とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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何故、前回の最後で悟飯が襲ってきたのかの解説。
そして人造人間との戦いの通告。
パラレルワールドについては後書きに書かせていただきます。



『明かされる未来』

「くそっ!!」

 

悟飯が攻撃を仕掛けてくる。

超サイヤ人同士のぶつかり合い。

向こう、遠くでの激戦ではブロリーやピオーネは出ずにカカロットやベジータが戦っていた。

しかし、どこかもう一つ分断していたのか一つの気が大きく膨れ上がり、別の一つの気を完全に消した。

だが、その気の持ち主に心当たりはない。

 

「お前、単独で来たわけじゃないな?」

 

そう言うが聞く耳持たずに攻撃をしてくる。

苛烈なようだがさっきの男の方がまだ強い。

超サイヤ人同士で強いと思ったが基礎戦闘力に大きな差がある。

 

「ハッ!!」

 

手を前に出して気合で吹き飛ばす。

その吹っ飛んでいる間に構えて気を高める。

どう捌くか見ものだな。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

アホウドリが相手を啄もうとする。

悟飯は気を高めてあの技の構えをする。

 

「『か……めは……め波ー』!!」

 

ぶつかり合う。

どうやら全力を出しているようだが……

 

「ハアッ!!」

 

平然と打ち勝ってそのまま技を上空へと向かわせる。

俺との実力差を痛感したはずだろ?

 

「くそっ……」

 

 

恨みがましい目で俺を見ている。

一体、俺と悟飯の間に何が起こったというんだ?

 

.

.

 

オラ達が戦っているときに一人の男が乱入してきた。

フリーザの兄貴にオラとベジータがいい勝負を繰り広げている中におどれえた顔で来ていた。

でも、実力は凄くてフリーザの父親を遠くまで連れて行ってあっという間に倒した。

 

「さて……と」

 

オラはその気をたどって瞬間移動をする。

一体何者なのか聞かねえとな。

 

「驚きました、未来ではフリーザが来て、その後に悟空さんが戻ってくるはずだったのですが」

 

未来?

どういう事かわからねえぞ

そんな事を考えているとピオーネが瞬間移動でここに来た。

 

「それに見知らない顔がいますし」

 

そう言ってピオーネを見る。

未来ってところではこいついないんか?

 

「俺の事を全く知らないのでは困りますよね」

 

そう言えばそうだったな。

オラは全くおめえのこと知らねえぞ

 

「俺の名前はトランクス、なぜ超サイヤ人になれるのかというとベジータさんの息子だからです」

 

ベジータの子供かぁ……

あいつも結婚して子供できんのかぁ……

相手は誰だ?

 

「そして……なぜ来たのかというと」

 

そんな事を言った瞬間、遠くで音がした。

この気はガタバルだ。

それと戦ってる気はまさか!?

 

「おめえ、一人で来てねえな!!」

 

そう言うと俯く。

オラに都合が悪いんだろう。

そりゃそうだ。

もう一つの気は……

 

「悟飯と一緒に来てんだろ!!」

 

どうやってかは知らないけど悟飯と一緒に来ている。

そしてガタバルと戦っている。

 

「どうしても来ると言ってきかなくて……無理もないんです」

 

今のあいつからは考えられねえほどだな。

そんなにもガタバルと戦うために来ないといけない理由があったんか?

 

「これから3年後に来る激戦と悲劇を止めるためには……」

 

そうは言うが今のガタバルと悟飯じゃあ、ガタバルの方が圧倒的だぞ。

技に打ち勝っても上に逃がしたりして、あいつなりに殺さないようにしている。

 

「それはそうと3年後に何があるの?」

 

ピオーネがトランクスに聞く。

重要なことを伝えるために来たんだろうな。

気になるぞ。

 

「人造人間という存在に襲撃を受けるんです、開発者は元レッドリボン軍の科学者ドクターゲロ」

 

まだ、レッドリボン軍の奴が居たんか。

あいつらも懲りないやつらだな。

 

「その戦闘力は非常に高く少しずつ追い詰められています」

 

苦い顔をしてトランクスが言ってくる。

悔しいんだろうな。

 

「本来なら一網打尽にされてもおかしくないのですが、散開していたことや途中で追跡が止むなどという事があって……」

 

追跡が止むってことは第三者の味方がいるんじゃないか?

そう、ピオーネが聞くと……

 

「確かにユンザビット高地に一つ大きな宇宙船がありましたが……」

 

全く、そんなモノには心当たりがありません。

トランクスがそう言った。

 

「ベジータでもかなわねえのか?」

 

「はい、超サイヤ人になってもまだ奴らの方が上なんです……」

 

いつ、全滅してもおかしくありません。

そう、トランクスは言った。

現に追跡はやんでいたが、すでに天津飯と餃子。

ヤムチャに一番重要なピッコロがやられている。

残っているのはベジータとトランクス、悟飯にクリリン。

だけども、ここでオラの名前が出てこない。

 

「オラはどうなっちまったんだ?」

 

まさか、やられちまったのか?

強い奴と戦って死んだちゅうんならしゃあねえか

でも、トランクスの奴は首を振る。

 

「あなたは人造人間ではなくまもなくある男と戦います、そして殺される……」

 

それも一方的に。

最後にトランクスはそう付け加える。

一体オラは誰にやられちまうんだ?

 

「はい、その男の名は……」

 

.

.

 

あれからどれくらいの時間が経っただろう。

全ての攻撃は捌かれ、徐々に攻撃を受けてふらついている。

しかし悟飯はあきらめないでこっちに向かってくる。

 

「お前が……お前が……」

 

白目をむいたままぶんぶんと腕を振ってくる。

もはや息も絶え絶え。

ここまでの強い精神力に舌を巻く。

 

「ハッ!!」

 

腹部に一撃を加える。

気絶させるための一撃だ。

めり込んで内臓を揺さぶった手応えがある。

 

「ぜりゃあ!!」

 

しかし悟飯はこらえる。

攻撃が当たった瞬間にカウンターを合わせる。

一度喰らわないと意見から捨て身の方法、諸刃の剣だ。

だが、確信した。

こいつは戦士になっている。

何かしらの要因で心に変革が現れたのだろう。

 

「俺がお前を倒さないといけないんだぁ!!」

 

そう言って俺の頬を殴ってくる。

一気に爆発的に気が上がった。

そう言った所は未来も現在も変わらないか。

 

「喰らえ、『ファイナル・フラッシュ』!!」

 

これはベジータの技か?

技のレパートリーがかなり豊富だ。

 

「まだまだだぞ、『太陽拳』!!」

 

次は天津飯の技だ。

目くらましをされても気を感じ取れる以上問題はない。

しかし悟飯は気を消したのか、感じ取れない。

 

「時間稼ぎのためだ、この技のための……」

 

距離をとっていた。

視力が戻るまで仕掛けてこなかったのはあの技の為か。

 

「『魔貫光殺法』、受けてみろー!!」

 

ピッコロの技だ。

一転集中させて戦闘力の差を埋めたみたいだが……

 

「……喰らうとでも?」

 

両手で受け止めてそのまま二回目の宇宙空間への弾き出し。

超サイヤ人2にならなくてもこれだけの差があるんだ。

爆発的に上がって魔貫光殺法で底上げしても弾き出せるほどの差が。

 

「くっ……」

 

再び距離をとって攻撃のリズムをとろうとする。

流石に万策尽きたはずだ。

 

「なぜ、そこまで俺を恨む?」

 

勝てるはずの無い相手に食らいつくとはらしくない。

意固地になる理由は一体何なんだ?

そう思って質問すると悟飯は怒りを露わにして大声で叫んだ。

 

「お前が……お前がぁああああ!!」

 

両手を上げてでかい気弾を作りだす。

もはやそのような手しか打てないか。

 

「だが……」

 

2になって腹部に一撃を加える。

悟飯の気が萎む。

今の一撃で狙い通り気絶したようだ。

 

「俺を倒すにはそれでは届かない」

 

仮に直撃してもそれほどの痛手にはならなかっただろう。

そう言って腕に抱え上げる。

 

「とにかく、知らない気の奴にまで届けるか」

 

指を額に当てて瞬間移動をする。

どうやら、今のところピオーネやカカロットといるようだ。

 

 

.

.

 

「悟飯さん!!」

 

俺の前にいきなり現れたのは因縁の存在。

どうやら瞬間移動をあいつも持っている。

肩に抱えているのは悟飯さんだ。

 

「ほらよ」

 

俺に悟飯さんを渡してきた。

触れた時に体に温度があるのがわかる。

どうやら殺されてはいない。

しかもダメージ自体はひどくなく、流血もしてない。

 

因縁がある相手だから身構えていた。

だが目の前にいるこの人を見て疑問に思う。

殺すのが好きというわけではない。

こんなにも未来と乖離しているのか?

 

「あと……カカロット、薬だ」

 

そう言って悟空さんに薬を投げ渡す。

どうやらウィルス性の心臓病に聞く特効薬らしい。

パラレルワールドになっていたとしてもこの間の時間軸は自分たちの未来と繋がっている。

悟空さんはあのままなら病に伏せて死んでいたのかもしれない。

 

「こいつも普段は冷静だろうが、全然冷静になれちゃいない」

 

首を鳴らして悟飯さんを指さしながら言ってくる。

自分がなぜうらまれているのかを全く理解できてない。

まあ、そのことも話していけばいいだろう

 

.

.

 

「あなたの話を今しようとしたところですよ、ガタバルさん」

 

そうだったのか。

未来の俺はどんな人間なんだろうか・

 

「そして何故、悟飯さんに襲撃されたのか、それは……」

 

まあ、気になるよな。

現代ではそんなに険悪ではないし。

一体何があったのだろうか?

 

「あなたが悟空さんを殺したからです」

 

その一言は俺にとっては衝撃的だった。

だが、さっきの俺の行動からなぜそうなったのか導き出せる答えがある。

 

まもなくカカロットはウィルス性の心臓病にかかる。

その為、合間の時間を塗って薬をピタルに取りにいった。

だが、あくまで未来視は自分がかかわったことのある人間でないと意味がない。

 

つまりこれは仮説だが……

未来の俺はきっとカカロットの子守をしておらず、その後にカカロットにも会わなかった。

そして初対面で見た時に、その未来を見てしまったのか。

はたまた、いやな予感として感じ取ったのか。

病による死ではドラゴンボールも意味をなさない。

そして、なってからでは遅い。

だからこそやむを得ずに殺したのだろう。

 

「そうか、それならば無理もない」

 

だが言った所で理解はされない。

未来視などなった奴しかわからない。

 

「だが未来の俺とこっちの俺は別物だ」

 

全然違う未来を歩んでしまった自分。

心根が一緒であればそう言った理由だ。

もし違うのであれば……

 

「きっとサイヤ人の本能に目覚めてしまっている」

 

気ままにさすらい、気ままに星を蹂躙する。

そしてその暁に美味な食物をむさぼり、酒に酔う。

力を欲し続ける貪欲な存在。

その過程で救った星もあるだろうが。

 

「しかもそうなっていたらきっと……」

 

ピオーネやニアたちにはセッコ・オロで出会えていないだろう。

セッコ・オロへの定住はなく星を回り続けてその星を滅ぼす。

その生活のサイクルで強くなっていくのだから。

 

「あなたは確かに俺たちが未来で見たあなたとは違うかもしれません、しかし……」

 

どうやら警戒しているようだな。

全くこいつらは……

 

「仮にお前らの想像通りなら……お前らを見逃すとでも?」

 

ここで間違いなく消していただろう。

いきなり襲われて殺意を向けられる。

カナッサの時もそうだが過去の人間の行為を現代の奴にぶつけたり、未来で起こったことで過去の同一人物に攻撃するのはやめろ。

それはあくまでIFで生まれた存在だから。

 

カカロットたちの周りは今と変わらないが、俺という存在がいなくなっている事で考えられるのは……

あの二人が地球に来ないが強化されていない分、ラディッツさんでカカロットはたぶん死んでいる。

サイヤ人の戦い、助っ人がいないのでほとんど全滅だろう。

ナメック星、ターレスやターブルの助けなしで悍ましい激戦になる。

……あれ?

……より下種な状態で殺しているだけで、あいつらが本来殺すべき立場になる人間の仕事奪っているんじゃね?

 

「それもそうですね……」

 

消される可能性を考えたのか俺の言葉に頷く。

カカロットが教えてくれたがどうやらベジータの未来の子供らしい。

名前はトランクス。

下着のような名前という事は……

やめておこう、変にこじれるとこいつの存在は消えてなくなる。

 

「ちなみに聞くが、未来の俺について知っている事は?」

 

どうこうできるわけじゃない。

しかし、次の相手が何かしらの因果で自分自身だったなら情報が欲しい。

3年間の鍛錬にも身が入る。

 

「一つだけ確かなことがあります、俺や皆さんとは違う独自の全く知らない超サイヤ人を身に着けています」

 

なんかすごい嫌な予感がする。

髪の毛の色が金色じゃない場合は最悪の可能性がある。

仮にそれならばもはや勝ち目は万に一つもありはしない。

 

「それってもしかして6人のサイヤ人を介した変身?」

 

俺は念のために聞く。

心のどこかでそうではないことを願いながら。

 

「いえ、単独でしたが……」

 

少し安心して胸をなでおろす。

じゃあ、超サイヤ人4の事か?

いずれにせよ今の自分が単独で相手をするにはどうしようもない。

 

「それなら敵対しないことを望むしかないな」

 

そう言って俺は去っていく。

悟飯が起きての一悶着は面倒だ。

それに俺が余計な口を滑らせないとも限らない。

話の補填はピッコロたちがしてくれる。

 

「いいの、誤解を解かなくて?」

 

ピオーネが追いかけてくる。

俺はその言葉に頷いて返す。

実際、自分たちの目で見て、耳で聞いてそれで納得するしかない。

それは現代の俺がやるものではなく、あいつらが未来の俺に問いただす事。

 

「家に帰ったらあの青年が教えてくれたこと、貴方にも伝えるね」

 

どうやら重要な話があったらしい。

それは聞いておかないとな。

そう考えているとブロリーとスパーニが合流。

4人で家路につくのだった。




パラレルワールドは主に『ガタバルが一度も地球に来なかった場合』の世界です。
現代時空と違う歩み方をしたのでガタバル自身も性格が変わってしまっています。
その為、地球は原作時空をたどってしまい、人造人間編の前に地球に降り立って病に倒れる前に悟空を殺害。
そうすることでドラゴンボールを使用しても問題なく蘇生ができる。
なってからの殺害では蘇生の際に病が残ってしまう危険性もあるのでやむを得ない。
というところです。

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