ベジータは見逃しましたが普通に考えても、かなりの期間険悪になります。
「ベジータ、やれぇ!!」
ビルス様が檄を飛ばす。
からくりを知るために幾らか喰らった。
その分蓄積されたダメージがある。
「『ファイナルゴッドシャインアタック』!!」
大技を避けた瞬間、先読みで拳を繰り出す。
当てる事に成功はしているが気の消費も著しい。
これを繰り返していてもガス欠になってしまう。
しかし、それよりもビルス様に視線を向けるこれってすなわち……
ビルス様も頷く。
そしてカカロットに降りさせる。
なるほど、からくりを知ったからカカロットに伝えている。
これは団体戦。
美学云々よりも勝ちにいく事だ。
人造人間の時とは違い、破壊神の機嫌を損ねる事の被害。
それをベジータは知っている。
それを引き継いだカカロット。
最初に拒否しようとした瞬間、ぶんなぐってやろうかと思った。
そんな中始まった事実上の大将戦。
結果としてはくだらない理由でカカロットが降参。
その過程で『10倍界王拳超サイヤ人ゴッド』を見せたりヒットを相手に優勢だった。
その気持ちを組んだヒットが次の試合でわざと負けてくれたからよかったが……
こいつ…お荷物にもほどがある。
その後に全王様が見ていた事を知る。
ウイスさんによく似た人がいる。
全ての神が頭を下げる。
俺もそれに倣う形だったが……
「うーん……」
なんと俺の顔を覗き込んできたのだ。
確かに隠し事はあるが……
「君、何か隠してない?」
俺は素直に頷いた。
ビルス様からは『嘘はやめておけ』と視線で訴えられていた。
「実は全王様……」
俺はピオーネを呼ぶ。
そして面と向かって説明をした。
「かつて全王様がお消しになられた第18宇宙のバンヤの民、最後の生き残りなのです……」
びくびくとしながら伝える。
消滅させようとしたら止める。
全宇宙が危機にさらされても……。
「へえ、逃げられたんだ……キューブってすごいね」
じろじろとピオーネを見る。
そしていきなりこっちを見て言い放つ。
「君はこの人と一緒に悪事を働いたりしない?」
俺はその言葉に頷く。
神殺しなんてするつもりもない。
仲睦まじく日々を過ごす。
誓いのあの日のように死が二人を分かつまで俺達は一緒にいる。
「じゃあやめておくのね、消したら可哀想だし……」
そう言われて下がる。
その後、カカロットが無礼な態度をとるがそれが逆に良かったのだろう。
上機嫌で全王様が帰っていく。
俺達はその間、肝を冷やしていた。
去る時に全宇宙を交えた格闘大会を近々開くと言っていた。
破壊神よりも強い相手もいるかもしれない。
そう考えると頭が痛くなる。
「で……あんたは第7宇宙に戻ってくるのか?」
バーダックさんに言う。
すると頷いていた。
「あの第6宇宙には俺が残せるものは置いてきた」
だが恩義を忘れてはいない。
そう言ってシャンパ様の方へ振り向く。
「俺の力が必要になったら言ってくれ」
いつでも駆けつけるぜ。
その一言にシャンパ様も頬をかく。
「絶対だかんな」
そう言って皆がキューブで帰る。
ちなみにドラゴンボールの願いは『第6宇宙へ第7宇宙と同等の文化と美食を持った地球を復活させる』だった。
その翌日。
バーダックさんと俺は荒野に居た。
フリーザの奴に会わせると言ったのだ。
「昔に比べて邪悪じゃねえのか?」
今や地上げもしてなきゃ、虐殺もしていないからなぁ。
そう考えたら随分と薄れている。
「むしろ今やあのフロストの方が邪悪です」
自作自演で星を売りさばき、表向きは善人ぶる。
よく考えたら初めから悪の帝王だったフリーザの方がましだろう。
「にわかに信じられないがな」
そんな事を言っていると宇宙船が着陸する。
フリーザが降りてきた。
「呼び出されましたが……お久しぶりですね」
バーダックさんの方を向いて深々とお辞儀をする。
その謙虚な態度に怪訝な顔をする。
「なぜ今になって虐殺をしてない、俺たちサイヤ人だけがそうならないといけなかったのか」
悪人でないのか、またなぜ自分たちだけがそうならなければいけなかったのか。
怒りを抑えながら聞いていく。
「今思うと怖かったんですよ、貴方達サイヤ人がね」
フリーザの本心なのだろう。
その言葉にきょとんとした顔に一瞬なってから質問を続ける。
「どういう意味だ?」
何故にあの頃のフリーザがサイヤ人を恐怖したのか。
実力を見る限りでは圧倒的だったはずなのに。
「貴方もですが、それ以外のサイヤ人を含め死線を越えればその都度強くなる」
そう言ってため息をつく。
他の兵士ではできない事。
到達するのに長い期間をかける境地にまで平然と辿り着いてしまう。
「それが俺たちサイヤ人の特性だ」
誇らしげに胸を張る。
戦闘民族らしいものだろうと。
だからこそ強く有れたのだという風に。
「寝首を掻かれたくもないですし、伝説の超サイヤ人とやらに出会いたくなかったので」
自分の地位を怪しませるもの。
死への恐怖をおぼろげながらに感じる可能性。
「なるほどな」
そしてすっと構える。
それを見たフリーザはにやりと笑う。
「やってみますか?」
そう言った瞬間、バーダックさんが4になる。
そしてフリーザも気を高める。
「それではあの日の続きを始めましょう」
ゴールデンフリーザとの戦いとなる。
俺の時とは違う激戦。
「ハアッ!!」
デスボールを放ったりあの日の記憶の紐をたどる様に戦う。
俺は特等席で立ち会わせてもらっている。
拳を打ち付けあう。
俺と互角に戦える戦闘経験。
しかも俺よりは確実に修羅場の経験値が少ないフリーザ。
それは徐々に表れ始める。
「ぐっ……」
フリーザが膝をつく。
技も払いのけられている。
「あの日からこんな瞬間を夢見ていたぜ、てめぇを見下ろすっていう事のよ」
そう言ってラッシュをかける。
尻尾などで弾くなどしてカウンターも放っていた。
しかしそれでも優勢は変わらない。
隙を突かれてしまう地獄のような連撃の前にフリーザはぐったりと人形のようになる。
俺もああなっていたかもしれない。
「まだまだ!!」
フリーザが活力を振り絞って反撃を試みる。
何とか戦線を持ち直す。
しかしダメージが大きい以上、その持ち直しも徐々に崩れていく。
技の威力に僅かな差ができた。
その僅かな綻びが勝利の細い糸を遠ざけていく。
それから数分後、決着はついた。
バーダックさんが倒れたフリーザを見下ろす。
しかし無傷ではない。
腕は折れているし裂傷もある。
どちらが倒れてもおかしくはない。
それほどに近い戦闘力。
しかしそれ以外の要素がこのような結果を生み出した。
憎くてたまらない相手。
それでもとどめを刺す事は無かった。
「サイヤ人なら拳を通じて理解できる」
しかしこんなに強くなるとはな。
そう言って首をコキコキと鳴らしていた。
むくりと起き上がったフリーザ。
二人とも和解はできたようだ。
そしてこっちに振り向く。
「ドラゴンボールで皆さん復活ってできますか?」
俺はそれについては頷くが拒否という感情を表に出す。
嫌だ。
あの二人が甦るから嫌だ。
しかしここで思いつく。
期間を指定すればいい。
「カナッサ星人からバーダックさんが拳を食らった時期から惑星ベジータ崩壊までなら一気に可能ですね」
そう言うとここにいる三人でナメック星に行く。
初めこそフリーザのせいで警戒されていたが、邪悪な気配がないという事でナメック星のドラゴンボールを使用させてもらった。
それによって実に40年ぶりに惑星ベジータは復活。
そこに蘇生させることで解決した。
その後の願いは特になかったので帰る。
ちなみにバーダックさんはブルマさんの所で居候をしている。
薬剤についての知識があるから薬剤師達の研究室に入れられた。
地味にいい仕事をするし、耐久テストをベジータと共にやっているなど馴染んでいるようだ。
それ以外には初めに地球の食事を食べた時に驚いていた。
こんなうまいものがあるとはと呟いていた。
「ただいま」
家の扉を開けてピオーネを抱きしめる。
子供を高い高いしたり、いつものような日々を過ごす。
するとピオーネに不意に口づけをされる。
ターサは顔を赤くしている。
思春期には刺激が強いかな?
結婚しておおよそ13か14年。
変わらない距離感と愛情。
こいつらを守る為なら鬼にでも悪魔になる。
罵倒したやつには手痛い仕打ちを限りない罰を。
ひたすらにそう思う。
ちなみに家は数年の間に改築している。
子供部屋を作ったりそれ相応の広さの家なのだ。
「ご飯にしようか」
そう言って晩ご飯を食べる。
食事量は減らす事もできる。
食事はうまいからといっても休肝日のように内臓を休ませてやる事も重要。
節制である。
食事が終わって片づけをする。
ターサが風呂に入ってくる。
その後は俺とゲンサイ。
最後がピオーネ。
「ねえ……」
背中を撫でてくる。
こういう時は決まってサインだ。
それに対して顎を撫でる。
了承という事だ。
無理だという時はそのまま無反応。
風呂に入って上がる。
それと入れ違いにピオーネが入る。
風呂から上がってくる時にゲンサイを寝かしつけないといけない。
そんな最中、ピオーネが上がったのだろう。
そして数秒後、悲鳴が上がった。
「どうした、ピオーネ!?」
俺はすぐさま寝室へ入る。
するとベッドの上にはカカロットが座っていた。
ドアを開けたり窓を破った形跡がない以上瞬間移動だな。
頭に血が上るが冷静である事を努める。
「カカロット、お前……」
しかし行動には表れてしまう。
ギリギリと歯ぎしりをする。
瞬間移動を悪用しやがって……
よりによってピオーネの艶姿を……
いや、タオルを巻いていて本当に良かった。
「いや、オラ……」
頭をかいて困ったような顔をしている。
それを見て悪用したわけではないと分かる。
まさか前回のヒット戦の無理がたたったのか?
あんな無茶な芸当をやってデメリットがないわけがない。
気のコントロールが一時的に効いていないのかもしれない。
そう考えると徐々に冷静になっていく。
しかし次の瞬間、怒りは生きてきて最大を記録した。
「わざわざ垂れた乳、見に人の家来ねえよ」
その瞬間、カカロットを殴り飛ばしていた。
家の壁が壊れたが後で補修する。
主にサラガドゥラの魔術で。
瞬間移動をするが関係ない。
「私も行くわ……」
戦闘服に着替えている。
女としてのプライドをずたずたにしたカカロット。
俺たち二人なんてあまりにもやりすぎだろう。
「良いから俺に任せてサラガドゥラを呼んで家の補修してもらってくれ」
そう言って俺は捜索しに飛ぶ。
しかしあっという間に通行止めをされた。
二つの影が光と共に目の前へ現れる。
「邪魔をするなぁ……!!」
その影に殴りかかる。
回避をするが一瞬の間で背中に立って肘打ちをする。
「がっ……」
頭を掴んでぐるぐると回す。
それを木に向かって投げていく。
木に手を付いて勢いを止めるがその隙に懐まで瞬時に入る。
そして腹部へ一撃。
「『ソウル・オブ・サイヤン』!!」
木を何本もなぎ倒してその標的は吹っ飛ぶ。
その存在が紫色の気を噴出させている。
「まさか本気で相対するほどの力の一撃をよこすとはね……」
ビルス様だった。
普段ならばこんな真似はしない。
だが、今は邪魔なのだ。
「どけぇ!!」
突撃をするとカウンター。
それを受け止めて脇腹へ一撃。
「がはっ……」
呻いた隙を逃さない。
一気に接近。
このやり取りでまだ数秒しか経ってはいない。
「ハアアッ!!」
殴り続ける。
いつもならばカウンターを喰らってそのまま引きずるが今の俺は一味違う。
カウンターが見える。
腕で払いのけて頭突き。
足で止めて正拳突き。
米神へ上段蹴り。
「ぐっ……」
吸い込まれるように当たっていく。
防御や回避が間に合っていない。
ここで決める。
力づくだがどかすだけ。
「『プライド・オブ・ラクタパクシャ』!!」
その一撃は破壊の隙も与えずにビルス様を呑み込む。
不敬極まりないが……
「はっ!!」
危険だと察したのか。
ウイスさんが三分前に戻した。
この原因を探るために。
そして見た結果……
「悟空さん、デリカシーがありませんね」
溜息をついていた。
仮にも妻子ある身でこの言い草は無いだろうというように。
「全く……とんだとばっちりだよ」
耳をほじりながらうんざりとした感じだった。
その間にサラガドゥラも来て宥められる。
「しかし神をあの瞬間僅かに越えていたな」
ニヤリと笑う。
そして……
「ぼくも悪口を言えばいいのかな?」
首をコキコキと鳴らしてようやく最高の相手を見つけたというような笑みを浮かべる。
しかしウイスさんが釘をさす。
「僅かとはいえど危険な真似はくれぐれも行わぬようにしてください」
そう言われるとそれもそうかと納得をする。
灼熱なんて無効化できなければ火傷で恐ろしい事になるからな。
むしろ火傷で済むのが神だからという事もあるが……
「それに捜索しなくても祝勝会があるだろ?」
ビルス様が言う。
そう言えばそうだった。
今回の勝利を祝うためにブルマさんがやってくれるらしい。
どんな料理が出てくるのか楽しみで先に聞こうと思って地球に来たらしい。
それなのに、激昂した俺に殴られるというとばっちりを喰らった。
「頭に血が上って気づいていなかったようですね」
それだけ愛情が深いともいえるのでしょうがと言われる。
頬をかいてこそばゆいといった反応を返す。
「それでは帰りますよ、ビルス様」
杖を叩く。
そして目の前から消えた。
消えていく最後にデコピンをされた。
暗転する意識の中、思った。
いくら怒ってもむやみに破壊神を刺激するものじゃあないんだと。
本来は数日後に悟空の気のコントロールが利かなくなるのですが、この話の為にすぐに発症させました。
サラガドゥラが何でも屋化している件。
まあ、界王神様の技と老界王神の魔術とかいうハイブリッドですからね。
神越えしていますがあれは今後、常に出るわけではなく特別なものです。
指摘有りましたら、お願いいたします。