とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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バトル全くなしの話です。
封印した相手はビルス様です。
サラガドゥラがどういった存在なのかの話です


『秘められし過去のサラガトゥラ』

今、僕は『ゼットソード』という剣を一心不乱に振っている。

 

界王神様があれから僕を治してくれて、サラガドゥラさんも共に界王神界へと行こうとした。

帰巣本能が凄くて帰ろうとするから、何度も超能力で止めながらキビトさんのおかげでようやく行けた。

帰れないことにふて寝をしている。

言葉を話さないけど人間臭すぎる。

 

「しかしこの者まで連れてくる意味はあったのですか?」

 

キビトさんが言っている。

界王神様はサラガドゥラさんを見ながら一言。

 

「悪人には見えないでしょう」

 

そう言った瞬間、起きる。

界王神様の肩を叩く。

帰らせろとジェスチャーをしている。

 

「駄目です、見届けなさい」

 

すると座り込んで見始める。

徐々に本能以外のものが見えてきたような……

 

「メチカブラの支配から逃れたことで目覚めようとしているのでしょう」

 

しかしそう思った瞬間、岩を持ち上げていた。

まさかそれを投げるつもりなのだろうか?

 

「ははっ、良いですよ、豆腐みたいにスパスパと斬れると思いますよ~」

 

すると界王神様が待てと手で制する。

そして黒い四角の物体を出現させた。

 

「宇宙で一番固い物質『カッチン鋼』です、これを試してみなさい」

 

そして受け取ったサラガドゥラさんが振りかぶる。

全力で投げてきた。

居合の要領で斬りにいく。

 

「はああっ!!」

 

気合一閃。

『カッチン鋼』が切り裂かれる。

真っ二つになった後、手の中の物の感触がない。

 

「あれっ、ゼットソードがない!?」

 

そう言って振り向く。

するとそこにはおじいさんのような界王神様がいた。

 

「あの、貴方は……?」

 

僕は恐る恐る聞く。

するとどうやら今の界王神様の十五代前の界王神。

遠いご先祖様らしい。

 

「で、なんでこの聖域に二人の人間が入り込んでおるんじゃ?」

 

頬をポリポリとかきながら界王神様に聞く。

それについての事情を話し始める。

魔人ブウの復活と邪神ヒルデガーン。

そしてメチカブラによる人間界の侵略。

 

「あの小僧がそんな真似をの~」

 

頭をかきながら呑気に言っている。

しかしメチカブラの事を小僧扱いなんて……。

 

「ご先祖様はメチカブラの事をご存じで?」

 

そう言うと溜息をつく。

そして昔話のように語り始めた。

 

「知っとるよ、なんせ奴もあいつの兄もこのわしの弟子じゃったからな」

 

なんとと界王神様が驚く。

しかし、それならば魔術の精通も納得だという。

 

「どういった経緯なのですか?」

 

だがこの聖域ともいえる場所に何故奴らが来たのか。

侵略目的で来たのだろうか?

 

「わしが魔術を使えると噂で知ってここに来たんじゃよ、昔は聖域と言えど入ろうと思えば入れたからな」

 

それを言うとずっこけそうになる界王神様。

そして起き上がって苦笑いをしながら一言。

 

「そんなにたやすい聖域だったのですね……」

 

そう言って再び座る。

今でこそこんなに厳重なのに昔はそんなものだったのかとつぶやいていた。

 

「わしに教えを乞うた二人はそれはそれは素晴らしかったわ、特に兄の方がな」

 

過去を思い返し、喜んでいる。

自分の知恵を全て授けてもいい弟子に出会えたのだから。

きっと、ピッコロさんも僕が強くなる時こんな気持ちだったんだろうか?

 

「そんなに優れたお弟子さんをとれるほど凄腕だったんですね」

 

僕は素直に称賛する。

すると鼻高々という様に腰に手を当て、胸を張る。

だがすぐに暗い顔になる。

 

「でもそんなある日、今の魔人ブウほどじゃないが悪い奴に些細なきっかけであの『ゼットソード』に封印されたんじゃよ」

 

気が遠くなるほどの封印。

よく気が狂わなかったな。

そこは流石は神様だというべきなのだろう。

 

「わしが封印された時に兄は激昂してそのものへの対抗の為に『魔界』を作った」

 

そう言う経緯があったのか。

きっとお兄さんとは分かり合えたのかもしれない。

 

「『暗黒魔界』をですか?」

 

界王神様が聞く。

すると老界王神様が首を振る。

 

「いや、昔の魔界はこの界王神界を真似たんじゃ」

 

つまり楽園をモチーフに作ってみたのか。

邪悪なものを初めから制作したわけではないんだ。

 

「しかしその兄も守り神や全ての力を駆使した結果、わしのように封印をされた」

 

しかもかなり強かったらしい。

もはや一介の魔術師を遥かに凌駕していたようだ。

それでもかなわなかった人って一体何者だ……?

 

「その二度にわたるショックかは知らんがメチカブラの奴は変わった」

 

尊敬できる師匠。

自分よりも優れていた慕うべき兄。

それを失って変調を起こさないなどあるだろうか?

今、現在進行形で最愛の人が居なくて徐々に駄目になっている人がいる。

あの人を見ているとメチカブラさんの変化も仕方ないと思える。

 

「どのように変わってしまったのですか?」

 

界王神様が聞く。

すると溜息をつく。

相当気を揉む出来事だったのだろう。

封印されていても意識はあったり感覚もあったのだろう。

 

「『魔界』を『暗黒魔界』に変えて、守り神を邪神に変えた、そして輝いていた光を落とし暗黒郷に変えたのじゃ」

 

180度違う世界に変えたのか。

そこからトワやダーブラ。

そしてテクマツーやチチン、アブーやラカンなどの側近。

リーサといった突然変異の存在などで帝国を作り上げた。

邪神は出てこなかったがかなり危ない相手かもしれない。

 

「そう……偉大なる兄にしてわしの最高の弟子の偉業を台無しにしおったんじゃ」

 

強く拳を握り締めて怒りを露わにする。

弟子の成長を喜んでいた。

自分にとって最高の弟子の功績を穢した者がその弟子の弟。

怒って当然だろう。

 

「ちなみにその兄の名は?」

 

界王神様が聞く。

すると溜息をつきながらその名前を言った。

 

「その男の名前はな、『サラガドゥラ』じゃよ」

 

その言葉を聞いた瞬間、僕は手を挙げていた。

同名だからもしかしてと思う。

 

「同じ名前の人がいるので見ていただけませんか?」

 

そう言って連れてきて仮面を見てもらう。

ピエロマスクを見て老界王神様はふきだした。

 

「これはまた随分と面白い仮面にされたのう」

 

笑いながら言っていた。

だが仮面に触れて探った結果、一気に顔が険しくなる。

その瞬間、纏っている空気が変わった。

 

「メチカブラの奴、生きた人間に付けよったな」

 

怒りに満ちた顔。

さっきも怒っていたが、それに上乗せされたような感じだ。

 

「そうするとどう変わるのですか?」

 

流石は神様といった所だろう。

その怒りや剣幕ににのまれそうになる。

しかし、恐る恐る聞いてみた。

すると口を開いて説明してくれた。

 

「容姿が変わるんじゃよ、サラガトゥラの髪の色と体格にな」

 

じゃあ子供に着けてしまうとかやっていたら……

そんなの別人すぎて同一人物なんて思わないぞ。

 

「つまり、これが付けている本来の肉体ではないということですか」

 

ちらりと覗く肌の色は僕たちと変わらない。

どうやら肌の色は影響されないようだ。

大きいフードなのだが、子供につけたか成人男性に装着していたのかな?

できれば女性は嫌だな。

場合によっては心に傷をつけかねないし。?

 

「その通りじゃ、今からこいつを外すが生きた人間の意識は兄であるこいつに任せんといかん、じゃから壊せ」

 

そう言って魔術で仮面を外していく。

徐々に外れていくがその付けられていた人はうつ伏せになって倒れ込んだ。

外れた時に髪の毛の色が黒くなっていた。

 

「触って変な目覚めになるかもしれんからやめておけ」

 

起こそうとする僕たちを止めて仮面をくるくると回す。

どこかおかしなところがあるのか確認しているようだ。

 

「壊せば老界王神様のように封印が解けるんですか?」

 

ちなみに聞いておく。

間違えて死ぬとかないですよね。

 

「そうじゃ、カッチン鋼で押しつぶすか剣状にしたやつで切り裂け」

 

そう言って仮面を置く。

それを見て界王神様が再度カッチン鋼を取り出す。

 

「それでは、悟飯さん頼みます」

 

瞬く間に剣状に加工されていく。

それを投げ渡される。

ズシリと重みのあるものだ。

 

「はあっ!!」

 

気合を入れて振りかぶる。

剣状に加工されたカッチン鋼を突き立てて仮面を壊す。

すると仮面から光が出てその光が晴れた時、一人の男性が現れた。

 

「悠久の時、眠っていた……」

 

首を鳴らして見渡すとたちまち顔が驚きに染まっていく。

そして声を発する。

 

「ここはもしや界王神界か!?」

 

その問いに答えたのは老界王神様だった。

さっきまでの顔とは違い、真剣な顔つきで。

 

「そうじゃよ、サラガドゥラ」

 

その声に振り向くサラガドゥラさん。

見た目は白い髪を無造作なワイルドヘアにしたような形。

体格は背が高くピッコロさんのような感じだ。

肌の色はメチカブラたちと違い、僕たちと同じ色だ。

何故なんだろう。

 

「お師匠様……お久しぶりです」

 

土下座をして挨拶をする。

気が出ているが、そんな事は気にも留めない。

 

「封印から解放されて何よりです」

 

そう言ったサラガドゥラさんの頭をはたく。

そんな事はどうでもいいといった感じだ。

 

「お前の馬鹿な弟がやらかしとるんじゃから責任とらんかーい!!」

 

そう言ってフードを指さす。

それを見て一瞬で把握したのか、険しい顔になっていた。

 

「分かりました、目覚めさせます」

 

そう言ってフードの人の頭に当たる部分へ手を触れる。

そして呪文を唱える。

幻影としての鎖が浮き出し始めた。

 

「はっ!!」

 

そう言うと鎖が砕け散る。

どうやら術を解いたようだ。

 

「それではこの者を下界に連れて休ませて参ります」

 

抱えて頭を下げる。

体格が普通に老界王神様どころかキビトさんよりでかい。

その為アンバランスに見える。

 

「地球という星にお願いしますね」

 

界王神様の言葉に頷く。

やはり根が悪い人ではなかった。

そして一瞬だけ覗いた顔。

あのフードの奥はまさか……

 

「カイカイ!!」

 

呪文を唱えてサラガドゥラさんが消えた。

僕たちは勝てる。

それを確信する。

 

「メチカブラさん、あなたはやってはいけない事をきっとしましたよ……」

 

その相手には聞こえない声を放つ。

 

「お前さんの潜在能力を限界以上に引き出してやるぞ、こっちへ来い」

 

儀式に5時間。

パワーアップに20時間。

僕の周りを腕を振りながら歩き回る老界王神様。

 

「皆さん、がんばってください……」

 

すぐに助けになりますから。

そう思いながら僕は老界王神様のパワーアップの儀式に臨むことにした。




サラガドゥラは仮面が本体の存在でした。
ビルス様センスによるピエロマスクへ封印です。
封印された仮面には自我はなく、また宿主の意識を奥深くに封印した結果です。
メチカブラの老界王神様の弟子はオリ設定です。
仮面を装着されていた人物とは何者なのか。
冷静に考えると2mのガタイで。破壊神相手に肉弾OKの魔術師とかえぐいですね、サラガドゥラ。

指摘などありましたらお願いします。

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