『この世全ての悪』を背負いし少年も異世界から来るそうですよ? 作:クロック
だが後悔はしてない!
夢を見る。
十年前の夢だ。
夜なのに前がハッキリと見える。
所々から炎と硝煙が上がっている。
足元には沢山の焼死体が。
ただ前に歩き続ける。
助けて、という声が聞こえる。
それを耳を塞ぎ、無視を決め込み歩き続ける。
ただひたすらに歩き続ける。
手足の感覚が消えてきた。
目が霞初めて前がはっきりと見えない。
そして限界が来て地面に倒れる。
まだ雨が自分に当たっているのがわかる。
もうダメか、と思った。
既に体は死に体。
このまま自分は目の前で死んだ両親と同じようになるのだと思った。
最後に目に映ったのは、まるで生きているかのようにこちらに向けて進んでくる、ドス黒い泥と壊れている金色の杯だった。
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地獄の中に二人の青年がいた。
一人は茶色がかかっている黒髪の男。
もう一人は金髪のガレキの上に足を組んで座っている男。
ちなみに二人共Naked状態だった。
「してどうするよ、綺礼」
金の男が話しかける。
「なに、しばらくはこの地獄を堪能するさ」
綺礼と呼ばれた男が返す。
「ならいいが、あれは何なのだろうなぁ」
金髪の男、ギルガメッシュは興味深そうに目を向ける。
「どうした?ギルガメッシュ・・・ッ!」
綺礼は目を向けた瞬間固まった。
目の前にあったのは倒れている少年に進み続ける自分達の体を構成している泥と、その泥を生み出し続ける、壊れた金色の杯だった。
やがてその二つは少年の体にまとわりついて、元の少年の体になった。
信じられない、と綺礼は思った。
金色の杯・・・聖杯に気に入られた綺礼ならまだ分かるが、おそらくは何の接点もない少年に、聖杯がまるで惹かれているように少年の体に入っていったのだから。
「ほう、あの子供、そこらの雑種とは違うようだな」
ギルガメッシュが興味深そうに言う。
「して綺礼、アレを拾わぬか?」
ギルガメッシュの言葉に綺礼は驚く。
「あれは面白い。人間の、それもタダの子供が、聖杯に気に入られ、俺と同じように、英霊となるとはな」
「本当か、ギルガメッシュ?」
「あぁ。まだ人間だが、死ねば確実に英霊になるのは確定よ」
「ふむ・・・面白い。ならば拾おう」
愉悦の為に、と言いつけて。
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目が覚める。
起きたら知らない協会のような場所にいた。
履いているのはズボンだけで、上半身は裸だった。
自分に何が起きたのかは目覚めた時に理解した。
自分の体が変わったこと、自分がなにか・・・など。
ふと、自分の左腕を見る。そこには心臓から左腕の肘にかけて、黒い奇妙な刺青があった。
「目が覚めたようだな」
声がした方を振り向く。
そこには目に光がない男と金髪の青年がいた。
「私の名前は言峰綺礼だ」
「俺の名は英雄王ギルガメッシュだ」
二人とも知っている。
なぜかと頭に情報が入り込んでくる。
この二人の生涯が、この二人の能力が。
「僕は・・・アンリです」
「やはり記憶を継いでいるか」
アンリの自己紹介にギルガメッシュが返す。
「記憶は継いでいません。あるのは能力と自分が何なのかだけです」
「そうか・・・まぁよい」
ギルガメッシュは微笑しながら話を切る。
そこで言峰綺礼が
「アンリくん、ここで一つ提案があるのだが・・・」
「なんですか?」
「私の養子にならないかね?」
「いいのですか?」
言峰の提案は今のアンリにとってはとても嬉しいものだった。アンリは先の火災で親も家も失っているためこれからどうしようもできない。だから住居などはどうにかしてでも手に入れなければならないものだった。
「受けます」
「そうか、よろしく頼むぞ、我が息子『言峰暗流』」
「うん、父さん、ギルガメッシュさん」
「ふむ、まぁよい。名前で呼ぶことを許そう」
ギルガメッシュも嬉しそうに返した。
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あれから十年。
暗流はギルガメッシュから力の使い方を教わり、綺礼からは自分に取り憑いた英霊の主要武器の双剣を教わったり、魔術や黒鍵などを教わっていた。
英霊でも上位の身体能力。
それに自分に取り憑いた英霊の宝具が強化。
既にギルガメッシュはセイバーとも渡り合えると喜んで言っていた。
綺礼も覚えるのが早いと、最終的にはマジカル八極拳も教えてくれた。
綺礼の実娘である、カレン・オルテンシアにも仲良くしてもらってる。
だがもう彼等はいない。
ギルガメッシュは消え、綺礼は殺され、カレンは行方不明。
暗流は一ヶ月で恩人二人と、大切な人と会えなくなっていた。
今日も日課である双剣と八極拳の鍛錬を終える。
備え付けのシャワーで軽く汗を流し、ギルガメッシュからもらった服に着替える。
そして朝食を作り一人で食べる。
そして後はいつも通りカレンの情報を集める
カレンや綺礼、ギルガメッシュがいなくなってから同じように過ごしている。
十年前と同じく、自分はまた失った。
自分の中にある壊れた杯のせいで。
いつも通りパソコンをチェックしようとすると机に自分宛の手紙が置いてあった。
気ままに開いて読んでみると、
『悩み多し異才を持つ少年少女に告る。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの〝箱庭〟に来られたし』
読み終わってあったのは体が引っ張られる感覚。
一瞬だけノイズのようなものが見えると次には空に放り出されていた。
しかも上空4000mに。
一緒にスカイダイビングしてる一人の少年と二人の少女と三毛猫。
一人はなにやら叫んでいる。
4人は一気に真下にあった湖に落ちた。