とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

71 / 133
今回、黒幕出現です。
悟飯が地味に4になれるような書き方になっていますが、あいつ尻尾はまるで鍛えてないんですよね……


『復活の邪悪』

「かあっ!!」

 

カカロットとベジータを同時に蹴り飛ばす。

俺が気功波を放つが……

 

「ふっ!!」

 

息を吹きかけるとこっちに飛んでくる。

それをピッコロが弾く。

 

「今のお前は足手まといだ、神殿に帰れ!!」

 

そう言って俺を放り投げる。

ゴテンクスも戦っているのに……

 

「ゴテンクス、こいつを連れていけ!!」

 

ゴテンクスを吸収されても困るという事だ。

超サイヤ人3のフュージョンが取り込まれてしまうとな。

 

「お前はどうするつもりだ」

 

俺はピッコロに聞く。

あいつらの強さは半端じゃないぞ。

お前が強くなっているとはいえ……

 

「俺は時間を稼ぐ!!」

 

逃がすためにそこまでするか。

お前が死んでも確かに昔のようにドラゴンボールはなくならないが……

 

「ピッコロさん、俺も残るぜ!!」

 

そうゴテンクスが言うとベジータが睨む。

今の場面は完全に変わったんだと。

吸収できたりする相手がいる以上、お前らはここに居てはいけない。

 

「お前もこいつと一緒に帰っておけ」

 

油断とかするだろうからな。

そう呟いていた。

だがお前らも相手に合わせて戦う時があるがそれは慢心というものだぞ。

 

「吸収されるのがオチだ、ここはできる限りそうならないようにする」

 

ピッコロも釘を刺す。

こいつらがそう言った事を徹底していたらクリリンたちは死んでいなかった。

 

「私も食い止めるわ」

 

ラエンカも構える。

4人でも優勢をとれそうにない場面。

それだけのパワーを奴は持っている。

 

「ひゃひゃひゃ!!」

 

そう高笑いをすると俺に向かってくる。

既に死にかけの俺を狙うとは。

奴等の知能を手に入れたのは正解だったな。

 

「だが……」

 

お前の考えは相変わらず空っぽだぜ。

俺は手のひらに全ての気を集中させる。

超サイヤ人3のゴテンクスの速度にこの推進力。

お前は追いつけるか?

 

「『ソウル・オブ・サイヤン』!!」

 

真正面から無防備に喰らう。

薄っぺらい断末魔をあげる。

その推進力で一気に奴が追いつける可能性は無に返る。

 

「凄いな、あんな威力の技打つなんて……」

 

驚いた顔をしてゴテンクスが言ってくる。

お前がきちんと運ぶと信頼してるからな。

だから残りかすもないほど絞り出した。

 

「おっ……神殿だぜ!!」

 

推進力と超サイヤ人3の速度でまっすぐ行けばこんなものだ。

後は頼んだぜ。

 

.

.

 

「あいつ……無茶しやがって」

 

そう言って俺はブウへ攻撃を仕掛ける。

再生を終える前に一撃を放つ。

これでさらに時間を遅らせる。

 

「ピッコロ、次頼む」

 

そう言って俺はもう一度気を貯める。

カカロットの奴に解除しておくように伝えておく。

 

「カカロット、あまり3を使うんじゃない、ここは時間を稼ぐんだ」

 

カカロットもそれを聞き入れて2に戻す。

矢継ぎ早の連打で万全の状態にさせない。

 

「『爆力魔波』!!」

 

ブウをまたもや吹き飛ばす。

徐々に再生速度が鈍っている。

だが、これはダメージがあるわけではない。

タイミングをずらすために行なっていやがる。

 

「『アリゲーター・バイト』!!」

 

ワニ型の気弾が嚥下するようにブウを呑み込む。

消えたわけではない。

煙状にしたところをピッコロがあらかじめ放っていた気弾で取り囲む。

 

「『魔空包囲弾』!!」

 

ブウは再生できずにまだ黙々と漂っている。

その時に大きな気を感じる。

これは誰だ!?

 

「『魔閃光』!!」

 

技で分かった。

悟飯の奴がようやく到着したのだ。

全く、25時間以上も待たせやがって。

再生してきていたブウの腹に穴をあける。

随分と気が様変わりしていたな。

甘さもどうやらなくなっているようだ。

 

「悟飯、25時間以上かかっていたが何かトラブルでもあったのか?」

 

ピッコロの言葉にバツの悪そうな顔を浮かべる。

すると儀式が終わった後に大きな石臼でコーヒー豆を挽かされていたらしい。

するとピッコロは何を感じ取ったのか、そうかと笑っていた。

 

「父さんたちも下がっていてください」

 

悟飯がそんな事を言いやがる。

自信に満ち溢れているのがわかる。

俺達も3をだましだましとはいえ結構使っていたからな。

ここは素直に従っておこう。

 

「はっ!!」

 

膝蹴りを叩き込みに行く。

それを回避しようとブウがすると腕を横薙ぎに振るって腰の回転を利用して軌道を変化させる。

 

「ぐえっ……」

 

脇腹に膝がぶち込まれる。

横移動していくのを気弾で逃さない。

 

「だりゃりゃりゃ!!」

 

腹に拳を叩き込む。

連打でブウに何もさせない。

上に蹴り飛ばしてそれを追い越していく。

 

「『かめはめ波』!!」

 

腹に穴どころか上半身を消しとばす。

さらにそれを蹴りあげて殴る。

ブウが煙を出して回避する。

 

「無駄だ」

 

気を感知できる悟飯には何の意味もない。

再生はできたようだがそれでも煙が晴れた時にはボロボロの顔のブウがそこにはあった。

遊んではいないが、さすがに細胞一つも残さずに消し飛ばすのは難しいだろう。

3で貯めてつぶすのも無理があるだろうし、悟飯にぶっつけ本番でそれならいけると太鼓判を俺達も押せない。

 

「ガハッ……」

 

超サイヤ人3並みの強さを持った奴2人を吸収したブウ相手に優勢をとっていやがる。

セルの時から修行をさぼらないし、潜在能力最高峰ときたらこうなるか。

 

「くそぉ!!」

 

やけくそになって槍をピッコロに投げる。

師弟関係を狙ったか?

悟飯がすぐに止めようとするが間に合いそうにない。

 

「こんなもの……」

 

難なく避けようとしたピッコロ。

それを見てブウの奴がにやりと笑う。

そして頭の触角から光線を出しやがった。

 

「なっ!?」

 

槍を光線でぶよぶよのアメーバへと変えてピッコロを覆う。

無駄に知識をつけやがって!!

 

「いただきー!!」

 

ピッコロも吸収されてしまった。

3が3人分……

もはや手が付けられない。

フュージョンをしようにも時間を与えてくれるような相手じゃない。

カカロットに言って瞬間移動で救援を頼ませるか?

 

「よ…よくも……」

 

わなわなと悟飯が震える。

こんな時の悟飯に無駄に声はかけない。

どうなるかは俺がよく知っている。

 

「ピッコロさんをー!!」

 

怒りで爆発的なパワーを獲得している。

それどころか下の道着で何かが動いていやがる。

 

「うあああああ!!」

 

気を引き出した時、ついに道着の一箇所が破れる。

どうやら修業はそのためだったのか。

悟飯の尻尾が生えていた。

地球で俺と戦った時以来だが、どうやら老界王神とやらは知識が凄いな。

完全に生えそうにない尻尾を再生させる術を持っているなんて。

 

「『爆力魔閃』!!」

 

一撃を放ってブウを吹き飛ばす。

再生しようともごもご動いているブウに蹴りを叩き込んでいく。

セルの時とは違い、修羅が宿ったかのような連打。

ピッコロを吸収したのが間違いだったな。

 

「ハア!!」

 

しかしそれでも再生をする。

流石に悟飯もあれだけのラッシュをすると疲労が見え始めた。

こうなったら俺達も出ないとな。

いつの間にかラエンカの奴とトワが消えている。

何があったんだ?

 

「こうなったら……」

 

そう言って悟飯が俺とカカロットにイヤリングを渡す。

一体何のつもりだ?

 

「この『ポタラ』をつけると合体することができるんです」

 

確かにカカロットと俺が合体すればすぐに倒せるだろう。

それにフュージョンの動きをする時間もいらないしな。

 

「神様なら一生ですけどそうでなければ1時間らしいです」

 

できる事なら相手に対抗して合体というのは嫌なんだがな。

ましてやライバルのカカロットとなんて。

だが、今の状況を逆算すると手段を選べる余裕もない。

 

「時間制限があるなら……いいか」

 

俺たちが無理となるとブルマやトランクスにもいくだろう。

それなのに個人の意地を張っている場合じゃない。

 

「つけたか、カカロット!!」

 

カカロットに声をかける。

すると左耳にばっちりとつけていた。

おれは右耳だ、ばっちり変身できる。

 

「おう!!」

 

そう返事をするとお互いがぶつかるように合体をする。

このあふれ出すパワー。

ポタラは凄い代物だな。

 

「ベジータとカカロットでベジット……そして!!」

 

この力でも戦える。

いい勝負になるだろう。

だが本気で戦うご飯を見ていてそんな余裕を出してはいけないと思った。

その為、前回のパワーを発揮してブウと戦う。

 

「超サイヤ人3ベジットだ!!」

 

両方が3になっていたからできた事。

この力に悟飯も驚きを隠せない。

俺もこれならばブウに絶対勝てると思う。

しかし今回はただ倒すんじゃなくて、ピッコロを救う方法を考えながら戦う。

それを頭において悟飯を下がらせる。

どれほどの差が生まれてしまったのか、それを知るためにまずは前に出た。

 

.

.

 

「これで『肉体』は準備したわ」

 

ブウが人々を壊滅させた時の瓦礫から赤ん坊を引きずり出した。

これは後の利用する器。

生死は問わない。

 

「そして下がった時に貴方を捕縛した……」

 

ラエンカと呼ばれていた女性を見て笑う。

これでお兄様を助ける術を見つけた。

 

「この計画の終着点はこれ」

 

メチカブラ様が呑み込まれた邪神像。

この神そのものを赤ん坊に宿す。

力だけを授けるのではなく、そのものを降ろす。

 

「当然、神の力や技はあり、肉体はある」

 

しかし心がない。

飛び切り邪悪な心。

それを埋没させているこの女から引きずり出して赤ん坊に宿す。

その心と神の力に引きずられて肉体は完成する。

 

「圧倒的な力で私たちの逆転は成されるのよ」

 

そう言った私にラエンカは睨む。

何か不満でもあるのかしら?

 

「今からでも遅くないわ、その計画は必ず頓挫する」

 

何を根拠に言うのかしら。

まさか勘だなんて言わないわよね?

 

「理由を聞かせて貰えるかしら?」

 

それでも一応聞いてみる。

すると真剣な面持ちで赤ん坊を見ながら言ってきた。

 

「やつらは恩とかそんなものは感じないし、やるだけ自分が不幸になる、あんたの手駒になりはしないよ」

 

やるだけ無駄と言いたいのね。

でも、素直に私が聞くわけがない。

助けるための手段は正邪を問う事は無い。

 

「不幸になるかは私の心が決める事、手駒にできない理由がないわ」

 

そう言ってラエンカから邪悪な意思を引きずり出す。

それを赤ん坊の中に入れ込む。

もはや埋没した意識も長い年月で混ざり合っていた。

 

「さて……自由にしてあげるわ」

 

そう言って自由にした瞬間、悍ましいものを見るような目でここから立ち去る。

そして私は赤ん坊の変化を見続ける。

肌は徐々に黒く染まっていく。

朝ぐらいのではなく闇夜を表すような黒。

その邪悪な心を表したような色。

背丈は伸びていき、筋骨隆々の姿になる。

 

「うおおおおお!!」

 

雄たけびを上げて産まれたもの。

それは漆黒の肌に、それよりも濃い黒い髪を持っていた。

気が立ち昇っているが天を衝く。

それは曇天を呼び寄せる。

マイナスエネルギーが集約されたような存在。

それが人の形を持っている。

 

「心も別の存在、技も別の存在、体も別の存在、そんなツギハギだらけの貴方の名前は……」

 

そう言った瞬間、腹を貫かれる。

邪悪な笑みを浮かべていた。

さらに蹴り飛ばされる。

驚愕はそれだけにとどまらず肉体が別れていく。

一人の肉体だというのに!?

 

「俺はラブカ……」

「俺はカエンサ……」

 

見た目の肌の色が変わったわけではない。

力は半分ずつのようだが。

顔つきとかも全然違う。

 

「「さて……血祭りにあげてやる」」

 

そう言って彼らとは別の方向へと飛んでいった。

それはあのガタバルが飛んでいった方向だった。

 

「なんてこと……」

 

計画は頓挫してしまった。

あのラエンカが言うように。

扱いきれない邪悪だったなんて。

 

「私じゃあもう止められない……」

 

体を治癒しながらその方向を見て取り返しのつかない事をしてしまったと後悔した。




ナメック星編から10年ぶりに復活。
精神体から肉体を手に入れたので次は確実に灰にできます。
邪神から得た力といってもメチカブラの分だけです。
貯蔵分はメチカブラが全部使いましたので。

指摘などありましたらお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。