ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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106ありんすちゃんきがえる

「あーあ。なんか残念だったねー」

 

「……ボ、僕もが、頑張ったんだけどな」

 

 ナザリック地下大墳墓 第六階層のアウラ達の部屋ではありんすちゃん、アウラ、マーレがため息をついていました。前回アイドルユニットとしてのお披露目で、ありんすちゃんが音痴だという決定的な欠点が明らかになり、計画は消滅してしまったのでした。

 

「……ありんすちゃんだけ口パクにしたら良いのにねー。今度あたしから『中の人』に頼んでみようか?」

 

 アウラさん……それはダメです。

 

「──ゴホンゴホン。お、お姉ちゃん、な、中の人なんてい、いないと思うな……」

 

「……ふーん」

 

 アウラは納得いかないみたいで口を尖らせました。

 

「……じゃあさ、上坂す●れに頼んでみたら良いじゃん。ありんすちゃんの声にそっくりだし」

 

「……うーん。無理じゃないかな。オバロ二次でもマイナーな作品だから、あの、上●すみれさんはありんすちゃんなんて、その、知らないんじゃないかな? それに今は鬼灯のれ──」

 

 ──ゲフンゲフン。少々お待ち下さい──

 

 ここはアウラとマーレの部屋。先程からありんすちゃん、アウラ、マーレの三人がアイドルユニットの反省会をしています。

 

「……残念だったねー。ありんすちゃんがもっと歌が上手だったら良かったね。今度はあたしがセンターでやってみる?」

 

「……お、お姉ちゃん。ありんすちゃんだって一生懸命だったんだから……」

 

 ありんすちゃんを擁護するマーレをアウラはジト目で見ます。

 

「……なあに? 世の中には一生懸命だからって許されるなんて甘い事は無いと思うけど? 下手くそは下手くそって言ってなんか悪い?」

 

「……お姉ちゃん。ありんすちゃんを責めると……」

 

 マーレはおどおどしながらありんすちゃんを振り返りました。するとありんすちゃんはマーレの衣装タンスを開けて楽しそうに様々な服を広げてご満悦でした。

 

「アウアウは衣装持ちでありんちゅね?」

 

「……え? 違うよ。それはみんなあたしのじゃなくてマーレのだよ。ぶくぶく茶釜様がよくマーレの着せ替えをしていたんだよ。そういえばありんすちゃんだって沢山の衣装をペロロンチーノ様から頂いているんでしょ?」

 

 ありんすちゃんはため息をつきました。

 

「ありんちゅちゃはかわいいの、あまり無いでありんちゅ。ナーシュ服やシェーラー服や布が少ないかわいくないのが一杯なんでありんちゅ」

 

 アウラはペロロンチーノの性格を思い出してありんすちゃんに少し同情するのでした。かつて姉のぶくぶく茶釜様から『エロ大魔王』と呼ばれていた所以を。

 

「あ、あの……気に入ったのがあったら、着てみたら、あの、どうかな?」

 

「そうだよ。着てみたら? たまにはイメチェンも良いんじゃないかなあ?」

 

 双子のダークエルフに薦められてありんすちゃんはマーレの衣装タンスから服を選んでみる事にしました。

 

「決めちゃでありんちゅ!」

 

 あれこれ楽しそうに悩んでいたありんすちゃんは黒地に花の模様が綺麗な着物を選びました。

 

「へー。綺麗な着物だね。これには確か黒髪のウィッグがあったよね? あ、これだよ」

 

 マーレが黒髪のおかっぱのウィッグを持ってきました。確かに金髪や銀髪よりも黒髪の方が着物に似合いますよね。

 

 うーん。黒髪おかっぱで着物姿のありんすちゃん。とても似合って可愛らしいのですが……なんだか座敷わらしみたいにも見えます。

 

「ありんすちゃん、似合う似合う」

 

「……本当に似合うと、あの……僕も思います」

 

 双子の賞賛を受けてありんすちゃんは得意満面です。片手を横に上げてポーズを取りました。

 

「……いっぺんちんでみる、でありんちゅ」

 

 ──あ……ありんすちゃんそれはのと……

 

 うーん。ありんすちゃんには大人の事情は関係ないみたいですね。仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。




ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました
【挿絵表示】

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