はしていたようだ。

 

俺は一つのドラゴンボールを奪い取って、5個目のドラゴンボールを運ぶ。

今までの拮抗した状態の奪い合いにもようやくひと段落着く。

少し隠せる場所はないかと思い、上空を回っていく。

そんな事をしていると突然後ろから気弾を誰かが撃ってきた。

弾くことは弾くがその相手を見たまま俺を言葉をつなぐ。

 

「なぜこんな所にいるんだ、フリーザ様……」

 

あの乗物から降りて浮遊している。

ドラゴンボールが残り一つという状態になったことでついにこのような状態になったか。

 

「そのドラゴンボールを隠すような仕草をしていましたねぇ、やはりそうでしたか……

まあ、あなたが裏切るのはあの入隊を認めた時点で分かっていましたよ」

 

つまり俺はあんたの手のひらを駆けずり回っていたってわけか。

それにしては随分と悠長だったな。

自分よりサイヤ人が強くなるわけがないと高をくくっているのか?

もしくは最低限の動作で最大限の成果を出すためだったか?

 

「あの親とは違う、殺意と怒りをその目に宿していた、あんなものバレバレですよ」

 

あの二人のように下衆な企みではない、純粋な殺意を抱えたがゆえにバレたか。

もう少し微笑んで敵意を隠せばよかったな。

 

「7つ揃える前に俺の首を落とすわけか」

 

願いを叶える方法を知っているのは現地のナメック星人を除いて俺だけだ。

俺を倒さなければ7つ集めた瞬間、全ての願い事を叶えられる。

リーダー格になっていた俺を狙うのは当然のこと。

偶然で狙ったのであればさすがは帝王と言いたいがな。

 

「その通りです」

 

徐々に気が高まっている。

この程度ならば赤子の手をひねるように倒せるがこんなものではないはずだ。

 

「あなたにはその裏切りをにおわせながら誠心誠意仕えた褒美として……」

 

そう言った瞬間、体から気が立ち上り、姿を隠す。

その煙が晴れる前にこちらも臨戦態勢をとる。

 

「最終形態で殺してあげるよ」

 

これがフリーザの最終形態か。

すらっとした見た目ではあるがその中にある気の大きさは尋常ではない。

 

「こっちも抵抗はするぜ」

 

フリーザは緩やかに蹴りを放つ。

その相手の攻撃をいなして裏拳を放つ。

戦いの合図はそれで十分だった。

 

「はあっ!!」

 

裏拳を尻尾で防ぎ、腕に巻きつかせる。

しかしその尻尾で巻きつかれる瞬間、拳を開いて掌の状態にする。

その掌で尻尾を掴み、爪を食い込ませる。

 

「ぐっ!?」

 

肉に食い込んで痛いのか、わずかに顔を歪ませる。

そのまま掴んでジャイアントスイングの要領で投げ飛ばす。

 

「『ツイン・ファルコン・クラッシュ』!!」

 

投げ飛ばした先に気弾を放つ。

しかし、さすがに相手も百戦錬磨の存在。

その攻撃に対して……

 

「ふんっ!!」

 

足を向けたままで一つずつ蹴るようにして相殺をする。

さらに、その推進力を利用して俺の頭上に立ち、にやりとほほ笑む。

 

「綺麗な花火にしてあげますよ!!、『デスボール』!!」

 

大きな赤紫の気弾が落ちてくる。

これが惑星ベジータを滅ぼした一撃。

そう思うと自然に力が入る。

 

「があああ!!!」

 

腰を落とし、叫び、受け止めて投げ返す。

まだまだあっちが余力を残している証拠だろう。

それを避けてはいるがにやにやと笑っていた。

 

「まさか僕の30%と互角とはね……じゃあ50%で塵に変えてあげるよ」

 

まだ余力を残しているのか。

こっちは全力なんだがな。

 

「ひゃっ!!」

 

50%で相手をするといったフリーザ。

こっちの腹に一撃を叩き込む。

速いがそれならこっちの方がまだ上だ。

それよりも強い力と速度で対抗をする。

 

「りゃあ!!」

 

頭に拳骨を振り下ろす。

瞬間のよろめきを逃がさない。

頭が下がった瞬間に膝を側頭部に蹴り入れる。

 

「ぬぅ……」

 

呻く暇すら与えない。

腹部に拳を当てて一気に突きを放つ。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

その一撃でフリーザが地面に叩きつけられる。

さらにこっちは気を高めて全力の状態の一撃を放つ。

 

「このぉ!!」

 

地面から勢いよく飛び出すフリーザ。

その顔には怒りがある。

しかしそんなことは気にも留めない。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

「『デス・イクスパンション』!!」

 

こちらの技に対して新技だろうか小さな気弾を繰り出してくる。

しかしその小さな気弾が徐々に膨張していく。

アルバトロス・ブラスターを包み込んでそのまま俺に向かうのではなく大爆発を起こす。

まさかそんな技だったとはな。

フリーザはもう一度空中に上がってきた。

 

「こうなれば大盤振る舞い、80%だぁ!」

 

そう言うと俺の顔面に一撃を見舞う。

吹っ飛ばされて頭がグワングワンとする。

こっちの攻撃の弱所を見抜いて相殺する。

強者が持ち得るものを持ち合わせている。

やはりこいつには超サイヤ人への覚醒をして圧倒的な差での勝利が最善の一手だろう。

しかし、そんな隙など、きっかけなどあるわけもない。

 

「ひゃひゃひゃ!!」

 

背中に回り、横に回り、縦横無尽に攻撃を加える。

防御を固めるが手数が多すぎて徐々にダメージを負う。

フルパワーでも防御の隙間を縫うようにやられては無理もない。

 

「このぉ!!」

 

尻尾で目を打つ。

まさかこのような真似をするとは思わなかったのか。

モロに目に喰らって顔を押さえる。

 

「今度はこっちの仕返しの番だ!!」

 

全力で突っ込む。

腹部に一撃。

踵落とし。

背中に肘打ちで地面に叩きつける。

 

「舐めるなぁ!!」

 

馬蹴りで顎に一撃を入れてきて尻尾で脇腹を薙ぐ。

横っ飛びに吹っ飛ばされたかと思うとすぐに先回りをして頭を掴む。

 

「猿の分際でこの俺に勝てると思ったかぁ!!」

 

ぶんぶんと左右に振り回して地面に叩きつける。

何とか力を振り絞って叩きつけられる前に衝撃を軽減する。

解こうにも勢いが強すぎて、風圧などの兼ね合いで解くことができない。

そして上空へ飛びあがり俺に技を食らわせるために放り投げていく。

 

「お前もこの一撃で終わりにしてやる、惑星ベジータとともに塵になったあのサイヤ人のように!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、体中の血が沸騰しそうな錯覚に陥った。

頭が真っ白になっていく感覚。

あの惑星カナッサの時のように。

 

「あのサイヤ人……バーダックさんの事か?」

 

ただ、あの日と違うのは真っ白になっていきながらも自意識を保てているという事。

あの人への侮辱は許さない。

あの人は最後までサイヤ人としての誇りを保ち、、サイヤ人のために戦ったのだ。

 

「バーダックさんの事かー!!」

 

その思いを怒りとともに大きな声で叫ぶ。

その瞬間、何かの壁を超えた感覚。

そして、漲るような力。

だが、体へ蓄積したダメージはその漲る力の持続時間を削りきってしまっていた。

 

「うぉおおおお!!」

 

押し返していくが徐々にデスボールにのみ込まれていく。

徐々に漲る力が減っていくのがわかる。

しかしそのわずかな時間でもあきらめるわけにはいかない。

歯を食いしばり、力を振り絞ってなんとか押し返す。

だがそれでもすべての威力が無効化できたわけではない。

あの質量により生まれた衝撃波の余波が、力が抜けた自分にそのまま襲い掛かる。

その衝撃はすさまじく成す術のないまま水面へ強烈に叩きつけられていた。

 

.

.

 

「一瞬見せたあれは……見間違いでしょうか?」

 

金色の髪の毛を見てぞっとしたのは秘密だ。

一瞬、伝説の超サイヤ人かと思ったが落ちた時には黒い髪に戻っていた。

仮に伝説の超サイヤ人とは言ってもほぼ全力のデスボールをはじき返して死んでしまっただろう。

サイヤ人としてはあり得ない振る舞いをしてあの実力。

彼はきっと突然変異の類だったのでしょう。

それがあの惑星ベジータの崩壊による放浪でその才能が開花した。

 

「私を超えるサイヤ人は居ない……」

 

そう言って宇宙船に戻ると大勢の部下たちが気絶をしていた。

何事かと思い、ザーボンさん達を探すとザーボンさんは気絶をしているがドドリアさんは首から上が分かれてしまっている。

そして見当たらないやつらを考える。

 

「ターレス、ナッパ、スパーニ……いずれもサイヤ人ですね」

 

やはり徒党を組んでこのフリーザに対抗する腹積りでしたか。

良いでしょう。

それほど強く絶滅をあなた方が願うのならば今度こそサイヤ人を絶滅させましょう。

半分とはいえど血が入っているのも例外にはしない。

たとえ4分の1でも8分の1でもわずかにでも残っていればそれを消す。

サイヤ人の血脈はこのナメック星で根絶やしにする。

この星が奴らの墓場なのだ。

すでに海に墓標を一つ立ててやった。

それ以外にもピオーネもきっと協力者ですね。

彼女も海に沈めてあげましょう。

関係するものも同じくこの星を墓標にしますか。

 

「彼よりも弱い貴方たちなんてしょせんは巨象に挑む蟻のようなものなのですよ」

 

そう言ってドドリアさんの頭を踏み潰す。

ギニュー特戦隊が来るまではこのまま全員が起きるまで待っておきましょう。

今持っているボールは5個。

これでスカウターが届けば残りのボールの捜索は楽なものだ。

もうあと少しで私の不老不死は叶う。

 

そんな事を思っていると腹部や肩に激しい痛みがはしる。

あいつにやられた傷や火傷の箇所だ。

やはりあのガタバルを教育でわが軍の従順な戦士にできていたならば最高の副官になっていただろう。

惜しい存在を無くしたものだ、サイヤ人でなければ最高の人材だったのに。

少しばかり残念な気持ちのまま、メディカルポッドに入り戦いの傷を癒すのだった。




ベジータの才能で疑似超サイヤ人覚醒です。
見下されて、痛めつけられた怒りでまさかの習得。
そしてガタバルが超サイヤ人になりましたがボロボロすぎて即解除です。
フリーザには最初からお見通しの上でターレスやナッパも動かしていました。
そして5個に差し掛かったところでこれからはスカウターを使って捜索すればいいという事で手を下しに来たという感じです。

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