次回には遡ってのピオーネとピッコロの戦いです。
『』
「あいつらが移動したって事は勝負が終わったな」
しかしあと三つ、ここ以外に強大な邪悪がある。
これらを仕留めないと俺もこいつを倒せない。
マラソンマッチは精神力と体力を著しく奪う。
まだまだこれから先あいつらの襲撃もある。
「ここで足踏みする余裕はない」
奴らの狙いがわかっているからだ。
トワたちの狙いはこの大きな歪みや冥界の邪悪な力。
それを邪神像に加えること。
それによってとてつもない力の蹂躙を行う。
「これほどの力となると神に至ってしまうぞ」
かなりの実力者集団に魔術で強化をしている。
冥界の怨念の凄まじさ。
「ゲギャア!!」
剣を避けていくが時間稼ぎしかない。
あいつら全員が決着をつけてくれないと身動きが取れない。
「なんか貧乏くじ引いたんじゃないか?」
真剣白羽取りをして腹に蹴りを食らわせる。
ここいらで相手にダメージは与えないとな。
「『ペイン・ジャッジメント』!!」
純白の鎌の気弾がジャネンバに突き刺さる。
そこから血に染まっていく。
突き刺さった鎌は一つにまとまって俺の手に帰ってきた。
「よく考えたらお前を封印したらいい気がしてきたよ」
そう言って剣を鎌でたたき折る。
鎌を投げつけて爆散。
速く全部決着ついてくれよと思いながらジャネンバを見ていた。
.
.
「ガハッ!!」
一撃を食らって地面を転がる。
あれから数分間やりあっているが全くと言っていいほど好転しない。
大猿相手になると質量差がでかい。
かといって大猿になると力の差が広がる。
ただでさえ今、広がっているのに。
「ぐははははっ!!」
踏みしめてこっちへ来る。
時間切れさえしたら一気に押し切れる。
フュージョンしていない超サイヤ人3の大猿なら勝てる。
「まあ、都合よく時間稼ぎなんてさせてくれないだろうがな」
それでも策を考えないといけない。
オーソドックスだが尻尾をやるか。
その為にある技を放つ。
「『太陽拳』!!」
目元に眩い光を浴びせて離脱を図る。
だがその直後、腹に拳がめり込んで殴り飛ばされる。
岩山を砕いて突き抜けていく。
呼吸がうまくできない。
口の中に血が充満する。
「ペッ!!」
血を吐き出して見据える。
目くらましも効かないなら、次はどうする?
「随分とやられたな」
救援が来ない。
いや、来れないのかもしれない。
「あいつらの相手も海千山千だからな」
頼ってばかりじゃダメなんだ。
ただでさえ4年間負担をかけ通しになっていた。
ここで一つでもあいつらに返したい。
「終わりだ、『ナイトメア・クロー』!!」
腕を薙いだだけで縦状の五本の衝撃波。
その攻撃は通用しない。
「ふっ!!」
瞬間移動で後ろをとって尻尾を掴む。
剛力でぶん回す。
徐々に浮き上がっていく肉体。
「だりゃあああ!!」
上空へ向かって投げる。
さらに瞬間移動で後ろをとる。
「『アルバトロス・ブラスター』!!」
尻尾に向かってアホウドリが突っ込んでいく。
ついばむでも食いちぎっていく。
超サイヤ人4になってから技の威力が根本的に上がっている。
この名前に勝っている。
「ぐがががが……」
やはりカナッサ星人も尻尾がなくなると効果がないというのは考えていなかったようだ。
縮んでいく。
徐々に気が萎んでいく。
「『コンドル・レイン』!!」
怨霊たちを追い払うように気弾の雨を降らす。
少しばかり真正面から行き過ぎていたな。
強くなって慢心のようなものでもできていたか。
反省、反省。
「こんなにも強くなっていたとは……」
怨霊たちも驚いている。
技に当たることを恐れて離れていく。
中に入っていても恐怖心をあおられるのだ。
自分たちが担ぎ上げた神輿を放り投げてでも安全をとるか。
「臆病な奴らは頼りにならないな」
そう言ってじりじりと近づいていく。
だが離れていたカナッサ星人たちの抵抗。
光球となって突撃をしてくる。
「くっ!?」
それを避ける。
だが一瞬であの光が何かを理解する。
全てを月の光に変えて奴らの体に注ぎ込むという荒業をしやがった。
「うぉおおおおおお!!」
奴等が雄たけびを上げる。
さらに気が上がっていく。
地球どころか宇宙全体が震えるような……
「なんてことだ……」
髪は紅く、上半身は大猿。
つまりこれが意味することは……
「超サイヤ人4のフュージョンとかカナッサ星人の有能さか……」
臆病といった前言を撤回する。
構えるが目の前から消える。
「ぐが……!?」
一瞬の間に両肩と腹に一撃。
くの字のまがった所にこめかみへ回し蹴り。
かろうじて防ぐが数回地面をバウンドする。
「尻尾はないし、あいつらもこれで無理なら冥界に戻るだろ……」
その前にこっちが死ぬかもしれないけどな。
起き上がろうとすると頭を掴まれる。
円盤投げのように投げられる。
しかしこれならば問題ない。
「瞬間移動で岩にぶつかる前に回避……!?」
瞬間移動以前に感知される。
後ろをとる瞬間に裏拳。
再びバウンドさせられる。
「死ね」
そう言って紫色の巨大な気弾を放つ。
避けられない。
腰を落とし踏ん張って受け止める。
「ががが……」
がりがりと地面を削るように後ずさりさせられる。
奴等はにやにやと笑っていやがる。
そしてその巨大な気弾を爆発させる。
「ぐああああっ!!!」
吹っ飛んでいく。
しかしその俺を受け止める影。
「遅れてすまん」
ブロリーだった。
てっきりスパーニの方に行くとばかり思っていたが。
「あの人の方がスパーニに近いからな」
そう言う事か。
だがここでお前が来ても時間を稼がないと元も子もない。
3のフュージョンから時間はたっているしその後に4になっている。
「あの強さはずっとじゃないから気を楽にして踏ん張っていくぞ」
そう言うと仙豆を渡される。
それを口に含んで万全の状態になる。
「そんなボロボロじゃあ無理だろう?」
にやりと笑うブロリー。
そして超サイヤ人3へとなる。
やはり俺達とは一味違った強さだぜ。
こりゃあ、この騒動が終わった後は……
「死ぬなよ……」
そう言って構える。
向かう相手が危なっかしい。
流石に4が相手だと危なすぎる。
ましてやフュージョンだからな。
「ガハッ!!」
あっという間に蹴り飛ばされる。
瞬間移動で受け止める。
ものの数秒であの頑丈なブロリーが大ダメージとは。
「俺も悪魔だが、あっちはそれ以上だな……」
そう言って笑みを浮かべる。
あと少しだ。
情けないぜ、両方とも覚醒しているにもかかわらずこの有様。
「『太陽拳』!!」
目くらましをしてその隙にブロリーの場所へ瞬間移動。
気を消して時間稼ぎをする。
きっと30分の間の変身のうち超サイヤ人3になれるのは20分ほど。
4の場合は10分ほどとみた。
そんな事を考えていると気が動くのが感じられた。
ピッコロやターブルたちがサラガドゥラの方へと向かう。
そしてこっちに来ているのはピオーネ達だ。
「嫁には格好いい所見せないとな」
首を鳴らしてブロリーも笑って前に出る。
時間を稼いでくれ。
「『ブラスター・オメガ!!』」
その一撃を軽やかに避ける。
だがその軌道を読み切って背中から組み付く。
「んがぁっ!!」
それを力任せに振りほどこうとした瞬間、俺はブロリーの近くに瞬間移動をする。
これでまた時間を稼げた。
「あいつが大猿の時に遊んだお陰でもう少しで時間切れになるかもしれない、現に振りほどく力が拳を食らった時より弱かった」
ブロリーに言う。
それならばとタックルを仕掛ける。
そのタックルに対して膝をぶち込むことができなかった。
反応速度も遅くなっている。
「ぐがあっ!!」
力任せにタックルを切って飛び上がる。
全力の気弾を放とうとする。
受け止められないからという理由だろう。
「終わりやがれー!!」
そう言って気弾を撃とうとする。
だが異変が起こる。
気弾が萎んでいったのだ。
そして徐々に髪の毛の色が変わっていく。
「なっ!?」
そんな驚愕の声を二人そろってあげる。
超サイヤ人3でもない通常状態に分かれた二人が目の前にいた。
「惨めと人に言ったのは撤回するがよ……」
分離した片方の肩を叩く。
カナッサ星人どもの力を借りても超サイヤ人4にはなれない。
あいつらの特殊な力を全てを振り絞ったうえでの切り札。
「流石に何百人も一人、二人で相手をしているようなものだからな」
ブロリーも片方の肩を掴む。
奴等が青ざめても関係ない。
その身一つで立ち向かう事もしなかった。
その代償が今からの反撃だ。
「もう容赦はしない」
二人で同時に殴る。
吹っ飛んだ瞬間に俺が速度で先回りをして掴む。
「そりゃあ!!」
ブロリーの方向へ戻っていくように投げてあてる。
バウンドしていくとそのまま頭を掴んで終わりにする。
痛めつけかえす時間すら惜しい。
「『ギガンティック・ミーティア』!!」
即座に技を使い、地面を中心に大きく陥没をする。
死んではいないがズタボロの状態。
カナッサ星人たちが入り込む余地もないだろう。
「こっちも終わりだな」
投げつけた相手の後ろをとり上空へ蹴り上げる。
そして再度叩きつける。
そして最大の気弾の技、最強の一撃を放つ。
「『パッション・アーケオプテリクス』!!」
始祖鳥が滑空するように突撃をしていく。
そのまま当たって飲み込んでいく。
地球そのものへのダメージより、こいつへ集中させた。
命はあるが虫の息。
俺たちは仙豆もないことを確認するとのろのろとした動きで助けに行こうとする。
「おーい」
そう言うとピオーネ達が下りてきた。
話を聞くと、どうやら到着して一気に数の暴力で押し切ったらしい。
どうも相手は最大の技を放つのに15秒もタイムラグがあるという欠陥機械だったようだ。
「女の方が強いんだなと改めて思うよ……」
そう言ってブロリーに苦笑いを返していた。
その言葉にブロリーも異論はないという様に頷いていた。
超サイヤ人4のフュージョンとかいう最強奥義が敵に使われた状態という珍しいケースです。
ただ、慢心しすぎて時間制限を忘れるという、味方恒例行事を相手もやらかした感じです。
指摘などありましたらお願いします。