今回から新章突入です!
「レミリアお嬢様とフランドールお嬢様がメインの話・・・・どうなるんでしょう?」
それは見てのお楽しみです。それでは本編にいきましょう。
「はい。それでは本編どうぞ」
第82話
noside
幻想郷の霧の湖。その畔に大きな屋敷が一軒建っている。
屋敷の名は『紅魔館』
見るものを圧倒するほどに鮮やかな紅い屋敷だ。
「・・・・もうすぐね」
その屋敷の主たる吸血鬼・・・・レミリア・スカーレットは自室の窓から月を眺めていた。
「お姉様」
そんなレミリアに声をかけるものが一人。
レミリアの妹・・・・・フランドール・スカーレットだ。
「・・・・もうすぐなんだよね?」
フランドールはレミリアの隣に立ち、月を仰ぐ。
「ええ・・・・二日後にあの月は・・・・私達を狂わせる」
レミリアは月を見つめながら悲しそうな声色で語る。
「・・・・・お姉様。私・・・・私恐い」
「・・・・わかってるわ。私も・・・・恐いもの」
二人の脳裏によぎるのは過ぎ去りし日の記憶。狂気に支配され、ひたすらに破壊と殺戮の限りを尽くした悍しき記憶。
「・・・・大丈夫よフラン。もうあんなことにはならない。その為にパチェが頑張ってくれたんだもの。きっと・・・・大丈夫よ」
レミリアは強く、優しくフランドールを抱きしめる。フランドールを安心させるために。当の本人も恐怖にとらわれているにも関わらず・・・・
「お姉様・・・・・うん」
レミリアの胸に顔を埋めるフランドール。その目からは・・・・涙がこぼれ落ちる。
(大丈夫・・・・絶対に大丈夫よ。絶対に・・・・)
レミリアはフランドールを抱きとめながら、心の中で強く言い聞かせた。
屋敷を見下ろす淡き黄金の月
二日後にはその月は・・・・『紅』に染まる
吸血鬼が最も愛し、もっとの忌み嫌う『紅』に
夜が明け、博麗神社にて
「ミコト~!一緒に飲もう!」
神社境内に鬼の少女・・・・萃香の快活とした声が響き渡る。その手には酒の入った瓢箪が握られており、顔がほんのりと赤い。既にいくらか酒を飲んでいるようだ。
「うるさいわね。もう少し声を抑えなさいよ」
その声を聞き、本殿の中からこの神社の巫女・・・・霊夢が顔をしかめながら姿を現した。
「アハハ!ごめんな~」
「全くもう・・・・」
悪びれなく笑いながら言う萃香に対して、霊夢はやれやれといった様子で額に手を当てた。
「ところでミコトはどこだ?」
萃香はキョロキョロと辺りを見渡しながらミコトの姿を探す。
「残念ながらミコトならいないわよ」
「え~・・・・・ミコトと飲むの楽しみにしてたんだけどな~」
ミコトがいないと言われてがっかりと肩をすくめる萃香。
「・・・・ちなみにいつになったら帰ってくるんだ?」
「三日後よ。それまでは神社には帰ってこないわ」
「三日も!?どうして!?」
まさか三日も帰ってこないとは思っていなかったために萃香は驚きの声を上げる。
「今日から三日間、紅魔館で執事の仕事をすることになってるのよ」
「咲夜さん、少々よろしいでしょうか?」
場所は変わって紅魔館。屋敷内の清掃を一通り終えた後、ミコト(執事バージョン)が咲夜に声をかけた。
「なにかしらミコト?」
「レミリアお嬢様とフランドールお嬢様に何かあったのですか?」
「・・・・どうしてそんなことを聞くのかしら?」
問われた咲夜はミコトに訝しげな視線を向ける。
「いえ・・・・先ほど会った時に少し様子がおかしかったので気になりまして・・・・」
事実、ミコトの言うとおりレミリアとフランドールの様子は普段のものとはまるで違っていた。
レミリアはミコトが話しかけてもどこか上の空であり、生返事を返してくるばかりであった。
フランドールはミコトが部屋に訪れた際にはいつも嬉しそうに飛びついてはしゃいでいるのに今日は大人しくしており、元気がなかった。
そんな風に二人の様子がいつもとは明らかに違っていたことからミコトは心配になったのだ。
「お二人に何かあったのですか?あったというのなら教えてください咲夜さん」
「・・・・なぜ知りたいのかしら?」
「私は今この紅魔館の執事ですので。お嬢様方を悩ませる何かがあるというのならば私はそれを知り、その悩みの種を取り除きたいと思います」
ミコトは真っ直ぐに咲夜を見据えて言う。その目は真剣そのものだ。
「・・・・それは越権行為よ。お嬢様も妹様も一言でもあなたに助けを求めたかしら?執事ならば仕える者の言うことのみにただ従事すればいいのよ。余計なことをする必要はないわ」
しかり咲夜はきっぱりと言い放ち、ミコトを突き放した。
「・・・・いいえ、私はそうは思いません」
「え?」
「たとえお嬢様方の命令がなくとも、お嬢様方が今一番何を求めているのか、何を望んでいるのかを知り、その為に尽くす・・・・それが執事としてのあるべき姿であると私は思っております。たとえそれでお嬢様方から疎まれようとも」
「・・・・・」
執事であるミコトにとって恐ることはレミリアやフランドールに疎まれることではない。最も恐るのは二人の力になれないこと。二人の為に力を尽くせず、二人を苦しみから助けられないこと。
二人の為になれるのならばミコトにとって疎まれることは恐るるに足らぬことであった。
「教えてください咲夜さん。お嬢様方に何があったのですか?」
故にミコトは・・・・決して引こうとはしなかった。何がレミリアとフランドールを悩ませているのか・・・・それを知り、その悩みを取り除きたいと心の底から願っているのだ。
「全く・・・・まだ執事になって三ヶ月程度だっていうのに・・・・」
「咲夜さん?」
「あなたの言うとおりよ。一流のメイドや執事はたとえ命じられていなくとも、仕える者の為に持てる力を尽くすものよ。まさか執事になって日が浅いあなたがそこに到れるなんてね。やっぱりあなた素質があるわ」
咲夜は素直にミコトのことを賞賛する。それはまごうことなき咲夜の思いであった。
ミコトの言っていることは執事として正しいことであった。一流の執事ならば言葉に出されずとも主の求めに答えられる器量が必要となる。それをわかった上で咲夜は先ほどミコトを突き放したのだ。ミコトを試すために。
「いえ、素質なんて・・・・私はただ・・・・」
「謙遜しなくてもいいわよ。長年この屋敷でメイド長を務めている私が言うのだから誇ってもいいわ」
「・・・・はい。ありがとうございます。それで・・・・お嬢様方に何があったのですか?」
「・・・・あったのではないわ。これから起きるのよ」
咲夜は表情を暗くし、顔を伏せながら言う。
「??これから・・・起きる?」
「ええ。正確には明日の夜・・・・月が昇っその時に・・・・」
「月が昇った時に・・・・ですか?」
「明日の月は魔性の月。明日の月はまるで血のように紅く染まる。その月が・・・・お嬢様と妹様を狂わせるのよ」
「紅い月がお嬢様方を狂わせる・・・・紅い月の魔力が原因ですか?」
ミコトもまた魔力を持ち、僅かではあるが魔法を扱うことができる魔法使い。故に月に秘められた魔力についてのことは理解していた。
「そうよ。紅く染まった月が放出する特殊な魔力は吸血鬼の妖力に作用するの。そして理性を崩壊させ、狂わせるのよ」
「・・・・以前のフランドールお嬢様のようにですか?」
ミコトはかつて自身が対峙した時の・・・・破壊の限りを尽くそうとしたフランドールのことを思い出す。
「・・・・いいえ、それ以上の狂気よ。あの時の妹様は破壊することに囚われていたけれどまだ理性が残っていた。でも紅い月の魔力に当てられれてしまえば・・・・理性は一切働かなくなる。私はかつて一度だけその状態のお嬢様と妹様を見たことがあるけれど・・・狂気のままに破壊と殺戮を繰り返し、死体から血を啜るその姿は正しく・・・・吸血鬼、『血を吸う鬼』だったわ」
咲夜は自らの腕を押さえつけて言った。その体は微かに震えている。おそらく・・・というより間違いなく恐怖から来る震えであろう。
「つまり・・・・レミリアお嬢様とフランドールお嬢様はそれを恐れているということですか?」
「ええ。以前お嬢様が起こした異変・・・・お嬢様は太陽の光を遮るために起こしたと言っていたけれどもう一つ・・・月を遮るためでもあったと私は思うわ。月を遮れば月からの魔力の影響も受けずに済むから。それほどまでに紅い月からもたらされる魔力を・・・・狂気にとりつかれたご自身を恐れていらっしゃるのよ」
「あの異変にはそんな意味も・・・・」
むしろレミリアにとってはあの異変はそちらのほうが本懐であった。レミリアは狂気に支配されることを何よりも恐れているから・・・・
しかしそのことはミコト達には話さなかった。余計な気を使わせたくないと思っていたからだ。
「・・・・・なら今からまた霧を発生させればいいのでは?そうすれば月の魔力の影響を受けずに済むのではありませんか?」
ミコトははっと思いつき咲夜に提案した。
だが・・・・
「残念ながらそれは無理よ。あの霧を発生させるのはかなりの手間を要するの。今からでは到底間に合わない」
しかしミコトの思いも虚しく、それは叶わぬものであった。
「そうですか・・・・・なら何か別の方法は・・・・」
ミコトは何か方法はないかと必死で知恵を振り絞った。
「・・・・あるわ」
「え?」
「月の魔力の影響を受けなくなる方法ならある。パチュリー様が開発した魔法陣・・・・その中に入っていれば紅い月からもたらされる魔力の影響を受けずに済むの」
「本当ですか!?」
咲夜から対抗手段があることを聞いてミコトは嬉しそうに喜んだ。
「ええ。ただ・・・・」
「ただ・・・・なんです?」
「・・・・パチュリー様が言うには確実に防げるとは言い切れないらしいわ。このような魔法を試みるのはパチュリー様初めてらしいから確証が持てないみたいなの。そのことはお嬢様達も知っていてだ・・・・」
「だからまだ・・・お嬢様方は恐怖にとらわれているんですね」
「・・・そうよ」
「・・・・そうですか」
対抗策はあってもそれは確実性に欠ける。故に失敗して・・・・またかつてのように狂気に支配されてしまうかもしれない。
そう思ってしまうからこそ・・・・今なおレミリアとフランドールは恐怖にとらわれているのだ。
「・・・・・咲夜さん。少し時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
咲夜から話を聞いた後しばらく何かを考え込んでいたミコトがそう告げた。
「ミコト?」
「・・・お嬢様方のところに行かせてください。私にできることなど微々たるものかもしれませんが・・・・少しでもレミリア様とフランドール様の不安を和らげたいのです。どうかお願いいたします」
ミコトは深々と咲夜に頭を下げて頼み込んだ。
「ミコト・・・・わかったわ。行きなさい」
咲夜はミコトの頼みを聞き入れた。
「ありがとうございます」
咲夜から許可をもらったミコトはその場をあとにする。
(・・・・ふふっ、やっぱりミコトは執事に向いているわね)
咲夜は頬笑みを浮かべ、ミコトの後ろ姿を見つめていた。
(いっそずっとここで執事でいてくれたらいいのに・・・・・そうすれば私ももっとミコトと・・・・って、私ったら何を・・・・)
首を横に振って自分を落ち着ける咲夜。
(ミコト・・・・・お嬢様と妹様をお願い。あなたならきっと二人を・・・・・)
咲夜はミコトを見送ると、メイドの仕事を再開させた。
あとがき座談会のコーナー!IN東方!
今回のゲストは咲夜さん!そしてミコトさんは執事モードです!
「よろしくお願いしますね咲夜さん」
「ええ。よろしく」
それでは座談会を進める・・・・前に一つお知らせが。今回から竜希さんは座談会お休みします。
「・・・・本当に竜希は執事のミコトが苦手なのね」
それはもう・・・・SAN値を下げるほどに。
「残念ですね。竜希さんの反応は楽しみにしていたのですが・・・・」
うわぁ・・・ミコトさん超いい笑顔してるよ。
「・・・・ミコトって執事になると少し腹黒になる気がするのだけれどそれは私だけかしら?」
・・・・多分咲夜さんだけではありませんね。
「二人共、なんの話をしているんですか?それよりも座談会を進めましょう」
「わかったわ。今回から新章に入ったわけだけれど・・・・まさにサブタイトル通りね」
「そうですね・・・・『紅月狂』、紅き月にて狂う・・・・ですか」
当小説のレミリアさんとフランドールさんは紅い月から放出される魔力によって理性が崩壊してしまし、狂気に囚われてしまうという設定です。それによってお二人は苦しんでしまっているんですよね。
「私は・・・・私は救いたい。レミリア様とフランドール様を・・・・その恐怖から救いたいです」
「ミコト・・・・あなたならできるわ。だってお嬢様も妹様もあなたのことを・・・・・信頼しているもの」
「・・・・だといいのですけどね」
まあなんにしても・・・・この紅月狂のお話はまだ始まったばかりのほんの序章です。大変なのはこれからですので・・・・心してくださいね。
「・・・・ええ」
「・・・・わかりました」
さて、今回は少し早いですがこれで締めましょう。
それでは・・・・
「「「次回もまたきてください(きなさい)!!」」」
あ、それと設定にミコトさん達の危険度、人間友好度、そしてクラマさんとシラマさんの二つ名、容姿についてを更新しましたので宜しければご確認どうぞ!