大好きなあなたは

わたしを見てくれていますか?

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あなた

私があなたの為にしてあげられることってなんだろう?

 

ここ最近、ずっとそんなことばかり考えている。

 

別に、あなたの為を思うことを、”そんなこと”と言いたいわけではないので、勘違いしないでほしい。

 

私は、常日頃からあなたの為に何かをしたいと思っている。あなたの為を思って生きている。

 

でも、どれだけ考えようが所詮他人。あなたが何を欲しているか、何があなたの為になるのか、さっぱりわからなかった。わかるはずもなかった。

 

だから、私が思うあなたの為になることをすることにした。

 

まずそのために私は、このクラス、この学校という小さな世界を掌握することから始めた。

 

使える手はなんでも使って、あなたに気付かれないように。私は昔から、そういうことが出来たのだ。

 

そして小さな世界は私のものになり、私は小さな世界の正しさとなった、正義になった。

 

でも、あなたは私のものにはならなかった。

 

私はあなたにとって、仲の良い友人でしかなかった。それ以上でもそれ以下でもなく。

 

それでもいい、私は、そんなことがしたかったんじゃないから。

 

ただ、私があなたの為になると思うことをするだけ。

 

私は、小さな世界があなたに優しくするようにした。

 

あなたのいうこともまた正義として、すべてを受け入れるようにした。

 

すると、不具合が起きた。

 

あなたが、あなたで言うところの君を求めだした。

 

毎朝一緒に登校してくれる君を求めた。

 

あなたを受け入れることしかできない世界には、当然の如く受け入れることしかできなかった。

 

そしてあなたは君という存在を手に入れた。

 

それは私にとって、非常に良くないことだった。

 

それは、あなたの為にならないことだと思った。

 

 

 

だから小さな世界から君という存在を消した。

 

君という存在の一切を否定し、その総ては無と化した。

 

 

 

はじめ酷く落ち込んだあなただったが、ある日吹っ切れた様に新しい君を求めた。

 

 

 

そこからはもう止まらなかった。

 

 

 

何度君を消しても、あなたは君を求め続ける。

 

そして、君に私は選ばれない。

 

何度も何度も繰り返した。

 

でも私は君にはなれなかった。

 

あなたの為に、と始めた総ては、いつの間にか、君に選ばれる為に終わらせた。

 

 

 

それでも、あなたは私を選ばなかった。

 

世界には私とあなたしかいないのに、あなたは私を選ばず、あなたの世界にのみ存在する君を創り出した。

 

 

 

見えない君と並んで歩き、

 

聞こえない君と会話をする。

 

どこにも居ない君が特別で、すぐそばに居る私には端役扱い。

 

あなたの世界では、君が居て、私が居ないようだった。

 

 

 

そんなの、耐えられる訳がない。

 

私は、こんなにもあなたの為に尽くしてきたのに、この仕打ちはあんまりだ。

 

 

 

それでも私はあなたを愛している。

 

あなただけを愛している。

 

 

 

だから、あなたにも愛してほしい。

 

 

 

その一心で私は、初めてあなたに想いを告げた。

 

 

 

その結果、小さな世界は終わりを迎えた。

 

 

 

私があなたに想いを伝え、あなたが私に優しく微笑んだ。

 

あなたがゆっくりと私に近づき、あなたの額が私の額にあたった。

 

コツンっ、と。

 

その瞬間、総てが終わった。

 

総ての意味が、真実が、頭の中に流れ込んできて、思い出した。

 

そして私は理解した。否、理解させられた。

 

 

 

初めから、存在しなかった。

 

総ては、私を含めた総ては、あなたが創り出した幻に過ぎなかったのだ。

 

 

 

そのきっかけは、とある事件だった。

 

 

 

私はあなたが好きで、あなたは私を仲の良い友人としか思ってなかった。

 

あなたには好きな人が居た。

 

あなたは彼女と一緒に登校するようになった。

 

私は彼女が憎かった。だからイジメてやった。

 

元々家庭で虐待紛いのことを受けていた彼女は、私からのイジメも相まって、日に日に弱っていった。

 

あなたには、私がやったなんて思われず、むしろ相談さえされた。

 

それが更に私を苛立たせた。

 

そして、私がイジメを苛烈させるのに比例して、彼女が受ける虐待もエスカレートしていった。

 

虐待紛いでしかなかったはずが、いつの間にか目につくところにまで、その跡は広がっていった。

 

しかしあなたは、彼女を助けようとはしなかった。

 

彼女が告げる大丈夫を鵜呑みにし、何もせず、ただ一緒に登校し続けた。そして遂に彼女は自ら命を絶った。

 

外からどう見えていても、本人が大丈夫と言えば大丈夫なのだ、とそう思ってしまう程に、あなたは幼く、真っ直ぐだった。

 

彼女の死があなたにもたらした影響は大きく、その深すぎる絶望の所為かお陰か、あなたは力に目覚めた。あまりに大きすぎる力に。

 

大きすぎるが故に幼すぎるあなたには御することが出来ず暴走した。

 

結果として、1つの町を創り変えた。

 

その町の人間が誰1人として観測する暇もなく、町と、そこに存在する、人を含めた総てが一度消滅し、あなたの力で総てを創り直した。

 

その中で、イジメのことがバレておらず、1番あなたに近かった私が、あなたではないあなたに、管理者として選ばれた。

 

あなたが気付いてしまわないように私が創られた。以来私は、それまでの記憶を少し調整され、私として過ごしながらあなたの世界の調整を無意識下で行っていた。

 

しかし、管理者であり、調整役である私に不具合が起きた。

 

過去の記憶が邪魔し、あなたの意向を無視したのだ。

 

創造物である私の異常を感知したあなたではないあなたは、私を抹消しようとして失敗、やむなく私に負荷をかけ、パンクさせるため、あなたの記憶から君という存在を探し出し、利用した。

 

当然創造者の下位にあたる私にそれを阻止するすべはなく、君の存在を感知次第消すしかなかった。

 

それを幾度となく繰り返した結果、君の器たり得る存在は居なくなり、苦肉の策として、私が観測出来ないよう新たな存在を作った。

 

そして、私があなたに接触しようとするのを見計らい、こうやって真実を私に流し込んだ。

 

結果私はあまりの情報量に処理が追いつかず、私という存在は消えつつある。

 

しかし、その反動で、あなたにも真実が蘇り、この小さな世界が崩壊しようとしている。

 

そしてそのまま、小さな世界の崩壊に耐えられず、町があった場所は消えた。

 

何も無くなった。

 

まるで初めから何もなかったかのように。

 

 


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