Fate/Little little earth spider   作:EMM@苗床星人

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ウェイバーは使い魔から送られた視覚情報を特撮のような編集映像か何かかと一瞬だけ疑った

まぎれもない本物であることを確認するとすぐ横でパソコンに目を通しているアサシンの肩を叩いた。

 

「アサシン!!アサシン!!さっそく一人目の脱落者が出たぞ!!」

 

「ふぅ~ん?どのサーヴァントさんが倒されたん?」

 

アサシンは興味なさげに応えると、当時において最新の機能を持つパソコンの処理速度の遅さに苛立つように頭をかきながらも株の情報を読み漁る。

 

「お前、本当に状況わかってんのか?僕にそんな計算機買わせてずっと遊んでて…まぁいいや、ステータスが短すぎてよくステータスが見えなかったからそれはわからないんだけど…魔力頼みで遠坂の結界を破壊していたから多分キャスターか魔術に長けた英霊なんだと思う」

 

「遊んどるわけやないよ~株取引や、これからの時代名をあげるんやったら一般人の世界ではパソコンとインターネットが何より力を発揮するんですえっと…さて」

 

ほむぅ、とキーボードを叩く手を止めるとアサシンは振り返ってさらに尋ねる。

 

「勝ったほうは?どんな方法でそのキャスターさんを倒しとったん?

仮にもサーヴァントを倒す現場やったんやったら宝具の使用はあったんやろ?」

 

「あ、あぁ…それが変でさ。相手、たぶん遠坂のアーチャーだろうけどそいつの周りの空間がゆがんだかと思うと、時代も文明も違ういくつもの宝具が出てきて、それをでたらめに投げてきて」

 

ウェイバーが言うとアサシンは顎に手を置いて唸りだす。

 

「成程なぁ…おそらくはそれが全てその人の宝具の一部…そういうことやな?」

 

「でも、そんなんあり得るのか?宝具っていうのは英雄のそれぞれ持つ伝説や逸話が形を持ったものだろ?その英雄の代名詞って言えるものをいくつも持ってるなんて…」

 

ウェイバーの言葉を制するようにアサシンは懐からカードを取り出して言った。

 

「代名詞だからこそ、やよ。その定義が広いのならその特徴の一部に数えられるものを"呼ぶ"宝具やってある。私の宝具もそういうもんや、まぁ自分の意志で呼べへんのやけどもな、にはは

まぁアレや、何事もそっちの情報から集めてからってことや。私はアサシンやしそういう前持った材料集めの方法に関しては他のサーヴァントよりも自信がありますえ♪」

 

アサシンはウィンクすると、ぐんぐん伸びていくグラフを満足そうに見つめていた。

 

 

 

 

その次の日、空港に一機の飛行機が降り立った。

日本へとやってきた、白いコートに白い紙に赤い瞳を持った女性と、黒いコートを身に着けた男装の麗人。

ドイツにてサーヴァント召喚を行った衛宮切嗣、その妻でありセイバーの偽りのマスターとして日本へと渡来してきたアイリスフィール・フォン・アインツベルンと

セイバークラスのサーバントであるアルトリア・ペンドラゴンである。

アイリは成敗となるべく作り出されたホムンクルスである。

初めての城の外の世界に感動した彼女は、セイバーにまずは日本を満喫しようと持ちかける。

一度は他のマスターやサーヴァントと遭遇する可能性があると断ろうとしたセイバーだが、初めての外に感動している彼女を止めることは騎士であるセイバーには不可能だった。

最終的に、女性をエスコートするのは騎士の務めだと…そういってセイバーもアイリの日本漫遊に付き合うことにした…

 

「は?」

 

「はい?」

 

「まさか…」

 

「うにゃ?」

 

そして、喫茶アーネンエルベにて彼らは出会ってしまった。

そう、アサシンはどうとして令呪を隠していなかったウェイバーと…

アサシンもアサシンで、ウェイバーの存在とともに気配遮断のスキルを無効化されてしまったのも致命的といえる。

…まず動いたのはセイバーだった。

 

「………アイリスフィール!!!!下がってください!!!!」

 

「ワー!!ワー!!ワー!!ワー!!」

 

即座に風王結界による見えない剣をウェイバーに突き付けて、ウェイバーも生まれて初めて突きつけられる英霊の桁外れの殺気に取り乱してケーキを放り出し

アイリはあまりの急展開に全く反応ができず、アサシンは平然とパフェの一口を口に運んだ。

 

 

  「  お  客  さ  ん  」

 

 

店長の一睨みで勝機を取り戻したのか、ウェイバーは器用に放り出したケーキを皿でキャッチし

セイバーは恐怖のあまり見えない剣を落とし、やはりアイリは動けなかった。

 

「……とりあえず、落ち着いてすわりましょぉ

席は空いてますえ♪」

 

アサシンの言葉に促されるように、ようやく動けたセイバー勢はウェイバー達と同じ机を囲むように席に着く。

そして、まず謝ったのもセイバーだった。

 

「……取り乱して申し訳ない」

 

「あ、いやこちらこそ…ってアサシン、やっぱり見つかっちゃったじゃないかぁ」

 

つられて謝ったウェイバーがアサシンに訴えるが

 

「どうも驚かせてすいませんですえ、私アサシンいいます。今後ともよろしゅうお願いしますえ♪」

 

「あら…ご親切にどうも」

 

「「アサシン(アイリスフィール)!!」」

 

平然といつ作ったのかアサシンと書かれた名刺をアイリに渡すアサシンと、呑気にそれを受け取るアイリに二人は突っ込みを入れた。

もうウェイバーに至っては泣きたい気持ちだった。

 

「アイリスフィール、相手はアサシンなんですよ!?そんなに簡単に名刺を受け取ってはいけません危険です」

 

「あ、あらっ?つい…日本人って名刺を渡すのが上手いって切嗣に教えてもらったことがあるけど」

 

「まぁまぁこんな昼間から戦闘なんて始めたりしませんえ」

 

「始まりかけてたよね!!?今始まりかけてたよねぇ!!?」

 

ふぅ…とセイバーもため息をついた、そしてウェイバーを見る。

ウェイバーも一瞬びくりと身を震わせるが、セイバーの視線に憐れみと相乗が込められていると気づく。

 

((あぁ、この人もパートナーで苦労してるんだなぁ))

 

と、二人してベクトルは違えど同じ苦悩を抱えたマスターとサーヴァントとして同情しあうのだった。

 

「私としたことが名乗り遅れてしまって申し訳ない…こちらはアインツベルンのマスターであるアイリスフィール・フォン・アインツベルン、そしてこの身はサーヴァントであるため名乗ることはできませんが、セイバーのクラスのサーヴァントとして現界しています」

 

「!!」

 

その名乗りにウェイバーは戦慄を隠せなかった、セイバーは聖杯戦争におけるとくに強力な3体…その中でも最優のステータスを誇るクラスである。

アサシンも流石に聖杯からの知識は得ているのですこし真剣な表情をする。

しかしすぐににへっとゆるい笑みをこぼし

 

「へぇ~…やっぱり聖杯作った人たちはすごいんやねぇ、私なんてほらこちらのウェイバーさんのうっかりで呼ばれてしまいましてなぁむぐぐっ」

 

「お、おい!!バカ言うなって敵の前でそういうこと!!」

 

アサシンの言った忌むべき大失敗を隠すようにアサシンの口をふさぐ。

そんな二人のやり取りにアイリスフィールは思わず吹き出してしまう。

 

「アイリスフィール?」

 

「な、なんだよ」

 

「ふふっ…ふふふ…ごめんなさい、でもアサシンっていう割には面白い子達だと思って…ふふふ」

 

「にゃっはっは、アサシンのイメージっちゃそうやよなぁ♪」

 

あぁ、まったくこの人たちは…妙なシンクロにティを発揮している二人の自由人を前に

セイバーとウェイバーの常識人バーコンビはただ注文した甘味が来るのを待つのみだった。

もっとも、セイバーの大食いゆえに責任もって奢ることになってしまったウェイバーが悲鳴を上げたのは戦争とは何ら関係のないことである。

 

 

 

 

「あなたたちのおかげで本当に楽しかったわ、ありがとう」

 

一日遊びまわった4人は夕方の、港のコンテナ集積場まで歩いてきていた。

城の外を見たことのないアイリと聖杯の知識だけしか持たないセイバーに、アサシンは現代の街を紹介していいった。

最初は恩や情報を打って交渉するためかとセイバーも疑ったが、おいしい料理店を紹介されその疑心もどこかへ飛んで行ってしまっていた(ウェイバーの所持金だけを犠牲に)

漫遊を済ませて満面の笑みを浮かべるアイリに、ウェイバーは少し照れて頭をかきながら訪ねる。

 

「どうも…ってあんたは良いのかよ、僕たちは敵マスターなんだぞ?馴れ合って後で戦えなくなったりしたら事だぞ?」

 

「あら、私たちが聖杯に臨むのはそんな事で戦えなくなるほどの願いではないの。だから残念だけどそれはないわ」

 

アイリのあっさりした答えにウェイバーはすこし辟易したような顔になる。

ウェイバーは思った…どうしてこうも願いを決めた人間というのは譲るものがない、というよりそれ以外を見ようとしないのか

それはそんな一種の"歪み"を持った人間に対する不理解による文句ではなく、自分にそれほどまで望むことがないことに対する自己嫌悪だった。

そんなウェイバーの肩に手を置いて、アサシンは言った。

 

「ウェイバーさんは優しいんよ、私たち戦う側の人に迷いや柵を持ってほしくないんや

きっと、今もマスターでありながら戦いに参加する気満々のアイリさんと自分を比べとる」

 

「…そうね、きっとそれが正常な人間…私みたいにそれ以外を知らない人形にとってはうらやましい限りね」

 

アサシンもまた悩むように目を細める。

アサシンは元の世界に帰りたい…しかし英霊(サーヴァント)だけではない。

この世界には聖杯を求めるしかほかにないという魔術師(マスター)も数多くいるのだ。

アサシンの願いは果たして彼女の願いに勝ってまでかなえるべきものなのか?

一度死んだかもしれない身を元の世界に戻すことと、引き換えにするべき願いなのだろうか?

まるで元の世界での異形と自分たち生命の戦いのようなジレンマがこの冬木市を包んでいることにアサシンは今気が付いたのだ。

そして思いついたように掌に拳をポンと乗せると再びアイリを見て尋ねた。

 

「…せやからこの問題について、一石二鳥な取引を一つしませんかいな?」




「・・・・・・・・・アイリ、済まないがこの契約・・・君の名義でサインしてくれ」

「そんなあからさまにイヤな顔せぇへんでも・・・っじゃ~んこれや♪」

「ぶっ・・・な、なに勝手なことしてるんだこのバカー!!!!」

「いや…私の耳が悪かったのだな、まさかサーヴァントがこの私を馬鹿などと」

「お前は特殊な馬鹿なのか」

「頼むバーサーカー、君だけが鍵なんだ…桜ちゃんを救うたった一つの…」


次回/3 開戦


「約束しますえ…雁夜おじさん」
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