とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回は未来編で出せる相手を出しました。
原作に沿っていますが相違点。
ブラックの強さが上がっています。
それ以外には
復活パワー(キビトが原作で使った力)をザマスが使用可能(漫画版の『超』)
あとは漫画版から多少設定は持ってきています。


『命燃やす者』

「だらぁ!!」

 

追いついた俺は魔人ブウと勝負を繰り広げる。

腹部を殴ればカウンターで肘打ち。

魔術で強くはなっているが今の所4を超えているとはいいがたい。

不死身の肉体を武器にして消耗戦に持ち込める。

 

それ以外にも吸収能力とかはありそうだ。

あのチビの状態から体の伸縮はできる。

でも、体格差を埋めるために自分と同格か、もしくは強い奴を吸収することで姿を変える事もできるはず。

そうしたら伸ばしたり縮めたりの時間差が無くなり、さらに矢継ぎ早に攻撃が仕掛けられるようになる。

 

「ヒヒッ!!」

 

地面に蹴りを打ち込んで地中から放つ。

それをバック転でかわす。

すると足をこっち方向へ縮める事で距離を詰める。

しかしその詰めた瞬間、体をかがめて腹部に頭突きをする。

 

「ゴッ……」

 

戦闘経験がない分、身体能力だけで動いている。

獣のような勘がある。

身のこなしも少しずつ修正されてるあたり天才的ですらある。

しかし……

 

「それで負かせるほど俺は甘ちゃんじゃねえ」

 

吸収しようと蠢かせているものをバリアーで防ぎ、消し飛ばす。

再生した瞬間、コアを射抜く。

もごもごと再生をしていくのを見てやはりと確信をする。

 

「あの魔術師の遠隔操作がある以上、完全同時破壊は不可能か」

 

速くなんとかしやがれ。

爺に無駄なことさせてんじゃねえ。

長引いたら腰が痛くなってくんだろうが。

それに息も上がってくる。

こちとら60越えてんだよ。

 

「寄る年波にはさすがにな……」

 

昔だったらこんな奴と何日戦ってもへこたれなかったもんだ。

しかし体力が全盛期より衰えつつある現実。

肩が時折頭より上まで上がらない。

ビキリと音を立てて腰を押さえる羽目になる。

時々遠くのものがぼやけてしまう。

 

「戦士としては引退の時期が来てるのかもな」

 

現役を続行したければ病院行って療養。

もしくは短期決戦限定。

現実味を帯びる未来設計にため息が出る。

 

「まだまだ恩返しをしねえでそれは嫌なもんだ」

 

指先をちょいちょいとやって相手を挑発する。

あっという間に乗ってきて突撃をしてくる。

 

「甘いな」

 

それに合わせて『リベリオン・グングニール』で突きさす。

コアを突き刺してからの爆散。

包み込んでいないから再生はできる。

しかしそれでもこいつの足は止まる。

 

「速くあの魔術師との決着をつけやがれ」

 

愚痴を言う様にあいつに向けて呟く。

あの赤髪に負けはしないが魔術は厄介だな。

そんな事を考えていると……

 

「馬鹿垂れが……」

 

手が伸びて魔人ブウという奴のコアを抜き取る。

その影はどこかで見たことがある。

確かこいつは……

 

「この俺の最期の魔術……見せてやる」

 

体が薄く風景に溶け込もうとしている。

これは死を予感させるものだった。

 

「ハアアッ!!」

 

コアを消失させる。

そしてその足取りのままある所に向かおうとしていた。

 

「お前は何者だ?」

 

その言葉に振り向く男。

目に生気はある。

しかし死期を悟った哀しい目をしていた。

 

「俺の名はサラガドゥラ……消えゆくさだめの魔術師」

 

そう言って瞬間移動をする。

最後に呟くように俺がこの時代の住人でないことを言っていた。

このような事態になったことへの償いなのだろうか。

 

「コアが無くなったらこっちのものだ」

 

もう一度向き直して完全消滅を狙うのだった。

相手の力もしぼんでいる。

あれに強化の要素もあったんだろう。

勝負ありだ。

 

.

.

 

「この時代の人では無い者よ、感謝する」

 

女顔の男の前に瞬間移動をする。

この男はかなり厳しい戦いを強いられていた。

時間稼ぎに精いっぱいで汗まみれ。

ところどころ傷ついている。

それに比べて相手は涼しげな顔でほとんど傷もない。

どうやらドラゴンボールを乱用した時の化身のようだ。

 

「だが……」

 

ドラゴンボールをそこから摘出すればよい。

魔術でこちらに真ん中の奴以外の移動をさせる。

そして邪悪なエネルギーの出所を探る。

 

「アザラの像か……」

 

魔術で引き寄せる。

ドラゴンボールを邪悪龍が取り戻しに来るが……

 

「失せろ」

 

バリアで弾き返す。

それを女顔の男が蹴り飛ばす。

 

「一つだけの龍ならばお前はこの男に及ばん」

 

そう言っていると邪神像の持ち主。

この俺を霞のような状態にさせた男が目の前に現れる。

 

「クロノア様……またの名を時の界王神様に楯突いた男よ」

 

今でもはっきりと覚えている。

俺とお師匠様、そしてクロノア様の三人で戦った男。

当時はすさまじい力ではあったが俺も獅子奮迅の活躍で『時の狭間』に閉じ込めた。

しかし長い時の中で脱出できたようだ。

もしくは時の操作が多く行われてしまったか。

 

「お前が界王神様が死ぬ前に暗黒魔界より邪神像とそれを満たすほどの魔力を奪った」

 

破壊神が亡き後、俺は封印が解けてピエロマスクから戻った。

しかし魔界からは誰の生も感じられない状態。

つまり滅亡させられた。

 

「自前の魔力でもお前に勝てるだろうが死ぬ」

 

そんな中、生命力をつぎ込んでこの現世に来た。

もはやどんな価値も今の世界に見いだせないのならば、そのように仕立て上げた元凶を消すしかあるまい。

 

「お前も俺もとうに時代に取り残された化石、今を生きて戦う者たちに横槍を入れるべきではない」

 

そう言って奴の杖に魔術を飛ばす。

それに気づき杖を振るって無効化する。

 

「はっ!!」

 

その隙に一人の相手をしていた男が顔面に蹴りを見舞う。

実力の高さからしてそれはできる事。

お前の魔術によって強かった者も引き剥がした。

今は俺の手の中で転がっているぜ、いい気味だ。

 

「ぐっ……」

 

そして手から杖を取り落とした時。

最期の魔術を使う。

 

「『フィアー・パンデミック』!!」

 

カラスの羽根を模した気弾が杖を包んでいく。

力を込めると徐々に縮こまる。

そして握り拳を作り、徐々に指を開きながら掌を見せる。

 

「お前の魔術の源は消え去った……」

 

杖がこの世全て、過去や未来どういった世界からも消えた。

お前はもうただ徒手空拳しか頼れない。

 

「くそ……」

 

ドミグラが邪神像を投げる。

するとまるで吸い寄せられるように誰かの手に収まった。

 

「邪神像は誰かに渡ったか……」

 

追いかけたいが足が消えている。

だが自分にできる最低限の事はした。

杖が破壊されたことで奴は魔術を使えない。

邪悪龍も出現させられなくなった。

あとはこの男に託すのみだ。

 

「ククク……お前の負けだな、サラガドゥラ」

 

笑っているがいい。

お前の得意の魔術は無い。

徒手空拳でこの男に勝てるのか?

それは冥府魔道で見れること。

一足先に待っている。

 

「それでも最後に自分の道を貫いた」

 

その言葉を最後に風に混ざる様に俺は飛散した。

 

.

.

 

「ふん!!」

 

未来のサラガドゥラのおかげで超一星龍が戦力を落とした。

この状態ならば戦える。

実際、優勢になってしまい相手はボロボロになっていた。

 

「くっ……」

 

優勢に立たれてしまい困惑している。

何故、邪魔をしに来たのか?

関係ないはずの人間を助けたのか?

それが頭の中を駆け巡っているはずだ。

 

「お前らが下らんことをして怒りを買ったのさ」

 

魔界を閉じたり、界王神様がいなくなってきたら攻め込んだり。

今を生きる人間を消し飛ばすと言われて黙っていられない。

だから立ち上がった。

そんな必死な奴らが助けを求めたら……

 

「義を見てせざるは勇無きなりってわけだ」

 

胸を貫いて最後の一星球を抜き取る。

断末魔をあげることもなく塵へと帰っていった。

そしてドミグラを睨み付ける。

 

「これで復活地獄もなくなった……」

 

次はお前だ。

そう言うように突撃をする。

 

「舐めるなよ!!」

 

あの化け物の形態に変身して肩からぶつかり合う。

衝撃波だけで町のビルが倒壊した。

 

「いくらやっても無駄だ」

 

この戦いで確信できる。

こいつらは神と名乗るが今の俺よりも弱い。

邪神像がなければゴッドになった当初のカカロットに劣っている。

超一星龍が規格外だという事。

魔術による攪乱。

この二つで補強していたにすぎない。

 

「お前が消えて残りはブラックだけになる」

 

それにどうやら……

遠い空にタイムマシンを見つける。

カカロット達も到着だ。

 

「ククク……」

 

何がおかしい?

もうお前が死ぬと分かって気でも触れたか?

 

「まさかお前は、我々にはもう味方が居ないとでも思ったのか?」

 

どういう意味だ?

お前は魔術も使えない。

ブウも倒された。

アザラの復活があっても俺が倒せる。

 

「いずれ分かる事だ……」

 

そうかよ。

だったらこの目で確かめるのみ。

 

「消えてゆけ」

 

『』を喰らわせる。

灼熱に包まれて塵一つ残さず消える。

だがその中から小さな球が浮遊する。

それを目の前で奪っていく相手。

 

「お前は何者だ?」

 

黄緑色の男。

どうやらドミグラが言っていた援軍のようだが……。

 

「無礼な物言いをするな、人間如きが」

 

有無を言わさず気弾を放ってくる。

この物言い、界王神か?

しかし第何宇宙の界王神だろう。

それさえわかれば破壊神にも話が通る。

 

「喰らわないぞ」

 

気弾を弾き返して腹を貫く。

力を込めて殺意を漲らせた結果。

しかしその俺の腕を掴む。

まるで痛みすら感じてないような所作。

無表情が恐ろしさを感じさせる。

 

「神に触れる不敬を償え」

 

そう言ってくるから俺は腕を引っこ抜き、地面に叩きつけようとする。

そうしようとしたら目の前で消え去った。

瞬間移動を持っている奴なのかまた術なのか、今回の奴らは面倒だな。

それと同時に悟飯と未来の俺、バーダックさんが来る。

 

「父さんたちがブラックと今やっています」

 

どうやら四身の拳や攪乱戦法のせいでとどめを刺せず、時間だけが過ぎていた。

時間の感覚を奪うような空の色。

気を抜けない状態。

そのせいで一度戻ってどれだけの時間が過ぎていたのだろうかもわかっていない。

 

「助っ人のおかげでブウとドミグラは無くなった」

 

しかし邪神の力の源は残っている。

それをブラックかあの黄緑の奴が持っている。

 

「実は……」

 

邪神像を持っている敵の援軍について言う。

するとカカロット達の声が聞こえた。

どうやらあの黄緑の肌のやつの名前はザマス。

 

「奴は不死身だ」

 

さっきのわずかなやり取りでの確信。

ブウとは違う。

細胞が塵に変える事もない。

俺の灼熱もバーダックさんの技も。

きっと俺たちの時代のサラガドゥラの魔術も。

 

「対抗策はありますか?」

 

無いとは言えない。

だが一度現代に戻らないといけない。

ただこれで唯一分かったことがある。

その宇宙の破壊神は消えてはいないという事。

その破壊神に助力を願う。

第七宇宙という自分たちの宇宙ではないところで暴れている。

それを見過ごす事は無いだろう。

 

「しかし不死身の奴と生死の境から復活するたびに強くなっていくサイヤ人のコンビ……」

 

邪神像の力をザマスとやらが完全に吸収したのだろう。

邪神像を踏み砕きさらなる力を上昇させる。

さらに付け加えるように覚醒した超サイヤ人ロゼというブラックの新形態。

そしてそれと同格とも言うべき不死身。

 

「時間稼ぎはまた俺の役目か」

 

そう言って歩き出す。

今回戻るのはバーダックさん、ベジータ、カカロット。

残るのは俺と悟飯、トランクス、未来の俺。

 

「いい加減お前らのくだらない事に巻き込むんじゃねえ」

 

ザマスという界王神を殴る。

ブラックは蹴り飛ばす。

 

「何故、界王神ともいう輩が俺達人間に危害を加える?」

 

するとトランクスと悟飯、未来の俺を見る。

どうやらそう言った事が関係するのか。

 

「過去を変えてきたこいつらの罪の重さがわかるか?」

 

俺はそれを耳をほじって聞き流す。

だって質問に対して質問で返しているんだもの。

 

「でもやむを得ない事情なんだとしたらそれを寛容に受け流すのも神の在り方だ」

 

こいつらがそれを言い出したらここで死ぬべきではないという人間の不慮の事故すら受け止めないといけない。

悪でもない、落ち度のない人間の理不尽な死。

時間を変えてまで裁きともいうものを覆したいと願う。

それがいけない事なのだろうか。

それに……

 

「お前らもこっちの時代に飛んできたりしているからな」

 

ゴクウブラックも不手際とはいえ俺たちの時代に飛んできた。

すると薄笑いを浮かべる。

 

「神の行為は肯定される、そして貴様ら人間が行う事は罪だ」

 

そう断じて俺に攻撃を仕掛ける。

なんという自分勝手な暴論だ。

 

「じゃあ、この世で最も恐ろしい罪に手を染めようじゃねえか」

 

超フルパワー超サイヤ人4になる。

サイヤパワーを受ける事で戦いはできる。

限界は突破してはいない。

だが問題もない。

 

「俺も良識がある神が相手ならばこんなこと思わないぜ……」

 

そう言いながらザマスたちを指さす。

そして本来なら決して口にしない大それた言葉を発する。

 

「神様をこの手で殺してしまおうなんてよ!!」

 

ゴクウブラックを殴り飛ばす。

そして振り向くこともないままザマスへ裏拳。

 

「うぐっ……」

 

ゴクウブラックを掴んでザマスへ放り投げる。

そして二人ごと貫くように照準を合わせる。

 

「『魔貫光殺法』!!」

 

貫通性のある技。

避けてしまえばザマスが。

避けないと二人が。

どうやってかいくぐる?

 

「甘く見るなよ!!」

 

片手で受け止めるブラック。

だがそれこそ狙い目。

ザマスの頭部へ剣のように見立てた腕を突き刺す。

 

「頭からやられては流石のお前もどうしようもない!!」

 

ぐぐぐと頭に深々と刺さっていく。

しかし……

 

「どうかしたか?」

 

グイっと腕を掴み引き抜く。

無傷になっている。

ここまで不死身となると……

 

「これならどうだ!!」

 

逆の腕で首を切り落とす。

だがそれも……

 

「無駄な真似をするとはな、哀しい人類よ」

 

頭の方が喋り、そのままくっつけると治っていく。

まるで粘土みたいだな。

千切れてもくっつければいいなんてよ。

 

「フンッ!!」

 

後ろから襲い掛かろうとしていたブラックにローリングソバットで一撃を加える。

その一撃は効いたのかくの字に曲がる。

 

「隙が無いとはな……」

 

腹を押さえるブラック。

綺麗に懐へ潜り込むのは流石だけどな。

 

「言ったはずだぜ、お前らを殺すつもりで戦うってな」

 

理解なんてしあえない相手。

ならばこの拳でどちらが正しいか決めるしかない。

たとえその結果や過程がどんなに苦しく悲しい事でも。

守るべき存在の正しさの為に。

前を向かねばならない。

 

「ハァァアアアア……」

 

だからこそ気を引き締めてザマスとブラックを睨む。

その雰囲気に呑まれでもしたのか、じりと後ろに一歩引く。

歯をガチリと鳴らす。

そして筋肉の隆起でミチミチと服が音を立てる。

次の瞬間……

 

「ぬおっ!?」

「ぐっ!!」

 

ザマスとブラックを地面に拳で叩きつけていた。

最高に力を引き出せている。

その確信と共に……

 

「ウォオオオオオオオ!!」

 

普段では決して行わない。

相手に向かって吠え猛っていた。




未来サラガドゥラはもはや死ぬ寸前での復讐劇です。
その結果、ドミグラ撃破に貢献+ブウ撃破に貢献+超一星龍の再生不可能と目覚ましい結果を残しました。
次回以降はザマスとブラックと戦います。

何か指摘などありましたらお願いします。

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