[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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一話タイトルズレタ(´・ω・`)
前回のタイトルですが、この話のタイトルでした。


一科生と二科生

次の日、いつものように朝食を取ってから転移で学校へ登校した。

 

昨日と違うことがあるとすれば、二人ともヘアバンドをつけていることだろう。

 

それを事務室に預けてそのままE組に向かったが、少し早いのに何処の教室でもそこかしこで雑談の小集団ができていた。

 

とりあえず教室に入り、席に座る。

 

当然だが、佑馬の前はジブリールの席だ。

 

席についてキーボードでジブリールの分も含めて受講登録を一気に済ました後、達也が登校してきたが。

 

「佑馬、放課後時間あるか?」

 

入ってきて早々、真剣な眼差しでそう質問してきた。

 

恐らく、昨日のことだろう。

 

「ああ、問題ない。」

 

そう口を吊り上げながら答えると、

 

「あ、司波君、佑馬君、ジブリールさんオハヨー。」

 

「おはようございます。」

 

エリカと美月が近づいてきた。

 

随分打ち解けた笑みを浮かべているあたり、社交性の高さが伺える。

 

「ああ、おはよう、二人とも。」

 

「おはようございます。」

 

そう返事する佑馬とジブリール。

 

ジブリールにはこの三年で、ある程度の社会性を教え、この世界にもなれさせたので、前のように未知を見つけたら涎を垂らすことは・・・なくなりはしないが、ここらへんの技術はあらかた見せたので、見る機会も減った。

 

今回の挨拶も、その成果と言えるだろう。

 

ちなみに、達也の席は美月の右横、ジブリールの左横だったりする。

 

「また隣だね、よろしくな。」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

達也の言葉に、美月が笑顔で返す。

 

そこで、こちらに振り返り、

 

「ジブリールさんも、よろしく。」

 

「こちらこそ、よろしくお願い致します。」

 

若干警戒しながらも、表面上は棘がないようにそう挨拶する達也。

 

(さて、時間まで暇だし、寝るか。)

 

昨日徹夜した佑馬は、やることもないので必要はないのだがしないよりマシな睡眠を取ることにした。

 

ジブリールはまた本を読みはじめる。

 

そして、そのまま意識は落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予鈴がなり、佑馬の意識は覚醒した。

 

前を見てみると、スクリーンにメッセージが映し出されていた。

 

『5分後にオリエンテーションを始めますので、自席で待機してください。IDカードを端末にセットしていない生徒は、速やかにセットしてください。』

 

全く関係のないことだったので、もう少しだけ寝ようとした佑馬だが、ある程度ウトウトしてきたとき、本鈴と同時に前側のドアが開いたのだ。

 

「はい、欠席者はいないようですね。それでは皆さん、入学、おめでとうございます。」

 

ああ、八雲の弟子か、と思い出す佑馬だが、それ以上の興味は無かった。

 

「はじめまして。私はこの学校で総合カウンセラーを務めている小野遥です。皆さんの相談相手となり・・・」

 

オリエンテーションをしてるのだから当たり前だが、オリエンテーションを行う小野遥。

 

それを軽く左耳から入れて右耳へ流す作業を繰り返すと

 

「既に履修登録を終了した人は、退室しても構いません。ただし、ガイダンス開始後の退室は認められませんので、希望者は今の内に退室してください。その際、IDカードを忘れないでくださいね。」

 

という言葉が聞こえてきた。

 

そこで、他の場所でガタッ、と椅子がなって、一人の男子生徒が退出していった。

 

そこで佑馬も席を立ち、

 

「ジブリール、お前の分はやったから、行くぞ。」

 

と、オリエンテーション中なのにずっと本を読んでいたジブリールに声をかけて、教室から出ていった。

 

そしてそのまま図書館へと向かう。

 

「ジブリール、読みたいならここで読もうぜ?」

 

「私のために・・・わざわざありがとうございます。」

 

ペコリ、と頭を下げて、また本に没頭するジブリール。

 

それを横目に、佑馬も本を探すと、

 

(加重系魔法の技術的三大難問についてか・・・)

 

加重系魔法の技術的三大難問についての本を見つけた。

 

ここ三年で、この三つの内二つは魔法は解明されたと言われているが、実際はまだされていない。

 

佑馬とジブリールが使えるだけだ。

 

それをそのまま持っていき、ジブリールの横に座る。

 

そしてそのまま何も食べずに下校時刻まで読みふけった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰る途中に事務室に寄って、ヘアバンドを受け取って帰ろうとした時、ある集団が見えた。

 

何か騒いでいるようだが、邪魔なので無視してそのど真ん中を堂々と突っ切ると、

 

「おい、待て!そこのお前!雑草(ウィード)の癖に僕達花冠(ブルーム)の前を横切るな!」

 

と、言ってきた。

 

「おー、達也達じゃん、何してるの?」

 

「おい、聞け!」

 

「さっさと帰ろーぜ?」

 

その言葉を軽く無視しながら達也達に話しかける佑馬に

 

「おいっ!」

 

ガッ!と肩を捕まえて振り向かそうとしたその男子生徒に、

 

「・・・貴方様は一体誰にものを言って、誰の肩を掴んでいるのでございますか?」

 

「「「・・・ッ!?」」」

 

ジブリールから放たれる殺気と、その嘲笑の笑みにその一科生の男は震えながら下がる。

 

「はい、ジブリール、ストップ。」

 

一応このままだといろいろと不味いので止めておくが、

 

「申し訳ございません。弱者がいきがっていて、あろうことか佑馬に喧嘩を売ってきたので、つい。」

 

申し訳なさそうに言いながらも、さっきの男子生徒に笑みを向けているあたり、許してはなさそうだ。

 

「ウ、ウィードのくせに、生意気な!」

 

それがブルームとしてのプライドに触ったのか、いきなりCADを操作し始める男子生徒のそのCADを、

 

「お前、なに操作してるの?」

 

身体能力で盗って、手で見せながら言う。

 

「なっ!いつの間に・・・返せ!」

 

「ほらよ。」

 

そしてそのまま返して、

 

「舐めるな!」

 

また魔法を発動しようとする男子生徒。

 

阻止しようと動こうとしているエリカとレオを手で制し、そのまま発動させる佑馬。

 

「喰らえ!」

 

無駄の無い動きでそのまま攻撃性の高い魔法が発動し、魔法が佑馬に向かっていくが、

 

「おいおい、それがブルームの実力か?」

 

その魔法を直接受けながら、無傷で嘲笑する佑馬。

 

「な・・・なんで・・・。」

 

その姿を見た男子生徒は、恐怖の眼差しで佑馬を見る。

 

「この程度でよく上から目線でモノを言えたもんだな。」

 

ゆっくりと歩みよる佑馬に、畏怖の表情を浮かべながら下がる一科生達。

 

「はぁ・・・ジブリール、帰るか。」

 

「はい。」

 

それをつまらなそうに見ながら、そこを後にしようとすると、

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反であると以前に、犯罪行為ですよ!」

 

後ろから聞いたことのある声が聞こえてきた。

 

「貴方たち、1-Aと1-Eの生徒ね。事情を聞きます、ついてきなさい。」

 

生徒会長の七草真由美だ。

 

その言葉に達也が前に出てきて答える。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました。」

 

「悪ふざけ?」

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のためにも見せてもらうだけのつもりだったのですかが・・・」

 

ああ、こいつそういえば森崎って名前だったなー、と思い出した佑馬だが、

 

達也が視線を向けているのに気づき、その意図を汲み取って、

 

「たまたま通りかかった俺が、喧嘩だと思って魔法を使おうとしていたそこの一科生に手を出しちゃっただけです。」

 

と、言った。

 

「それに、彼が使ったのは、攻撃性の無い魔法です。」

 

達也のその言葉に一同は、特に魔法を打った男子生徒は少し驚いた。

 

実際は攻撃性の高い魔法だからだ。

 

「ほぅ・・・どうやら君は、展開された起動式を読み取ることができるらしいな。」

 

そこで出てきたのは、真由美と一緒にきていた風紀委員長、渡辺摩利だ。

 

「実技は苦手ですが、分析は得意ですから。」

 

「・・・誤魔化すのも得意なようだ。」

 

値踏みするような、睨み付けるような、その中間の眼差し。

 

「摩利、もういいじゃない。達也君、本当にただの見学だったのよね?」

 

そこで、真由美が達也を庇うように出てきた。

 

「生徒同士で教え合うことが禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、起動するだけでも細かな制限があります。このことは一学期の内に授業で教わる内容です。魔法の行動を伴う自習活動は、それまで控えた方がいいでしょうね。」

 

「・・・会長がこう仰られていることであるし、今回は不問にします。以後このようなことがないように。」

 

会長が綺麗に纏めてしまったため、摩利もそれ以上言うことが出来ずにそう言って踵を返した。

 

が、すぐに足を止め、背中を向けたまま問いかけを発した。

 

「君の名前は?」

 

首だけ振り向いたその目は、達也に向けられている。

 

「1年E組、司波達也です。」

 

「わかった、そこの君は?」

 

そして今度は、佑馬の方に目を向けてきた。

 

「1年E組、中田佑馬。」

 

めんどくさそーにそう答えると、

 

「覚えておこう」

 

と、言って、そのまま校舎に戻っていった。

 

「さて、ちょっと用事があるから先に帰らせて貰うわ。達也、駅で。」

 

とりあえず早く帰りたかったので、そう言ってジブリールと一緒にそのまま校門を出ていき、ある程度行ったところで転移した。




あえて魔法を喰らっていくスタイル。

佑馬はジブリールの天撃を受けているので、並大抵の攻撃ではかすり傷すら出来ません。

ヘアバンド、これは何かはもうお分かりですよね?

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