とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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限界限界詐欺。
悟空やベジータが超サイヤ人ブルーから伸びている時点で
サイヤ人は基礎部分の伸びしろがあり得ないほどあったり
潜在能力の限界は常に伸びてそうですよね。
最終地点は決まってませんが、ビルス様越えはありません。


『切欠は幾年も不変なままで』

この戦いは時間を稼ぐのは難しい。

ラディッツ。

ナッパ。

ターレス。

ターブル。

パラガス。

ルビコラ。

純血サイヤ人が6人。

そこにベジータがいる。

もう一人時間稼ぎに来てほしいものだが……

 

「ワハハハハハ!!」

 

高笑いをしながら蹴りを放ってくるビルス様。

さっきまでの『寝起きの運動』とは訳が違う。

腕を出して受け止めるが威力を軽減できない。

思いっきり飛ばされる。

 

「ぐっ!!」

 

気弾で上空に行く。

だが相手の方が圧倒的に速い。

背中に掌が置かれていた。

 

「フン!!」

 

地面をバウンドする。

全員が集中しようにもいつこちらに来るのかわからない。

それが集中力を削ぐ大きな要因となる。

 

「がはっ!!」

 

ブロリーも殴り飛ばされる。

全力のラッシュを飄々と避けてカウンター。

気弾も『破壊』の力で砂に変える。

 

「『太陽拳』も使えない」

 

そう言いながら同時にラッシュを放つ。

掠ることもなく頭を打ち付け合わせられる。

 

「ぐあっ!!」

 

背中に肘打ち。

ブロリーが地面に叩きつけられる。

気を取られないように構えるも目の前から消える。

 

「ハッ!!」

 

顎を蹴りあげられる。

意識が一瞬飛ぶ。

こんなにも重い蹴りは初めてだ。

 

「シッ!!」

 

脇腹の蹴りを掴んで止める。

ジワリと自分の中で立ち止まっていた限界。

その向こうを覗き見た。

神の領域に触れる事こそが俺達に今最も重要な事だったのか。

 

「ヒャー!!」

 

頭を掴まれて、地面に投げられた。

なんとか体勢を立て直すが、動きが速かったり予測があまりにも難しい。

半分酔拳のようなものだ。

 

「大丈夫か、ブロリー」

 

呼びかけるとむくりと起き上がる。

こんな短時間でボロボロになるのはブウの時以来だな。

今回の相手は小細工なしの最強だけどよ。

 

「フン!!」

 

二人がかりで再度ラッシュを放つ。

しかし時折、隙を見ては気弾攻撃に移行する。

 

「ハァ!!」

 

気合でかき消していく。

その直後に足を掴んでジャイアントスイングで投げる。

それを見てブロリーが攻撃を放つ。

 

「『ギガンティックジェノサイド』!!」

 

殴打で体勢を崩していく。

そして腹部へ一撃。

その後に俺の『ソウル・オブ・サイヤン』のように強烈な気弾を叩き込む。

 

「ハハハハ!!」

 

まるで効いていないかのように煙をあげたままブロリーを掴む。

楽しんでいる。

ブロリーも冷や汗をかいている。

 

「ソラソラソラ!!」

 

殴打を同じようにされる。

そして真っ赤な気弾を放たれてしまい、吹き飛ばされる。

 

「ぐああああああ!!」

 

ブロリーが背中をついてバウンドする。

そしてぎょろりと視線をこっちに向ける。

 

「シャー!!」

 

手四つに組み合う。

そして即座に力を抜いて蹴り上げる。

時間稼ぎとはいえ全然進んでいない。

速くしてくれ。

このままだと俺とブロリーが死んでしまう。

 

「があっ!!」

 

蹴り上げたビルス様を跳躍で追い越す。

ここからは技のオンパレードだ。

 

「『コンドル・レイン』!!」

 

気弾の雨が降り注ぐ。

それをひゅんひゅんと避けている。

だがそれは織り込み済み。

速度で攪乱する。

 

「『ファルコン・ツイン・クラッシュ』!!」

 

二発の隼型の気弾。

それを尻尾で薙いでかき消す。

だがその一瞬の隙こそがねらい目。

次こそは破壊できない。

 

「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」

 

鳥型の気弾が包み込む。

灼熱の炎が焼き尽くしていくだろう。

その為に握り拳に力を入れていく。

だが……

 

「ぬぐぐぐぐ……」

 

灼熱の炎が丸まっていこうとしない。

抵抗しているのだ。

 

「ハアアアアア!!」

 

気合一閃。

気弾をぶち破っていく。

そして俺の腕を掴むと……

 

「ふん!!」

 

ボキリと嫌な音が耳に響くように腕をへし折られた。

呻く暇も与えない。

脇腹に蹴りがめり込む。

肋骨を幾らか圧し折って横にすっ飛んでいった。

 

「やめなさい!!」

 

今、この場に居る最高戦力が圧倒的にやられている。

それを見たピオーネとスパーニ。

二人が死なせまいと同時に殴りかかっていく。

 

「ハッ!!」

 

避けた拍子にそのまま裏拳を放つ。

超サイヤ人2でスパーニも避ける。

しかしそれ以上の速度で腹に蹴りがめり込む。

蹴り上げられて吹っ飛んでいく。

 

「くっ!!」

 

どうやらデンデが回復させているようだが……

ピオーネが向かっていく。

ゆらりと避けようとするがそこを逃すほど甘くはない。

 

「ムッ!?」

 

足を踏んでそのまま顔に一撃。

追撃で腹に蹴りをいれにいく。

 

「ガッ!!」

 

腕を交差して蹴りを受け止める。

それを見て延髄蹴りに切り替えていく。

 

「はいっ!!」

 

見事に一撃が入る。

フルパワーのビルス様相手に二撃も入れている。

ただ、まだ完全に覚醒したわけではない。

 

あれから長い時間は過ぎたが今の俺と同じぐらいしかない。

鍛えてはいるのだが緩やかな上昇しか見えないのだ。

きっかけともいえる好敵手との出会いがない。

 

それは俺も同じだった。

俺が強くなればいい話だったのだが、極限に近い形まで鍛え上げているらしい。

だから同じくきっかけがないと殻を破れないと言われた。

 

「クククッ!!」

 

だからこそ尻尾で足を取られてしまう。

そして不安定な態勢から……

 

「ドリャー!!」

 

踵落としを食らい地面をバウンドする。

転がって俺の前にまで来た。

 

「うぅぅ…」

 

呻いている。

デンデがこっちへ向かってくる。

速くしてくれ。

 

こんなにも頭から血を流している……

それを見た瞬間、頭が真っ白になっていく。

体中の血が沸騰する感覚。

限界という壁が壊れていく。

決して壊れるはずがないものだと思っていた。

俺にとってのきっかけは今も昔も変わらない。

 

「……くも」

 

つむぐ言葉は小さな声だった。

しかしそれでもこの思いは強い。

 

「よくも……のピ…ーネ……」

 

許さない。

この世における絶対的な俺の中に存在する法。

 

「よくも俺のピオーネをー!!」

 

それは愛しきものを傷つけた奴には制裁を。

そしてそれはブロリーも同じだったようだ。

 

「よくもスパーニを……許さん!、許さんぞー!!」

 

二人とも自分の体にこれほどの力がまだ眠っていたのかと驚く。

しかし体からぎしぎしと音がする。

骨や筋肉が負荷に耐え切れずに軋んでいるのだ。

今の自分たちの限界を超越しているがゆえに。

 

「ヌン!!」

 

拳を振るう。

それを今までとは違い受け止める。

尻尾で足を取り転ばせる。

 

「ハッ!!」

 

着地をしたところにブロリーのラリアット。

それで飛んでいくが逃がしはしない。

その飛んでいく方向に都合よくピッコロがいる。

瞬間移動でピッコロの所へ行く。

先回りをして気弾攻撃を放つ。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

その一撃に呑み込まれてまたもやブロリーの所へ。

この間に気を高める。

全力の一撃を放つのみ。

この軋んだ状態で長期戦など墓穴を掘っているだけだ。

 

「『ギガンティックジェノサイド』!!」

 

崩れた体勢なので地面に叩きつける。

そのわずかなバウンドを蹴りあげる。

そして全身全霊の一撃。

その後に俺の『ソウル・オブ・サイヤン』のように強烈な気弾を叩き込む。

もはや指一本動かすような力も残っていないだろう。

髪の毛の色も戻り、体毛も引っ込んだ。

片膝をついて息を切らしていた。

 

そしてビルス様は無防備なまま、俺の技の圏内に入る。

もはや隙を作る必要もない。

このまま一撃を全力で叩き込むのみ。

体の気がカラカラになるほどの一撃。

ギシギシと軋む体の警告。

だが、それが何だというのだ?

愛しい人に酔った勢いとはいえケガを負わせた。

その報復に俺の肉体など捧げてやる。

 

「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」

 

さっきの倍以上の大きさは優にある灼熱の鳥型の気弾。

その一撃はビルス様を包み込んでいく。

そして無抵抗なままなので拳を握って収縮させてゆく。

そこに待っているのは神殺しの完遂。

灰一つも残さない徹底的な灼熱地獄。

 

「これはこれは……いけませんねぇ」

 

そう、ウイスの人が呟いて杖を振るう。

杖で灼熱の気弾を叩いていき、霧散させる。

全く……いまさら何をしにきたんだ。

そんな芸当ができるならば早く酔いを醒ましてくれ。

モシャモシャと地球の食事に舌鼓打っている場合じゃないだろうが。

 

「バトンタッチだ」

 

そう言ってベジータが前に出る。

ビルス様も灼熱による汗の噴出。

そして運動によって酔いからようやく醒めた。

 

「ようやくやれるのかい?」

 

首をコキリと鳴らして伸びをする。

だがビルス様を驚かせるのはもう一つあった。

カカロットも超サイヤ人ゴッドになっていたのだ。

いつの間にか来ていたのだろう。

 

3人の神の激戦が始まる。

だがどこかの違和感があった。

限界の壁を壊して今このように膝をついている。

限界の壁を壊す前であれば決して思わなかったこと。

それが頭によぎる。

 

「カカロットやベジータが凄いと思えない……!?」

 

神の次元に奴らはいる。

だがあの形態はサイヤ人の壁を感じない最強の状態。

きっかけがあれば何度でも不死鳥のように強く飛び立つ俺達とは違う。

際限のない錬磨と限界突破の末に……

 

「神になっていないというのに、神の領域の住人への可能性が見えてしまったか」

 

そう呟いて事の顛末を見届ける。

とは言っても最終的には時間切れでゴッドが解ける。

それでもカカロットが体に染みつかせるといった離れ業を披露。

天才という賛辞をビルス様からいただく。

それによって満足されたビルス様は、最後に酔った勢いとはいえケガを負わせたピオーネとスパーニ。

そして今回の騒動で迷惑を一番かけてしまったブルマさんへの謝罪をして星へと帰っていった。

 

今回での壁を飛び越えたきっかけに二人は苦笑いをして帰路につく。

『愛しい人』が俺たちにとって強さを求める原動力。

狂戦士であったおまえは真正面でありのままを受け止めるスパーニ。

俺は自分が求める道を照らし続けてくれた、全てを受け入れてくれたピオーネ。

あの人を守る為ならばこの体の限界などいくらでも越えよう。

枯れてしまった、全て出し尽くしたとしても。

戦闘民族として強さの源泉を何度でも湧きあがらせてみせる。

今回のような失態はしない。

貴方を守ってみせる。

だからどうか……

 

「これから先もあなたの傍に居させてください」

 

面と向かってピオーネに言う。

キョトンとした顔をした次の瞬間、大笑いをしていた。

ひとしきり笑った後、『何を今更』と言って手を握ってくるのだった。




切欠=恋人の危機。
このパターンは2の時にもありましたね。
流石にここからは示した程度で急激に伸ばす事は無いです。
『神と神』編が終わったという事は次の章からはついにあのお方の登場です。

指摘などありましたらよろしくお願い致します。

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