とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回から未来トランクス編を始める予定です。
と言ってもさわりですが……


『祝勝会、そして……』

あの個人的な騒動から一週間後。

いまだに苛立ちが収まらない。

カカロットが謝りに来なかったからだ。

 

そんな中での祝勝会。

俺は動き回って場所の設営の準備をしている。

ナッパや桃白白。

ベジータやターブルも一緒だ。

 

「…!?」

 

不穏な空気を感じる。

それは俺が怒っているからでもなく、険悪な空気が流れているわけでもない。

千里眼を宇宙を見渡す。

するとその正体はあっという間に判明した。

 

「大きな宇宙船が着陸しやがる」

 

しかも岩場ではない。

町のど真ん中。

東の都といった所だ。

 

「肌にピリピリときやがるぜ」

 

そう言ってパラソルを立てたバーダックさんが首を鳴らし、肩を回す。

あのデザインから見て相手は分かっている。

 

「サイヤ人ですね」

 

復活した惑星ベジータのサイヤ人が来る。

おおよそ侵略目的だろう。

これは俺たちの問題。

解消しなくてはいけない。

 

「行きますか?」

 

そういうと肩を掴んでくる。

瞬間移動だな。

シュンと音を立てて、パーティ会場から抜け出した。

 

「こんなど真ん中に降りられたら溜まったもんじゃねえな」

 

そう言うと上空に飛び上がる。

着陸前に軌道を変えるわけか。

トリックで済まされるからましなんだけどな。

これを長々と説明するのは面倒なことだし。

 

「とにかく宇宙空間まで出てみますか?」

 

4の力ならそこそこの時間留まれる。

ゴッドと同じレベルの戦闘力を有しているのだから。

ただ、目に見える形の力かそうでないかの違い。

 

「いや、交戦はできないから上空待機で持ち上げるようにして強引に軌道を変える」

 

出てこなければ意味もない。

それならば地球に来た時に軌道の変化をさせる。

 

「来るぞ!!」

 

そう言った瞬間、頭上に影が現れる。

大きな宇宙船が来た。

二人で4になって持ち上げる。

 

「岩場まで誘導ですね」

 

そのまま動き続ける。

操縦の人が驚いているはずだ。

そして一気に運ぶ。

名もない島のような場所につける。

 

「出てくるぞ……」

 

おろして数分後。

ガシャンという音と共にタラップが降りる。

数人の屈強な戦士が来た。

 

「悪くない星だな」

 

そう言った相手の目の前に二人で現れる。

すると驚愕に包まれる。

ちなみに普通の状態に戻っておいた。

そしてついに思った。

髪の毛を切った方がいい。

長いせいで地面に突き刺さりそうなのだ。

 

「バーダック、なぜおまえがここに!?」

 

この顔は覚えている。

パンプーキンさんだ。

しかし地獄でシェイプアップはできなかったのか。

相変わらずの肥満体である。

 

「俺はここについ最近戻ってきただけだ」

 

面倒くさそうに言う。

しかも宇宙についても話さないといけないからな。

 

「それにこのガキは?」

 

俺の方をじろりと見る。

ナメック星の時からあってないもんな。

しかも臨死体験だし。

 

「あのくそったれラブカのガキで、『落ちこぼれ』ガタバルだよ」

 

そう言うと掌を叩く。

聞いたことあるという反応。

十数年前に顔見ただろうに。

 

「女みてぇな顔してるな」

 

そう言いながら他のサイヤ人を出して構える。

悪いがそのつもりならば……

 

「居心地がいいこの星を侵略するのなら……」

「相手になるぜ」

 

二人とも普通のサイヤ人状態で構える。

すると隊長と呼ばれて男が出てきた。

この人の名前も覚えている。

 

「トーマ……」

 

ニヤリと笑ってトーマさんが殴ってくる。

それを避けてカウンターを放っていく。

腕で防御をして、互いに距離を取り合った。

 

「地獄でのんびりしてたわけじゃないぜ、バーダック!!」

 

戦闘力ならばかなりの差はある。

まだ全力では無く平然とバーダックさんは返している。

しかし相手も地獄で絶え間なく戦い続けた男。

超サイヤ人にならなくてもそんじょそこらの戦士とは格が違う。

 

「そうかよ、でも……」

 

その瞬間、風のようにするりと懐に入って腹への一撃。

息を吐き出してトーマさんが膝をつく。

 

「俺も滅茶苦茶戦ってきたぜ」

 

そして息を吸って一言。

誰にも聞こえる大きな声で。

 

「もう星の侵略をするのはやめろ!!」

 

それは今までのサイヤ人の在りかたの否定。

しかし侵略をしなくても生きてはいける。

それが共存への道。

 

「破壊神に目を付けられるし、フリーザの野郎も今やそれをしていない」

 

何故かという問いにバーダックさんではなく俺が伝える。

破壊神と聞いて同乗していたベジータ王の顔が青ざめる。

やはり、危ないのは分かっているのか。

 

「星の侵略者どもを倒す、悪を倒す悪人になりゃあいい」

 

必要悪となる道。

放置すればさらに悪化する星。

それらを侵略するものを倒したり、文化レベルを引き上げる。

そうすることで宇宙そのものの平穏、および人々の成長を促せる。

神が先立ってやるべきではない行為、それを人間が代行する。

それだけだ。

 

「これからはそうした方がいい」

 

消されたくはねえだろう?

そう言われると全員が口を閉ざす。

そして一人の女性が降りてきた。

 

「ギネ……」

 

バーダックさんの奥さん。

つまりカカロットとラディッツさんの母親。

 

「戻らないの?」

 

そう言われると頬をかく。

そして……

 

「俺、ここで住んでいるからな」

 

だから一緒には帰らねえ。

その代わりおまえも残れ。

そういって手を握る。

 

「というわけだ、今回は帰っていただきたい」

 

どうしても侵略するなら相手になるぜ。

そう目で訴える。

 

「やってやろう」

 

その目にひるまずに降りてきた。

その人はセリパ。

女性サイヤ人。

いいだろう。

実力の差を見せて撤退を決意させてやる。

 

「はっ!!」

 

拳を振るってくるが紙一重で回避する。

蹴りを腹めがけて放ってくるが後ろに飛んで回避。

そのまま蹴り足を地面につけた瞬間、飛び上がって踵落としに切り替える。

 

「ぐっ!!」

 

流れる三連撃。

踵落としを腕で受け止める。

こっちも返していくか。

 

「シッ!!」

 

ジャブを放って距離を確かめる。

それを受け止めるが一気に距離を詰める。

これで腹部に一撃を入れる。

 

「がっ!!」

 

腕を交差して受け止める。

しかし、体が浮き上がっている。

顔ががら空きだ。

 

「フン!!」

 

打ち下ろしが顔面にめり込む。

そのまま地面に叩きつけられた。

受け止めるなんて事をしなければあっけない事なんてなかったのに。

 

「うっ……あぁ……」

 

腕が震えて地面に手をつくこともできない。

足も震えている。

立ち上がれそうにない。

そのまま転がって大の字になって倒れ込んだ。

 

「これは侵略できないね……」

 

あまりにも圧倒的な結果。

この状況に苦々しい顔を浮かべて今回は帰ると言った。

今度は、普通に観光で訪れるとのことだ。

 

「さて……戻るか」

 

そう言って瞬間移動でパーティ会場へ戻る。

するとなぜかフリーザがいた。

 

「いやぁ、地球の事は偵察していますから」

 

なんで居るのか聞いたらあっけらかんと答えられた。

破壊神が入り浸っているから重要なことも今後分かりますし。

そう言って設営をみんなで頑張っていた。

俺達が抜けた分をカバーしてくれている。

 

「それに……」

 

ギネさんの方を見た。

惑星ベジータが復活しているのを確信したようだ。

頭を下げて謝罪した。

 

そんな中ラディッツさんが気づく。

カカロットはまだ来ていない。

大方、界王様の所だろうか。

 

「お袋も蘇ったのか……」

 

そう言って嬉しそうな顔を浮かべる。

そしてハツカを呼ぶ。

もう9歳ほどの女の子だ。

祖母だと伝える。

ギネさん自体も驚いていた。

 

「初めまして、僕の名前は孫悟飯です、こちらが弟の悟天です」

 

悟飯も自己紹介をする。

チチさんも頭を下げる。

カカロットはもう少ししたら来ると言っていた。

ちらちらとみると色々な奴もいるな、ジャコも来ている。

どうやら宇宙で一番人気の甘いものを取り寄せたらしい。

そんな中出てきたのはモナカ。

……非常にまずい。

 

「ビルス様……呼んだのですか?」

 

俺は恐る恐る聞く。

すると首を振ってまずいといった表情だ。

 

「いや、偶然だ……」

 

悟空が言ってきたらお前で止めておいてくれ。

そう言ってどうしたものかと思案していた。

着ぐるみとかでもいい気がするんですけどね。

 

「おっす」

 

そんな事を考えているとカカロットが来た。

その瞬間、4になって1週間前の怒りをぶつけに行く。

すると悟飯に羽交い絞めにされ、目の前にはベジータ。

こいつら……

 

「普段と違って父さんを見た瞬間、殺気が噴き出しましたからね……」

 

今にも俺の力で弾かれそうな悟飯が言ってくる。

案外バレていたか。

 

「落ち着きやがれ、祝勝会が台無しになるぞ」

 

ブルー状態になって『ファイナルゴッドシャインアタック』の構えだ。

流石に今の俺に生半可な技は通用しないと判断したのだろう。

 

「しかし、お前らしくもないな、何があった?」

 

ベジータが聞いてくるので耳元で囁く。

すると額を押さえる。

悟飯も手招きして囁いてやる。

すると今度はため息を吐いた。

 

「愛妻家であれば激怒する内容だな……」

 

カカロットが悪いと言ってブルーをやめた。

だが……

 

「祝勝会が終わってからだ」

 

ビルス様の怒りを買う可能性もあるんだからな。

そう釘を刺される。

 

「くれぐれも抑えてくださいよ……」

 

困り顔で言われる。

仕方あるまい。

 

「がっ…!?」

 

そう言われて我慢している間に、頭に激痛が走る。

未来が見える。

それは懐かしい顔があった。

だがそれはつまり……

 

「未来からのSOSか……」

 

空を見上げて何が起こっているのか。

胸騒ぎがしている。

 

.

.

 

ここは別の次元。

絶望の未来。

そこではセルとの戦いから10年が経過した。

魔人ブウの時に純粋悪の攻撃で界王神様が亡くなってしまい、破壊神がそのつながりで死亡。

人類は助かっていた。

しかし、その後に起こった未曽有の事態。

 

「トランクス……悟飯と共にタイムマシンで過去へ飛べ!!」

 

ベジータが言う。

あの後のドラゴンボールでカカロットの蘇生。

そして修行を皆が積んできていた。

しかし精神と時の部屋で現在と過去で4年分の努力をした悟飯とトランクスを超える事は出来なかった。

さらに今回の相手は格が違う。

強くなっていた俺も全開で何とかせねばいけない次元。

 

「父さんは!?」

 

時間稼ぎをするつもりだ。

その質問に答える事は無く、さっさと行けという。

その言葉でトランクスは振り向くこともなくカプセルコーポレーションへと向かう。

 

「やつらがナメック星まで消した以上もう俺の命もこれまでだ」

 

一度死んだ身ではピッコロのドラゴンボールでは不可能。

ナメック星のようにパワーアップさせておけばよかった。

しかし、後悔しても今は遅い。

 

「おまえも宇宙まで逃げろ」

 

ならば犠牲を減らすほかない。

俺はベジータを気絶させて瞬間移動をする。

怪しい予感をしたことから事前に地球人を別の宇宙まで避難させた。

あとはベジータ達だけだ。

だから気絶をさせた。

 

「おまえも俺に付き合わなくてもいいんだぜ?」

 

ゲロがニヤリと笑う。

そして相手へ指を向ける。

 

「神が相手ならば抗う者よ」

 

ブロリー達を乗せた宇宙船が飛んでいく。

ここにいる人類は百名にも満たない。

トランクスの恋人であるマイ。

そしてそれを中心にしたレジスタンス。

逃げ遅れたヤジロベー。

タイムマシンをブルマに代わって管理するゲロ。

死ぬ時は一緒だと誓いあったラズリ。

トランクスと悟飯。

そして俺。

 

「地球丸ごと大決戦といった所だ」

 

そう言って超サイヤ人4を使う。

限界突破をし続けたことでおよそ破壊神を凌駕した力。

 

「この神に追随、もしくは凌駕とはやはり人類は度し難い」

 

カカロットによく似た顔の男が言ってくる。

おまえの中身は神なのだろうな。

一体どのような真似をしたのか気にはなるが。

 

「人類が繁栄した歴史を葬ってしまえばいい、そして魔神であるドミグラが新たな歴史にお前らの功績を刻み込もう」

 

赤い髪をした顔の整った男が杖を振りかざして言ってくる。

それと同時に棘状の気弾とも杖ともいえるものを放つ。

 

「ちっ!!」

 

全てを薙ぎ払い気弾を放つ。

しかし……

その一撃を呑み込む黒い影。

 

「我が名はアザラ……この全宇宙を邪の世界に塗り替える邪神なり!!」

 

その腹には青い人間の顔がある。

あれを依り代にして顕現した邪神。

その手を車に当てて力を振り絞った瞬間……

 

「一瞬でドロドロに溶解しやがった!?」

 

ゲロが驚く。

マイナスエネルギーが包み込んでそのまま車の原型を消し飛ばした。

どれもこれも『神』を自称する存在達。

 

「我らは人類の絶滅の為に組んだ『三神同盟』、さあ懺悔せよ……」

 

現代でパーティーをしている間。

未来は今まで以上のとてつもない戦いが迫っていた。




相手は原作通りのゴクウブラックとザマスに加えて
ゼノバース1のラスボスのドミグラと本作魔人ブウ編で出てきた邪神アザラの完全版。
トランクスと悟飯は現代+未来で『精神と時の部屋』を2回使用という事で親越えをしています。
老界王神のじっちゃんは漫画版の『超』のように未来では死んでいます。

指摘などありましたらお願いします。

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