とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回から魔人ブウ編ですが、かなりのバトルの頻度になったりするかもしれません。
もしくは駆け足になりがちになるかもしれないです。


魔人ブウ編
『幸せ色は薄く濁る』


セルとの戦いから7年。

 

あれから自分の甘い心を解消するために学生で居ながらも修行を続けている。

ピッコロさんはいつだって僕の中では尊敬する師匠だ。

父さんたちとは違う方向で研鑽してくれる。

 

「良い攻撃だ、悟飯!!」

 

慢心はなくなっている。

強さは今は劇的に上がる事は無い。

でも少なくてもセルとの戦いから落ちてはいないことは分かる。

 

「あれから速いものですね」

 

未来のトランクスさん達はあれから姿を見せていない。

未来がどうなったのか気にはなるけれど……

 

「報告する暇もないほど奴らも復興に力を入れているんだろう」

 

そうピッコロさんが言うと僕は頷く。

そうだとしたら嬉しいからだ。

ちなみにセルとの戦いに関しては、ミスターサタンさんがセルを倒したという事になっている。

元々は世界チャンピオン。

さらに人気は出るかもしれないし、面倒ごとを増やしてしまう事になる。

でも、僕たちが人気者になったりすることに比べれば……。

きっとこれが正解だったんだろう。

今や、世界中がサタンさんが居たら地球は救われると考えているくらいだ。

 

「それでは学校がありますので……」

 

そう言って道着から普段着に着替えて学校へと向かう。

母さんには体を動かすぐらいだと言って許してもらった。

きちんと勉強もするからという約束で続けさせてもらってる。

 

そんなふうに学生生活をつけていると、トラブルが起こってしまった。

『グレートサイヤマン』として街中の悪人を退治していると、サタンさんの娘のビーデルさんにばれてしまった。

学校にいるから僕の声と名前をよく知っていた事。

そして思わず呼びかけに応対してしまった事。

これらが原因だった。

それを理由に『天下一武闘会』へ出場するという事になった。

 

「父さんも出たらどうかな?」

 

一応誘ってみる。

了承してくれても母さん次第なんだけど……

 

「でもチチが……」

 

優勝賞金について母さんが聞いてきたから伝える。

するとおじいちゃんの財産が減ってきたから、ここで稼いでほしいと切実に言ってきた。

修行をつけてもらう事になるなんてセルの時以来だな。

父さんは界王様の所へよく行っているみたいだし。

 

「カカロットが出るなら俺も出るか」

 

ベジータさんを誘ったら快く返事をしてくれた。

数年前は差があったがどうなっているか知ってみたいと言われた。

 

「でも僕は現状維持か少し強くなったぐらいですよ」

 

そう言うがにやりと笑っていた。

それはまるでまだ隠し持っているだろうと問いただすように。

そんな雰囲気を感じ取ったトランクス君が近寄ってきた。

 

「悟飯さんとパパが戦うの?」

 

そうなったらいいんだけどね。

お互い一回戦で当たらないと厳しいかな。

温存して勝てるような相手じゃないし。

他の人たちも誘う事を伝えてカプセルコーポレーションを出る。

 

「ピッコロさんも出てみませんか?」

 

父さんやベジータさん以外にも誘いはかけてみたけれどそんなにいい結果は得られなかった。

ラディッツさんもニアさんも出ないと言っていた。

ヤムチャさんも同様だ。

 

「久しぶりだからな」

 

そう言ってほほ笑む。

しかしその顔も一瞬で引き締まって僕の方を見てきた。

 

「一度でいいからお前と戦ってみたかった」

 

そう言えば組手というだけで真剣勝負はなかったですもんね。

師匠越えをさせてもらいます。

それが僕にできる最大の恩返しですから。

 

クリリンさんの所へと向かう。

クリリンさんは最初にピッコロさんたちが出るからやめようかと悩んでいた。

しかし18号さんが一緒に出るから出るように言われて出場を決めた。

 

これでめぼしい人を集めることはできた。

最後に出てもらうのを頼むのは……

 

「なんだかここ一帯が淀んでいるというか……」

 

畑も枯れ果ててしまっている。

それどころか動物の死体がそこらに転がっている。

とりあえずは気功波で塵に還しておく。

風で異臭も流れてくれればいいのだが。

ある人を誘うためにここに来た。

快く受けてくれるといいんだけれど。

 

「失礼します……」

 

目に飛び込んできたのは暗い家の中。

扉を開けると振り向いてきた。

ターサちゃんは寝ている。

僕は要件をピオーネさんに伝える。

適当な相槌を打ちながら頷いている。

全く興味はない感じだ。

 

「ピオーネさん、出ましょうよ」

 

そう言うと睨み付けられてしまう。

あのセルの戦いからしばらくしてからピオーネさんは戦う事を完全にやめている。

その原因はたった一つ。

目の下にひどいクマができているのもそれが理由だ。

 

「あの子がいなくなったのによくものうのうと……」

 

そう言って顔を掴まれてしまう。

扉を開けられて投げ出された。

……そうなのだ。

ある日を境にガタバルさんは僕たちの目の前から消えた。

死んだわけではないはずだ。

だが気は感じられなくなっていた。

人造人間になっているのなら、占いババ様に聞けばいい。

しかしそれでも見つからない。

ありとあらゆる方法でみんなが探したが見つからなかった。

 

「もしかしたら世界中の人が来るので、あの人が参加する可能性だってあるかもしれないんですよ!」

 

そう言って扉を叩く。

するとガチャリと僅かに開いた。

 

「本当なんでしょうね?」

 

もし、嘘だったならばそのまま消すといった目だ。

言葉に出さなくても大事に思っているんだな。

 

「騙されたと思って……」

 

そう言って参加をしてもらった。

ブロリーさん達も同じ理由で誘うと参加すると言ってくれた。

ちなみにラディッツさんが断ったのもガタバルさんの捜索のためだ。

この天下一武闘会の誘いが功を奏したらと思う。

僕たちもガタバルさんを見つけたい。

一体どこに行ってしまったんだろう……

 

.

.

 

「メチカブラ様」

 

ワシを呼ぶ声がする。

こっちも忙しいというのに。

魔術をしているのが見てわからんのか。

 

「兄様の場所につきましては?」

 

トワが聞いてくる。

我らが王の場所は突き止めておいた。

まさかあの鼻垂れ小僧だとは思わんかったがな。

 

「人間界だ」

 

ワシの弟子であったバビディのガキであるバビディ。

そやつが魔術で操っておる。

ワシならば解ける。

しかし、コケにされた恨みや怒りがその程度で収まるはずもない。

トワがミラを強化してきたのも兄であるダーブラをとり戻すためだ。

そして人間界を飲み込む。

 

「アブーとラカンを呼んできますね」

 

ダーブラの側近も必要だ。

そう思っているようだがまだまだ甘い。

出し惜しみや小出しをする必要はまるでない。

 

「テクマツーとチチン、そしてマハリにクマハ、リタ、ヤンバラ、トリプヤンも呼べ」

 

総力戦だ。

邪神像も用意しておけ。

完全なる我らの力を見せつける。

まずは見せしめに……

 

「このブロリーという奴を倒そうか」

 

こいつを倒して勢いをつける。

皆が強いという自覚を持てば化ける。

 

「こいつはかなりの強敵でございます」

 

分かっておるわ。

だからこそだというのを分かっていない。

甘い奴らよ。

 

「初陣はワシが飾る」

 

だからお前らはついて来い。

そう言って人間界への扉を開く。

今、大願成就の時。

 

「かあっ!!」

 

杖を掲げて次元の扉を開く。

こいつらが手も足も出ない魔術師こそ、このワシなのだからな。

この程度は朝飯前よ。

こいつらが人間界にいけたのもワシがいたからだ。

 

「お前らも後で来るがいい」

 

そう言ってワシは人間界の高地。

『ユンザビット』へと降り立ったのだった。

 

「まずは座標の把握だ……」

 

瞬間移動も座標が分かっていなければ岩に埋もれてしまいかねんからな。

『あのお方』のように清くはあれなかった。

清い心があったならば、野望に染まらなければ魔界からでも人間界を見れただろう。

 

「では向かうか……」

 

そう言ってワシは初陣の獲物の元へ向かうのであった。




まさかの主人公のガタバル失踪で始まる新章。
そして今回の相手はスーパードラゴンボールヒーローズで実装されたメチカブラを首領とした暗黒魔界の精鋭と魔人ブウ復活を企むバビディ陣営です。

今回の敵の由来は
『テクマツー』:『【テクマクマ】ヤコン』:クマが二回続くことから
『チチン』:『【チチン】プイプイ』
『アブー』:『【アブ】ラカダブラ』
『ラカン』:『アブ【ラカ】ダブラ』
『マハリ』:『【マハリ】クマハリタヤンバラヤンヤンヤン』
『クマハ』:『マハリ【クマハ】リタヤンバラヤンヤンヤン』
『リタ』:『マハリクマハ【リタ】ヤンバラヤンヤンヤン』
『ヤンバラ』:『マハリクマハリタ【ヤンバラ】ヤンヤンヤン』
『トリプヤン』:『マハリクマハリタヤンバラ【ヤンヤンヤン】』
ヤンが3回続くことから『トリプル+ヤン』

まだいますがなんと前回よりも多い9人の敵が追加です。

指摘などありましたらお願いします。

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