[2]魔法科高校の世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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口の中が血の海地獄。
病院では医者や看護師に引かれるレベル。
何をしたかは察してください。


風紀委員と生徒会

翌朝、佑馬とジブリールは天撃で遊んでから転移して登校した。

 

ヘアバンドを事務室に預けてE組につき、席についてまた別の新魔法について考えていると、

 

「佑馬、昼休みに生徒会室にこいと七草会長が言ってたぞ。ジブリールさんも一緒でいいそうだ。」

 

達也が話しかけてきた。

 

「うーん、暇だし行くか。ジブリールもいいよな?」

 

「勿論でございます。」

 

二人とも行く意思を見せたのを確認して、

 

「わかった、なら一緒に行こうか。俺と深雪も呼ばれているんだ。」

 

と、少し嫌そうに言った。

 

達也の雰囲気からして、行きたくないんだな、と察した佑馬は、

 

「ああ、すげぇ楽しみだな、生徒会室。」

 

口を吊り上げながらそう言った。

 

「・・・お前、意地悪だな。」

 

そう達也がポツリと溢したが、誰も反応しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして昼休み。

 

佑馬、達也、ジブリール、深雪の四人で四階にある生徒会室に向かった。

 

深雪が入室の許可を請うと、インターホンから歓迎の辞が返されて、ロックが外れた。

 

達也が取っ手に手をかけて開けると、

 

「いらっしゃい。遠慮しないで入って。」

 

と、正面の机から声が掛けられた。

 

その言葉に従い、入室する一同。

 

そのときに深雪が礼儀作法のお手本のようなお辞儀を見せて、真由美と摩利、他にも同席している二人がいるが、みんながその雰囲気に呑まれていた。

 

佑馬とジブリールも軽く会釈をして入室する。

 

「どうぞ掛けて。お話は、お食事をしながらにしましょう。お肉とお魚と精進、どれがいいですか?」

 

「精進で。」

 

「私も同じものを。」

 

達也と深雪はそう頼み、

 

「俺とジブリールは弁当があるからいいですよ。」

 

佑馬は弁当を出しながらそう言った。

 

「その弁当は中田さんが?」

 

と、摩利がジブリールに質問するが、

 

「いえ、弁当は毎日佑馬が作ってくれるんですよ♪」

 

と、いう返しに、一同は驚く。

 

「あら、佑馬君料理も出来るのかしら?」

 

一同を代弁するように、真由美がそう聞くと

 

「人並みには。」

 

「世界で一番です♪」

 

佑馬はめんどくさそうに、ジブリールは佑馬の弁当が楽しみなのか、顔を綻ばせながら言った。

 

ダイニングサーバーを操作し終えた二年生の小動物みたいな人が席についたところで真由美が話を切り出した。

 

「近いうちに食べてみたいわね。さて、入学式のときに紹介しましたけど、念のため、もう一度紹介しておきますね。私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん。」

 

「・・・私のことをそう呼ぶのは会長だけです。」

 

「うん、この人をリンちゃんとかネーミングセンスないね会長も。」

 

鈴音が断った後に、追撃を喰らわす佑馬。

 

さすがにこれには堪えたようで、

 

「・・・うっ、き、気を取り直して、その隣、風紀委員長の渡辺摩利。」

 

この人にはさすがの真由美もあだ名は付けてない。

 

「それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん。」

 

「会長・・・お願いですから下級生の前で『あーちゃん』は止めてください。わたしにも立場と言うものがあるんです。」

 

「ごめん、前言撤回。ネーミングセンスあるね。これはあーちゃんだわ。」

 

「ほら!さっそく呼ばれちゃったじゃないですか!」

 

小柄で小動物みたいな二年生は、確かにあーちゃんでしっくりとくる容姿と態度をしている。

 

その様子に生徒会メンバーと佑馬、ジブリールが笑い始め、涙目になるあずさ。

 

「もう一人、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが、今期の生徒会役員です。」

 

「私は違うがな。」

 

そこで、ダイニングサーバーのパネルが開き、5つ分のトレーが出てきた。

 

そして摩利はおもむろに弁当箱を取り出した。

 

そこからは他愛もない会話が始まるのだが、

 

「そのお弁当は、渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」

 

と、深雪が質問をした。

 

他意はなく、会話を円滑にするためのセリフなのだが、

 

「そうだ。・・・意外か?」

 

と、摩利は意地悪い口調で答えにくい質問を返したが、

 

「いえ、少しも。」

 

その質問に間髪いれずに達也が答えた。

 

その視線の先には、摩利の指があった。

 

「なんだ、達也。指フェチなのか?」

 

その視線を理解した佑馬は、あえて違う意味で質問した。

 

「・・・そんなわけないだろ。」

 

軽く睨みながらそう答えてきたが、それを佑馬が口を吊り上げて笑うと呆れながら、また料理を食べ始めた。

 

「わたしたちも、明日から弁当に致しましょうか。」

 

佑馬、摩利と弁当の話題が出たからか、深雪がそう提案する。

 

「深雪の弁当はとても魅力的だが、食べる場所がね・・・。」

 

「あっ、そうですね・・・まずそれを探さなければ・・・。」

 

二人の会話はどうみても恋人同士の会話なのだが、それに気づいていない達也と深雪。

 

それは当然だが他の人も感じていたようで、

 

「・・・まるで恋人同士の会話ですね。」

 

みんなの意見を代弁するかのように、鈴音が無表情で爆弾を投下したが、

 

「そうですか?血のつながりが無ければ恋人にしたい、と考えたことはありますが。」

 

それは、誤爆に終わった。

 

「・・・もちろん冗談ですよ?」

 

本気で赤面しているあずさと深雪に、達也も無表情で淡々と告げた。

 

「面白くない男だな、君は。」

 

つまらなさそうに評する摩利に

 

「自覚しています。」

 

棒読みで即答する達也。

 

このままでは埒があかないと思ったのか、真由美が割ってはいる。

 

「はいはい、もう止めようね。摩利。口惜しいのは分かるけど、どうやら達也君は一筋縄じゃ行かないようよ?」

 

「・・・そうだな。前言撤回。君は面白い男だよ、達也君。」

 

そうニヤッと男前の笑みを向ける摩利。

 

「そういえば、佑馬君とジブリールさんも恋人みたいですよね。」

 

ふと、真由美が佑馬とジブリールの方を見るが、

 

「ああ、こっちは正真正銘の婚約者ですよ。」

 

と、何か問題でも?とでも言いたげに言う佑馬に、

 

「「「・・・え?」」」

 

今度は声に出す程驚く生徒会役員達。

 

「しかし、名字が同じなのは偶然でしょうか?」

 

そこで、鈴音が聞くが、

 

「いや、俺たちは孤児院から中田家の養子として向かい入れられた二人だからだよ。」

 

表向きはそうなっているため、そう答える佑馬。

 

「・・・そういうことなのね。」

 

真由美は何か苦虫を潰したような顔をするが、話を切り替えることも兼ねて、

 

「それでは、そろそろ本題に入りましょうか。」

 

と、切り出した。

 

昼休みなので、そんなに時間に余裕があるわけでもなく、昼食も食べ終わっていたので、達也と深雪、佑馬、ジブリールは肯定の頷きをした。

 

「当校は生徒の自治を重視しており、生徒会は学内で大きな権限を与えられています。これは当校だけでなく、公立高校では一般的な傾向です。当校の生徒会は伝統的に、生徒会長に権限が集められています。大統領型、一極集中型と言ってもいいかもしれません。」

 

「会長に権限が集められているって、大丈夫なんですか?」

 

その佑馬の一言に、

 

「・・・どういう意味かしら?」

 

ちょっとムッとした風に答える真由美。

 

「だって、職権とか乱用してそうじゃん。入試の結果だってそうだし。」

 

「ははは、言い方は失礼だけど、痛いとこ突かれたな、真由美。」

 

「もう・・・。」

 

頬を少しだけプクッと膨らませながら、話を進める真由美。

 

「これは毎年恒例なのですが、新入生総代を務めた一年生は生徒会の役員になってもらっています。趣旨としては後継者育成ですね。深雪さん、私は、貴女が生徒会に入ってくださることを希望します。引き受けていただけますか?」

 

そこで、深雪は達也の方へ向き、達也は小さく頷いた。

 

が、深雪は思い詰めた表情をしていた。

 

「会長は、兄の入試の成績をご存じですか?」

 

「っ?」

 

深雪の一言に、動揺する達也。

 

「ええ、知っていますよ。すごいですよねぇ・・・正直に言いますと、先生にこっそり答案を見せて貰ったときは、自信を無くしました。」

 

「ほら、乱用してるじゃん。」

 

「その話はもういいでしょ・・・。」

 

佑馬の揚げ足を取るような言葉に、拗ねる真由美だが、

 

「成績優秀者、有能な人材を生徒会に迎え入れるなら、わたしよりも兄の方が相応しいと思います。」

 

深雪は尚も思い詰めたような表情で言う。

 

「それは無理だぞ、深雪。」

 

だが、否定の言葉は会長ではなく、佑馬から出てきた。

 

「それは何故でございましょうか。」

 

「一科生しかなれないからだよ。二科生でもなれるといえばなれるが、全校生徒が参加する生徒総会で在校生徒の3分の2の票が必要なのに、一科生と二科生は半分ずつ。ここまで言えばわかるよな?」

 

その言葉に、深雪は諦めきれないという表情を見せながらも、

 

「・・・申し訳ありませんでした。分を弁えぬ差し出口、お許しください。」

 

そう素直に謝り、頭を深く下げた。

 

当然、深雪を咎めるものは誰もいない。

 

「ええと、それでは、深雪さんには書記として、今期の生徒会に加わっていただくということでよろしいですね?」

 

「はい、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願い致します。」

 

もう一度、今度は軽く頭を下げた深雪に、真由美は満面の笑みで頷いた。

 

「具体的な仕事内容はあーちゃんに聞いてくださいね。」

 

「ですから・・・あーちゃんはやめてくださいと・・・」

 

「もし差し支えなければ、今日の放課後から来ていただいてもいいですか?」

 

そこで、深雪は達也に何か言おうとしたが、達也によってそれは止められ、

 

「分かりました。放課後はこちらにうかがいましたらよろしいでしょうか?」

 

と、肯定することにした。

 

「ところで、なんで俺は呼ばれたんだ?」

 

そこで、佑馬は気になっていたことを切り出すと、

 

「ああ、君と達也君には風紀委員に入って貰う。」

 

「はぁ?」

 

「断る。」

 

その言葉に、達也は間抜けな声を、佑馬は拒否した。

 

「是非とも佑馬君には風紀委員に入って欲しいんだよ。昨日の件を見たときに、適任だと思ったんだ。」

 

「断ります。めんどくさいので、ジブリールと一緒でも嫌です。」

 

「そこまで断られるとかなり傷つくのだが・・・まぁいい、達也君は会長推薦で決定だがな。」

 

指名した張本人の真由美はウンウン、と頷きながらそれを聞いているが、

 

「ちょっと待ってください!俺の意思はどうなるんですか?大体、風紀委員が何をする委員なのかも説明を受けていませんが。」

 

「ジブリール。」

 

「なんでございましょう。」

 

達也も入りたくないのか、必死に言い訳しているところで、佑馬はジブリールに声をかける。

 

「特に面白いこともないし、教室に戻ろう。」

 

「わかりました。」

 

そして、佑馬とジブリールは虚空に溶けるように消えていった。

 

「あのですね!俺は、実技の成績が悪かったから二科生なんですが!」

 

達也は未だに弁解している。

 

「構わんよ。」

 

「何がですっ?」

 

「力比べなら私がいる・・・っと、そろそろ昼休みが終わるな。放課後に続きを話したいの・・・だ・・・が・・・佑馬君と中田さんは何処だ?」

 

気がついたらいなくなっている二人に、一同は疑問を覚える。

 

「誰か扉を開けた音とか聞いた?」

 

「いえ、気がついたらいなくなっていました。」

 

ちなみに、達也と深雪はなんで消えたのかわかっていたが、この場で口にすることは出来ず、そのまま解散となった。

 

そして放課後に達也は佑馬を道連れにしようとしたが、転移でいつの間にか消えていたため、深雪とともに足取り重く、生徒会室へと向かった。




昼休みを昼放課と書きかけた自分は悪くないはず。

方言なんです。
すみません。

方言なのに、中学校まで方言と知らなかったレベルの方言。

というか、話が進まないなぁ。

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