ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ある所に仲の良いダークエルフの双子が住んでいました。二人には三人のシモベのエルフがいました。
ある日、三人のエルフはダークエルフにお願いしました。
「どうか私達に名前を下さい」
ダークエルフの弟は彼女達にそれぞれ『ブー』『フー』『ウー』と名付けて言いました。
「……あの、皆さんもそれぞれ自立して家を建てて下さい。この第六階層は広いですから」
そこで三人はそれぞれ家を建てる事にしました。ブーは藁の家、フーは木の家、ウーはレンガの家を建てました。
「……おやおや? なんかチャチな掘っ建て小屋があるっすね。ルプーさんが綺麗に片付けてやるっすよ」
通りがかった狼が背中の大きな聖印を振りかぶると藁の家を叩き壊しました。
「きゃッ!」
壊れた藁の家から慌てて逃げ出したブーを狼が抱き締めました。
「なかなか美味しそうっすね。頂きますっす」
ブーは狼に食べられてしまいました。
次に狼とブーは木の家にやって来ました。そしてまたしても狼は木の家を叩き壊してフーを食べてしまいました。
狼とブーとフーはレンガの家にやって来ました。
「ルプスレギナ様、ウーの家は丈夫なので壊れないのでは?」
狼は黙ってまたしても聖印を振りかぶりました。
ドカッシャッーン!
レンガの家は簡単に壊れてウーも狼に食べられてしまいました。
狼が代わる代わるエルフを食べているとダークエルフの弟がやって来ました。
「……うひひひ。マーレも食べてやるっすよ。かかれっす!」
狼に命令されて三人のエルフ達はダークエルフの弟の服を脱がしてしまいました。
そこに猟師の女の子が通りかかりました。猟師は狼をチラリと見ましたが興味ない様子でそのまま通り過ぎてしまいました。
「気持ち良いー。モフモフ」
猟師は一円と書かれたシールだらけのフワフワの魔獣に抱きついています。
「た、助けてー。お姉ちゃん」
ダークエルフの男の子は首から下げた銀のドングリに叫びました。
「マーレ? どうしたの?」
「お姉ちゃん、ルプスレギナさんとエルフさん達が大変──」
「──あ、ごめん。アインズ様が呼んでるみたいだから。後でね」
ルプスレギナは手をワキワキさせながらマーレに近付いて来ます。あやうしマーレ。
「何をちているんでありんちゅ?」
マーレが顔を上げると5歳位の少女が目を丸くして立っていました。
※ ※ ※
ありんすちゃんは第六階層にやって来ました。楽しそうに鼻唄を歌いながらスキップします。
とはいえ、ありんすちゃんの場合は交互に足を出しているだけのニセ物スキップですが。
ふと、ありんすちゃんは立ち止まりました。見るとルプスレギナと三人のエルフ達がマーレを羽交い締めにしている所でした。マーレは服を脱がされて下着だけになっています。
ありんすちゃんは大きく口を開けて叫びました。
「何をちているんでありんちゅ?」
ルプスレギナは困惑した面持ちで言葉に詰まってしまいました。
「……あの、ありんすちゃん……これは、その……あ、あの……た、助けて……」
弱々しいマーレの言葉にありんすちゃんは力強く頷きました。
「まかちぇるでありんちゅ!」
そう言うとありんすちゃんはマーレ達に背を向けて走り去っていってしまいました。
しばらくして戻って来たありんすちゃんはピンク色のシャンプーハットを持って来ていました。
「こりで大丈夫でありんちゅ!」
ありんすちゃんはシャンプーハットをマーレの頭にはめると得意気に帰って行きました。
※ ※ ※
ありんすちゃんが去って微妙な空気の中でルプスレギナが呟きました。
「……せっかくっすから、これから皆でスパにでも行くっすか?」
仕方ありませんよね。ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。