どんだけ人気なんだよと、思いましたね~
「はぁ〜・・・暇ですね・・」
IS学園の敷地と外の境にあるゲートには2人の警備員が居る。どちらも当然の様に女性であり、警備員になり10年のベテランである先輩と今年配属されたばかりの後輩であるが余りに暇で後輩は愚痴っていた。
警備員と言っても最強の兵器、ISが大量に配備されており世界最強ブリュンヒルズが居るIS学園に侵入者など滅多に居ない。
仕事のほとんどは来客への対応である。
今日は来客も来ず、時間を弄んでいた。
「気を抜くんじゃないわよ!今日は男の操縦者が試合をしているのよ。十分警戒しなさい!」
先輩が後輩は叱るがそれでも態度を改めない。
「でもですよ?男を守るなんてやる気も出ないじゃないですか」
後輩は典型的な女性上位主義者であり男を見下していた。
「貴女ね・・・」
後輩の態度に呆れていると一人の男がコチラに歩いてくるのが見えた。格好は長袖のTシャツにジーンズといったラフな格好でとてもIS学園に関係があるとは思えない。
何より、男が発する例えようのない異様な気配が男が危険人物だと伝えている。
「止まりなさい!この先は学園の敷地内よ。関係者以外の立ち入りは禁止されているわ!」
男の放つ不気味な気配に警告しつつ拳銃を構えるが男の足は止まらない。
「止まれって言ってんのよ!!」
後輩が男に向け発砲した。銃弾は男の左肩に命中し衝撃で男は地面に倒れた。
拘束するため銃を構えたつつ男に近づいていく。
「ははは・・・」
「「っ!?」」
突如男から聞こえた小さな笑い声が2人の本能に警告をした。咄嗟に男から距離を取り銃を向ける。
「ひゃ~はははははは!!」
不気味な笑い声を上げ男は立ち上がろうとする。
「くっ!!」
「このぉ!気持ち悪いのよ!!」
二人は男の手や脚に何度も発砲した。その度に男は倒れるがすぐに起き上がろうとする。やがて二人の弾丸が尽き男は完全に立ち上がった。
「お前らも・・俺を見下すのか・・・・燃えろぉ・・俺を見下す女はみんなぁ・・燃えろぉぉ!!!」《マグマ》
男が手に持つUSBメモリに付くスイッチを押すとメモリから音声が聞こえた。そのままめもりを自身の右腕に突き刺すとメモリは男の腕に吸い込まれていく。
それと同時に男の身体に変化が起こった。全身が真っ赤に光りその姿を禍々しく変えていく。
「グゥゥオオオオ~~~!!!」
大地を震わす叫びと共に灼熱のマグマが天に昇った。
―――――――――――――――――――――――――
「・・・すごい」
目の前のモニターに映る光景に思わず声が漏れた。
今、アリーナでは織斑とオルコットさんが戦っている。織斑はオルコットさんのビットの動きを見切り次々と落としていく。同じ初心者のはずなのに・・・もうここまで差があるなんて・・
ISを動かした時は俺もこれで物語の主役のようになれると思ったけど・・やっぱり主役は織斑なのか・・
『俺はこの力で守るんだ!大切な人たちを、千冬姉の名前を!』
織斑が吠えながら剣を構える。守るか・・・俺にはそんな相手もいないな・・
『ウオオオオォォォォーーーーー!!』
織斑の剣が今まさにオルコットさんに迫ろうとした時、
――ブゥゥオオオ!!——
突然アリーナの向こう側、学園の門の方向で巨大な火柱が上がった。いや、あれは火柱と言うよりも噴火?
――ビービー!!——
「きゃぁ!」
建物全体が揺れて警報が鳴る。倒れそうになった簪さんを支えてモニターを見るとアリーナも混乱していた。生徒たちが我先にと避難しようとするけどさっきの衝撃でシステムが故障したのか客席のゲートが封鎖されている。
「一体何がどうなって?」
「あ、秋元君!アレ・・」
簪さんがモニターを指差した。
見てみるとさっきの火柱がまるで蛇の様にはうねりアリーナに向かってくる。
「簪さん!!」
また襲ってくる衝撃に備え、簪さんを抱き締める。
「キャアアアァァァ!!」
さっきよりも激しい揺れが襲ってきた。
学園全体が揺れたようで外からも悲鳴が聞こえてくる。
「簪さん大丈夫?」
「う・・うん・・」
簪さんの無事を確認して状況を確認しようと再びモニターに視線を向けた。そこで俺は自分の目を疑った。そこに映っていたのは・・・
『グゥゥオオオオ〜〜〜!!!』
マグマの魔人・・そうとしか表現できない化け物が地獄からの雄叫びを上げていた。
「な・・・なんなのアレ?」
簪さんもその光景に目を見開いている。
『何なんだよ!?お前!』
『試合の邪魔をするつもりですの!?させませんわ!!』
オルコットさんがライフルを撃つがビームが命中しても化け物は全く動じておらず歩き出した。
『あ〜ははははははは!!ISはこんなモノなのかぁ!?』
化け物の身体から飛び出た無数の火球がアリーナを破壊していく。
『キャアアアァァァ!!』
避難出来ない観客席の生徒たちは身を屈め悲鳴を上げる事しか出来ない。
『やめろぉぉぉお!!』
織斑が化け物に斬りかかる。光を纏った剣が火球を切り払いながら化け物に迫る。
『ガアアアァァァ!!』
しかし、その攻撃は化け物の叫びと共に現れた火柱に妨げられた。
『クゥ!私がこんな怪物にっ!』
一方、オルコットさんも化け物の火球に苦戦している。
ビットは織斑との戦いで破壊されており何より二人共もうISのエネルギーが残り少ない。
教師の鎮圧部隊はまだ現れる気配はない。
今、この場で戦えるのは…
「待って!!」
気が付けば簪さんが腕を掴んできた。
「どこに行くつもりなの!?」
気付けば俺の足は控え室を出てアリーナに向かおうとしていた。
今俺が行っても恐らく戦況は変わらない。それどころか足手まといになるかもしれない。
分かっている、分かっているけど・・・・
「ゴメン・・・」
腕を掴んでいる簪さんを振り払いアリーナに向かって走り出す。
途中でISを展開し決して広くない通路を飛行した。
物の数秒でアリーナに出るゲートに到着した。
閉じられたゲートに対しオルコットさんとの試合で使用した盾を前方に構えスピードを落とさないままゲートに突っ込む。
「なっ!・・・何だよ・・これ・・!?」
ゲートを突破しアリーナに出た俺は目を疑った。つい数十秒前、モニターで見たときは、二人とも苦戦はしていたが化け物と戦えていた。でも今、目の前ではエネルギーが切れISが解除された二人が地面に倒れていた。
元々残量が少なかったとしてもこんな短時間でISのエネルギーを奪うなんて・・・
「はぁ〜〜?まだ虫けらがいたのか〜まぁ良い、お前も・・・燃えろ!!」
ッア!?化け物の周りに火球が出現した!さっきよりも多い・この高度で戦っちゃ客席にも被害か出る。
急いで高度を上げ化け物の狙いを上空に向ける。
狙い通り火球は上空の俺に集中していく、迫り来る火球を躱しながら銃を撃つがその銃弾は命中する前に化け物の熱で溶かされていく。
「ッ!何て熱量だ・・」
今俺が使える武器ではどう考えても勝てない。
でも、先生たちが来るまでの時間稼ぎなら!
「隙ありぃぃぃっ!!」
「不味い!?」
一瞬の隙を突かれて火球が命中した。ISに搭載されている絶対防御で致命傷にはならなかったけど、その衝撃で試合中継用の大型モニターに叩き付けられた。
「ぐっ、ううぅぅ〜」
モニターから抜け出そうとしてもうまく動かない。見てみればISのエネルギーはもう1/4も無かった。
「チョコマカ動きやがってぇ〜〜〜さぁ〜ハデに燃えろぉ!!」
化け物の頭上で今までの数倍の大きさの火球が出来上がった。ISから警告を告げているけど動くことが出来ない。
此処まで・・か・・・
結局、俺は主人公みたいにはなれなかったのか・・・
「はじめ〜〜〜!!!」
簪さんの声が聞こえた。
顔を上げると化け物を挟んで反対側、俺が壊したゲートから簪さんがコチラを見ていた。
息を切らして身体を支えるように壁に手をついている。そして・・・その目には涙が浮かんでいた。
ああ・・・そう言えば・・簪さん人の約束・・織斑を倒してないなぁ・・まだ・・・死にたく・・ないな・・
「燃えろ!燃えろ!!燃えろ!!燃えろぉぉぉ!!」
火球が迫ってくる。全てを諦めて俺は静かに目を閉じた。
《ボルテックス!マキシマムドライブ!》
・・・・・いつまで経っても身体に熱が来ない?
目を開けると何処から現れたのか1本の光の矢が火球の進撃を止めていた。
やがて、火球と矢は同時に力尽き消滅した。
「何だと!?」
俺も化け物も何が起こったのかすぐには理解できなかった。
一陣の風がアリーナに吹いた。
風はまるで生きているみたいに動き一か所にモニターの上に集まっていく。
視線が自然に風を追っていくとそこには誰かが居た。
「なんだぁ・・・お前は何なんだぁぁぁ!!」
「俺は、ボルテックス・・・仮面ライダーボルテックス!」
そこに居たのは銀色の身体に青いラインが螺旋を描くように走り、腰には赤いベルトが撒かれており首には蒼いマフラーをなびかせながら銀の複眼でこちらを見ている戦士が居た。
「抗いな、ドーパント。逃れる事は出来ないけどな」
約束通りライダーを出しましたよ・・・
戦いは次回ですが戦闘描写が苦手なのでうまく表現できるか不安です。