なんか恋愛要素入れてます。
「あの幻覚は一体何だったんだ?」
山吹色の服という事はカカロットが武術を教えているのだろうか?
ピッコロでないあたりに驚きを隠せない。
それだけではない。
あの幻覚の時に見た悟飯の年齢はどう考えても今より一回りほど違う。
あれからそのことだけを考えていた。
皆が仕事に精を出し、俺たちは親子水入らずの時間を過ごしたり充実の日々を過ごしていた。
時にはベジータ王子と300倍の重力室で超サイヤ人の先を見ていく鍛錬。
あの時は感情が臨界点を超えていたからだが、今の俺がやったらあとで体が軋む。
基礎的な戦闘力の最低ラインがまだ足りていない可能性はある。
もしくは壁を見つめられればとっかかりもあるだろうが……。
「人と出歩いているときによそ見はよくないんじゃないかしら?」
そう言って耳を引っ張られる。
ピオーネと出かけているのだ。
二人とも仕事がなく、ましてや恋人同士になったというのにそう言った事がまるでない。
だから二人で出かけようという事になったのだ。
「すまない、どうしても平和すぎて……」
今まで激戦続きだったからな。
もしかしたらひょっこり敵が出てくるんじゃないかと。
「こうしていられるのも平和だからでしょ」
そう言って腕を絡ませてこっちに引き寄せる。
柔らかい感触だ。
戦っているときは気にならないが何気ないこんな時は意識してしまう。
女性だという事を。
少し緊張でドギマギする。
「あぁ、そうだな……」
俺を引っ張るように前に進んでいく。
緊張している俺を見て悪戯を成功させた小悪魔のような笑みを浮かべて。
「あと、当たっているんだが……」
胸が当たっている。
意図しているのか、偶然なのか。
こういった女性とのふれあいや行動はまるでない。
だからこそ混乱し続けている。
頭が正直パンクしそうなレベルだ。
「あら、当てているんだけれど?」
意図していたのか。
俺だって男だぞ?
そういう気持ちを催さないわけではない。
ましてや惚れた女。
ケダモノになっても仕方ないのではないだろうか?
もしかしたら俺を押さえつけられるから余裕を持っているのかもしれない。
「とにかく買い物をしようか……」
冷静さを何とか保ってピオーネを逆に引っ張る。
こうでもしないと頭が顎を揺らされたわけでもないのにグワングワンする。
「はいはい」
にやにやとした笑顔で俺に引っ張られている。
戦いから離れればこんな女性だったんだと改めて思う。
今まで恋を互いに知らなかった。
だからこそお互いのあるがままをさらけ出すように触れ合っていく。
それゆえにこんなにもギャップを感じる。
「今日の予定は喫茶店?」
ちなみにスパーニの所ではない。
スパーニの所に行くと迷惑をかけてしまう。
一度言ったときにあいつが『お兄ちゃん』と呼んだ瞬間、一気に視線がこっちに向いた。
その後の処理がてんてこまいだった。
見た目が全然違うから事情が複雑なんだよな。
「その後水族館だよ」
当初動物園とか言っていたが、そうなるとニアに会う。
知り合いの職場に行くのは気が引ける。
カプセルコーポレーションとはわけが違うからな。
「随分と考えたね」
そりゃあ考えるよ。
楽しく二人で過ごせるようにな。
一人だけ満足するようなのはよくない。
それならば一人でその場所に行けという話だ。
こうやって何度も今この時が平和であることへの感謝。
そして恋の成就の喜びをかみしめる。
しかし、そんなときまたもや未来が見える。
それは強い相手の襲来。
青い肌をした男女。
女は杖を持ってまるで魔法使いのような奴だった。
男は筋骨隆々としていて武人のような雰囲気を出している。
それ以外にも敵の影はあるようだ。
「平和の時はあと1年もないな」
そう俺は呟く。
だがせめて、今この時だけはそんな事も考えずにいさせてほしい。
そう思うと、今この瞬間が尊く感じる。
この人がたまらなく愛しく思える。
俺は思わず力を込めて、強く引き寄せて抱きしめる。
言葉での愛しているなど俺たちの間には要らない。
抱きしめるときの鼓動の速さが、熱が、言葉よりも雄弁に語っているはずだから。
抱きしめるという事よりも少し先を望んでいた。
人通りも多いこんな場所。
きっと見られてしまうだろう。
だからどうしたと言いたい、見られて困るようなことじゃない。
愛する者へのこの行為を恥ずかしいと思うなら、誓いさえもできないだろう。
俺はピオーネの顎をわずかに引き上げる。
その唇に己の唇を重ね合わせていた。
「はあっ……」
離すと赤い顔が目の前にある。
俺もきっと同じだろう。
お互いが言葉を発さない。
しかし分かっている事がある。
「ずるいわ……」
赤い顔のまま、ピオーネは呟く。
それは今言ったようにずるい真似をしたという事。
さっきのさっきまでからかっていたのに、不意打ちの口づけ。
そんな事をされるなんて予想だにしていなかった。
一気にからかっていたはずのピオーネは丸め込まれたようなものだ。
「これくらいは許してほしいね」
そんなことを言うと手を握るのをやめてさっさと歩いていく。
あれは拗ねてるな。
年上なんだからリードしていくはずだったのに、まんまと意地悪をし返されたのが嫌だったんだろう。
「俺を子ども扱いするけど十分子供っぽいところはあるよな……」
俺は呟くと急いで追いかける。
捕まえた時に、腕を絡ませられて再びリードをとられからかわれる。
この瞬間を噛みしめていく。
幸せをようやくこの年になっていっぱい感じられるのだと実感した。
.
.
俺とピオーネが恋人としての中を深めておよそ1年も経とうとした頃。
スパーニに俺は呼び出された。
「で……何かあったのか?」
そう言うともじもじし始めるスパーニ。
何か恥ずかしい事を言おうとしているようだが……
「お兄ちゃんは私に好きな人ができたって聞いたら笑う?」
いや、笑わないけど?
というより、お前の心を射止めた奴は誰なんだ?
それに最近はサイヤ人に恋愛ブームでも来ているのかと思うような状態だ。
ニアもラディッツさんが気になると言っていた。
仕事で今は動物園のショーをするときの調教師にラディッツさんが呼ばれている。
元々はペットショップのアルバイトや生態系等を調べていたところ知識豊富になったらしい。
そこに目を付けた動物園の園長がラディッツさんを引き抜いて調教師として就職させた。
すると、瞬く間にラディッツさんの言葉を動物たちは聞いてくれるので人気の調教師となった。
ショーは大人気らしい。
そういう事で同僚となり見ていくうちに、動物への触れ合い方。
人間関係。
時折自分に駆ける優しい言葉。
ひたむきな努力。
それらの要因でニアは気になる男性だと言っていた。
ナッパさんは桃白白の娘を紹介されていた。
お互い女っ気なし、貰い手なしの状態だったので独り身の辛さから話が合う。
あいつに娘がいたことが驚きだが。
なかなか人生経験豊富なのでこのままいくとお見合い結婚のような形になるだろうとは言っていた。
ターレスとパラガスについては、パラガスはもう二度とほかの女性を愛する気はないという事らしい。
指輪をささげた人が惑星ベジータの崩壊で死んだ。
その日から、異性を愛さずにまっすぐに進んできた。
このまま死ぬまでその道を歩むらしい。
ターレスは良い女性たちだが、俺の好みではないと言っていた。
あいつ自身、ナンパとかも特にしないからしばらくの間は春が到来しないだろう。
あいつ、結構マイナス部分が多いな。
……と脱線したが一体好きな人って誰だ?
俺がスパーニに聞くと頬に手を当てて恥ずかしそうにつぶやいた。
「ブロリーさん……」
……あいつか。
コミュニケーションはカカロット以外ならほとんど問題なし。
今まで同居期間もあったからその関連からか?
「あの人、喫茶店に何度も来てくれるんだけど一回、チンピラに絡まれちゃって……」
どうやら、その時に手を掴んでスパーニを守ったらしい。
庇った際に、広い頼れる背中。
そういう肉体面だけではなく、不器用ながら見せる優しさ。
そういったものに惹かれたのが始まり。
それからスパーニは休みの時にブロリーをお出かけに誘ったり、食事をお互いにしたりなどする。
初めこそ、お互いがうまくしゃべられずにいたのだが距離感が縮まっている。
ブロリー自体は意識していないのだろうと思っているらしい。
だから告白をする前に俺にブロリーがどういった奴かを相談したかったのだろう。
「言っとくがあいつは相当寡黙だからお前がひっぱっていかないとつらいぞ」
まずこれは同居生活内で知っているだろうが一応忠告。
あいつが何に興味を持つかは不明。
バイタリティが相当高い女性でないとあいつとのバランスは難しいだろう。
もしくはのんびり牧歌的に静かな生活を望むのならあのままでも問題はない。
「でも、出掛けた時は食べたいものとかどの服の方がいいかとか言ってたけど?」
そういったでかける場合のコミュニケーションではないんだよなぁ。
そうじゃなくて日常生活でもその状態を維持しないと意味がないんだよ。
意思疎通を図る際に難しいからな。
「まあ、お前が好きになった相手はよっぽどのことがない限りは俺は止めないよ」
自由だと思っているしな。
ただ、結婚とかになると少し気まずい。
「あいつに兄さんって呼ばれるようになるのか……」
今まで同居していた奴がいきなり義理の弟。
それは少し驚くよな。
今の発言は呟く程度なので聞こえてはいない。
「ありがとう、お兄ちゃん」
そう言われて俺は家から出る。
するとまたもや未来が見える。
地球に迫る宇宙船。
その形はフリーザの宇宙船によく似ている。
だがこの胸のざわめき……。
「どうやらフリーザでは無いようだな」
首をコキリと鳴らして空を見上げる。
距離にして考えるとあと2日ほどか。
信頼こそはあるがこれはどうせみんな感じるだろう。
「あの敵の影もどうやら同じタイミングのようだしな」
カカロットやブロリーにあっちは任せよう。
俺は未知の相手の中でもフリーザに関係がある方ではなく完全に正体不明の存在を叩かないといけない。
深呼吸をして来るべき的に心を向けていた。
.
.
「さて……行くか」
フリーザの宇宙船によく似た形態の宇宙船が地球に接近している。
それを知ったピオーネ達はすでに宇宙船に向かっていた。
俺は途中で気を消して別の方向へと向かう。
あっちにはベジータ王子が基礎戦闘力を上げているし、切り札のブロリーとピオーネもいる。
「だからお前らの相手を俺はできる」
そう言って俺は男の武人を睨み付ける。
肌は青く目つきはきつい。
未来視のおかげでこいつらの居場所は分かった。
女の方は気を感じ取れるがこいつ……
「お前、機械人間か?」
気を全く感じられない。
死人を使役するネクロマンサーならその可能性もあるが、こいつからはそう言った肉体を加工した独特の感じもない。
だからこそ、推測ではあるがその結論を導き出した。
「違う、俺は人造人間だ」
生体ベースで作り上げられたナノマシン等による強化された存在か。
偉いものを用意したな。
「何故、お前らはこの場所にいる?」
警戒心を緩めず質問を投げかける。
こいつらは今回の宇宙船の近くに居なかった。
あいつらの仲間ではないようだがどういった目的なのか不透明なままだ。
「調査よ、サイヤ人の強さのね」
そうは言うがこいつらからは悪意が見え隠れしている。
調査だけが目的ではない。
あの密集した場所へ連れて行ってはいけない。
「残念だが調査対象は俺一人だけだ、そしてその結果も虚しいものになる」
気を高めて臨戦態勢に入る。
いつでもこいつらに攻撃が仕掛けられるように。
「言ってくれるわね、ガタバル……」
なぜ、俺の名前を知っている?
調べていたのかもしれないが得体が知れないからこそ、ただ名前を把握しているだけでも不気味さがある。
「サイヤ人の強さを知っておく際にあのナメック星での戦いのあなたを見た以上、優先すべき対象だからよ」
そうかい。
そんな評価が貰えるとは光栄だな。
でもブロリーとピオーネを狙った方がよかったぜ。
「あなたの力を吸収して目的を手中に収める」
注射器のようなものを出す。
あれで俺の気を吸い取ろうって事か。
そんな隙を見出させるとでも思ったか?
「はあっ!!」
俺は超サイヤ人となる。
2になるよりは相手を観察したい。
素性が知れていない以上、探りたいからな。
「流石ね……ミラ行きなさい、久々の大物よ」
女が言った瞬間、男が向かってくる。
拳を受け止めるがこの重さ……。
忌々しいあいつらと同じレベルだな。
だが俺もあの日から強くなった。
今の俺ならばこの程度に怯みはしない。
「シャァアアア!!」
こっちはラッシュを仕掛ける。
右肘の一撃から始まる。
左足からの回し蹴り。
右足の前蹴り。
左手からの掌底。
「ふんっ……」
いずれの攻撃も避けていく。
残念だ。
どういった受け方をするのかを見たかったのだが。
足運びのベースは速度を重んじたスタイル。
クリリンか悟飯あたりだ。
打撃はベジータやナッパがベース。
技は俺がベースか?
「まだまだ完全な状態ではないけれど、超サイヤ人並を想定して作り上げたわ」
女が言ってくる。
細胞単位から作り上げているが、まだ学習段階を負えたり完全な調整を行っていないのか。
ただ出力が強いだけの兵器。
だが……
「お前を作った奴も大概だがお前の細胞の中にはピオーネも入っているんだろ?」
あの能力がないとしても圧倒的な戦闘センス。
あいつの細胞抜きに作っても、究極には至れないだろう。
「あぁ、トワが解明できないものがあるが入れておいたらしい」
あの能力についてか。
ピオーネ自体を支える精神、魂とも呼ぶべきものから成せるもの。
細胞だけを奪い取っても、もしくはギニュー隊長のように体を乗っ取ってもできない。
欠片程度に能力を発揮できてもあまり意味はなさない。
「さて…行くぞ!!」
避けられない速度で連打を叩き込む。
さっきより動き方が徐々に変わっているが関係ない。
どこに動くか視線と足運びでわかる。
300倍で特訓をしえ行く間に動きの無駄は減っていく。
「ちっ……」
頬に掠った腕を掴みに来るがその前に腕を引く。
そして大技を繰り出す。
「しゃおら!!」
倒れ込むような回し蹴りをこめかみに放つ。
反応速度もかなりのものだ。
俺の足を即座に掴む。
掴んだ瞬間、足へと伝わるパワー。
どうやらニアの腕力も持ち合わせているな。
「だが、その足は囮だ!!」
延髄蹴りを放つ。
見事に首に決まる。
相手は俺の足を放すが、頑丈な手応えでこいつのベースの全貌が明らかになる。
「頑丈さはブロリー、腕力はニア、脚力はカカロット、動きのベースは悟飯、打撃ベースはベジータ、投げ技ベースがピオーネ、気弾技のベースは俺」
随分と贅沢なラインナップを揃えたもんだ。
だが今の俺からすればその集まりを十分に発揮できうる能力ではない。
「やるな……だが!!」
頭に手を当てる。
しまった……その技に対する警戒を怠ってしまっていた!?
「『太陽拳』!!」
そう言ってまばゆい光が目を覆う。
女の方に気をつけないといけない。
「甘いな……」
その呟きとともに針が刺さる。
力を吸い取られる感覚だ。
身体を捻って何とか引っこ抜くが奪われた分は返ってこない。
「お前もあの注射針を持っていやがったか」
女だけが持っていると思ったがそうではなく両方が持っている。
その警戒を緩めてしまうとは。
幸せな気持ちに包まれすぎて少し勘が鈍ったか?
「だが……」
俺は仙豆をかじる。
俺も一つぐらいは貰っている。
だが次の瞬間、相手は二人とも並んでいた。
「任務は終わった、いずれまた会いましょう、貴方の力を使って強くなったミラとの戦いを楽しみにしていなさい」
そう言って杖を叩くと俺の瞬間移動のように目の前から消えた。
あいつら、本当に何者なんだ?
しかも様子見に近かったようで2を出す前に消えられた。
そんな事を考えていると上の岩山から足音が聞こえる。
段々と無駄はなく飛び跳ねるように最短距離でこっちに向かってきている。
俺はさっきのような油断を消すために、集中をして音の方向を感じ取る。
千里眼で方向を探るが足運びがうまいのか岩の砕ける感じと影しか目には映らない。
「だが……」
俺は構えて攻撃を待ち続ける。
すると風を切る音が聞こえた。
方向は後ろからだ。
いかなる時も風を切る音までは攻撃態勢で消すことはできない。
一体その相手は何者だ。
「はあっ!!」
攻撃を掴んで相手の方を見る。
するとそこにいたのは山吹色の服を着た男。
精悍な顔立ちをしているがこの顔はよく知っている。
「くっ、『魔閃光』!!」
握っていた拳を引き剥がし、超サイヤ人になって技を放つ。
俺はそれに対して超サイヤ人2を開放して……
「ぜりゃあああああ!!」
魔閃光を空へと弾き出す。
きっと宇宙にいって名もない小惑星に当たるだろう。
「今の技とその風貌で確信した、お前……」
相手は恨みを込めた視線で俺を見ている。
警戒しているし、構えも解いていない。
「未来の孫悟飯だな」
何故、どういった経緯で来たものかはわからない。
だが俺の未来視で見たその姿と変わらない。
これが新たなる戦いの始まりだと確信を抱いた。
スパーニの春はブロリーというとてつもないツーショット。
確か昔没案で桃白白の娘があったらしくそれを使用でナッパの春。
ラディッツさんはジョブチェンジしてニアとの春。
ターレスはザンギャあたりにしようと思います。
ゼノバースキャラがようやく登場。
今後どういった動きを彼女たちがしていくのか。
そして、クウラ襲来。
メカフリーザより厄介な二人できています。
次回はこの辺りを書く予定です。
最後にガタバルを襲撃してきたのは人造人間編の未来悟飯です。
原作で死んでいるはずの未来悟飯は生きています。
腕も健在という設定です。
そこらへんも書いていきます。
指摘有りましたらお願いします。