とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回は短い戦いを詰め込みました。
次はセルゲーム編を少し書いていこうかと思います。


『秘密の大激戦』

戦う時が来た。

全員が所定の位置に向かっている。

ゲロやトワたちの場所については、占いババ様によって看破できた。

あいつら、自己研鑽にかまけて重要な部分の崩壊をさせていない。

今まで活用していなかった自分たちも偉そうには言えないが。

 

「俺が役に立つのか?」

 

どうやらターレスは超サイヤ人になることができず、基礎的な潜在値が高いタイプのサイヤ人のようだ。

現在の戦闘力は4000万ほどだ。

急なもので、あと1日分使えるのを切り上げての参戦だ。

界王拳を50倍にできれば体の負担は大きいが一時的に超サイヤ人と同じぐらいにはなる。

 

「大丈夫だ、フュージョンもやれるだろ」

 

いざとなればこの手がある。

両方が超サイヤ人ではないから変身は少々心もとないが十分いけるだろう。

さて……

 

「お出ましだ!!」

 

超サイヤ人2で臨戦態勢となった。

3は場合によっては時間稼ぎで形勢逆転されるからな。

目の前に現れたのは5人の相手。

一人は女性だがそれ以外は男性。

随分とむさくるしいな。

 

「俺はあの女性をもらう」

 

そう言ってにやりと笑みを浮かべたターレスは女性へと向かう。

その合間に俺も一人の相手を蹴り飛ばす。

 

「ぐはっ!!」

 

アバラが全て折れたのか。

激痛でのたうち回っている。

そいつを持ち上げて……

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

気弾で吹き飛ばす。

死んではいないがピクリとも動かない。

その圧倒的な力に相手の一人が冷や汗をかく。

 

「そんな、ブージンが一瞬で……」

 

そう言っている相手に蹴りを放つ。

こんな時に一瞬でも気を抜くとはな。

封印されている間になまったか?

 

「ゲボッ!!」

 

相手は一撃の威力に地面を転がる。

その後、膝をついたまま起き上がろうとするも、血を吐いていた。

 

「ぬう!!」

 

何とか耐えきっているようだな。

近づいてきた俺の足を掴んで持ち上げようとするが……

 

「何がしたいんだ?」

 

僅かにも動く事は無い。

戦闘力の差といってもいいだろう。

俺は頭を掴んで持ち上げる。

 

「俺はな、早く助けに行きたいんだよ」

 

そう言って万力のように締め上げる。

徐々に締め付けに耐えられなくなってきたのか。

相手は声も発することもできない。

 

「落ちていけ」

 

その腕を首に回して締め上げる。

もがいて抵抗するが数秒も経たない間に白目をむく。

そうなった相手を剣士へと投げつけてやる。

 

「ふんっ!!」

 

投げつけた奴を剣でいなして回避する。

どうやらこの卓越した剣捌き、ナンバー2のようだな。

でも……

 

「お前もこいつらのようにやられたいか?」

 

一度忠告をする。

二人倒したがこれに毛が生えた程度ならば俺にやられるだけ。

素直に帰ってくれた方がましだ。

だが聞いてくれるような相手ではない。

 

「ほざけ!!」

 

剣を振り下ろしてくる。

だがこんなもの……

 

「はあっ!」

 

俺の手刀に劣る。

パキンといった音を立てて、綺麗に折れていた。

そしてその手刀を腹に捻じ込む。

 

「がふっ!!」

 

後ろに飛んで距離をとる。

気が高まっている。

どうやら変身できるようだ。

 

「ちなみに名前を聞いておこうか」

 

構えて相手の名前を聞く。

せめてもの礼儀だ。

自分が仮に負けた時、名前も知らないでは格好がつかないしな。

 

「俺の名はゴクア、貴様を倒すものだ!!」

 

攻撃を仕掛けてくる。

しかし、2には遠く及ばない。

その腕をとって地面へ背負い投げをする。

その叩きつけられたゴクアに向かって俺は腹に拳を当てて技を放つ。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

その一撃で地面にゴクアはめり込む。

舌を出したまま失神状態となる。

そうなったゴクアを相手の方へと転がすように投げてやる。

 

あとはお前だけだな。

そういった目線を相手に向けると、ゴクアを蹴り飛ばしていた。

 

「そのような相手に苦戦をするな、ザンギャ!!」

 

そう言って女を掴んで俺の方へと投げつける

気弾を女の後ろから放つ。

俺を倒してその後ターレスをやる気か?

だが……

 

「甘いんだよ!!」

 

獲物を横槍でやられて黙るような奴じゃない。

それを庇っていくのはターレスにとっては当たり前だ。

ザンギャと呼ばれた女性を抱えて気弾から逃れさせる。

その後の気弾を俺が握り潰す。

 

「なぜ、庇う?」

 

相手がターレスに言う。

するとターレスは不敵な笑みを浮かべて相手に向かってこう言った。

 

「俺はこの女が気に入ったからだ、いい女を守るのは当然だろう?」

 

そう言ってターレスは女を庇うように場所を離れる。

女は戦意喪失している。

こいつらを避難させた方がやりやすいな。

 

「ターレス、そいつを連れて離れろ」

 

そう言って徐々に気を高めていく。

それを察したターレスが有無を言わさず女を抱えて飛んでいく。

 

「逃がすか!」

 

相手がそう言ってターレスに気弾を放つがそうはさせない。

目の前に現れて気弾を受け止める。

本気で相手をしてやる。

部下は2だったが、親玉には3がいいだろうしな。

圧倒的だったから2でも行けそうな気がする。

 

「はあっ!!」

 

地球が震えるような感覚だ。

毎度、この変身からのフルパワーは慣れないな。

 

「さて……始めようぜ」

 

フルパワーになった俺が相手を睨み付ける。

相手もこのままではまずいと思ったのか変身をする。

しかし、こっちは遊ぶつもりはまるでない。

 

「はっ!!」

 

腕をとってへし折る。

呻いている間に腹に一撃。

一方的なショーの幕開けだ。

 

「グッ!!」

 

飛び上がるが足を掴んで力任せに地面へ叩きつける。

地面が陥没している。

そこから起き上がろうとする前に一撃を繰り出す。

 

「『コンドル・レイン』!!」

 

相手はガードをする。

だがそんなガードの隙を見逃しはしない。

そのまま同時に接近をして、膝蹴りを相手に叩き込む。

 

「ぬぅう!!」

 

立ち上がろうとするがそうはさせない。

足払いをしてそのまま馬乗りになる。

 

「お前は仲間殺しをしようとした」

 

俺はそれを最も嫌う。

ゆえにこいつには重い罰を。

死に至る可能性があるほどに叩きのめす。

 

「だからお前には躊躇しない」

 

鉄拳を顔面に叩き込む。

左の次は右。

右の次は左。

マウントポジションで細かいパンチの中に大きな一撃を混ぜる。

 

「がぁ…」

 

徐々に血まみれの顔になっていく。

顔は腫れあがり、見るも無様な姿だ。

いつの間にか起きている仲間も恐怖の面持ちだ。

 

「うおおおお!!」

 

何とか恐怖心を振り切ったのだろう。

ブージンとやらが超能力か何かで俺の動きを止める。

だがこの程度では一瞬あればいい方だ。

 

「かあ!!」

 

気合で振りほどいた隙に相手が何とか間合いから遠ざかる。

だがもはや肩で息をしており、その眼には勝利の二文字が存在していないことを表している。

 

「ぬううう!!」

 

時間を稼ごうと剛力の男がショルダータックルを仕掛ける。

こっちもそれに負けじとショルダータックルで応戦する。

 

「ぐああっ!!」

 

男が吹き飛んでいく。

まあ、超サイヤ人2で圧倒的にやられた奴らが3を相手に抵抗できるはずもない。

一瞬の間に一人が戦闘不可の重傷を負った。

その間にブージンを殴りつけて二人目も起き上がれないようにする。

ゴクアは背中から肘打ちをして肩の骨をへし折っておく。

そして膝裏を踏み砕くことで這ってしか移動できないようにしておいた。

 

「こいつら連れてさっさと帰れ」

 

十分に実力差は見せつけた。

これ以上やるなら殺すことになる。

今でも殺さないように細心の注意を払っているのだ。

二度と地球にはくるんじゃない。

 

そう考えていると地球が震えた。

この気はあまりにも凶暴だ。

それゆえにすぐに特定ができる。

 

「ブロリーたちに何があった!?」

 

青肌の奴らの方へ向かいたい。

しかしこいつらが邪魔だ。

やはり消しておくべきか?

そう思って上空から奴らに向かって『アルバトロス・ブラスター』を放とうとしていた。

 

.

.

 

「お前らがトワとミラか」

 

俺は相手を見据えて言っている。

気味が悪いというか、相手の力を正確につかめない。

 

「ああ、その通りだ」

 

男、つまりミラの方が構える。

スパーニもすでに超サイヤ人だ。

俺も変身をする。

 

「お前たちの悪だくみは実現させない」

 

おおよそ、横槍を入れて『セルゲーム』をめちゃくちゃにするつもりだろう。

さて……スパーニにトワを任せよう。

 

「できるかしら?」

 

トワがそう言った瞬間に既にスパーニが横に回り込んでいる。

臨戦態勢は整っている。

あまり甘く見てると大怪我するぞ。

 

「残念だったわね」

 

バリアーで防いでいるようだが……

俺がこう動けばどうする?

ミラを抱え上げてバリアーに向かって投げつける。

そして俺はそれと同時に駆けだす。

 

「ふん!!」

 

ミラが反転して着地をするがさらにそこへタックルで衝撃を与える。

バリアーに近い中、大男同士の衝突。

 

「ぐっ……」

 

バリアーへミラと俺の体が当たる。

その衝撃でバリアーが破られてしまう。

 

「スパーニ!!」

 

スパーニにすかさず指示を飛ばす。

それを承知したスパーニが回し蹴りでトワに一撃を加える。

こっちはミラを抱え上げて後ろに向かって投げる。

身体を逸らして地面に叩きつけるように。

 

「うぐっ!!」

 

地面に叩きつけられたのが効いたのか僅かに呻く。

こっちは攻撃の手を緩めない。

頭を掴んでそのまま一撃を加えにいく。

無論、フルパワーだ。

 

「『ギガンティックミーティア』!!」

 

ミラを中心に大爆発が起こる。

大きくダメージを与える事はできただろう。

だが奴からエネルギーが漏れているような気がする。

 

「俺たちは今までありとあらゆる細胞を採取した……」

 

人造人間としてのグレードアップの為に色々したようだ。

きっと俺やガタバルの細胞があるだろう。

 

「キリをお前から手に入れれば俺はあの男を越えられるかもしれない!!」

 

そう言って吸収用の器具を取り出す。

結構前にガタバルもやられたと言っていたな。

気を付けないと。

 

「『紅葉挫き』!!」

 

スパーニの方も圧倒している。

サポートする前に攻撃を仕掛けて隙を作らないようにしている。

足を払ったり、投げ技や打撃技。

 

「『渦巻十枝』!!」

 

今のように時には気弾技の牽制をしている。

同時に接近して上下の掌に気を集中させる。

 

「『花弁双掌』!!」

 

その一撃を食らってこちらに飛んでいく。

その時の不敵な笑み。

まさか!?

 

「察したようね、ご名答!!」

 

トワは魔術で俺の動きを封じる。

まさかわざと食らって距離を詰めてくるとは。

 

「ぐっ!?」

 

それを見てミラが器具を構えて突っ込んでくる。

気を振り絞って解こうとする。

しかし器具が突き刺さるまで解けそうにはない。

もがいているが間に合わない。

 

「はっ!!」

 

俺の前にスパーニが立って突き刺される。

吸収されていき、超サイヤ人も解けていく。

俺は愛する者に守られたのか……

スパーニは力を吸い取られたのが効いたのか、倒れ込みそうになる。

 

「この女の気ではまだ足りん、邪魔をするな!!」

 

自分のふがいなさを嘆く暇もなく相手の動きは止まらない。

そう言ってスパーニを殴り飛ばす。

その瞬間、頭に血が上っていく。

 

「お前らがやっておきながら、スパーニに責任を擦り付けやがって……」

 

目の前が真っ白になっていく。

久々の感覚だ。

訓練以外ではしていなかったこと。

プツンと音を立てて今までとは違う自分を感じ取っていた。

 

「決めた……貴様らを血祭りにあげてやる」

 

そうは言うがスパーニを抱えて仙豆を食わせる。

どうやら人造人間でカカロットが吸い取られた時と同じで治療は可能なようだ。

 

「うぅ……」

 

ぐったりとしている。

どうしたものかと悩んではいたがそんな時にガタバルが目の前に現れる。

 

「巻き込まないように連れていくぞ!!」

 

そう言ってスパーニの腕をとる。

理性を完全に失う前に、最後に親指を上げて答える。

頼んだぞ。

こいつらを倒してピオーネさんの救援に向かうようにしておく。

 

「ウォオオオオオ!!」

 

今までとは違う速度。

相手の後ろをとって一撃をくらわせる。

トワが器具を突きさすが……

 

「なっ、吸い取りきれない!?」

 

器具が壊れてしまう。

相手は驚愕していたがそんなものは今の自分にとってはどうでもいい。

 

「当たり前だぁ、こんなにも力が溢れている俺の力をそんなちんけなもので測るなどできん!!」

 

壁を超えた今の自分の興奮は冷めやらない。

何故なら今の状態ならばガタバルに匹敵するからだ。

 

「この感覚はいつも素敵だな、力が溢れて漲る感覚はなあ!!」

 

トワを蹴り飛ばして、ミラを殴りつける。

飛んでいくミラより速く後ろをとってラリアットを放つ。

地面に叩きつけられるミラの腹に膝をぶち込む。

 

「『アングリー・ギガンティック・ツイスター』!!」

 

持ち上げたミラを上に投げて回転を加えたアッパーを叩き込む。

その回転から落下する途中で自らの体を高速回転させて裏拳や頭突きを加える。

己を台風の目をした暴力に満ちた暴風が徐々にミラの体へ傷を負わせていく。

 

「とどめだ!!」

 

飛び上がり、ミラの足を掴んだまま錐揉み回転を加える。

受け身不可能の大技だ。

地球人が行う格闘技の技に少しアレンジを加えたもの。

だが、自分の体の大きさともなればすべてが必殺技だ。

 

「がはっ……」

 

空気を吐き出すようにミラが声を出す。

しかしそれが最後だったようだ。

目は白目をむいて気絶している。

スパーニの分も果たしておいた。

 

トワの方へ向かおうとすると杖を掲げて不敵な笑みを浮かべていた。

一体何を企んでいる?

 

「まさか離れていたら瞬間移動できないって思っていたのかしら?」

 

そう言うと杖が光ってミラを引き寄せていた。

まさか人造人間だから反応するようにしているのか!?

 

「今回の悪だくみはもうお終い、今度は楽しませてあげるわ」

 

そう言ってまたもや消えた。

見つけられない場所に隠れるつもりか?

そんな事を考えていたらガタバルさんが戻ってきた。

スパーニとターレスは離脱。

俺達でピオーネさんの所へ向かいに行く。

 

「ちなみに相手はどうしたんですか?」

 

そう聞くと溜息をついている。

どうやら相手が退散をしなかったようだな。

 

「とりあえずはあいつらより強い悪人の場所に届けておいた」

 

従順で頼れる兵隊に育ててくれるだろう。

そう言って何とかなったという顔をしていた。

面倒ごとを増やしたのか、もしくは押し付けたのか。

まあ、いずれにしても今の自分たちにとってはピオーネさんの方が優先だ。

無駄なことを考えるのはやめて飛び立っていくのだった。

 

.

.

 

「まさか今のあの子に匹敵するほどの手を隠していたなんてね……」

 

私は構えながら相手を見る。

初めは圧倒できていたが相手が追加でナノマシンを埋め込んでから互角の戦いになっている。

 

「自壊のリスクとの戦いの結果だ、こうでもしないと勝てない」

 

そう言って向かってくる。

速度もかなりのものだ。

 

「だりゃりゃりゃ!!」

 

速射砲のように貫手や拳が飛んでくる。

一つ選んでカウンターを放つがヘッドスリップでかわされる。

その瞬間に後ろ回し蹴りで顔面を狙う。

 

「ヌン!!」

 

腕を交差して受け止める。

反応もいい。

 

「本来ならばリスク回避をするのが科学者なのだが、久々に確率に逆らってみたよ」

 

そう言うと足を掴んで振り回す。

一定の速度でグイングインと振り回されていく。

その間に何列にも連なった気弾を放出する。

一体何を始めるのかしら?

 

「『ナイトメア・ペンデュラム』!!」

 

向こう側の気弾に当てたと思ったら、さらに腕をダイナミックに振り回す。

そして加速したまま反対側の気弾へ直撃。

それを三度繰り返す。

 

「終わりだ!!」

 

最後に気弾ごと地面に叩きつけられる。

まさかこんな技を使ってくるなんて。

 

「でも効かないわよ」

 

頑丈なんだから。

今のが致命傷になるほど軟じゃない。

 

「流石にそれは無いだろう……」

 

まあ、超サイヤ人3並みのパワーで無傷なんて訳は分からないでしょうけど。

あの子の最大技を食らったりしているんだから耐久力は上がってしまう。

しかも、お互いが遠慮なしの鍛錬ということでボロボロになる。

 

「こっちの番ね」

 

相手に向かって攻撃を仕掛ける。

雷を起こす。

相手が機械なのならば効くかもしれない。

 

「『エレクトリック・パレード』!!」

 

雷のどでかい光線を放つ。

相手が避けられないようにする手はある。

 

「大技は隙を作って放つものだ!!」

 

そう言って回避行動をとるゲロ。

そんなのは私があの子に何年も前に言った事よ。

私がそれをしないとでも思って?

 

「瞬間移動なら常に背後よ」

 

背後からの光線で飲み込まれていくゲロ。

バリアーを何度も張りなおしているけど、それでも割られ続ける。

 

「『アンペア・フェイファー』!!」

 

大きい電流の弾丸が放たれる。

あの子は前に、電圧の弾丸を一度放たれたようだが。

こっちはカウンター技といった所ね。

 

「『トール・フリッカー』!!」

 

雷撃を右腕で受け止めてその気を足に流してさらにカウンター。

片腕でゲロも受け止められずそのまま蹴り上げられる。

 

「体が壊れるような真似をよくできるな」

 

確かに一歩間違えれば心臓に大量の電撃が流れるかもしれない。

しかしそれでも……

 

「体が壊れるかもしれない選択をしても損はしないわ」

 

だって私は科学者ではないから。

危険だなんだの回避をして食らうぐらいなら、こういった事をする。

 

「私は空中戦、地上戦、隙がないわよ」

 

そう言って飛び上がって間合いを詰める。

相手に一撃を叩き込む準備はすでに終わっている。

 

「でも、ワシは負けないよ」

 

あの子に似た構えをする。

どうやらサイヤ人のデータもあるようね。

 

「残念ね……」

 

その構えの弱点も分かる。

揺さぶられた場合にわずかに隙が生まれてしまう。

内側から外側と逆への対応が遅れてしまう。

その隙をついて腕を掴む。

 

「『ポテンシャル・フック』!!」

 

弾力に富んだような感覚を感じる。

そのままつかんだ腕が弾かれる。

 

「むっ!!」

 

体勢を立て直すその隙にゲロも大技を仕掛ける。

隙を作ることに成功しているからね。

 

「『カタストロフィー・ラプラス・ライ』!!」

 

雷を纏った巨大な斧型の気弾を放つ。

それを受け止めるために構える。

 

「認めよう、貴様が地上と空中においてワシより強いとな!!」

 

歯をギリリと悔しそうに噛みしめる。

ここで一発逆転という事かしら。

 

「喰らえ!!」

 

大声で振り絞ったかのように放つ。

さらにそれに合わせて突っ込んでくる。

玉砕特攻とはらしくなさそうな手を……

 

「この一撃をいなせば……」

 

手を出してその一撃を受け止める。

しかしその瞬間、違和感を感じる。

想像より遥かに下の威力の一撃だった。

それを見てゲロはにやりと笑っていた。

まさか、あれは完全に……

なるほど、『ライ』は雷の『ライ』ではなく嘘の『ライ』だったのね。

 

「地上も空中も劣っているのは変わらん、でもな……」

 

受け止めて無防備だった私にタックルが決まる。

吹っ飛んだ私に照準を合わせて、最大級の気の高まりを感じられる。

 

「頭脳戦はワシの勝ちだ」

 

今度は正真正銘の巨大な斧型の気弾を放つ。

だがその一撃は当たらずにすり抜けていく。

瞬間移動ではなくても避ける術はあるのよ。

 

「なっ!?」

 

完璧に決まったはずの一撃を避けられたゲロは驚く。

そんなゲロの背中に立って私は呟いた。

 

「熱探知のセンサーでもつけておくべきだったわね」

 

そうすれば、今の残像を見抜いて対応もできた。

戦闘力やバリアー以外のこまめな機能も必要だという事。

それをわかってもらえたかしら。

 

「残像拳か……」

 

悔しそうな顔。

しかし清々しい顔だった。

きっと全ての策を使ったからだろう。

 

「『エレクトリック・パレード』!!」

 

二回目の大技を食らう。

もはや抵抗する力も残ってはいないゲロ。

そんなゲロを雷光を伴った光線が包み込んでいく。

 

「ガハッ!!」

 

地面に叩きつけられて大の字になっているゲロ。

もう、指一本を動かせそうにないといった顔だ。

 

「命は取らないのか?」

 

ここで命をとれば知能として最高峰の人材を無くすことになる。

未来で、その知識を活かしてもらった方がよっぽど有益だ。

 

「科学者として正しい事に使いなさい、トランクスたちの為にもね」

 

そう言った瞬間、ゲロが微笑む。

それは善人がやるようなことを自分に頼んでいいのかと問うような笑みだった。

 

「勝者に従おう、命を救われたんだからな」

 

こっちの目を見返して笑いながら言ってくる。

若くなりすぎたから素直で柔軟な頭になったみたいね。

 

「こっちも救う相手がいるから行くけれど、ちゃんとトランクスたちと一緒に貴方も未来に帰りなさい」

 

そう言って去ろうとした瞬間、目の前に二人が現れる。

戦ってきた顔ね。

二人は私を見てお疲れさまという目を向けてくる。

そっちこそと視線で貸して、初めに決めた時のように拳を突き出す。

それを合わせた時、秘密裏の激戦は終わったと実感できた。




未来ゲロが若くなりすぎたせいで味方サイド行き。
他の奴らのナノマシン入れすぎたのも影響してます。
今回の救済枠はザンギャのみのはずが、意図せず増えました。
地味に救われてないのはザンギャ以外のボージャック一味です。
指摘などありましたらお願いします。

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