東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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第90話!

今回はこの章のエピローグ的なお話です。

「この章も終りを迎えたな」

そうですね。それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


第90話

noside

 

「本当にもう行っちゃうのお兄様?」

 

執事服から私服に着替えたミコトに対してフランが尋ねた。

 

「ああ。霊夢には今日帰るって言ってあったしな」

 

フランの問いかけに答えるミコトの口調は執事としてのものではなく普段のそれであった。相変わらず切り替えが早い。

 

「だとしてももう少し休んでいったほうが・・・・・あんなことがあったばかりなんだから疲れているでしょ?」

 

「疲れてはいないさ。それに早く帰らないと霊夢に怒られちゃうからさ」

 

「そっか・・・・」

 

ミコトの返答を聞いて落ち込むフラン。ミコトともっと一緒に居たいと思っていたのであろう。

 

「・・・・・ねえミコト」

 

今までずっと沈黙を貫いていたレミリアが口を開く。

 

「ん?なんだレミリア?」

 

「今のミコトは・・・・もう執事じゃないのよね」

 

「まあな。それがどうかしたのか」

 

「もしも・・・・・もしもミコトが執事じゃない時に紅い月が昇っていたら・・・・あなたはどうしていた?」

 

「お姉様?一体なにを?」

 

「それでもあなたは・・・・私を助けてくれていた?それとも・・・・」

 

レミリアの顔は不安で染まっていた。ミコトが自分とフランを助けてくれたのはミコトが執事だから。でも今のミコトは執事ではないしそもそも執事でない時間の方が長いのだ。

 

だからレミリアは・・・・・執事でなければミコトは自分とフランの事を助けてくれなかったのではないかと考えているのだ。

 

「お姉様・・・・」

 

フランはレミリアの意図することの意味を理解した。そしてレミリアと同じように不安そうな表情でミコトを見つめる。

 

「・・・・はあ、何を聞くかと思えば。そんなの・・・・・」

 

ポンッ

 

「「え?」」

 

ミコトはレミリアとフランの頭に手を乗せる。

 

そして・・・・

 

「助けるに決まってるだろ」

 

穏やかで優しい声色で二人にそう言った。

 

「執事としての俺は・・・・・忠誠心から二人を助けようと思った。そして執事ではない普段の俺ならば・・・・・助けたいから助けようと思うだろうな」

 

「ミコト・・・・」

 

「お兄様・・・・」

 

「つまりは・・・・執事であろうとそうではなからおう俺のやる事は変わらないということだ。俺にとって・・・・レミリアもフランも大切な存在だからな」

 

ミコトは二人に頬笑みを浮かべて見せた。

 

「うっ・・・・」

 

「お兄様ぁ・・・・」

 

「って、おいおい。なんで泣いてるんだよ?」

 

急に泣き出したレミリアとフランをあやすようにミコトは二人の背に手を回す。

 

「ごめんなさい。でも・・・・・嬉しかったから」

 

「お兄様がそう思ってくれて・・・・・嬉しくて」

 

「だからって泣くことないだろ。全く仕方がないな」

 

ミコトは二人の涙をハンカチで拭き取った。

 

「ねえミコト」

 

「なんだレミリア?」

 

「また・・・・紅い月が昇るときは・・・・私たちを助けてくれる?」

 

「・・・・ああ。当たり前だろ。たとえその時執事であっても執事でなくても・・・・俺は二人を助けるよ。約束する」

 

「なら・・・・約束しよ?」

 

フランは小指を差し出してきた。

 

「指きりか・・・・わかった」

 

「お姉様も・・・・ね」

 

「え、ええ」

 

レミリアも小指を差し出してきた。

 

「それじゃあ・・・・」

 

ミコトは自信の両手の小指をレミリアとフランの小指と絡ませる。

 

「「「指きりげんまん嘘付いたら針千本飲~ます。指きった」」」

 

そして約束を交わし、小指は離れる。

 

「・・・・約束守ってね?」

 

「破ったりしたら・・・・承知しないから」

 

「ああ。ちゃんと守るさ。それじゃ俺はそろそろ帰るな。いい加減霊夢が待ちくたびれてるだろうから」

 

「ええ。またねミコト」

 

「またねお兄様!」

 

「ああ。またな」

 

挨拶を交わして、ミコトは部屋から出て行った。

 

「・・・・ねえお姉様」

 

「なにフラン?」

 

「お兄様は・・・・本当に優しいね」

 

「・・・・そうね」

 

レミリアとフランは互いに自分の小指を見つめている。

 

「お姉様。お姉様は・・・・ミコトのことが好き?」

 

「・・・ええ。私はミコトが好きで・・・・ミコトを愛してるわ」

 

「・・・・私も。私のお兄様を愛してる!」

 

二人の吸血鬼はミコトを愛する。

 

その想いは・・・・・未来永劫変わることはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらミコト。今から帰るの?」

 

「そうだが・・・・何をやっているんだ咲夜?」

 

ミコトが紅魔館の門にくるとそこには・・・・・正座をしている美鈴と美鈴を見下ろす咲夜が居た。

 

「見ての通りよ。中国ったらまた門番の仕事をサボっていたから注意していたの」

 

「咲夜さ~ん・・・・もう許してくださいよ~。というよりなんで呼び方が戻ているんですか~?」

 

清々しいほどの黒笑を浮かべる咲夜に美鈴は涙を流しながら訴えかけた。

 

その情けない姿からは昨夜の勇姿は微塵たりとも想像できない。

 

「まあ今日くらい大目に見てやれよ。美鈴だって疲れてるんだから」

 

「ミコトさん・・・・」

 

助け舟を出すミコトを美鈴はありがたそうに見つめた。

 

だが・・・・・

 

「それはそれ。これはこれよ」

 

咲夜はキッパリと言い放った。

 

「・・・・そうか(すまない美鈴)」

 

ミコトは心の中で美鈴に謝罪する。

 

「それじゃあ俺はこれで失礼するな」

 

「あ、待ってくださいミコトさん」

 

紅魔館から立ち去ろうとするミコトに美鈴は待ったをかけた。

 

「なんだ?」

 

「ミコトさんは・・・・あのプライスという方のことをどう思いますか?」

 

美鈴は神妙な面持ちでミコトに尋ねる。

 

「・・・・・俺からは只者ではないとしか言えないな。だが・・・・間違いなくかなりの実力者だ。今の俺では勝つのは難しいだろう」

 

「そうですね・・・・」

 

「美鈴はどう思う?」

 

「概ねはミコトさんと同じです。ですが・・・・」

 

「なんだ?」

 

「なんと言いますか・・・・・彼の気は酷く澱んでいたんです。今までに感じたことのない気でした。だから・・・・・・」

 

「・・・・不気味か?」

 

「・・・・はい」

 

「本当にあいつはなんなんだ?」

 

「・・・・・」

 

「?咲夜さん?どうしたんですか?」

 

美鈴は表情を暗くさせながら顔を伏せている咲夜に声をかけた。

 

「・・・・なんでもないわよ」

 

「??そうですか・・・・・」

 

『きゃ~!こわ~い!流石は切り裂き魔さんだね~』

 

(彼女達は私の過去を知っているようだった。おそらくあのプライスという男も・・・一体どうして・・・・)

 

「・・・・まあわからないことを考えても仕方がないだろう。一つ言えることは・・・・・あいつらは俺たちにとって敵だということだけだ」

 

「・・・・そうね。もしもまたお嬢様に仇をなそうというなら・・・・その時は必ず・・・・!」

 

咲夜はギュッと拳を握り締める。

 

「さて、それじゃあ・・・・・説教を再開しましょう美鈴♪」

 

「えっ!?ちょ、咲夜さん・・・それはもう終わったんじゃ・・・・?」

 

「何言ってるのよ・・・・・そんなわけ無いでしょ?」

 

咲夜は美鈴をいい笑顔でどん底に陥れた。

 

「はは・・・あはははははは・・・・」

 

もはや美鈴は笑うしかないようだ。

 

(美鈴・・・・ご愁傷様)

 

美鈴を心の底から哀れむミコト。

 

その時・・・・

 

ズキッ!

 

「!?」

 

ミコトの体に激痛が走る。

 

(そろそろ・・・・時間切れか)

 

「・・・・それじゃあ俺はこれで失礼するな」

 

「ええ。またねミコト」

 

「さようならミコトさん・・・・・」

 

咲夜と美鈴に見送られ、ミコトは博麗神社へ帰っていった。

 

体に走る痛みが、どんどん鋭くなるのを感じながら・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ・・・・・」

 

博麗神社にもどる道中、ミコトは苦しそうにしながら木にもたれかかっていた。

 

「これは・・・・想像以上だな」

 

ミコトは自身の体に走る想像以上の痛みに顔を顰める。

 

「・・・・辛そうねミコト」

 

そんなミコトに声をかける人物が一人・・・・

 

「紫・・・・か」

 

その人物は・・・・紫であった。

 

「それがあのスペルの()()()なのかしら?」

 

「・・・・まあな」

 

「本当にあなたは無茶をするわね・・・・・私のスキマであなたを博麗神社に送ってあげるわ。もう歩くのも辛いでしょ?」

 

「・・・・すまない。助かる」

 

「気にしなくてもいいわ。あなたのおかげで私も敵のことを知ることができたのだから。ただ・・・・・霊夢にはもうある程度事情を話してあるわ。覚悟はしておきなさい」

 

「ああ・・・・わかった」

 

紫はスキマを出現させ、ミコトを博麗神社へと送った。

 

「・・・・プライス」

 

紫は表情を憎しみに染めながら、プライスの名を呟く。

 

「誰であろうと・・・・私の幻想郷に仇をなそうというのなら私は・・・・!」

 

紫は幻想郷の敵であるプライスに対して憎しみを募らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫から話は聞いていたけど全く・・・・本当にあんたは・・・」

 

霊夢は布団の上で悶え苦しむミコトを辛そうに見つめた。

 

「すま・・・ない。霊・・夢」

 

ミコトは苦しそうにしながら霊夢にたどたどしく謝罪の言葉を述べる。

 

「謝るくらいならはじめからしないでよ・・・・馬鹿」

 

「・・・・ごめん」

 

「・・・・もういいから喋らないで。話すのも辛いんでしょ?」

 

霊夢の言うとおりであった。もはやミコトは言葉を口にするだけでも苦しくなるほどの痛みが全身を襲っている状態なのだ。

 

 

 

ミコトがこのような状態になっているのは・・・・『命猛る神楽舞(いのちふるかぐらのまい)』の副作用であった。

 

命猛る神楽舞(いのちふるかぐらのまい)』の生命活性の力はいわばミコトの命の前借り。発動中はあらゆる傷、疲弊を癒すという強力な効果を得る代わりにあまりにも大きすぎるデメリットを伴っていた。

 

それが現在ミコトの全身を襲う死んだ方がマシだと思わせるほどの激痛である。

 

この激痛はこの先1週間はミコトを蝕む。更にたとえどんなに死にたいと思うほどに苦しんだとしても、死ぬことさえ許されない。

 

非常に重く、苛烈なデメリットだ、

 

 

「霊・・・夢。頼みが・・・・ある」

 

ミコトは余計に苦しむことになると理解しつつも霊夢に語りかけた。

 

「何?」

 

「頼むから・・・レミリアとフランにはこのことは言わないでくれ。このことを知ったらあの二人・・・・責任感じるだろうから。だから・・・・」

 

「・・・・わかってるわよそれくらい。心配しなくてもレミリア達どころか誰にも言わないわ。あんたの気持ちは・・・・私が一番よくわかってるんだから」

 

「ありが・・とう」

 

「その代わり、この埋め合わせは後でちゃんとしてもらうから覚悟しなさい」

 

「了・・・・解」

 

「わかったらもうじっとしてなさい。その方が・・・・楽でしょ」

 

「ああ・・・・」

 

霊夢に言われてミコトは目を閉じた。激痛から眠ることはできないであろうが、その方がまだ幾分かは楽なのであろう。

 

「本当に・・・・馬鹿なんだから」

 

そんなミコトを見て、霊夢は静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、本当にミコトくんってば厄介だね」

 

幻想郷でも現代でもない空間にて、プライスは悪態をつきながらもどこか楽しそうに笑っていた。

 

「それに紅美鈴も・・・・思ったよりもずっと強かったようだ。まさかるーちゃんとはーちゃんがあそこまで手が出ないだなんて思わなかったよ」

 

「ごめんなさい~」

 

「別に謝る必要なんてないよ。君たちはよくやってくれたんだからさ」

 

「でも・・・・私たちがもっと上手くやってれば()()()()()も・・・」

 

「・・・あ?」

 

ガシッ!

 

突然、プライスは瑠璃の首を強く締めた。

 

「あ・・・が・・・・!」

 

「瑠璃ちゃん!」

 

苦しそうにする瑠璃を見て玻璃は悲痛の声を上げる。

 

「あのさ~瑠璃ちゃん・・・・僕をそうやって呼ぶなって言ったよね?何度も言ったよね?」

 

プライスは手の力をさらに強めながら言う。その表情は依然笑顔であるにも関わらず・・・・夥しいほどの怒りと憎しみを感じさせた。

 

「ご・・・め・・・マス・・・タ・・・・」

 

「マスター!お願いだから瑠璃ちゃんを許してあげて!もう二度と言わないから!」

 

「・・・・仕方がないな」

 

ドサッ!

 

プライスは瑠璃の首から手を離した。瑠璃の体は崩れるように落ちる。

 

「ゲホッゲホッ!!」

 

「大丈夫瑠璃ちゃん?」

 

「う、うん・・・・大丈夫だよ玻璃ちゃん」

 

苦しそうに咳き込む瑠璃を玻璃は心配そうにいたわった。

 

「・・・・今回は許してあげるけど次はないからね。二人共ちゃんと胸に刻んでおくんだよ?」

 

「「・・・・はい。マスター」」

 

相変わらずの笑顔で・・・・だが脅すように言うプライスの言葉に瑠璃と玻璃は返事を返した。その表情には確かな恐怖が宿っている。

 

「わかればいいよ。それにしても・・・・面白い。本当に面白い世界だよ幻想郷は。ミコトくんや美鈴ちゃん・・・・そして()()()()のバケモノもいるだから!」

 

プライスの笑みがニタリと大きく歪んだ。

 

「これが君が求めた・・・君が望んだ世界なんだね・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫」

 

プライスは愛おしそうに・・・・そして憎らしそうに幻想郷の創造主、紫の名を口にした。

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!!

今回もレミリアさんとフランさんをゲストに呼びました!

「「よろしく」」

はいよろしくお願いします!それでは進めていきましょう!

「この章もようやく終わりか・・・・すげえ肩が凝ったな」

「今回の話以外お兄様ずっと執事だったものね」

「ああ。別に嫌というわけではないのだが・・・・」

「まあ確かに普段とのギャップはあるものね。ミコトよく切り替えできるわね」

仕事とプライベートの区別をしっかりつけているということでしょう。プロですね。

「そんな大それたものではないだろう・・・・」

「それはともかくとして・・・・今回の話ってなんだか私とフランの印象が薄いような気がするわ」

「そうね・・・・やっぱり後半の方がインパクトが・・・・」

まあそのことに関しては本当に申し訳ないです・・・・ですが今後の物語的には重要なことですので。

「まあそれはわかるがな」

「あのプライスって奴・・・・何か紫とワケアリっぽいわね」

「どんな関係なんだろう?」

それは詳しいことは言えませんが・・・・まあ読者の中には察している方もいるでしょうね。

「だろうな。そこまで難しいことではないし」

まあこの話はとりあえずここまでにして次の話にいきましょう。

「そういえば霊夢はミコトの『命猛る神楽舞(いのちふるかぐらのまい)』の副作用を知っているようだったけれどそれはなぜかしら?」

ああ、そのことですが霊夢さんはミコトさんの持っているすべてのスペルカードの効力を知っているからですよ。霊夢さんはミコトさんにとって最も信頼する相手なのでミコトさんは自分のスペルカードのことを教えているんです。

「そうなのお兄様?」

「まあな」

「そう・・・・」

(いいな~霊夢)

(・・・・羨ましいわね霊夢)

さて、それでは最後にお知らせをして締めにしましょう!

「お知らせ?」

ほら、次回からは前から告知していた人気投票の上位3名のお話をしますので。そのことについてです。

「そういえばそうだったわね。それで?上位3位に入ったのって誰なの?」

それはこの3名です!






1位 霊夢
2位 フラン
3位 咲夜



以上です!

「やった!私2位だ!」

「くっ・・・・私は3位までには入れなかったようね」

レミリアさんは5位でしたので・・・残念ながら外れてしまいましたね。

「1位が霊夢で3位が咲夜か・・・・」

原作でも人気は高いですからね。霊夢さんに関しては本作のメインヒロインなので流石といった感じです。

ともかく次回からはこの3人のお話をします!

ただまあ・・・・3人共ミコトさんのヒロインですが必ずしもミコトさんと絡むことになるとは限らないのでその辺りはご了承を。

さて、ここらで締めにしましょう。

「今回は次章予告はしないの?」

ええ。ちょっと事情がありますので。

それでは・・・・・





「「「「次回もまたきてくれ(きなさい)(きてね)(きてください)!!」」」」
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