とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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野球回を事細かにやってみました。
超の時のようにヤムチャがおいしい所を持っていくように調整しました。


『スポーツマンシップ』

俺達は今9人ずつで向かい合っている。

事の発端はシャンパ様からのスポーツの対決。

それで両宇宙合わせて18名。

急遽、面子をそろえたのだ。

ヒットとフロストは無理でも、シャンパ様が出るらしい。

 

メンバーはこっちが……

孫悟飯、ピッコロ、ヤムチャ、クリリン、スパーニ、カカロット、トランクス、ピオーネ、そこに俺が入る。

あちらが……

キャベ、ベジータ、カリフラ、ボタモ、マゲッタ、悟天、ブロリー、バーダックさん、シャンパ様。

 

「ちなみに野球のルールを知っている奴は?」

 

ヤムチャが聞いてくる。

俺達は世間の為に、テレビとか見てたから知っている。

ラディッツさんや、ブロリーも同様。

そして簡易な説明をして散らばる。

投手は俺。

捕手がピオーネだ。

一塁手、カカロット。

二塁手、悟飯。

遊撃手、ピッコロ。

三塁手、スパーニ。

中堅手、クリリン。

右翼手、トランクス。

左翼手、ヤムチャ。

 

「プレイボール!!」

 

体を極限まで捻って……

竜巻のように唸りをあげる。

そのエネルギーを足先から投げる球の指先に伝達。

瞬く間にミットに吸い込まれていかにも重い音を立てていた。

超サイヤ人抜きの真っ向勝負。

 

「だりゃあ!!」

 

ボタモ。

キャベ。

マゲッタ。

三人とも三球三振でチェンジ。

 

シャンパ様が地団太踏んでいる。

悪いが勝負となったら負ける気はないぜ。

 

「クリリン……お前は三振に仕留めてやる」

 

向こうのピッチャーはブロリーだ。

捕手がキャベ。

一塁手、悟天。

二塁手、カリフラ。

遊撃手、ボタモ。

三塁手、バーダックさん。

中堅手、ベジータ。

右翼手、シャンパ様。

左翼手、マゲッタ。

 

まさかの予告三振。

すると振りかぶって、一気に足を天に向ける。

そしてその足を振り下ろし、その勢いのままボールを投げる。

まるでマサカリを思わせる投げ方だ。

こちらも重そうな音を立てる。

 

そのまま投球は続き……

クリリン。

トランクス。

スパーニ。

あちらも三人を三球三振で仕留める。

嫁相手でも容赦がない。

 

変わって相手の攻撃。

バーダックさんが相手になる。

 

「フッ!!」

 

再度、体を極限に捻って球を投じる。

唸りをあげるその球を見て力強くスイングをしてきた。

 

「どりゃあ!!」

 

気合一閃といった感じだ。

いきなり内野のファール部分まで飛ばしている。

こうなったら……

 

「ハアッ!!」

 

投げる際に腕自体に捻りを加える。

こうすることで……

 

「ちっ!!」

 

相手の体の内側、もしくは外側へ変化していく。

対応こそされたがボテボテのピッチャーゴロ。

それをカカロットに送ってアウト。

 

「真っ向勝負で来やがれ!!」

 

ベジータが打席に立って挑発してくる。

じゃあ、お望み通り……

 

「直球だ」

 

握りを見せて放り投げる。

打ってみろと逆に挑発しながら。

 

「ぐっ!?」

 

バットを粉々にしてやった。

打球の方向はトランクスの場所へふらふらと上がっている。

トランクスの目の前で落ちる。

ベジータはアウトかどうかの判断だったため、一塁でストップ。

次の相手はカリフラ。

こいつにも真っ向勝負だ。

 

「シャッ!!」

 

直球を弾き返すがショートのピッコロの目の前。

だがそこで回転があったのかイレギュラーバウンドが起こってしまう。

 

「フンッ!!」

 

体勢は悪くなるが超反応で止める。

そしてセカンドの方向も見ずにバックトスをする。

 

「ピッコロさん、良い送球です」

 

悟飯が受け取ってアウト。

そのままカカロットへ渡してダブルプレー。

 

「くっ……」

 

カリフラが苦い顔をする。

ここから俺達の攻撃。

 

「来てくれよ!!」

 

カカロットが構える。

その言葉を意にも介さずマサカリのようなフォームで投じてくる。

それを見切っていたのか、カカロットは当てる。

 

「ぐっ!?」

 

カカロットが顔を歪めてしまう。

バットが粉々になって目の前にボールがボテボテと転がっている。

それを悟天に送りアウト。

 

「ウォオオオオオ!!」

 

次の打者は俺。

俺が打席に立った途端、雄たけびを上げて投げてくる。

青髪の状態で雄たけびを上げると新鮮だな。

 

「ぐっ!?」

 

芯で当てて打球を飛ばす。

投手の横だ。

すると……

 

「こんなもの!!」

 

ブロリーが手を伸ばして取る。

痺れてもいない。

ニヤリと笑ってこっちを見る。

見事な捕球でアウトになった。

 

次のピオーネは頭を越すかと思われる打球を打つ。

浅く握りこんで落ちたにもかかわらず対応していた。

しかし……

 

「甘い!!」

 

ジャンプしてキャッチをする。

これでヒット0本とはな。

気合を入れていくか。

 

相手の打者はブロリー。

力勝負でねじ伏せる。

 

「ハッ!!」

 

投げた瞬間、目を疑う光景があった。

足を投球の時と同じように上げ切って、打つときに振り下ろしその勢いのままひっぱたく。

 

「残念!!」

 

打球はスパーニのグローブに見事に収まってアウト。

悔しそうな顔ですごすごとベンチに戻る。

悟天は三振。

そしてシャンパ様が打席に立つ。

あの腹ならば……

 

「ドリャ!!」

 

内側に来たものは対応できない。

そう思っていたが……

 

「俺には止まって見えるぜ!!」

 

ギリギリのところまで一瞬のうちに体をスライドさせて打つ。

外側の対応は難しくなるが内側には効果覿面だ。

大きく打球は上がる。

 

「流石は破壊神様だな……」

 

外野までぐんぐんと伸びている。

それをヤムチャが追いかける。

 

「だが、俺の所に来たのが運の尽きだぜ!!」

 

フェンスを登って飛びつきボールを捕球した。

ホームランをもぎ取る形となる。

 

「チックショー!!」

 

バットを叩きつけて悔しがる。

これでなんとか全員の一回目の攻撃を抑えきった。

このピリピリとした感覚。

戦闘とは違うが神経を集中させたことを考えるとなかなかの刺激だ。

 

「この地球のハイスクールの奴らは凄いんだな」

 

皆がこんな戦いを繰り広げて、夏に真紅、春に紫紺の優勝旗を目指す。

自分たちは戦闘が好きだが、彼らのように戦うことはできない。

現にこの攻撃を終えるまでに息を切らしてしまいそうだった。

 

ブロリーも投げ続ける。

こちらの打者は悟飯。

 

「むっ……」

 

腕の振りこそ同じ。

しかし緩やかな球。

ブロリーが投げたのは何なのか。

悟飯は当てるもののカリフラの前に転がってアウト。

ピッコロは直球を外野に運ぶも、ベジータが思いもよらぬダイビングキャッチ。

トランクスも拍手をする美技でアウトにする。

そしてこちらの9人目の打者はヤムチャ。

 

「野球のイロハを叩き込んでやるぜ!!」

 

武道家兼野球選手。

その肩書きに恥じず完璧にとらえる。

バットがへし折れてすらいない。

 

「さっきのお返しだ!!」

 

大きくとんだ打球を腹を揺らしながら追いかけるシャンパ様。

フェンスによじ登る。

 

「てい!!」

 

跳躍をして球をグローブに納める。

そして着地を決めてヴァドスさんとウイスさんに見せるように掲げる。

 

「破壊神は伊達じゃねえし」

 

アウトの宣告。

塁に出る事すらできない。

ヤムチャ以外は素人でありながら身のこなしにものを言わせた美技合戦。

 

ダブルプレーにした飛びつきからのバックトスというコンビプレーをやったピッコロと悟飯。

シャンパ様のフェンスをよじ登った今のスパイダーキャッチ。

ブロリーはジャンピングキャッチとベアハンドキャッチ。

ベジータのダイビングキャッチ。

 

しかしここから動く。

皆、目が慣れたのかいい打球は飛ぶ。

見極めも上手くなっていく。

ホームランは出ない、点は相変わらず取れない。

それでもほとんどがフルスイング。

バットに当たれば全力疾走。

怪我も辞さないヘッドスライディング。

当然、体力は削られていった。

 

「ふぅ……」

 

汗をぬぐいながら球を投げる。

ランナーは居る。

打たれたら得点だ。

 

「シャア!!」

 

雄たけびを上げて腕を一振り。

バットを砕いてミットに球が収まる。

三振でこのピンチを切り抜けた。

 

「後は頼んだぞ……」

 

ピッコロ。

ヤムチャ。

クリリン。

 

投手の交代もなく俺とブロリーはやりあった。

これで無理ならきっと引き分けぐらいしか道はない。

打てても飛ぶところすべてで美技の連発。

打撃で貢献出来た奴と出来ていないやつの明暗ははっきりとしていた。

 

「フンッ!!」

 

ショートのボタモの前へボテボテのゴロを転がすピッコロ。

腕を伸ばし、ヘッドスライディング。

しかし間一髪でアウト。

ブロリーも感謝の言葉を贈る。

清々しいほどのスポーツマンの姿があった。

 

「負けるものか!!」

 

気骨に影響なし。

まだやれると全力で投げ込む。

だがその気合をかき消すようにヤムチャがバットを振っていく。

 

「俺の方がお前よりも優れたプレイヤーなんだよ!!」

 

そう言って思い切りのいいフルスイングでボールを打つ。

打球は高々と舞い上がる。

 

「くっ!?」

「シュポ!?」

 

取ろうとするも互いにどちらが取るのかを考えてしまい、反応が遅れる。

その理由は丁度、マゲッタとベジータの中間を割る打球だったからだ。

あえて一塁との距離が近い打席に入ったこと。

そして果敢にも打った瞬間に捕球の可否を問わず走っていったこと。

それによってベジータが捕球して振りかぶるころにはすでに三塁まで到達していた。

 

「行け、ヤムチャ!!」

 

先ほどアウトになったピッコロが腕を回して突っ込めと合図をする。

それに対してヤムチャは不敵な笑みを浮かべながら……

 

「元からそのつもりだぜ!!」

 

最短のルートを渡ってホームベースへ向かう。

だが易々と許すつもりはない。

 

「行かせるかぁ!!」

 

ベジータから大砲のような送球が送られる。

殆どベジータの送球が到達する時間とホームベースに到達に差は無いだろう。

 

「負けませんよ!!」

 

予想通り、キャベのタッチとほぼ同時のタイミング、ヤムチャはホームベースを抱き枕にするように滑り込んだ。

全員がウイスさんの判定を心待ちにする。

どちらが速かったのか。

流石にシャンパ様が破壊神でも疲れできわどいタイミングの判定は難しい。

 

「……セーフ!!」

 

腕を横に広げる。

この瞬間、勝利が確定した。

9回裏、ヤムチャによるランニングホームラン。

カカロットとクリリンにもみくちゃにされる。

キャベも手を差し出していた。

シャンパ様も清々しい顔で敗北を認めていた。

 

「すまねえな、ブロリー」

 

バーダックさんがブロリーに謝る。

打ててたら勝てたのに……と呟いて。

ベジータも悔しそうな顔をしている。

そんなベジータにトランクスがタオルを渡す。

 

「パパ、お疲れ、凄くかっこよかったよ」

 

まんざらでもない様子で頭を撫でていた。

束の間の休息。

第六宇宙との親睦会は楽しい結末で終わった。




経験則は武術でもスポーツでも重要という事ですね。
ちなみにブロリーはマサカリ投法、ガタバルはトルネード投法で投げております。

次回はバトル回の予定です。
とにかくどういう風に『力の大会』の導入部を仕上げるか思案しております。

指摘などありましたらお願いします。

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