とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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少し短いです。
今回から『超』に差し掛かっていきます。
敵陣営の強化はあまりごちゃごちゃした系統は無くなります。


『神と神』編
『平和な中の眼覚め』


ブウとの戦いから翌日。

ある意味最大のピンチに見舞われていた。

 

「仕事行ってない……」

 

サラガドゥラの仮面をつけられていた四年間。

おれは喋ってもいなければ人間界に戻っていない。

つまり仕事を無断でなんと四年も休んでいたことになる。

 

「大丈夫だって……私も似たようなものだし」

 

ピオーネは俺の失踪以降全然仕事にはいかず捜索していたらしい。

大変申し訳ございません。

 

「とりあえず国王様たちに事情説明しないと……」

 

そう言って説明したが、さすがに四年間も留守にしたのは問題だった。

その為仕事は首になってしまったのだ。

いまさらといった感じである。

 

「貯金ならあるし……」

 

そう言って通帳を見る。

夫婦そろってファイトマネーがあるにもかかわらず勤続していた。

その為、もはや暮らしに困ることもない。

 

「年齢的にもね……」

 

今からは難しい。

ならば悠々と過ごした方がいい。

幸い、遊んで暮らせる金っていうのか?

その単位は持っている。

 

「自給自足したらいいし」

 

食事は釣りに行ったり畑を継続して行えばいい。

少なくても子供を養える分の蓄えはある。

 

「悩み解決したね……」

 

そうだね。

しかも数分もかかってないよ。

節制はできるし。

 

家に帰ろう。

そんな事を考えているとブロリーが来た。

時々ゲリラって感じで舞空術で来ないでくれ。

 

「尻尾を治したいんだけど……」

 

ああ、千切れたもんね。

悟飯の尻尾を治した実績もあるし老界王神様の所に行くか。

あいつ学校でどういった格好するんだろう。

 

「ちょっと行ってくるわ」

 

そう言って瞬間移動。

するとサラガドゥラが出迎えてくれた。

どうやら本格的に界王神見習いとして過ごすようになったらしい。

たった一日で進路決めてるのか、速すぎんよ。

 

「お師匠さんに治してもらうのか?」

 

その前に綺麗に切断しておいた方がいいんじゃないのかといわれる。

それを老界王神様に聞いてみた。

 

「途中からじゃと歪になりかねんからのう」

 

そういう訳でサラガドゥラが斬り飛ばしてくれた。

そしてコーヒー豆ひきが始まる。

ガリガリと音を立てる。

 

「悟飯の奴はどれくらいで生えたんですか?」

 

長かったら根気はあるが万が一暴走したらまた界王神界の被害がでかくなるからな。

すると顎に手を当てて時間の計算をしている。

 

「あやつは元々切られとっただけじゃからな、数時間で生える兆候有りで出したんじゃよ」

 

あいつも数時間あればいけるじゃろう。

そう言ってマグカップを出していた。

 

「お前さんも昼寝ぐらいしておけ、退屈なだけじゃぞ」

 

そう言って昼寝をする。

すぐに微睡んで夢の中に入っていく。

 

.

.

 

「媚びを売る奴は嫌いだ」

 

そう言って歩いているのは紫の猫型の人。

それを先導するのは杖を持った柔和な笑みの人。

 

「良いではありませんか、予言魚さんも言っておられたのでしょう?」

 

そう言うとぽりぽりと頬をかく。

そして気だるげに溜息を吐く。

 

「出来損ないの子供とは言ってないだろ?」

 

ぶつぶつと言いながらいらだちを隠さずに進んでいく。

気難しい存在だな。

 

「しかし折角勧められたのですしその者に触れても損はありませんよ」

 

ホホホと笑いながら言っている。

その態度に苛立っているようなそぶりをしながらそのまま俺の顔を覗き込む。

 

「破壊されたらお終いなのにね……」

 

そう言って掌で頭をポンポンとたたく。

これでいいのか?といった顔で付き人を見る。

 

「ええ、これで十分でしょう、ビルス様」

 

神の加護は与えられました。

幸か不幸かは分かりませんがね。

生き残れるでしょう。

 

とその付き人のような人が言っていた。

紫の猫のような人はビルスというらしい。

 

「フリーザに頼んでおかないとね」

 

欠伸をして首をコキコキと鳴らす。

まさか惑星ベジータの崩壊は……

 

「ベジータ王が生意気な態度をとるからね、いい加減にしてほしかったんだよ」

 

ましてや僕を知っていながら、小馬鹿にするような真似をするなんてね。

随分と『破壊』されたいらしい。

そう言ってにやりと笑っていた。

善でもなく悪でもない。

ただ破壊の神としての責務を果たしている。

そんな風格と威厳が漂っていた。

 

「帰るぞ、ウィス……眠くなってきた」

 

ウィスという付き人を呼び、光の帯となって惑星ベジータから去っていった。

 

.

.

 

「はっ!?」

 

不思議な夢だった。

赤ん坊のころの夢のようだが第三者の目線から見ていた。

破壊神ビルス。

そんな存在がかつて惑星ベジータに訪問していたとは。

 

「結構熟睡しとったのう」

 

笑っている老界王神様。

とにかく聞いておくか。

 

「あの……破壊の神についてお聞きしたいのですが」

 

そう聞くと苦い顔をする。

嫌な記憶だろうからな。

 

「ビルス様について聞くなんて物珍しいのう、35年前に眠られたし、余計なことをせんかったら破壊もされんよ」

 

俺がまだ幼い時だから間違いない。

そんな事を考えていると目の前に映る未来。

 

「『超サイヤ人ゴッドを知っているかい?』」

 

起きているじゃないか。

しかもカカロットに聞いている。

カカロットが3になっているからきっと遠くない。

 

「『やべえぞ、地球じゃブルマの誕生日パーティーだ……』」

 

いや、お前は何修行しているんだよ。

界王星に来てまで人の誕生日に行かないって何なの?

未来とはいえ内心突っ込みたい。

 

「未来が見えるんですけど、きっと……!?」

 

そう言った瞬間、体中の毛が逆立つ。

今ここに来ている訳じゃない。

ただ、確かな予感。

しかもこういう嫌なものに限ってあたってしまう。

 

「目覚めてしまったのではないかと……」

 

そう言うとすごい剣幕で冗談は言うなと怒られる。

もし目覚めていたらどれだけの星が犠牲になるのか……

怯えながら呟いていた。

 

「でも破壊することには秩序や何かしらの理由があるのでは?」

 

極悪人だらけの惑星。

文化レベルが発達していない惑星。

人が住めない環境の惑星。

もしくは小惑星など。

そう言った事柄の星を破壊しているのではないのだろうか?

 

「無いんじゃよ」

 

汗をかいて言ってくる老界王神様。

理由がないって事は完全に……

 

「気まぐれで破壊をされると……」

 

その言葉に頷く。

かなり恐ろしいな。

まるで災害のような……

通りすぎるまで待つしかない、もしくは逆鱗に触れないようにしなくては。

 

「出会っても戦いを挑むんじゃないぞ……」

 

大丈夫です。

ブウの時にまだ自分がその域に達していない事に気が付きましたので。

カカロットみたいに挑みませんよ。

ただ、向こうに力を示せと言われたら話は別ですが。

 

「あのお方から来いと言われた時だけじゃぞ」

 

そう言ってブロリーの方に目を向ける。

あいつの尻尾が徐々に生えている。

いい汗かいていますという、素敵な笑顔で回している。

 

「そう言えば……」

 

サラガドゥラが声をかけてくる。

マグカップを出現させていた。

もう飲む気満々じゃないか。

 

「あの女についてはどうなった?」

 

ああ、ラエンカの事か。

奴は地球に定住している。

しばらくの間はゲテスターで住むらしい。

ホイポイカプセルがあっても街中であれは不自然だからのようだ。

 

「とにかく、警察官になるらしい」

 

秩序を知ってヒーローアニメを見ているような女。

そして『正義の味方』ともいうべき警察官の姿に憧れたらしい。

するとそう言った勉強をゲテスターと行っている。

 

「戦力にはなりそうだな」

 

サラガドゥラはこれで終わりではないだろうと言っていた。

まだまだ波乱はある。

そんなときに戦えるのが少ないとお話にならない。

 

「まあ、あれ以上となると神の次元だろう」

 

そうだったら俺が出る。

そう言ってお湯を沸かしに行った。

 

「ビルス様には勝てん、ちょっと前に悟飯の儀式の途中で来た孫悟空にもいっておけ」

 

そう言って再三の忠告を受ける。

ベジータなら脅威を知っているだろう。

ナッパはどうなのだろうか?

 

「お前の父親は踏まれている王を助けはしなかったんじゃないか?」

 

つまり親は知っていたのだろう。

だが……

 

「母親だって知っているはずですよ」

 

王妃の護衛だったり侍女のようなこともしていたからな。

また、家に帰ったら聞いておこう。

 

「星の破壊には目を背けておけ、何があってもじゃ」

 

そう言ってブロリーに挽かせるのをやめる。

そして俺を呼ぶ。

 

「尻尾を引っ張り出せ」

 

老界王神様が言う。

確かに半分ほど出ているけれど……

 

「無理やりではないから痛みもないじゃろう」

 

そう言って俺に尻尾を掴ませる。

随分と太くてごわごわしているな。

 

「超サイヤ人3ぐらいならいけるじゃろ」

 

そう言うので超サイヤ人3で引っ張りに行く。

徐々に抜かれているがブロリーは表情が変わらない。

それどころか欠伸をしていやがる。

 

「ぬぬぬ…」

 

慎重になっていく。

千切れないように。

少し進めば深呼吸。

もう一つ進めば深呼吸。

そうやって地道に僅かに引っ張り続ける。

 

「ストップじゃ」

 

そういわれて手を止める。

綺麗な尻尾がそこにはあった。

ブロリーも腰に回して手触りを確かめて満足そうな顔を浮かべる。

 

「成功ですね」

 

老界王神様に言ったら頷く。

そしてコーヒーを入れて一杯飲んで一息ついた。

 

「今日の所はこれで帰ります」

 

コーヒーを飲み終えて他愛もない話をした後。

そう言ってお辞儀して瞬間移動で帰っていった。

 

「折角ゆっくりできるんだし、どこか出かけたりしない?」

 

家に帰ってからピオーネに言われる。

そうだな。

あの仮面をつけた数年間。

その空白を埋めないと。

そう言った事をしても罰は当たらないはずだ。

 

「平和な今に感謝するかな」

 

首をコキコキと鳴らしてピオーネに言う。

その言葉に笑顔を浮かべる。

ピクニックに行ってもいい。

旅行で羽を伸ばしたっていい。

しばらくはゆっくりとしていこうと心に決めるのだった。




次回あたりは悟飯の結婚式だったりの日常回をやって、そこからビルス様登場に上手く差し掛かればと思います。
指摘などありましたらお願いします。

追記
4年後という設定でしたので多少改稿いたしました。

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