とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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数話と言っていましたが一つにまとめられました。
次回からは日常回を少し挟んで『超』のストーリーに入っていきます。



『さらば因縁よ』

「ふんっ!!」

 

腕を伸ばしては縮めて距離を詰めるブウ。

引き離そうにも伸縮速度が速すぎる。

 

「ヒャヒャ!!」

 

腕を伸ばして俺を捕まえる。

どうやら俺が邪魔をしたから俺の邪魔をしたいようだ。

それならば受けてたってやる。

 

「はあっ!!」

 

気合砲で飛ばす。

指でクイクイとかかってこいとやる。

その姿に怒りを感じたか、叫び声をあげて向かってくる。

 

「フンッ!!」

 

拳を避けて地面に向かって殴る。

バウンドしたブウを掴んで気弾を放つ。

首が無くなる。

 

「ヒヒヒ……」

 

一瞬で首が生えて不気味に笑う。

だがそれがどうした?

 

「ライッ!!」

 

次は下半身を全て吹き飛ばす。

にょきっと生やしたところに上半身を消しとばす。

 

「モグラたたきみたいになってきたな」

 

交互に半身を吹き飛ばしている。

あいつはだらだらとやっているみたいだが汗をかいている。

どうせ早く再生しても次も吹き飛ばされてしまうからだ。

 

「ハアアアッ!!」

 

死にぞこないの男二人が不意打ち気味に気弾を放つ。

それをブウは弾く。

俺もそれと同時に回避する。。

しかしそれは計算ずくだったのか。

ミスターサタンとカカロットに当たりそうになる。

 

「ちっ!!」

 

カカロットの分はベジータが弾き飛ばす。

そしてミスターサタンの分は……

 

「おまえ……サタンねらったな?」

 

そう言って太っちょのブウがカエンサの方に歩んでいく。

その顔は怒りに満ちている。

 

「ケケー!!」

 

迫ってくるブウを殴り飛ばす。

それが太っちょのブウに当たってしまう。

すると二人ともニヤリと笑って戦いを始めた。

これで俺は心置きなくとどめをさせる。

 

「言い残すことはあるか?」

 

せめてもの情けだ。

一言ぐらい聞いてやるぞ。

すると目くらましをしてきた。

 

「ゼハゼハ……」

 

どうやらもう一回フュージョンをするようだ。

傷は癒えるかもしれないし、サイヤ人の特徴もある。

僅かな可能性にかけてみるか?

 

「ハアアアア…」

 

息を吐き出して突っ込んできた。

手四つの形で組み合う。

だが、こんな程度じゃあ……

 

「だら!!」

 

ぐんっと押してやる。

相手が後ろに下がったらすかさず膝蹴り。

手を離して受け止める。

 

「はあっ!!」

 

気弾を放つ。

連続で何度も何度も。

近づけないようにする。

 

「ガアアアアア!!」

 

叫んで喰らいながら突っ込んでいる。

そんなものはただのやけくそだ。

 

「そう来たらこうしたらいいだけだ」

 

足元に拳を振るう。

その衝撃で体勢が崩れる。

気合砲で斜め上へ突き上げる。

 

「『マンデーリング』!!」

 

久しぶりに他人の技を使う。

相手の隙の作り方に重宝する技。

ラディッツさんには感謝だな。

 

「ぐっ!?」

 

締め付けられて身動きが取れない。

さあ……

 

「死刑執行の時間だ」

 

腕に気を集めていく。

さっきと同じ灼熱の鳥型の気弾。

4の時限定の最強の技。

 

「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」

 

気弾を撃つがかき消されていく。

そのまま腕を掴んで懐へ招き入れる。

鳥が翼を広げて包み込んでいく。

そのまま灼熱の存在へと姿を変えていく。

もがくが灼熱をどうこうできはしない。

 

「クソォオオ……!!」

 

煙が出ないように360度、灼熱の鳥の中。

徐々にその大きさは収縮していく。

そして眼前から鳥が消えた時。

奴等の細胞は塵一つ残らず焼き尽くされた。

サラガドゥラのように消滅させられたら楽だったのに。

 

そんな中、向こうで激戦が行われていたのだろう。

ボロボロになったベジータと太っちょのブウ。

サタンも死んではいないがダメージはある。

 

「いっけー!!」

 

カカロットの声とともに腕が振り下ろされる。

とてつもない元気玉がそこにはあった。

サタンの力があってのものだろう。

今や、世界中の一般人はサタンの言葉を信じている。

 

「ギギギ……」

 

ブウがカカロットの元気玉を押し返そうとする。

全人類の希望を乗せた一撃をたった一人で。

 

「お前、凄い奴だな……」

 

ただ一人孤独に生きた怪物。

太っちょとベジータをやっつけて、ダメージがあるにもかかわらず迎え撃つのか。

 

「ぐぐぐ……」

 

カカロットの体力が足りてはいない。

だがドラゴンボールがある。

この勝負は勝つことが決まっているようなもの。

 

俺はカカロット以外の面子を連れてもうナメック星に向かっていた。

これ以上は何の意味もない。

 

「終わらせてきたぜ」

 

すぐに瞬間移動でナメック星へ向かう。

どうしたものかという様な顔だ。

やはりカカロットの体力がないのが問題のようだ。

俺かピオーネがもう一回行って体力を回復させるか?

 

「俺が行く」

 

サラガドゥラが立ち上がる。

どうやら体力は回復したようだ。

 

「鼻垂れ小僧が目ざめさせたもの、弟の弟子とはいえ不始末は師が取らねばならない」

 

そう言うと目の前から消える

界王神界へと移動した。

 

「あいつに任せておけば大丈夫じゃろ」

 

そう言って水晶玉を見つめる。

こんなこと平然とできるとか凄い人だな。

 

水晶玉を見つめていると、サラガドゥラがカカロットの体力を回復させるのではなく二人で放ちにいく。

『復活パワー』をやる時に隙が生じる可能性があるからだ。

カカロットはブウに賛辞を送っていた。

たった一人で自分たちと立ち向かってきたこと。

そしていつかは善人になって勝負しようという約束。

最後にまたなと一言を放ってサラガドゥラと一緒に力を振り絞る。

 

断末魔をあげることもなく塵一つ残さずにブウは消えた。

その事実に界王神は安堵する。

……そう言えばお前さんは役に立ったのか?

 

「一応、悟空さん達を界王神界に連れていくお手伝いはしましたよ」

 

キビトと合体していたからか。

まあ、それだけでも功績はあるよな。

ただ、全人類へのテレパシーができないのは痛いな……

 

「不勉強なだけだ、俺はできる、師が凄かったからな」

 

サラガドゥラが戻ってきて欠伸をする。

その一言を聞いて老界王神様がにやりと笑う。

何故界王神は呼び捨てなのに、老界王神は様付けなのか?

それは単純に俺の解放に力を貸してくれたから。

 

「な、なんでこいつが!?」

 

悟天が太っちょのブウを指さす。

お前ら、熱中しすぎで気づかなかったのか?

 

「こいつはやっておかないといけないだろ!」

 

クリリンがそう言うとヤムチャもそうだそうだとはやし立てる。

だが、それを止めたのはサタンだった。

 

「私が責任を持ってみますから保護をしますから!!、今回は見逃してください!!」

 

太っちょのブウの前に立ってヤムチャとクリリンを止める。

こいつら、今のお前より強いのによく前に立ったな。

 

「サタンが保護するのか?」

 

こいつと仲がいいから制御はできるだろう。

それにこいつ自身は無邪気だから区別をつければ学習していく。

 

「はい!!」

 

そう言って頷く。

だから見逃してほしいと土下座をしている。

 

「確かに馬鹿な奴らが犬をやったりトワがちょっかい出さなかったらあのガリは生まれなかったからな」

 

俺はこの提案に賛成をする。

しかし地球人は太っちょの時に壊滅させられた。

その恐怖については対処が必要だろう。

このまま戻るわけにもいくまい。

 

「どうしたら人間達からブウの恐怖が消えるんだよ!!」

 

トランクスも言ってくる。

だがその解決策は十分目の前にあるだろ。

 

「ドラゴンボールで記憶から消したらいい」

 

ブウに対する恐怖心を無くす。

どうせ願いはあと一つ残っているのだ。

 

「それしかむしろ手はないな」

 

ピッコロも頷く。

それ以外はやはり無いような気がする。

 

「地球の人達から一気に消去するには最適解ですよ」

 

悟飯もさすがに今回ばかりは致し方なしといった所だ。

半年近くだったりわざわざ引きこもらせる事もないんだからな。

 

「まあ、今回はこの二人がいないとオラとベジータは負けていたし…」

 

そう言うとベジータも舌打ちをしてサタンに詰め寄る。

そして……

 

「きちんと管理しておくんだな、もし次、今回のようなことになったらもうその時は有無を言わさんぞ」

 

それだけ言って後ろへ下がる。

消そうとしないだけましだろう。

 

「そういう訳でデンデ、治してやってくれ」

 

そう言って俺がポルンガの前に立つ。

10年ぶりにこいつに願いを言うんだな。

昔取った杵柄。

流暢にナメック語を話す。

初めて聞く本場の幼子たちも驚いている。

 

そしてポルンガがOKと指で丸を作った。

数分後、地球中からブウの記憶は消えたといった。

これでサタンが『見知らぬ存在』から世界を救ったになるだろう。

手柄は持って行ってもらった方がいい。

正直持っていても面倒な名誉だからな。

 

「とにかく界王神界に戻りましょうか」

 

そう言ってまずは老界王神様とキビト神が帰る。

サラガドゥラは地球に皆を送り届けた。

カカロットとベジータ、俺とピオーネ、ターサは残る。

ちなみにトワたちは暗黒魔界に帰った。

奴等も今回で随分と力を使ったようだからしばらくは回復に回すらしい。

 

「何十人も一気に送るのって難しい」

 

しばらくしてサラガドゥラが帰ってきた。

そして界王神界まで俺達を送り届ける。

すると老界王神様が呆れていた。

 

「ここまで見事に頑丈な聖域を壊すとはの……」

 

まあ、復興はこいつとワシがおりゃ十分だがな。

そう言って笑う。

サラガドゥラはもう暗黒魔界に帰る気も失せているらしい。

復興させたのち、地球へ行くか。

もしくはここに住むと言っていた。

 

「そうか」

 

俺はてっきり地球に来て居候するのかと思った。

なんだかんだできっとこいつとはいい関係を築けそうな雰囲気があった、

 

「困ったらいつでも言ってくれよ」

 

去る前にそんな事を言ってくる。

お前に頼らなきゃいけない相手なんてそうはいないだろう。

それに俺も強くならないとな。

 

「あと、あのブロリーとかいう奴の尻尾を治すから伝えておいてくれ」

 

今回の勝負で千切れてしまったからな。

再生させないと困る。

もう話すこともみんな終わったみたいだ。

 

カカロットとベジータが瞬間移動ですぐに帰る。

あいつら、そんなに早く帰りたかったのか?

疲労困憊なんだからゆっくりすればいいのに。

 

「じゃあ俺達も帰るか」

 

そう言ってピオーネの手を握る。

ターサがピオーネの手を握る。

瞬間移動で地球へと戻った。

デンデとポポ、そしてピッコロしかいない神殿。

今回ばかりは全員がしんどかったのでパーティも後日になるようだ。

 

俺たちは3人とも神殿から舞空術で飛び降りる。

そして、しばらくすると地上に降りる。

ここからゆっくり歩いて帰るか……。

そんな事を考えているとターサが手を差し出してきた。

 

「お父さん」

 

その呼びかけに応えるように手を取る。

強くは握らず、優しく。

まるで陶器を扱うように。

 

「お母さん」

 

ピオーネに呼び掛けるとピオーネも応える。

俺と同じように投棄を扱うような優しさで握りしめる。

するとターサが両方の手に力強く握り返す。

それが心地よかったのかターサが満面の笑みを浮かべる。

そしてピオーネと顔を合わせる。

二人とも思わずほころんでしまう。

帰ろう、4年ぶりの我が家へ。

二人でターサの手を握り家路へとつくのだった。




魔人ブウ編が終わりました。
反省点としてはゼノのバトルで4フュージョンを出してみたりなど
正直、強さを時間制限有りとはいえインフレさせすぎた感じになりました。
しかし次からは明確な指標でもある存在が出てまいりますので、幾分かは楽になりそうです。

指摘などありましたらお願いします。

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