[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです 作:型破 優位
現在、昼食の時間。
佑馬とジブリールは生徒会室へと向かっていた。
「失礼します。中田 佑馬とジブリールです。」
「いらっしゃい。やっと来てくれたわね。」
出迎えてくれたのは真由美。
ただ、そこにいたのは恐らく、いつもの面子であろう真由美を含めて六人。
生徒会メンバー+摩利+達也だ。
「まぁ、座って座って!とりあえずお昼にしましょ?」
佑馬に身長の差と本人の意識によって上目遣いでそう言う真由美。
本来の高校生なら一発で落とされるであろうコンボを仕掛けた真由美だったが、
「会長……貴女は今のジブリールを見てもそれが出来ますかね。」
佑馬の、俺は知らないぞ、という言外での意味を汲み取った真由美は、首を傾げながらもジブリールを見てみる。
「……どうかしましたか?七草会長。」
そこにあったのは満面の笑み、まさに天使を思い浮かばせるような笑みを見せたジブリールだが、それは真由美やそれを見ていた司波兄妹を除くメンバーに恐怖心を覚えさせるものだった。
……目が笑っておらず、とても冷たかったのだ。
「……い、いえ、なんでもないわ……そ、それより!ご飯!ご飯食べましょ!」
そして、自分がやってはいけないことをやってしまったのだと自覚した真由美は、逃げるように席に戻った。
そして始まった昼食タイム。
前来たときと違うのは、全員が弁当を持参しているということだろうか。
最初はさっきのこともあり重い雰囲気が漂うなか、それを打破したのは佑馬。
「それで、この前の職員室の時の件で来たのですが、どういった用件だったのですか?」
「え?あ、あれね。そうそう、二人とは風紀委員に誘ってからゆっくりと話す機会がなかったから、その機会が欲しいなぁーって思ってたのよ。」
「それで、用件は?」
「……。」
そこで押し黙る真由美。
話を聞いていた全員が真由美に注目するなか、困ったような表情を浮かべて真由美が聞いた。
「ここにいる全員は佑馬君たちのことをある程度知っているっていう認識でいいのよね?」
「まぁ、市原先輩とあーちゃんはそこまでだとは思いますけど、そこを気にしているのであれば、気にせずに言っても構いませんよ。」
「そう、じゃあ、質問させてもらうわね。」
少しの間があく。
そして、真由美が佑馬の顔を、目を見たその表情は、いつもとは違う真面目なものだった。
「貴方達は一体何者?」
前にも聞いたような質問、だが、今回は本気で聞きにきている。
「襲撃事件が起きたとき、貴方達は瞬間移動で来たわ。その時はBS魔法師なのかなって思ってたの。」
BS魔法師とは、簡単にいえば超能力者のこと。
万能な普通の魔法師と違い、ある魔法に特化したようなものだ。
「でも、違った。貴方達は二人ともが定期テストで満点を取った。つまり、BS魔法師ではなくなる。でも、瞬間移動が出来る。そして心の中で会話することも……。」
そこでまた黙ってしまう真由美。
真由美が見ていたのはジブリール。
その目は、微かに怯えている様にも見える。
「……なるほど。会長はテロの時、自分達を視てましたね?」
そこで、だいたい言いたいことを理解した佑馬は、あえてある部分には触れずにそう言った。
視ていたのなら、わかったはずだろう。
佑馬が他にと特殊な魔法が使えること、瞬間移動すること、そして、ジブリールが人を殺めることに一切の躊躇いもないことを。
「ええ……答えられないのなら別にいいけど、これは十師族の者として注意しておくわ。」
真剣な眼差しは崩さず、しっかりと佑馬を見据える。
「貴方たち、このままだと危ないわよ?」
瞬間移動が出来る魔法師、これを十師族が無視するとは思えない。
「何者も何も、人間としか答えられようがないんだけど……ね?ジブリール。」
「……まぁ、人間でございますね。」
佑馬の目で余計なことは言うなと伝えられたジブリールは、しっかりと意味を汲み取ってそう言った。
「それより、本当にこんな話がしたくてあのとき声をかけたのですか?」
「そんなわけないじゃない……本当にゆっくりと話してみたかったのよ……でも、それもまたの機会になりそうね。」
時間を確認しながらそう言う真由美。
「そうね……今度こそゆっくり話したいから、放課後もきてくれないかしら?」
そして、いつもの雰囲気で話しかけてくる真由美を見て、微笑みを浮かべながら、
「ええ、もちろん。」
了承した。
◆◆◆
そして放課後。
いつも通り授業を終わらせてから生徒会室へと向かう佑馬とジブリール。
九校戦が近いため、生徒会は遅くまで居残って準備をしている。
「あ、佑馬君、ジブリールさん。いいところに来てくれたわ。」
部屋に入って早々、真由美に手招きをされたため、近くに行く。
途中で男子の副会長に睨まれたが、そんな睨まれるようなことをした覚えもないため、スルーすることする。
「どうかしましたか?」
「貴方達の九校戦の競技、何がいい?」
そして出てきたのは、九校戦の話。
「ああ、成る程……選べるんですか?」
「貴方達はどれも出来ちゃうから、それならそっちが得意な物を選んでもらった方が手っ取り早いでしょ?」
「まぁ、そうですね……なら、全部やらせて貰えませんか?」
そして、佑馬が取ったのは、全部やってから決める、という選択肢だった。
◆◆◆
まず、スピード・シューティングから。
打ち落とすのは真由美のドライアイス。
しかし……
「あれ?佑馬君、CADは?」
そう、佑馬はヘアバンド型のCAD以外持っていないのだ。
「いらない、というより、ない。」
「そ、そう。」
とても微妙な顔をされたが、佑馬にはなんの問題もない。
そして、ブザーがなった。
真由美がドライアイスを発動する……と。
「……えっ?」
発動した瞬間に別の場所から、佑馬のところからドライアイスが飛んできて、すぐさま破壊された。
「さぁ、何処にでも、何個でも出してきてください。」
結局、マルチスコープを駆使してまで難易度を上げたスピード・シューティングは、パーフェクトで終わった。
◆◆◆
次はクラウド・ボール。
これは学校の備品を借りて行った。
相手は再び真由美。
真由美は拳銃型のCADを構えており、佑馬はラケットを持っている。
「次はこれよ。やり方は大丈夫よね?」
「ええ、テニスに似てますからね……本気でお願いします。」
「……勿論よ。」
そして、練習だというのに、両者には火花が散る。
完全な本気モード。
開始のブザーとともに、ボールが真由美の方へ発射され、それを真由美は直ぐに魔法で打ち返す。
それを思いっきり撃ち込んで玉は……
「あ、やっべ。」
ネットにかかって、そこに穴を開けた。
(だけど、これでだいたいはわかった。)
佑馬の強み、それはやはり特典だろう。
そのなかにある、一方通行。
今の玉の弾道、ラケットの降る早さ、強さ、全てを演算によって理論値に持っていく。
そして、次の玉が放たれた。
今度はどのように打てばいいのか手に取るようにわかる。
「暴れ玉!」
そして、フレームで玉を打った。
「っ!?」
佑馬から返ってきたボールは、何個にも分身して見え、真由美のコートに落ちた。
「うん、これはいいね。」
取れるスピードではない。
さらに玉が分身するときたら、どうしようもない。
今度は真由美の方にボールが出される。
マルチスコープを使用して、そのままコースを狙う。
攻めから防御へと移るその早さは見事なもので、佑馬も甘いボールを打ってしまい、それを真由美に決められた。
と、思ったら、それは佑馬のコートギリギリを水平に移動し、佑馬の回りをクルクルと回り始めた。
「手塚ゾーン。」
真由美は、目の前の光景を疑う。
今まで、クラウド・ボールやスピード・シューティングでは誰にも負けたことがなかった。
それが今、崩されようとしている。
目の前にいる好敵手によって。
「大ハブ!」
(スポーツって、こんなに楽しいものなのね……)
あり得ないぐらいグネグネとあちこち行く玉の筋を見極めながらも、真由美は思っていた。
とても楽しいと。
◆◆◆
「やっぱり全部やるのめんどくさいし、クラウド・ボールとモノリス・コードでいいよ。」
何故こうなったか、それはスピード・シューティングとクラウド・ボールが終わって直ぐに、
『出るの決めた。』
と、佑馬が言ったためだ。
「えーと、理由は?」
「クラウド・ボールは楽しかったから。モノリス・コードは一番俺にあってそうだったから。」
そしてジブリール。何処でもいいということでアイス・ピラーズ・ブレイクとクラウド・ボールに出ることになった。
「モノリスといえば、やっぱり十文字あたりがいい練習相手かな。」
そして、そこから本格的に練習が始まった。
眠りながら書いたからかなり間違ってるかも……
指摘を待ってます。←絶対ある
競技についてですが、追記書いてあるとか言っておきながら消していたのでちゃんと書きます。
物語上、一位と二位を全く同じ競技に出場させるのはありえないので、一種目は違うのに変更しました。
ミラージ・パッドだとジブリール無双なので、アイス・ピラーズ・ブレイクで深雪と対決していただきます。