とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回も日常回です。
未来編からの襲来を考えた結果、こんな形になりました。


『現代は春満開,未来は危機到来』

あの未来を見て数か月。

今やピオーネは臨月の状態だ。

結婚してからあれだけ子作りに励んでいた一か月。

きっと早い段階で子供はできていたのだろう。

しかし腹のふくらみ自体には気づかなかった。

あの数か月前の試合の後、病院にいって検査をしたところ子供がいると言われた。

その時点では今は妊娠1か月だが徐々に大きくなるでしょうと。

そのことをみんなに伝えると祝福された。

母親は満面の笑みだった。

年齢的に孫に近くなるパラガスも、ハーフとはいえ幼いサイヤ人の誕生に喜んでいる。

そして、それ以外の事でも進展があった。

それはスパーニも結婚を考えているという事。

ブロリーもそのことを一緒になって伝えに来た。

 

「母さんに言うのはいいが俺に伝える必要ある?」

 

俺にスパーニの恋愛を止める権利ないよ?

自由に恋して幸せになればいい。

飛び切り邪悪で悲しませるの確定な奴なら止めるかもしれないけど

 

「だって、一応は血の繋がっている兄だし…」

 

母親分だけどな。

礼儀作法なんてもの覚えやがって……

昔の狂戦士はどこに行ったのか。

 

「日取りとか決まっているのか?」

 

急にでも構わないのだが、できれば余裕が欲しい。

俺とピオーネなんか休暇取る相手が国王様だからな。

自営業とか一社員とはまた違う重圧がある。

 

「1か月後だ」

 

それくらいなら休みが取れる。

ニアとかラディッツさん達も呼んでおけよ。

賑やかな結婚式にまたなりそうだ。

 

「それにしても随分とぬるい鍛錬のようだな」

 

器具を見て言ってくる。

それはあくまで一般人用の器具だ。

自分用の特設の鍛錬場はある。

 

「実は最近ある男を鍛えていてな……」

 

とは言ってもそこまで厳しいやり方ではない。

せいぜい重りをつけさせる程度。

謙虚であることを常にいいながらかつての天下一武闘会のビデオなども見せている。

 

「その男の名前は?」

 

ブロリーとしても気になるのだろう。

少し食い気味に聞いてきた。

内緒にすることもないんだから普通に聞けばいいのに。

 

ちなみにぬるい鍛錬とは言っていたが戦闘力だけなら今のお前が確か2000万。

俺が4000万。

今のお前と互角なんだ。

伸ばそうと思ってはいるが、最近はこう言った事が目白押しだから緩やかにしか上がっていない。

せめて、これからは生まれてくる子供の面倒と妻の支えになってやりたい。

その為には戦闘力を落とすこともいとわないさ。

 

「マークっていうんだ、クリリンと同じぐらいの年だな」

 

最初は傲慢な態度があったが、少しひそめて自分の身の上を見ながら話すようになった。

当然のように悟空や天津飯を見て驚いていた。

一般人レベルではないからな。

 

「クリリン……あの禿げ頭か?」

 

こいつ……勘違いして天津飯と混同してそう。

人の区別ちゃんとつけてるのか?

 

「焼き印が6つある奴な、あとあいつのは剃っているぞ」

 

あいつ天然ハゲじゃないからな。

天津飯とナッパからしたらちょっとむかつくだろう。

 

「そうなのか……」

 

ブロリーは少し首をかしげていた。

何故髪の毛を剃るのかわからないもんな。

俺たちサイヤ人は不思議に変わる事は無い。

だから剃ったり切ってしまうと二度と生えない可能性だってあるんだ。

 

「まあ、そいつは戦力としてではなく何となく目についてしまったんだ」

 

何か人を引き付ける才能かな?

それで興味を持って指導しているんだ。

 

「舞空術と気功波さえできればいいし、一般人から逸脱しない程度にするさ」

 

あの大会からおよそ7年以上。

一般人レベルに落ち着いているだろう。

実況のおっちゃん、どうなったかな?

 

「そうか……そう言えば人造人間なんだが」

 

ベジータと悟空も修行に勤しんでいる。

悟飯たちでさえがんばっているのに、俺たちは緩やかに時間を過ごしている。

だが、今までの戦いの日々。

その骨休めでもある。

 

「お前と俺、ピオーネの3名は最戦線には立たない」

 

未来の悟飯を一蹴したのだ。

それより相手が少し強いのか、拮抗なのか。

いずれにしても、そんな俺と実力が近いブロリーとピオーネ。

出ていくと瞬く間に事態は収束する。

あいつらもフリーザとの戦いから、俺たちにおんぶにだっこでは納得しないだろう。

それに、いやな予感はしている。

人造人間の二人だけで済むわけがないだろうと。

 

「だが、スパーニを守るためならば……」

 

お前にも守るべき意思が芽生えたか。

どんなことがあっても守りたい相手、その為に力を振るう。

その為ならば前線に立つのもいいだろう。

 

「こっちもピオーネに危害が加えられるのであればやむを得ない、それは例外だ」

 

それでもあいつらが止めるかもしれない。

あいつらの実力で何とかなる相手であれば問題はないんだが。

 

「とりあえずは、目の前の結婚式なんだが……」

 

スピーチする内容がほとんどないだろうからな。

すぐに誓い合うぐらいしかないだろう。

お前の普段を見ているとはいえ、事細かなスピーチは難しいわ。

 

「とりあえずは参加人数は集まるよ」

 

声をかけていけばな。

カカロットも呼ぶのか?

 

「サイヤ人は呼びます」

 

カカロットをこういった晴れの舞台で憎むような真似、暴れるような真似はしない。

今は制御ができるようにはなっている。

とは言ってもスパーニを傷つけないために血反吐を吐くほどの努力をしていたのを知っている。

 

「地球人のメンツもそこそこいるな」

 

ブルマさんに頼めば大きい所借りれそうなのに。

基本呼び捨てにはなるが時折さん付けになる人はいる。

 

「やはり、前回そっちがやったような場所にしておきましょうか」

 

そうなるよな。

スパーニも雑誌見ながら広いところ選択している。

これで場所さえ決まれば、あとは招待だ。

あいにく全員の居場所は分かっている。

とは言っても家がある奴限定だけど。

ピッコロは分からないし、天津飯はさすらっている。

面倒極まりない奴らだぜ。

天津飯に至ってはそろそろ身を固めろよ、あの三つ目ハゲ。

 

「とにかく、また正確なこと分かったら教えてくれよ」

 

そう言うとブロリーたちは帰る。

とはいっても近い家だから少し離れるようものだ。

困ったら頼れるという事でこの方法をお互いに良しとしている。

後、俺たちに言っていたことにならないため防音と衝撃吸収の設備は整えた。

お節介かもしれないが、万が一という事だ。

 

「これで結婚式の招待が何件かしら?」

 

ピオーネの言葉にため息をつく。

皆がみんな結婚ラッシュなのだ。

一週間後にはラディッツ。

その一週間後にはナッパ。

そして二週間後にブロリー。

めでたい事はいいのだが、国王様に有給休暇取るこっちの身にもなってくれ。

 

「3件だな、しかしこんなに幸せ積み重ねていいのだろうか?」

 

既に言われて1年が経とうとしている。

未来の世界ではどうなったのだろうか?

せめて生き残っていてほしいのだが。

 

.

.

.

 

「さて……今日の進捗度は?」

 

俺はビッグゲテスターに話しかける。

惑星復興プロジェクトを実行している。

自らの戦闘力を高めながら、己に足りないものの自問自答。

強さとは何なのか。

語る背中とはいったいどういったものなのか。

今の自分の在り方をどう変えればあの怯えた目や、哀しい目をされない人間になれるのか。

それらを追及していった。

結論が出かかっているというのに、明確にはならない。

 

「『現在のところ全復興に対するパーセンテージは57%、予定よりもはるかに速い段階です』」

 

自分のエネルギーだけではない。

どういった理論かは知らないが当初の予定である二年で考えた場合の予測を大きく短縮している。

 

「『きっと周囲の復興予定の星が一度のビッグバンによって予定より早く生み出されたからでしょう』」

 

まとめて誕生したのか、納得。

今の状態でシミュレートを行うとどれくらい速いのか、聞いてみる。

 

「『一年八か月ほどに短縮可能です』」

 

なるほどね……

そりゃあ、良い。

その分、己の在り方を見つめなおし、今回還元で失った分の強化をしないとな。

 

「『緊急事態発生、緊急事態発生』」

 

特別な警報が鳴る。

しかしこの室内にのみだ。

つまり、なぜなのかという理由は分かる。

 

「やつらが何かやらかしたか?」

 

行ってみるとそこには血が点々としている状態とはいえ、もぬけの殻。

どうやら脱走したようだが……。

 

「『彼らの行き先は山奥です』」

 

そんな場所に一体何をしに行ったんだ?

生き延びるために当ての無い旅をしたのか?

 

「『きっとある人物を探しに行ったのでしょう』」

 

この星の生体反応を確認するか……

それをビッグゲテスターに伝えるとすぐに画面に視認化させてきた。

どうやら老人のエネルギー反応に向かっている。

あいつらの目的は老人に会う事か?

 

「老人の反応のある場所に向かう」

 

そう言って飛び立とうとする。

しかし、そんな場面で来訪者がきた。

 

「『表情認証……トランクスと孫悟飯となっております』」

 

この星の住民のデータを自律型で取得している。

この西の都の住民で重要な人物のデータはすでに入っている。

ベジータやクリリン、ブルマも入っている。

 

「通してやれ」

 

そう言ってメインルーム。

俺のプライベートな場所へと案内させた。

 

「初めましてになるのかな?」

 

一目見るなりそう言った。

目つきもベジータやカカロットによく似ている。

 

「一つ質問してもいいですか?」

 

ソファに座って孫悟飯が口を開く。

大方あの事だろう。

 

「どうぞ」

 

別にその内容を隠すこともない。

あれにはきちんとした答えがある、理由がある。

 

「何故、父……孫悟空を殺したんですか?」

 

やはりその内容について聞くか。

何の理由もないわけではない。

今までとは勝手の違う理由だった。

 

「やつの顔には死相が出ていた、俺は未来は見れないがどういった原因での死相かわかる

そして、それは病の死であった、おそらくウィルス性の心臓病だろう」

 

病であんなくっきりとしたものが出るのは特効薬がこの地球に無いような病。

そうなると新型のウィルスの可能性がある。

そして時間ぎりぎり。

やむを得ない事情だったことも話した。

 

「やはりそう言った理由があったんですね」

 

『やはり』?

こいつら過去に行ったときにまさか…

 

「俺たちは過去でのあなたを見ました、しかし……」

 

それからトランクスと孫悟飯の言葉には驚きの連続だった。

過去の自分が今の自分とは全く違う道を歩んでいたという事。

そして平然と孫悟飯を退けても命をとらなかったという事。

聞けば聞くほど『仁』に溢れている。

 

「そうか、それならば余計会ってみたくなった」

 

今の己と全く別の道を歩んで強い。

そのことが興味をそそる。

自分が変わるきっかけを自分自身がくれる。

少しおかしな気がしないでもない。

 

「あと……どこへ行こうとしていたのですか?」

 

老人の反応があった場所に行くことを言うと首をかしげている。

一体どういう事なのだろうか?

 

「山奥に住む民間人の反応ではないのですか?」

 

そうは言うがわざわざ民間人にあいつらが会いに行くのだろうか?

まぁ、こっちが痛めつけすぎた肉体の回復のためにって可能性もある。

 

「山奥は確かに人造人間の創造主がいたはずですが殺されていますし……」

 

死人に会うことはできない。

だが少し疑問がある。

死体を人造人間にすることはできないのか?

 

「行かないとシャレにならない事態もあるだろう」

 

そう言って結局準備をする。

トランクスたちは人造人間の襲撃に合わせて去っていった。

 

「さて……ここら辺のはずだが」

 

そう言って目に入ったのは何か歪な棺桶。

そこに誰かの遺体を運び入れていく。

明らかに異常な存在。

それを追いかける。

 

「ぐっ!!」

 

それを食い止めようとする一つの影。

その影の正体は……

 

「お前は一体何者だ?」

 

町を襲撃している存在とは全く違う系統の人造人間。

老人の外見をモチーフにしたようだが……

 

「何者か知りたいか、いいだろう、儂は……」

 

そう言った瞬間、気を感じ取り、そいつの周りがスパークする。

確かにこれは全く違う存在だ。

 

「人造人間21号だ!!」

 

どうやらナノマシンを中心にしたが19号や20号とは違う。

永久炉心をやめた代わりにそこで使う容量を戦闘部分に割いた。

その為、気を悟られないメリットは失ったが、強さはこちらが上という形状になったのだ。

 

「……未来によって作り上げられた存在か!!」

 

つまりこの時間よりも先の未来からやってきた。

それによって作り上げられた強力な存在。

だが……

 

「創造主は消えたはずだが?」

 

俺は単純に疑問をぶつける。

できる限りの情報を引き出すために。

 

「お前らもいずれ分かる」

 

しかし相手はそっけなかった。

既に準備を終わらせたからなのだろう。

そう言って機械に乗り込んで消えていく。

だが、その瞬間に見えたのだ。

 

「あいつら……改造される気か?」

 

奴らが乗り込んでいたのを。

あの二人は俺の拷問から逃れ、復讐のためにサイヤ人を捨てる判断をした。

俺の失敗が新たな火種を生んでしまうとはな……

俺は申し訳ない気持ちで額を叩き、トランクスたちに伝えるために再び来た道を戻っていた。




今回の黒幕はセル+αの予定です。
現代組達でも厄介な奴らを考えた結果、滅茶苦茶なてこ入れがあります。
指摘などありましたらお願いします。

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