インフィニット・ストラトス シャーマンな転生者   作:未来凹

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第2話 ゴリラとの決戦と剣道の大会

Side 俊希

 

小学生になって3年と少しの時が経った。つまりは俺は小学4年生ということだな。ここで1つ、俺からのお知らせがある。何と現段階で呪禁存思が使用可になっちまった。予想より3年も早く医学を規定値まで勉強できたようだ。何でこんな事態になっちまったって?全ては箒の姉である束さんが悪いんだ。

俺が束さんの扱いにイラってしてつい素を出してしまった。何時もは子供っぽさを出すためにゆるふわっと喋ってたのに、あの時はガッツリ敬語を使ったし箒の魅力について余すことなく語ってしまった。確かに俺は前世から気に入ったものや好きなことはべちゃくちゃ喋れたが、女の子に対してヤルのはちょっとダメだよな…ふと我に返った時に思ったんだ。あっ、俺ストーカーじゃんって。だが、俺のドン引きするような熱弁を聞いたにもかかわらず、箒は俺を嫌うことは無かった。何だか知らんが寧ろ距離が少し縮まった気がした。

箒についての話は置いといて、とにかく束さんに俺の素がバレた。そして束さんは俺を酷く気に入ったみたいで、「さーくんは束さんレベルで天才なんだよー!」だとか言われた。俺は声を大にして言いたかった、俺は天才じゃないんだ!唯前世の記憶があるから後々身につく知識があるだけなんや!そんなんチートやチーターや!?って…

だがそんな俺の心とは裏腹に、加藤俊希の身体は天才だった。基本的に覚えようと思って見たものは瞬時に記憶できたし運動神経も人並み以上、今のところ同年代では敵ナシ状態だ。よって、俺は束さんが俺に課した課題を次々クリアし、小学生、いや中学生ヘタすると高校生大学生ですら習わない専門知識を手に入れてしまった。束さん曰く現時点で世界で2番目の頭脳になってしまったようだ。正直引いた…

俺に知識を与えた自称世界1の頭脳を持つ女子は自称を他称に変えた。つまりは己の頭脳を他人に認めさせたって訳だ。やり方は実に簡単でシンプル、誰もが思いつくが実行に移すのが困難なやり方…世界を自分の手でちゃぶ台よろしくひっくり返した。インフィニット・ストラトスっていう宇宙探索用マルチフォームスーツを世界に認めさせた。後に『白騎士事件』という歴史に残る程の強引な荒技で、だ。

白騎士事件を簡単に説明するとこうだ。誰かが世界各国のミサイルをジャックして日本にある国会議事堂目掛けて一斉発射、そのミサイルを全て落としたのが白騎士。その後にやってきたアメリカを始めとする各国の軍が白騎士を捕らえようとしたところ、白騎士に殲滅された。白騎士はミサイルの死傷者と各国の軍の死傷者が0人という伝説的な記録を残した。これが後々メディアが神格化し白騎士事件と語られるようになったとさ。

白騎士に誰が乗っていたは謎となっている。だが、束さんが自慢気に見せてきた白騎士の勇姿で分かった。白騎士に乗ってるのは絶対一夏の姉でありISの現日本代表である織斑(おりむら)千冬(ちふゆ)さんだ。だってまず束さんに白騎士に乗ってもらえる程の交友のある人物は千冬さんしかいない。しかもあの剣の太刀筋は正しく千冬さんのものだった。

え?何で千冬さんの太刀筋が分かるかって?そんなのは簡単だ。今もその太刀筋を肌で感じてるからだ。

「もっと、もっとだ…もっと私に力を出させろ!!」

千冬さんは俺と鍔迫り合いをしてる状態から思いっきり押してきてムリやり距離を開けられた。さっき俺は言った、今の俺の運動神経は同年代では敵ナシだ、と。正直並の高校生なら軽くボコれる自信はある。だが、千冬さんは違う。女子にもかかわらず怪力かつ運動神経は俺と同等かそれ以上。そんなホッソい身体のどこからそんなバカ力が出てるのか不思議で仕方ねぇ。前世は絶対マウンテンゴリラに決まってやがるッ!!

「誰がマウンテンゴリラだ!」

「俺の心を読まないでくださいよ!」

目でギリギリ追える程の剣筋が俺を襲う。俺は地獄での経験全てを使ってそれを耐え忍んだ。時には回避、時には竹刀で弾いたり…今の俺は必死だ。だってよ、千冬さんとやる時は防具を一切付けさせてくれないからだ。確かに防具は重いからスピードが落ちるからってのは分かる。だがその後の一言がいけねぇ。何て言ったと思うよ?

「私の攻撃を当たらなければ何も問題はないだろう?」

こう言われてしまったら俺は引き下がれない。何だって俺は600年以上も渋とく喰らいつく負けず嫌いだからな。

「おおおおおおラァッ!!」

「ふんっ!」

バリバリバリッ!!

俺の今振るえる全力の一太刀は千冬さんの振るう竹刀とぶつかり、互いの竹刀に亀裂が入った。

「そろそろ終わりませんか?千冬さん。竹刀もボロボロですし」

俺は半ば懇願するように言った。正直もうしんどい。何時もは箒と一夏としかやらないからここまで必死にヤラねぇから、腕はプルプルするわ脚の指の感覚はないわ…俺の身体は竹刀と一緒でボロボロなんですわ。

「私をこんな気持ちにさせといて終われると思うのか、あゝ゛?」

メリメリッ!!

千冬さんが俺の竹刀を押す力を強めた。20歳になるかならないかの年齢の人が小学生をボッコボコにしようとするなんてどんな神経してんだよッ!?

「こうなったらトコトン付き合ってやラァ!!」

バキッ!ギリギリギリッ!!

俺も今出せる全力で千冬さんの竹刀を押し始めた。竹刀がボロボロになっていく音が剣道場に響くが竹刀がビクともしねぇ…ホントになんてバカ力なんだよ千冬ゴリラが!?

「誰がゴリラだ!!」

気のせいか?さっきから千冬さんの悪態を付いた時に心を読まれてる気がするんだが。あっ、ヤバ…俺の竹刀がもう限界イタイイタイイタイって言った気がした。コレはもう折れるな…

バキッ!!

俺の竹刀が縦に真っ直ぐに裂けた。正直裂け方は頭オカシイが折れるってのは分かってたから即座に竹刀を手放した。そして俺は千冬さんからダッシュで逃げた。目指すは俺と千冬さんの死合いを見てる箒と一夏の元へだ。

「逃げるなぁ!!」

千冬さんが俺を追いかけてきた。距離的には追いつかれることはない、問題は竹刀を取る時に止まる俺目掛けて振るわれる竹刀に間に合うかどうか…間に合うか間に合わないかは五分と五分、俺の脚よ、今が踏ん張りどころだ!動けぇええええ!!

「ちょおまこっちくーー」

「少し借りるぞ!!」

俺は2人の近くに立て掛けてある竹刀に手を伸ばした。チラッと背後を見ると既に振りかぶった千冬さんの姿が…コレならギリギリ間にあるぜ!!

「はああああああ!!」

「どっせい!!」

バシィイイイインッッ!!!

俺は竹刀を2振り手にして即座に身体を回転させながら横薙ぎに振るった。何とか間に合ったみたいだ…俺の目の前には刀身が半分しかないボロボロの竹刀を持った千冬さんがいた。

「はぁ、はぁ…竹刀も折れたことですし、これで打ち止めにしませんか?」

「むっ…仕方の無い奴だ。()()()()はこれで打ち止めにしてやろう」

や、やっと解放されたぁ…一応1発も攻撃を当たってないから良かったが、俺から仕掛けるマトモな攻撃がさっきの一太刀のみか。阿弥陀丸流剣術を1度も使ってないとはいえコレは結構鈍ってるな…千冬さんはスッゲェ強ぇし今の俺は小学4年生。こうなることは普通からすると当たり前、寧ろ大健闘だと言えるだろう。だが、俺に言わせればダメだ。何故なら地獄で過ごした時のオオカゲリョウとしての身体能力と、加藤俊希としての身体能力を比べると現段階で既に加藤俊希にやや軍配が上がるからだ。(本人は気づいていないが地獄の時はスタミナ切れの概念があまりない。つまりオオカゲリョウの時の方が身体能力は高い)

コレは由々しき事態だ。今まで医学の勉学に回していた時間を騒動員しないとな…せめて地獄の時と同等の動きを出来るようにならねば。(限定的に超えることは出来るが完全に超えることは不可能である)千冬さんは言った、今日のところは、と。コレは何時になるかは分からないが次があるってことだ。乗り越えてやろうじゃねぇか…何時か千冬さんにも一撃入れてオオカゲリョウを超えてやる!

「これからもよろしくお願いしますッ!!」

「良い返事だ。それはそれとしてだ、俊希。女性に向かってゴリラとは何だ?」

「イッタァアアアア!!ちょっ何これメッチャイテェんだけどどういうことだよてか千冬さんそろそろ離してぇぇぇぇぇぇ!!!」

「離してほしいと言う前に言う言葉があるだろう?んんん?」

この後俺は100回程ゴメンなさいと言うまで千冬さんのアイアンクローを受けた。

 

 

 

 

 

千冬さんと初めて死合いしてから半年が経ったある日、俺の目の前には名も知らない人が防具をつけて竹刀を握っていた。俺が何時も試合をするのは箒と一夏、稀に箒の父親と千冬さんだ。それ以外の人とは試合をしたことがない俺がどうしてこの状況に陥っているかというと、箒に懇願されたからだ。剣道の大会に出てくれ、そこで私と勝負してくれと…

「始めっ!」

「面」

パシィンッ!

俺はやる気がないが箒の為だ。出来る限り早く終わらせるために今出せる最速の剣で軽く頭を叩いた。だがまだ1本と言われない…ん?俺はちゃんと面って言ったよな?剣道のルール上は面って言って頭を叩いたら終わるんじゃねぇのか。

「おい、早く1本って言えよ」

「あっ…いっ1本!!」

何だか敵がぽかんとしてるんだが大丈夫か?俺の一体どこがオカシイんだ…まぁイイか、1本って言ったんだからさっさと戻るか。この大会は先に1本を取った方が勝つ特別ルールだからな。俺は直ぐに礼をしてやや早足で会場を後にした。

 

 

 

Side 箒

 

私は俊希に剣道の大会に出てもらうようにたのんだ。理由は簡単だ、姉さんが行方不明になったのだ。姉さんは行方不明になる前に泣きながら何度も私にあやまってきたのだ、あの姉さんが、だ。何でも姉さんは自分が作ったものが本来使われる使用方法、宇宙に誰も行こうとしないことがひどく悲しく、そして辛いみたいだ。私はただ姉さんの後悔を聞きながら背中をさすってあげることしか出来なかった。

姉さんが行方不明になった後に篠ノ之家は日本政府に守られることが決まった。だから私は俊希のいるこの町をはなれなくてはならなくなった。その日こそが剣道の大会の日だった。私はこの大会で俊希と最後に剣を交えたかった。そして、もし私が俊希に勝てたならこの胸に宿っている想いをぶつけるのだ!と心にちかいを立てて…

俊希は私のたのみをしぶしぶのんでくれて大会に出てくれた。俊希はだれの目にも分かるほどやる気がなかった。対戦相手がふまんそうに俊希を見るも俊希はがんちゅうにないようだった。

「始めっ!」

「面」

パシィンッ!

俊希が面と言ったと思ったら何かが竹刀に叩かれた音が会場に響いた。何をしたのか全く分からなかった。おそらく高速で剣をふるったのだろうがまるで見えなかった。対戦相手だけでなく審判の人でさえ見えてなかったのか顔をぽかんとしていた。

「おい、早く1本って言えよ」

「あっ…いっ1本!!」

俊希がやる気なさげに会場を後にした。会場は俊希が出るまではしーんとしていたが時間が経つと大歓声に包まれた。このような地方でやる男女混合の小学生の部の剣道大会ではあり得ないレベルだったからだろう。

私は何度か俊希の本気を見たことがある。それは何時だって千冬さんが相手の時だった。それを私は姉さんに頼んでビデオにとってもらい、スロー再生を使って何度も何度もくりかえし見た。そんな私だからこそ分かる。あの剣速は間違いなく本気だったと。まぁ見えてないから合ってるか分からないがな。とにかく、私では見えない速さの剣をどうにかしないと私に勝ち目はない。私と俊希の対戦成績は0勝782敗0引き分けだ。私には勝ち目など鼻からないのだろう。だが、そんな私でも勝ちを想像することは出来るのだ。た、ただ勝ち方が分からないがな…

私と俊希が順当に勝ち上がると試合が出来るのは決勝戦だ。決勝戦までこまを進めるまで4回も勝たなければならない。それに私の初戦の相手はおりむらだ。おりむらとの対戦成績は320勝140敗5引き分けだ。成績だけ見ると私が勝ちそうだがそれは最早あてにならない。なぜかというと最近の対戦成績は殆ど五分と五分だからだ。しかもおりむらはここ1番に強い。

まちがいなく強敵だ。身を引き締めなくてはな…私は今年のたんじょうびのときに俊希からもらったリボンで髪をキツくしばった。

 

 

 

「1回戦でほうきと当たれておれはうれしいぜ!」

「ふんっ、その気持ちは分かるぞ。おりむらにきれいに勝って私は俊希と戦うのだ」

「なぁ、ほうき…お前今日でひっこすんだったよな?」

「ああ、そうだ」

私がこの街を離れることは俊希以外の知人には言ってある。

「どうせ最後なんだ。おれと勝負しないか?おれが勝ったらおれのことを一夏って呼んでくれ」

「面白い。では私が勝ったらおりむらは私に何をしてくれるんだ?」

「決まってるだろそんなの。ほうきのことをしのののって呼んでやるよ」

「ふふっ、良いだろう」

私とおりむらは1年生のころ、たがいの呼び名について剣道で決着をつけたことがある。ないようは剣道で10本勝負をして私が全勝したらたがいに苗字。おりむらは私に5勝以上勝ったらたがいに下の名前。それ以外の場合は私が苗字でおりむらは下の名前。と言った感じの勝負をした。結果は私の9勝1敗だ。そのため私はおりむらと呼びおりむらは箒と呼ぶ。

私はどうやらおりむらに負けられない理由が2つに増えたようだ。1つは俊希と戦うため、もう1つは…

「私はお前を下の名前で呼ぶつもりは一生ない!!」

「始めっ!」

「「めぇええええんっ!!」」

私対おりむらの試合が始まった。

 

 

 

 

 

Side 俊希

 

剣道大会もいよいよ大詰めの決勝戦だ。俺は決勝までの全試合を秒で終わらせた。小学生なんて普通はこんなもんだ、俺の剣が見えなくて当たり前だ。もし万が一俺の剣が見えて反応でもされたらどっひゃーだわ。

俺は防具を身体につけながらふと決勝戦の対戦相手を見た。対戦相手は女の子でありながら4人の男の子を切り捨て、俺をこの大会に参加させた張本人である篠ノ之箒だった。俺は箒が何で俺をこの大会に参加させたかったのかは知らないが、多分この大会で俺と当たりたかったのだろうってのは分かる。何故なら目の前にいる箒は何時も以上に集中しているからだ。

だがそんなことは俺には無意味だ。俺の剣は箒には見えていない。これは昔からずっと箒自身が言っていたことだし実際そうに決まっている。俺は箒のヤル気に敬意を払って全力で剣を振るうだけだ。

「始めっ!」

「面」

バシィイインッ!!

「えっ…」

何かさっきまでの面と叩いた感触や音が違うんだかっておいぃぃぃぃぃ!!箒何で俺の剣を受け止めることが出来たのさ!?

「こてぇええええええ!!」

「うぉおっ!?」

俺はバックステップで反射的に箒の竹刀を回避した。今の当たってたら箒に負けてたぜ焦ったー。これは正にどっひゃーですわ…

「ど、どうやって俺の剣を受けたんだ?」

「ふっ、簡単だ。今日のお前は最初は全て面で決めている。だからこの試合でも面が来ると思ったんだ。後はカンだ」

いやいやカンって…そりゃあ箒の言った通り今日は面で秒殺してたがそれでもイケるか?俺だったらムリだ。どうしても他の行動を取るかもしれねぇって勘繰っちまう。

「箒、お前スゲェよ…」

俺は箒を今日試合したモブ共と同列に扱っていたことを後悔すると同時に改めた。

「見せてくれ…箒の本気ってやつを」

俺は千冬さんと戦う時と同じレベル、いやそれ以上のレベルで集中して箒を見た。

「はぁああああああ!!」

箒が俺に次々と竹刀を振るってくる。俺はそれを丁寧に処理し、かつ反撃を繰り出した。何時もの箒なら当たる筈の俺の攻撃は見事に避けられた。

「どんどん加速するぞ!!」

俺は竹刀を振るう速度を1段階上げた。それでも箒は俺の攻撃に必死に喰らいついてくる。面白ぇ、もっとだ!もっと速くなるんだ!!

「めぇええええええんっ!!」

「メェエエエエエンッ!!」

「1本ッ!!」

白い旗が上がった。どうやら俺が勝ったみたいだ。今日の試合、スッゲェ楽しかった。そりゃあ千冬さんの時と比べると力を出し切ってはいないが試合の充実感というか何というか…上手く言葉に出来ねぇがとにかく楽しかった。俺は礼をして直ぐに防具を外して箒が会場から去ったのを追いかけた。

「箒、家に帰ったら直ぐにでも剣道場で剣道しようぜ!」

「いや、それはもう出来ないんだ…」

で、出来ないってどういうことだ…?箒に追いついた俺の耳に響いたのは試合中とは打って変わった箒の暗い声だった。

「出来ないってのはどういうことだ?」

「私は今日でこの町を離れる」

「ウ、ウソだろッ…!」

「姉さんが行方不明になったのだ。そのせいで篠ノ之家は政府に守られることになった。だから、この町を離れるのだ」

俺は酷く憤りを感じた。原因は分かっている、箒だ。だが何故こんな感情が湧いたのかは分からなかった。そして、今の俺にはこの感情を止める手段はなかった。

「何で!何でそんな大事なことを今の今まで黙ってたんだよ!!」

「そんなの…決まっている!!この町を!お前がいるこの町から離れたくなかったからに決まっている!!!それに、別れが辛くなるだけだろ…!うぅぅぅ」

俺は冷水を頭からぶっかけられた気がした。そうだ、俺は何で箒の気持ちを考えなかったんだ…?何が600年以上生きてるジジィだ。俺なんて自己中なただのガキじゃねぇか!箒がこの町を離れたくないことぐらい分かってやれた筈なのに何で俺はッ…!

いや、今は反省する時じゃねぇ。俺のせいで泣いちまった箒の涙をどうにかして止めないといけねぇな。今俺が持ってるのは首に巻いたタオルのみ、だと。前に箒を泣かした時と似たようなシチュエーションだな。確かあの時はタオルを出しても拭いてくれなかったよな…あっ、あの時はあの言葉を言ったんだ!

「箒、なんとかなる!」

「な、なんとかなる?」

「そうだ、俺と箒が剣道を続けている限りきっと何処かでまた会えるんだ!」

「け、剣道を続けてる、限り…また、俊希と……だが……」

「なんとかなる。そう信じているときっとなんとかなるんだ。例えツライことや悲しいがあってもだ」

「ぐすっ…そうだな。その言葉がまた私を支えてくれるのだな」

涙を指で拭きながら俺に見せたその笑顔は今までで見てきたどんな箒よりも可愛くて、キレイだった。この時、俺の心は前世でも味わったことのない程大きく跳ねた気がした…

 

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