東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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今回は二周年企画投票の原作キャラ部門1位となった咲夜さんメインのお話です!

「今回で咲夜の過去が少しわかるな」

「結構重いよね・・・・」

まあそれはね・・・・・

それでは本編にいきましょう。

「本編どうぞ」


二周年企画~Color of Knife~

月夜の下、少女はナイフを振るう

 

振るうたびに溢れ出すは紅

 

世界を染めるかの如く辺りは紅で穢されてゆく

 

そこに目的などはなく、意味もなく、理由さえもない

 

少女は切り裂き続けた

 

ただひたすらに・・・・・切り裂き続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館の中庭にて、ミコトと咲夜が手合わせをしていた。

 

右手で白銀のナイフを振るう咲夜に対して、ミコトはクラマとシラマを変化させた黒と白のナイフを両手に持って斬撃をさばいていた。

 

「やるわねミコト」

 

「それはこちらのセリフだ。流石は咲夜だな」

 

互いに笑顔を浮かべながら常人では到底捉えきれない速度で繰り広げられる剣戟。それはもはや舞のように思わせるほどだ。

 

「それじゃあそろそろ・・・・・決めさせてもらうわ!」

 

一度バックステップをとったあと、勢いをつけて咲夜はミコトに迫ってナイフを振りかざした。

 

それをガードするためにナイフをクロスさせるミコト。

 

だが・・・・

 

「甘いわよ」

 

「グッ・・・・」

 

咲夜はすぐさま空いていたはずの左手にナイフを持ち、ミコトのガードを突き崩した。

 

そうしてミコトにできた一瞬の隙を見逃すはずもなく・・・・ナイフがミコトの首筋に当てられた。

 

「私の勝ちよ」

 

「・・・・だな」

 

勝敗が決し、ナイフをしまう両者。

 

「どうやらナイフ限定の戦闘ではまだ私のほうが上のようね」

 

「ああ。やはり熟練度の差が出るな」

 

ミコトの戦闘スタイルは多種多様の武器を状況に合わせて使い分けるというものだ。器用といえば聞こえはいいがその実一つの武器での戦闘に特化しているわけではない為、今回のように武器を限定した場合はそれを専門とする者には一歩劣ってしまうのだ。

 

「ミコトはまだナイフのリーチに慣れていないという印象を受けたわ。ナイフは武器の中で小さいから小回りや小技が重要になってくる。だからこそリーチを感覚で掴めていなければ力を発揮できないのよ」

 

「そうなんだよな・・・・・・ナイフはあまり多用するわけじゃないからどうにもまだ掴めないんだよな」

 

「まあ私でよければ暇なときならいつでも付き合ってあげるから精進しなさい」

 

「ありがとう咲夜。それにしても・・・・・今の話を聞いて改めて咲夜は凄いと思うよ」

 

響はうんうんと頷きながら言う。

 

「私が・・・・・凄い?」

 

「ああ。咲夜はナイフをまるで自分の体の一部のように的確に操っているからさ。あのレベルに至るのはそれこそナイフの扱いに深くまで精通していなければならないだろうし・・・・・本当に凄いな咲夜は」

 

素直な気持ち咲夜の技量を賞賛するミコト。

 

確かに咲夜のナイフ捌きは凄まじいの一言だ。間違いなくナイフの扱いにかけては幻想郷において咲夜の右に出るものはいないであろう。

 

だが・・・・・

 

「・・・・・・いいえ、私は凄くなんてないわ。だって私は・・・・・」

 

咲夜は自分のナイフ捌きを誇ってなどいなかった。忌々しげな表情を浮かべながら、咲夜は顔を伏せる。

 

「・・・・咲夜?どうした?」

 

様子のおかしい咲夜に語りかけるミコト。しばし沈黙が流れ・・・・・咲夜はゆっくりと口を開く。

 

「・・・・・罪」

 

「え?」

 

「私にとってナイフは私の罪の象徴・・・・・私の咎そのものなのよ」

 

咲夜は取り出したナイフを見つめながら言う。

 

「ナイフが・・・・・咲夜の咎?それって一体・・・・・」

 

「・・・・・ミコト、あなたは『ジャック・ザ・リッパー』という名を聞いたことはあるかしら?」

 

「ああ。確か何人もの女性を切り殺した猟奇殺人犯・・・・・まさか・・・・?」

 

「ええ・・・・・私がそのジャック・ザ・リッパーよ」

 

「ッ!?」

 

咲夜の口から語られる事実。それはミコトにとってあまりにも衝撃的な内容であった。

 

無理もないだろう。咲夜が外の世界で有名な殺人者だと言うのだから。

 

「私はこの手で・・・・・ナイフで多くの人を切り殺した。何人も何人も何人も・・・・・月夜の下引き裂き、彼女たちを紅に染めていったの」

 

「・・・・・なんでそんなことを?」

 

「・・・・・わからないわ。私自身どうしてそんなことをしたのかわからないの。まるで決められた作業をこなすかのように感情なく人々を切り裂き続けていた」

 

ただひたすらに切り裂き続けた記憶が咲夜の脳裏によぎる。死にたくないと泣き叫び、殺さないでと命乞いをする者たちを一切の慈悲を与えることなく切り裂き、紅に染めた。

 

咲夜にとって、これ以上ないほどに忌々しい記憶。

 

「咲夜・・・・・・」

 

「私がお嬢様に出会ったのはその時だったわ。偶然ターゲットにしたお嬢様にいつものようにナイフを振りかざした。まあ当然返り討ちにあったのだけれどね。流石に殺されると覚悟していたけれど・・・・・お嬢様は私のことを気に入ったらしく、連れて行かれたわ」

 

「・・・・・それで従者になったのか」

 

「ええ。どうせ殺されるはずだったのだからと従ったのよ。初めは仕方なしにだったけれど・・・・今ではお嬢様に感謝しているわ。もしもあの時お嬢様に出会わなければ私はさらなる犠牲者を出してしまっていたでしょうから」

 

ナイフを翳す咲夜。咲夜の目には白銀のそれが血の紅に染まっているように見えた。

 

「・・・・・ミコト、あなたはこんな私を軽蔑するかしら?罪のない人々を切り裂いたにも関わらずのうのうと生きている私を・・・・・あなたは軽蔑する?」

 

咲夜は今にも泣き出しそうな儚い表情を浮かべ、それでも真っ直ぐにミコトを見据えながら尋ねた。

 

ミコトに軽蔑されることは、ミコトに拒絶されることはミコトを愛する咲夜にとっては何にも勝る絶望。それでも咲夜はミコトに話した。ミコトを愛する者として・・・・・・自らの咎を知ってもらわなければならないと思ったからだ。

 

心に恐怖を抱きながらミコトの返事待つ咲夜。

 

しかし・・・・・ミコトの返答は咲夜の予想したものとは違っていた。

 

「・・・・・しないさ。咲夜を軽蔑なんてしない・・・・・・する理由がない」

 

ミコトは優しい微笑みを浮かべ、咲夜の頭を撫でながら告げた。

 

「どう・・・・・して?どうしてあなたは・・・・?」

 

「完全に俺の勝手な考えなんだけど・・・・咲夜がジャック・ザ・リッパーであったことは事実であっても俺にとっての咲夜はそうじゃないから」

 

「え・・・・?」

 

「完璧で瀟洒、そして誰よりも忠誠心が強い紅魔館のメイドで、俺の大切な仲間・・・・・それが俺にとっての咲夜だ。過去がどんなものであったとしてもそんな咲夜を軽蔑する理由なんてないさ」

 

「でも・・・・私は決して許されないことをして・・・・」

 

「確かにジャック・ザ・リッパーのしたことは重罪だよ。でも・・・・・今ここにいる咲夜がその罪を背負いはしても、それに囚われて必要以上に苦しむ必要はないさ。少なくとも・・・・・俺はそう思うよ」

 

「ミコト・・・・・」

 

「それに・・・・・このナイフだってそうだ」

 

ミコトはナイフを持つ咲夜の手を自らの手で包み込む。

 

「かつて人々を切り裂いてきた凶器だけど・・・・・・今は大切な人達を守るために振るわれる咲夜の武器だ。だからさ・・・・・誇れとまでは言わなけどこのナイフに自信を持ってもいいんじゃないか?」

 

「このナイフに自信を・・・・・」

 

「なんて・・・・・偉そうなこと言ってるけど、結局は咲夜の気の持ちようだ。どうするか・・・・・・どうあるべきかは咲夜が決めること。咲夜・・・・・・君はどうありたい思う?」

 

「私が・・・・・どうありたいか」

 

ミコトに問われ、咲夜は目を閉じて考え込む。

 

思い返されるのはジャック・ザ・リッパーとしての罪の記憶と、紅魔館で働いてきた従者としての記憶。

 

咲夜の過去と現在の記憶・・・・・二つは違うものであるが切り離されているわけではない、咲夜を形作る要素。

 

しばらくして目を開けた咲夜が・・・・・答えを口にする。

 

「私は・・・・・忘れない。犯してしまった罪を。殺してきた人間達のことを。何があっても忘れずに・・・・・・これから一生背負っていく。でも・・・・・それでも今の私を変えるつもりはない。今までどおり紅魔館のメイドとして在り続け・・・・・・このナイフでお嬢様達を守ってみせるわ」

 

それが咲夜の選択であった。

 

「そうか・・・・・それでいいと思うよ。それでこそ咲夜だ」

 

「ミコト・・・・・ありがとう。あなたのおかげで少しだけ吹っ切れられたわ。これからは・・・・・これともちゃんと向き合える気がするわ」

 

咲夜の目に映るナイフ。咲夜の目に映る刃は・・・・紅と白銀が入り混じっていた。

 

「別に礼を言われるようなことをした覚えはない」

 

「ふふっ・・・・・あなたらしいわね。さて、そろそろお茶の時間ね。ミコトも一緒にどう?お嬢様も喜ぶと思うわ」

 

「ああ、いただこうかな」

 

「それじゃあ行きましょ」

 

並んで屋敷の中に入ってゆくミコトと咲夜。

 

二人の距離は以前よりも少し近づいているように見えた。

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!!

今回は咲夜さんと二人で進めていきます!

「よろしく」

はいよろしくお願いします!まずは咲夜さん!原作キャラ部門1位おめでとうございます!いや~流石ですね!

「ありがとう。でも私が1位になったのはバカテスの話ありきじゃないかしら?向こうではメインヒロインなわけだし」

それはまあそうかもですが・・・・・まあいいじゃないですか!バカテスの二周年企画の方の話にも咲夜さん出ましたし!

「それでいいのかしら・・・・・・」

いいんです!それはそうと座談会進めますよ!

今回のお話は咲夜さんがジャック・ザ・リッパーであったことを明かしたわけですが・・・・

「この設定二次創作では割と多いわよね。まあ私の原作設定で仄めかす者があったからなんでしょうけど」

ウチではガッツリ拾いました。咲夜さんに関しては他にも色々な説があるんですよね。

「そうね・・・・・この小説でどれだけそれを拾うつもりなのかはわからないけれど」

そして今回ミコトさんに明かしたわけですが・・・・・おかげで距離がちょっと近づいたようですね。

「私としては嬉しいわね。本編の方ではミコトは早苗って子に告白されたみたいだから」

あ~・・・・・やっぱり気になります?

「当然よ。ミコトはこれからどうするのかしら?」

それはまあ今度やるルミナスさんとのコラボでわかりますよその前に二周年企画の最後の一つをやるのが先ですが。

さて、今回はここで締めにしましょう。

それでは・・・・・



「「次回もまたきなさい(きてください)!!」」
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