東方~儚き命の理解者~   作:shin-Ex-

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今回のお話はちょっと特別です。

この話はある意味でこの小説の本当の始まりのお話ですのでどうかお楽しみください。


閑話 第0話~序奏~

 

その出会いは偶然か必然か

 

その出会いは喜劇か悲劇か

 

その出会いは・・・・・・奇跡か禍いか

 

誰よりも深い愛を持ちながら誰からも愛されなかった少年

 

誰からも愛されていながら誰も愛さなかった少女

 

これは少年が幻想に迷い込み命の理解者となるよりも前の話

 

美しき深黑(しんこく)の少女との出会いのお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~3年前~

 

 

 

 

side ミコト

 

俺の目の前に見える光景は偽りだ。

 

父さんと母さん、兄さんと共に楽しそうご飯を食べている。

 

友人たちと一緒に笑い合って他愛のない話をしている。

 

好きな女性と腕を組んで歩いている。

 

この光景は全部偽りだ。

 

真実であるはずがない。

 

なぜなら俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰からも愛されていないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・またこの夢か」

 

学校の屋上、そこにある階段室の上で眠ったいた俺は目を覚ました。最近毎日のように見る夢。皆と笑い合う夢。皆と語り合う夢。ただ・・・・・・普通に人と触れ合う・・・・・・ただの『幸せ』な夢。

 

「・・・・・くだらない」

 

本当にくだらない。こんな夢を見るとは。こんな・・・・・・永遠に訪れることはないであろう『幸せ』な夢を見るなんて。

 

夢は深層心理だ。夢はその者の心の願望を表す。

 

つまり・・・・・俺はあんなありふれたただの『幸せ』を求めているということだ。

 

絶対に手に入らないと知っているのに。

 

「ははは・・・」

 

俺は乾いた笑い声をあげる。

 

 

ありえない・・・・・ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない

 

あんな『幸せ』俺にはありえない。なぜなら俺は誰からも愛されてないから。誰からも虐げられているから。誰も俺のことなんて見ないから。

 

だから・・・・・あれはただの・・・・・虚しい『夢』なんだ。

 

「・・・・・今何時だ?」

 

俺は携帯を取り出し時間を確認する。時刻は14時。まだ授業の真っ最中だ。まあ俺には関係ないけどな。授業なんて入学以来一度も受けたことない。そのことを咎める人もいない。俺は皆に嫌われているからいない方が都合がいいのだ。たとえこのまま授業に出なくても、やっかい者の俺は問題なく卒業できるだろうしな。

 

「・・・・・もうひと眠りするか」

 

俺はもう一度眠ろうと目を閉じた。すると・・・・

 

♪~

 

「ん?」

 

歌が聞こえてきた。聞いたことのない知らない歌が。その歌を奏でる美しい声が。

 

そしてそれと同時に感じたことのないいい香りを感じた。

 

俺は気配に敏感だ。だから人がいることには気がついていた。いつもなら誰が来たとしても気にせずに無視をしていたが・・・・・

 

「誰だ?」

 

今回は何故か気にせずにはいられなかった為俺は下を見た。

 

 

 

 

 

そこには『黑い』少女がいた。

 

黑く長い髪に黑い眼、学校指定の黑い制服を着て黑い煙管を咥えた『深黑』の少女が。

 

「・・・・誰だ?」

 

俺に気がついたらしく少女はこちらに振り向いた。

 

「・・・・・すまない。気を散らせてしまったか?」

 

俺は少女に謝った。

 

「・・・・・・」

 

少女は何も言わない。

 

「どうした?」

 

「・・・・・いや、なんでもない。こちらこそすまなかったな。まさかこんな時間に誰かいるとは思わなかったのでな」

 

俺が声をかけると少女は煙管をしまいながらそう答えた。まあ今は授業中だからそう思っても仕方がない。

 

「・・・・・おいお前、こっちに来い」

 

少女は俺に近くに来るように手招きした。

 

「・・・・ああ」

 

俺は階段室の上から降りて少女の近くに行く。そして少女のすぐ隣に立つ。

 

「・・・・・お前、名前は?」

 

「・・・・・命だ。一夢命」

 

「一夢命か・・・・・良い名だ。覚えてやろう」

 

少女は笑みを浮かべながら言った。

 

「・・・・それはどうも」

 

「ふん。愛想のない奴だ。私は神楽、紫黑神楽(しこくかぐら)だ。特別に神楽と名前で呼ぶことを許してやる。光栄に思うんだな。その代わりに私もミコトと呼ばせてもらうがな」

 

神楽は笑みを浮かべたまま偉そうにそう言った。だが何故かそんな少女の態度に不快な思いは全くしなかった。

 

「・・・・・なあ、あんた「神楽と呼べといっただろう?」・・・・・神楽」

 

「なんだ?」

 

「お前は・・・・・なんとも思わないのか?」

 

「?何がだ?」

 

「・・・・俺のこと不快に思わないのか?」

 

「?何を言っている?何故会ったばかりのミコトに対して不快に思わなければならない?」

 

・・・・神楽は俺を不快に思わない?今まで会ってきた人とは違うのか?

 

「そんなことよりもミコト、少し屈め」

 

「なんでだ?」

 

「いいから屈めと言っているんだ。目線を私に合わせろ」

 

神楽は命令口調で言った。

 

「・・・・わかった」

 

俺は少し屈んで神楽と眼を合わせる。神楽の黑い眼と。

 

「・・・・・ふん。やはり中々の美形だな。まあこの私には劣るがな」

 

「・・・・・そうだな」

 

俺は素直にそう思った。神楽は美しい。今まで見てきた誰よりも、何よりも。これ以上に美しいものなんて存在しないと思わせるほどに・・・・・美しい。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

俺と神楽は見つめ合う。瞬きの一つもせずに。一瞬たりとも眼を逸らさずに。俺の眼には神楽の黑い眼が映る。神楽の眼には俺の黄金の眼が映る。

 

「・・・・・ミコト」

 

しばらく見つめ合っていると神楽の顔が近づいてきた。そして・・・・・・神楽の唇と俺の唇が重なった。

 

「!!」

 

俺は神楽の行為に驚き大きく後ろに飛び退いた。

 

「な、ななな、何してんだよ神楽!」

 

俺は自分でもわかるぐらい動揺しながら神楽に言う。

 

「何って・・・・・ただキスしただけだろう?てっきりミコトほどの美形なら慣れていると思ったのだが案外初心なのだな」

 

「ただキスしただけって・・・・・なんでそんなことしてんだよ」

 

「なんでだと?そんなの・・・・・口止め料に決まっているだろう?」

 

「口止め料?」

 

「そうだ。私は体調が悪くて保健室に行っていることになっているのでな。ここで授業をサボって煙管を吸っていたなんてバレたら面倒なことになるのでな。そこで口止め料として私の唇をくれてやったのだ。どうだ嬉しいだろ?」

 

くれてやったって・・・・・・・

 

「んなことしなくたって話すつもりなんて全くなかったんだが」

 

「そうなのか?まあいい。念には念ということにしておいてやろう」

 

なんというか神楽って少し・・・・・いや、かなり変わった奴だな。

 

「さて、それじゃあそろそろ授業も終わるし、私は教室に戻る。お前はどうする?」

 

「俺は・・・・・ここに残るよ」

 

そもそも授業に出るつもりなんて全くないからな。

 

「そうか・・・・・ミコト、お前は明日もここに居るか?」

 

「ああ。明日どころか学校がある日は毎日ここに居るよ」

 

「ふっ、そうか。わかった。明日もまた来る。その時は話し相手になってくれよ?」

 

そう言って神楽は不敵な笑みを浮かべ、屋上をあとにした。

 

「・・・・・・・変わった奴だな」

 

紫黒神楽・・・・・俺を否定しなかった人間。

 

「・・・・・明日か」

 

俺は明日神楽に会えるのが少し楽しみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 神楽

 

「・・・・・一夢命か」

 

あいつ以外では初めてだな。私を前にして自分を偽らなかったのは。

 

私を目の前にした人間は自分を偽る。何よりも愛しい私に気に入られようと自分を偽って、ちっぽけなつまらない人間を演じる。

 

 

 

 

私はそれが気に入らない。

 

私の為に簡単に自分を捨て、まるで下僕のように私のご機嫌を伺うだなんて・・・・・馬鹿としか言えん。

 

そんなことをしても私は貴様らに興味を持たないというのに。

 

そんなことをしても・・・・・・・私は貴様等を愛すつもりはないというのに。

 

だが・・・・・ミコトはそんな奴らとは違った。

 

ミコトは自分を偽らない。

 

ミコトは・・・・・『ミコト』として私に接していてくれていた。

 

私にとってそれは・・・・・とても嬉しかった。

 

「・・・・・ふっ」

 

明日になればまたミコトに会える。そう思うと私は笑みを浮かべずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!IN東方!

今回のゲストは神楽さんです!

「・・・・はあ、またか」

まあまあそうおっしゃらずに!今回の話的に神楽さん以外にゲストはありえないんですから!あ、ちなみに神楽さんが来ているので今日はミコトさんはお休みですのであしからず。

「まあいい。とっとと話を進めるか」

ですね!さて、今回の話はミコトさんが幻想郷に来るよりもずっと前・・・・・ミコトさんが神楽さんと出会った時の話ですね!

「そうだな。あの日、あの時、私達は出会い、私とミコトの人生に変化が訪れた」

あの出会いがきっかけとなってミコトさんは愛されることを知り、神楽さんは愛することを知ったんですよね!

「まあ今回の話ではまだまだそんな踏み込んだところに入っていないがな」

まあたしかにそうなんですけど・・・・・いきなりキスとかどんだけ大胆なんですか?

「そうか?別に普通だろ。私の元となったPandoraHeartsのアリスも出会って間もない主人公とキスしていただろう」

いや、絶対に普通じゃあないですから。というかあれって神楽さんのファーストキスでしょう?躊躇なさすぎですよ。

「別に私はそんなことは気にしていないがな。面倒くさいし。ただファーストキスの相手がミコトだったというのは少し嬉しくも思うがな。まあミコト以外とキスなどしたことないが」

・・・・・なんだろう?今少し惚気けられたような気が

「気にするな。それよりもなんで今になってこの話を始めたんだ?」

ええ、次回から新章に入りますのでね。そこで登場するある方が神楽さんに縁がある人なのでここでこの話をだそうかなと思いまして。

「私に縁がある?まさかあいつか?」

ええ。神楽さんが思っている通りの人ですよ。

「そうか・・・・それは色々とバランスが崩壊しそうだな」

あ~・・・・まああの人はある意味バランスブレイカーですからね。

「まあ、ある意味ではそこもあいつのいいところではあるがな。基本的にはいい奴ではあるし」

ですね。さて、それではそろそろ次章予告して締めますか!

「そうだな。では次章の予告をはじめるぞ」





ミコトが幻想郷に来て4ヶ月

幻想郷には止まない雪が降り続け、一向に春が訪れなかった。

この現象を異変と受け取り行動を起こすミコト、霊夢、魔理沙、そして咲夜

ミコトたちは異変を解決し、幻想郷に春が訪れるのか?

そしてミコト達の前に現れる命なき謎の暴虐者達

彼らと戦うミコト達の前に・・・・・ミコトを理解する友が現れる


次章 東方~儚き命の理解者~

春雪異変~悉くを断つ道化~

乞うご期待!


「「次回もまたきてください(きてくれ)!!」」
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