とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回で幹部戦は終了です。
地味に4勝4敗1分に振るのが難しかったです。


『敬うが故の残酷さ』

ドドリアさんとターレスの戦い。

パワータイプのようだが……

 

「いくぞ!!」

 

超サイヤ人になって挑む。

手四つにはならずに距離をいきなりとる。

 

「『キル・ショットガン』!!」

 

指先から気弾を放つ。

それをラッセル車のように腕を交差して突き進む。

いくらなんでも強引すぎるだろう。

 

「『ニードル・アロー』!!」

 

水泳のけのびの要領でターレスに突撃をする。

それを跳躍して避けるが……

 

「『ニードル・ロケット』!!」

 

足で気弾を放って方向転換。

ターレスの脇腹に掠る。

まさかこんな技を持っていたとは。

 

「『キル・バインド』!!」

 

紐状の気弾で縛り上げる。

そしてそのまま地面へ殴りとばす。

 

「『キル・シャワー』!!」

 

棘状の気弾を放つ。

それを回避するドドリアさん。

しかしその先には……

 

「『キル・ドーム』!!」

 

網状の檻が放たれる。

それは槍状の気弾を延々と発射させるのだ。

気弾をはじくのならば突き刺してしまえばいい。

血生臭い戦いならばきっとこのメンバーの中でも最高である。

相手の状態に合わせて嫌な所をつくのは素晴らしいの一言だ。

 

「ぐっ……」

 

回避し続けるが掠ってはいる。

もし、一撃でも当たれば磔のようになる。

そこにフルパワーの『キルドライバー』を撃つつもりだ。

相手に合わせて戦わない。

油断は無い。

特殊な手を使わせる暇も与えない。

 

「『キル・ボックス』!!」

 

回避して背中をつけた瞬間、技を使う。

狭まっていき、その背中のついていた場所の前後左右がドドリアさんの体にぴったりという感じになっていた。

スタミナ切れとかではなくこういった回避の限界という即時性にも目を配っていたか。

やっぱりすごいな。

 

「グゥウウ!!」

 

力任せに振りほどこうとするが強度が結構あるのか上手くいかない。

油断もまるでないサイヤ人の恐ろしさ。

奇策も使わせない。

相手の手をことごとく潰すタイプの珍しいサイヤ人。

 

その強さは戦うものに冷や汗を垂らさせる。

どうやら終わらせるつもりのようだが…

 

「ぬぉおおおおおお!!」

 

巨大化で箱の許容量を破る。

ミシミシと音をたてて崩壊させた。

 

「ちっ!!」

 

破壊された破片を回避する。

それを見計らってラリアットを見舞う。

 

「ぬ……」

 

受け止めるも力自慢。

そのまま振りぬいて岩山にめり込ませる。

さらに追撃で風を切り裂くように回転をしていく。

空気抵抗を極限に減らしている。

 

「『ヘッジホッグ・スパイラル』!!」

 

腹部に直撃する。

アバラがへし折れる音がする。

血反吐を吐いてさらに岩山にめり込んだ。

ズズズと崩れ落ちる様を見て油断したのだろう。

頭をペタペタと触っていた。

そんな隙を逃さないのがこの男……

 

「喰らいやがれ、『キルドライバー』!!」

 

バチバチとスパークするように気が高まっているのがわかる。

そして腕を前に出す。

 

「なっ!?」

 

油断しきっていたドドリアさんはその一撃をモロに喰らう。

そのまま吹っ飛ばされていく。

持ち前の強靭さで立ち上がろうとするが足がもつれて膝をつく。

 

「くくく……」

 

笑ってはいるがターレスもボロボロだ。

岩山から抜け出すも膝をつく。

こうなれば立った者が勝ちだろう。

それを分かっているからお互いが起き上がろうとはするが……

 

「ぬぐっ……」

 

両方とも足ががくがくしている。

さらに手をついて起き上がろうとしている。

 

「うぐぐっ…」

 

お互い立ったがもう一度崩れ落ちる。

そして両膝をつき頭を下げる。

次の瞬間、限界が来ていたのだろう。

両者、血しぶきを吹く形で倒れ込む。

白目をむいているからこれでは決着のつけようがない。

 

「引き分けになったか……」

 

肉を切らせて骨を断つのも考え物だろうよ。

二人とも治療班に連れられていた。

もう既にほかのみんなは治っている。

やはり超サイヤ人を超えていたらその分速くなるんだな。

 

「……ザーボンさん、あんなやり方は美しくはないですからね?」

 

そう言ってザーボンさんを前に出す。

これはもう出すのはこっちだ。

 

「悟飯、やってこい」

 

頷いてすぐにアルティメット状態になる。

4でもいいのだが、まだ力のコントロールが難しいらしい。

恋愛したり子供の面倒を見るから無理からぬことだ。

 

「あの時の少年がこうも美男子になるとはな」

 

笑いながら言ってくる。

そして力を込め始める。

 

「いくぞ!!」

 

筋肉が肥大して半魚人のような見た目になる。

しかしまだまだ変身は終わらない。

次は膨らんでいた体が筋肉質になる。

さらに今度は背丈が伸びていき。それに比例して手足が伸びていく。

髪形まで変わってしまい顔が最初の時の美男子よりもダンディーな感じになっていた。

 

「これが私が求めた醜い変身の向こう側だ!!」

 

ドンと気があふれ出す。

元が変身型だったから一気に伸びやがった……

超サイヤ人2ほどの強さじゃないのか?

 

「ハッ!!」

 

悟飯が先に仕掛ける。

しかし小気味いい音を立てて頬を叩かれる。

ヒュンという音が聞こえる。

伸びた手を振り子のように振って、そのまま鞭のような一撃を放っている。

 

「ハアアアア!!!!」

 

ヒュンヒュンと風を切りながら悟飯に攻撃を仕掛ける。

悟飯も回避はするがリーチに差ができた。

まだ半魚人から筋肉質になった状態ならさほど差はなかった。

しかしダンディーな高身長おじさんになったら一気に差が開いた。

 

「フン!!」

 

腕を引っ張ってそのまま腹部へ拳を叩き込む。

そのままくの字に曲がったところを狙って顔面へ一撃。

相手の反撃の一撃を打ち払って腰を掴み、持ち上げる。

 

「でりゃあ!!」

 

地面へ勢いよく叩きつける。

そのバウンドした状態へ追撃の気功波を放つ。

 

「『爆力魔閃』!!」

 

その一撃をモロに喰らうがむくりと起き上がる。

どうやら耐えきったようだ。

しかしあの姿は……

 

「防御型変身だ」

 

弾力性のある皮膚にすることで地面に叩きつけられた衝撃を吸収。

そして強固な盾のような皮膚へ変えることで今の衝撃を軽減。

 

「戦闘力のみではなくバータのように様々な変化をさせることで適切な戦いができるように進化したのだ」

 

今度はこっちの番だ。

そう言う様に変身をして消える。

速度特化型変身のようだが……

 

「そこ!!」

 

悟飯にはわかる。

目で追えない速度だとしても気を感じ取ればいい。

ラエンカの場合は今の悟飯よりも実力が劣ること。

まだ、同時に攻撃があったこと。

そのせいだ。

しかしザーボンさんはただ後ろを取りに来た。

だから危険度合いが少ない。

 

「攻撃形態!!」

 

悟飯の裏拳を掴む。

その姿は筋肉が膨れ上がった状態であった。

醜いのではなくたくましい。

 

「それ!!」

 

悟飯を円盤投げの要領で放り投げる。

それを舞空術で体勢を整える。

しかし再び顔を打たれる。

 

「あの形態の一撃は重いが……避けられるだろう?」

 

速度を失ってしまっているのだろう。

悟飯の強さを分かっているからこそ即時的に切り替えて手練手管のやり口を披露している。

 

「そろそろ全力できたらどうだ?」

 

悟飯のアルティメット状態の先を知っているのか?

それとも積極的に仕掛けていないからそう取られたか?

 

「では……いきますよ!!」

 

どうやら4になれという言葉だと理解したらしい。

制御が難しいから殺しかねない。

だからあえて使わなかったのに。

そうなっても知らないぞ。

 

「すみません、お待たせしました」

 

そう言って構える。

ザーボンさんも冷や汗をかいている。

言うべきではなかったと後悔しているのだろうか?

 

「はいっ!!」

 

一瞬で間合いを詰めて攻撃を振るう。

防御形態で盾のような肌へと変化させる。

 

「がはっ……」

 

しかしその行為も虚しくひび割れてしまい衝撃が伝わる。

そしてその一撃にもんどりうってしまう。

痛みに呻いている。

さらに立ち上がる前に背中を蹴りあげられる。

 

「終わりです、『10倍かめはめ波』!!」

 

その光に呑み込まれてザーボンさんが墜落する。

ピクピクとしか動かない。

治療班がまたもや運んでいく。

今回、大忙しだな。

特別支給が出るんじゃないのか?

それはそれとして瞬く間に勝負は決まった。

 

「やはり、孫悟空の息子が相手では厳しかったですねぇ」

 

そう言って目配せをする。

それを汲み取ったのかポーズをとったギニューさんが出陣する。

 

「お任せください、フリーザ様、このギニュー特戦隊隊長……ギニューが勝利して見せましょう」

 

首をコキリと鳴らす。

そして気を噴出させる。

鍛えに鍛えたのが伝わってくる。

超サイヤ人2と3の間ぐらいはありそうだな。

 

「ふん、それはこっちのセリフだ」

 

ブロリーがすでに4になった臨戦態勢でギニューさんを見る。

うん、負ける姿が見えない。

ボディチェンジができそうにもない。

むしろこっち側だけどギニューさんを応援したくなるほどの差。

大人と子供といった方がいいのかもしれない。

 

「ハアッ!!」

 

ギニューさんが突撃して一撃を繰り出す。

腹筋で受け止めてそのまま頭を掴んで放り投げる。

そのままラリアットの一撃を放とうとするが……

 

「『ミルキーキャノン』!!」

 

激突前に舌に向けて放つことで難を逃れる。

しかし一難去ってまた一難。

ブロリーがすでに先回りをしていた。

 

「終わりだ、『ギガンティックミーティア』!!」

 

頭を掴んで急降下。

地面に叩きつけた後、巨大な気弾の一撃。

ギニューさんを中心にとてつもない陥没ができた。

 

「まだまだ……『パフェ・ストーム』!!」

 

立ち上がって渦巻型の気弾を放つ。

それを片手で受け止める。

僅か一撃で勝負の流れを作り上げた。

 

「『マーブル・シャドウ』!!」

 

一瞬の間に懐へ忍び込む。

それを迎撃したが残像。

そして……

 

「うぉおおおおお!!!」

 

首を足で絞めてそのまま回転をして地面へ叩きつける。

ギリギリと体重をかけながら絞め上げていく。

 

「くくく…この技は自分の体重が重ければ重いほど効く技!!」

 

打撃が通用しないと見るや絞め技による対抗。

確かにその方法は有効かもしれない。

俺や悟飯のようにまだ首の太さが規格外じゃなければな。

しかしこいつは……

 

「フン……」

 

規格外のサイヤ人。

首が太くなって足の絞めを押し返す。

そして徐々に外れていくと……

 

「ハアッ!!」

 

一気に首に力を込めて弾いた。

そしてその足を持ったままグイングインと振り回す。

それを上空へ投げると瞬く間にそれを追い越していく。

 

「喰らえ、『ギガンティックオメガ』!!」

 

両手でカカロットの『かめはめ波』のような技を放つ。

だが、太さと勢いは段違い。

その攻撃を見てギニューさんが不敵な笑みを浮かべる。

 

「お前が喰らうがいい、『メルティ・カレイドスコープ』!!」

 

技を跳ね返す。

それに直撃するブロリー。

確かにギニューさんが拳を何発打ち込んでもブロリーへのダメージは微々たるもの。

しかし、ブロリー自身の攻撃であったならば?

 

「がはっ……」

 

煙をあげるブロリー。

しかしただでは転ばない。

その手があるのならば零距離でもう一度ぶち込むのみ。

余計に火をつけた。

 

「フンっ!!」

 

一気に間合いを詰めて頭を掴む。

そして急降下。

気を掌に集中させる。

光を帯びるほどの集中。

全力の一撃だというのがわかる。

 

「終われ、『ギガンティックスラム』!!」

 

顔面の零距離ででかい気弾を放つ。

当然跳ね返すことなどできるわけもない。

勢いよくその一撃ごと地面へと叩きつけられる。

 

「生きているか……?」

 

そう言って胸倉をつかむ。

死んでこそはいないが重傷なことには変わりない。

決着は誰が見ても明らかだった。

 

「これで前座は終わりですね……」

 

治療班がギニューさんを連れていくのを見てフリーザが言う。

そうだな。

俺とお前しか残ってはいない。

 

「貴方にはあの日から変わらず敬意を表しているんです……」

 

そう言って気を高める。

まさかこれは……

 

「ふふふ……そちらの予想通り最強の変身をもって貴方の相手をするという事です」

 

それなら俺も出し惜しみはしない。

気力を最大限にまで高める。

超フルパワー超サイヤ人4になっていく。

宇宙そのものが震えるような気。

お互いが変身を完全に終える。

 

俺は真っ赤な体毛を持つ上半身大猿で血管が浮き出るほど気力を充実させた超サイヤ人4.

その気は見る者に尊敬を与える。

気がまるで暴風のように吹き荒れている。

 

そして目の前のフリーザは眩いほどの黄金の色。

その気は見る者に畏怖を与える。

そして背筋が凍るほどの凄まじさがある。

 

「さあ、15年前の決着をつけましょうか……」

 

互いに構えて制空圏に入る。

地球における史上最大の戦いが始まろうとしていた。




次回からゴールデンフリーザとガタバルの対決です。
相変わらず容赦のないフリーザ。
無駄にナメック星の時に興味持たれる立ち回りをした特典です。
原作主人公たちが空気ですが、そこはそれという事で……

指摘などありましたらお願いします。

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