とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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魔人ブウ編ももう少しで終わりです。
原作と同じ形で決着がつきますのでそこそこダイジェスト気味になるかと思われます。
ブウ編が終わったら『神と神』や『復活のF』に入りますね。


『赤い糸より太くて堅い血の鎖』

「トワの気が減ったと思ったらまた増えた……」

 

サラガドゥラが呟く。

神殿で俺はサラガドゥラから『復活エネルギー』をもらって回復できた。

どうやら界王神様に従事したものが使えるようになるパワーらしい。

デンデは避難させないといけなかったからな。

表立って回復させることはできない。

 

「この邪悪な気は身に覚えがある」

 

ありすぎると言ってもいい。

ラエンカから引きずり出したのか?

こうなったらここにいるサイヤ人に協力してもらわないと。

もう少ししたら来るだろうからな。

 

「ターレス、スパーニ、ラディッツ、ナッパ、俺にサイヤパワーをくれ」

 

超サイヤ人4をフルパワーにして戦う。

5人いるからゴッドという手もあるのだが一刻を争う今で博打は打てない。

ならば、それしか完全に確実に奴らを消す方法はない。

サラガドゥラが戦えばおしまいなのだろうが、それでは意味がない。

 

「ブロリーは?」

 

スパーニが疑問と感じたのか言ってくる。

ブロリーとピオーネは最後の砦。

ヤムチャたちもいるが頼ってはいけない。

 

「デンデを念のために界王神界に送ってきてくれ」

 

そう言ってサラガドゥラに頼む。

するとすぐに『カイカイ』と言って瞬間移動をした。

もうあの新しい界王神様とキビトのメリットは何なんだろうかと思う。

 

「さ……この間に始めようか」

 

ぐんぐんと近づいてくる。

気を高めて力が注がれる。

徐々にこっちの力が漲ってくる。

 

「はあっ!!」

 

ブロリーが飛び降りた。

想像していた以上に相手が速すぎる。

あいつら、邪神像の依り代になってパワーアップしたな。

相変わらずの他力本願の力。

 

「頼んだぜ」

 

時間をもう少し稼いでくれ。

4になってからの激戦続きでサイヤパワーはほとんど枯渇している。

 

「弾けて混ざれ!!」

 

ある声が響く。

その正体はパラガスだった。

まさか来てくれるとは。

 

「ブロリー、お前の真価を見せるんだ!!」

 

そう言って下がっていく。

念のため、パワーボールを壊しておいたようだ。

 

「ナイスだぜ、親父ィ……」

 

あっという間に金色の大猿になる。

奴等も超サイヤ人3で対応するがブロリーの猛攻はすさまじい。

しかし慣れない変身なのだろう。

大猿になったのもどうやら初めてらしい。

 

「だが……俺がフルパワーになったら!!」

 

すぐに潰してやるからな。

頑張ってくれ。

 

「ぐぐぐ…」

 

ピオーネも何とか粘っている。

徐々に増える戦闘力。

しかしその差は歴然。

珍しくこっちから攻めて相手に先手を取らせないようにしている。

 

「よしっ!!」

 

フルパワーにようやくなった。

全員息切れをしている。

それだけ集中してサイヤパワーを送ってくれたという証だ。

 

「済んだか……」

 

下卑た笑みを向けてきたラブカとカエンサ。

その手にはピオーネとブロリー。

ブロリーは変身が解けていた。

二人とも時間を稼ぐためにがんばってくれていた。

 

「返してやる」

 

そう言って投げられたブロリーとピオーネを受け止める。

普段から慣れていたのなら倒せたであろう大猿状態。

二人ともこいつらを倒そうとせず俺の因縁に慮った結果こうなった。

勘違いするなよ、馬鹿二人。

 

「きちんとしてたらうちの嫁も義理の弟もお前らに負けるわけがないんだよ」

 

サラガドゥラが戻ってきたので二人を頼む。

復活パワーでピンピンとはしている。

言うほどダメージはなかったらしい。

その代わりブロリーは尻尾が中途半端に無くなっていた。

 

「ここら辺は結界を張るから思う存分暴れてこい」

 

そう言ってサラガドゥラが送り出す。

さて……今度は容赦なく塵にするか。

 

「どりゃあ!!」

 

殴りかかってくる。

それを回避してこっちも態勢を整える。

 

「お前らが血祭りにあう番だぜ」

 

とにかく各個撃破という事でカエンサへと向かう。

奴も3になって構えてはいるが……

 

「俺の方が強い!!」

 

一気に4になって押し切ろうと試みる。

手加減も出し惜しみもなし。

フルスロットルで相手をする。

 

「はっ!!」

 

足にローキックを放つ。

理由は至極単純。

逃げられないように、逃がさないように機動力を奪うためだ。

 

「あがっ!?」

 

受けきったはずのカエンサが素っ頓狂な声をあげて崩れ落ちる。

その理由は隔絶された強さだった。

戦闘力の差が酷く、受けたはずの足があらぬ方向へと曲がっている。

つまり今のローキックでカエンサの足はへし折られたのだ。

 

「まだいくぞ……」

 

喉に一本拳を叩き込む。

痛々しい痕を残して、相手は呼気を吐き出す。

 

「かはっ……」

 

喉に手を当ててうずくまりそうになる。

その隙も逃しはしない。

耳を掴んで顔面に膝をぶち込む。

 

「ぐへらっ!!」

 

鼻の骨が折れてぐちゃりという音。

顔の一部に損傷を与えた手応えはあった。

 

「セイ!!」

 

とどめに脇腹を蹴り、肋骨をへし折る。

血まみれの顔から見て取れる苦痛の形相。

内臓に突き刺さってはいないが相手の肉体はガタガタだろう。

流れるように、殺しかねない威力の一撃を延々と入れ続けた。

だが奴らはにやりと笑う。

二人だからな、あの技をするつもりだろう。

 

「『フュージョン、ハッ!!』」

 

ボロボロの肉体であってもそれで回復するというわけか。

随分と余裕ぶっているようだが、その力も残念だが……

 

「俺の4にはかなわない」

 

そう言って腹を貫きにいく。

しかし硬質化した皮膚が表面にめり込ませる程度に抑えた。

とはいっても衝撃に呻く。

 

「戦闘力が上がっていても差は縮まっただけ」

 

腕をとってそのまま逆向きの一本背負いで放り投げる。

腕はへし折れる。

受け身をとれないまま地面へ思い切り顔を叩きつけられる。

 

「ぜりゃ!!」

 

背中に膝をぶち込む。

肩甲骨が折れたのではないか?

相手が立ち上がろうとするとこっちは頭部へ蹴りを見舞う。

 

「俺には叶わないんだよ!!」

 

頭部が跳ね上がりもう一度戻ってくる。

千切れたわけでも支える骨が折れたわけじゃないもんな。

それをもう一度蹴り飛ばす。

抵抗をしようとするが立ち上がれない、腕は折れている。

舞空術も撃ち落されてしまう。

 

「お前らはここで死ね」

 

奴等を何もさせずに圧倒的に打ちのめしていた。

フュージョンとはいえ、実力が追いついていなかった。

どうであれ、ようやく因縁に決着をつけるときが来た。

 

「とどめだ、やっとお前らの運命から俺も母も、スパーニも、そしてラエンカも解放される」

 

そう言って気を高めた時に、サラガドゥラの切羽詰まった声が聞こえる。

一体何が起こったんだ?

 

「界王神界に移動しろ!!」

 

理由を聞く前に動けと目が訴えていた。

そう言ったサラガドゥラに従って瞬間移動をする。

奴が俺の足につかまっていようがお構いなし。

消えた刹那に見えたのは地球の大爆発だった。

 

.

.

 

「何とか間に合ったか……」

 

そう言って掴まっていたカブンカを引き剥がして蹴り飛ばす。

ここにいるのは縮んだ魔人ブウ。

それに相対するのがピッコロ、ラエンカ、悟飯、ベジータ、カカロット。

トワとダーブラ、ミラもいた。

 

それに疲労困憊のサラガドゥラ。

ピオーネ、ブロリー、スパーニ、悟天、トランクス。

それ以外にもヤムチャや天津飯たちもいる。

 

「これ以上は足手まといになっちまうな」

 

肩で息をしながらそう言って老界王神様とナメック星に俺とカカロット、ベジータの三人を残して瞬間移動する。

トワも魔術でダーブラや悟飯たちを移動させた。

これで誰の邪魔も入らない。

 

「カカロット、そこの魔人ブウが地球を破壊したのか?」

 

一応確認をとる。

そうでなければ第三勢力にやられたことになるからな。

 

「そうですよ、ガタバルさん!!」

 

何とカカロットが答えるわけじゃなく送るのを忘れていたのだろう。

ミスター・サタンがその問いに答えた。

お前も死ななかったんだな。

セルの時から鍛錬を怠っていないようで安心したぞ。

 

「じゃあ、別にいいがお前はそこを離れておけよ」

 

そう言って俺はカブンカの方へと向かう。

奴はどうやら治癒することができるようになったらしい。

邪神の力によるものだろう。

 

「しかし……」

 

腹に一撃を加えて、うずくまった所を上空へ蹴り飛ばす。

ブウのように煙になっても再生はできるのか?

もしくは再生にナメック星人のように体力を使うといった決まりはあるのか?

 

「俺は何度でもお前を痛めつける」

 

そう言って照準を合わせる。

始祖鳥は上空から撃ち落とす技。

それにふさわしい技の名を冠した一撃。

 

「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」

 

今までの中でも最大の大きさの鳥型の気弾。

それが奴に向かって飛翔する。

 

「ぐっ!!」

 

体を捻って逃れようとする。

しかしその瞬間その体を掴むように腕が出てきた。

今までと同じ鳥型だったはずなのに、人と鳥が一緒になったような……

 

「うわあああああ!?」

 

さらに炎に包まれて真っ赤に燃え上がる。

呑み込んでなお焼き尽くす。

その炎が消えた時、赤い翼がはらはらと舞っていた。

 

「まだ、生き延びてやがるだと……」

 

だが様子がおかしい。

まだ10分も経っていない。

だというのに奴らの気は別れていた。

 

「フュージョンが解けるほどの大ダメージか」

 

そう言うとぎりぎりと歯ぎしりをしながら二人とも立ち上がる。

目に狂気をたたえてやがる。

もはや超サイヤ人になってもダメージで著しく力は落ちている。

どうやら次にあの一撃を叩き込めば塵となってお終いだ。

 

「「こうなったら……」」

 

手を上に向けて気弾を作り出す。

自爆でもない、こいつらまさか……

 

「「お前らから消してやる!!」」

 

そう言ってカカロットとベジータに向かって投げる。

一人ずつ戦っているからベジータは何とかできるが、カカロットは……

 

「避けろ、カカロット!!」

 

そう叫んだ瞬間、信じられない光景があった。

跳躍して魔人ブウがその気弾を蹴り返す。

着地と同時に……

 

「ペッ!!」

 

太っちょの魔人ブウを吐き出して整えたのか。

そして……

 

「ンギャギャギャオオオー!!」

 

ラブカに怒りの矛先を向ける。

俺にはなぜブウがそうするかわかる。

正義感でも善意でもない。

獲物を横取りしようとしたからだ。

そんな存在は本能的に許せない。

だからこそ……

 

「ブウ、それは俺の獲物なんだよ!!」

 

ブウに向かって後ろ回し蹴り。

ブウを遠くへ蹴り飛ばす。

そしてジェスチャーで遠くに居るラブカは俺がやることを示す。

 

「チィィィ……!!」

 

怒りの形相を向ける魔人ブウ。

まるで駄々をこねる子供のようだ。

するとカカロットではなくおもちゃを取られたような怒りからか俺を睨む。

仕方ない……

気弾で吹き飛ばしてその隙にとどめをラブカにさしにいこう。

 

「「シャアアアア!!」」

 

全く同じ雄たけびを上げて向かっていく。

敵が全員自分に矛先を向けたのは不幸中の幸いか。

カカロット達は、この間にどうやってブウを倒すかを考えていた。




ブロリーとピオーネの敗因:
単純に不慣れな大猿だったり時間稼ぎしてただけ。
大猿ブロリーなら勝てて当然の相手です。
ピオーネもまだ4のガタバルと勝負したりはしてないので戦闘力伸びてません。

あと2話か3話ほどでブウ編は終わる予定です。
指摘などありましたらお願いします。

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