ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
カリンシャの南に位置する大都市プラートに向けて進軍する解放軍は南の貴族たちが率いていた軍と合流して、その数五万五千になっていました。
ありんすちゃんとネイアは後方の弓部隊三千を率います。この弓部隊の各小隊長はルーン文字が書かれたアイマスク──目の所に穴があいていて見えるようになっていました──を装備していました。彼らはネイアの話すありんすちゃんの逸話に感動して、いわば『ありんす教』の信者でもありました。
「先鋒レメディオス騎士団団長、亜人軍と交戦! 幹部大悪魔の鱗の悪魔撃破!」
「──な!」
ありんすちゃんはサークレットに訊ねます。
「鱗のやちゅ、ちゅよいでありんちゅか?」
「いや、鱗の悪魔は雑魚ですね。あの聖騎士でも倒せます」
「……ふーん……でありんちゅ」
サークレットは結局レメディオスが拒絶した為、ありんすちゃんの部隊に配属されたのでした。
と、突然前方に火柱が上がりました。
「……まずいな……ヤルダバオトだ!」
そこへレメディオスがやって来ました。
「ありんすちゃんよ。私に奴に通用する武器を貸せ。私がお前の剣になろう!」
「わかったでありんちゅ!」
ありんすちゃんはレメディオスの両足首を握ると剣のように振り回しながら駆け出しました。
「──ち、ちがーう! 剣になると言ったがそういう意味ではないのだ! や、やめ──」
ありんすちゃんはレメディオスを振りかぶってヤルダバオトに叩きつけます。
「……これはこれは……ん? ルーンが無いか……うむむ」
困った様子のヤルダバオトに容赦ないありんすちゃんの攻撃が続きます。
激しいありんすちゃんとヤルダバオトの戦いは夕方にまで続きました。
そこに土煙を上げて援軍がやって来ました。それぞれ魔導国の旗を掲げています。解放軍は歓声を上げました。
「私はアインズ・ウール・ゴウン。ローブル聖王国救援の為、アベリオン丘陵の亜人達を束ねて来た。ヤルダバオトは私に任せろ!」
ヤルダバオトに向かうアインズの姿を見てありんすちゃんは小さく呟きました。
「勝ったでありんちゅ」
ヤルダバオトを倒したアインズにありんすちゃんは駆け寄りました。
「アインジュちゃま!」
解放軍の皆はアインズとありんすちゃんに喝采を贈るのでした。
※ ※ ※
帰りの馬車の中でアインズは訊ねました。
「……しかし、どうしてアルティメイトシューティングスター・スーパーを使わなかったのかね?」
ありんすちゃんはきょとんとしています。
「……うむ。ルーンの宣伝の為にアルティメイトシューティングスター・スーパーという弓をドッペルケンガーに託しておいたのだがな? ずんだ餅ちゃんに渡すように、と」
「……ずんだ餅? ちらないでありんちゅ」
「──な……」
アインズは愕然としました。うーん……ありんすちゃん、すっかり忘れていますね。
仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。