ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ナザリック地下大墳墓 第二階層屍蝋玄室──ありんすちゃんが寝そべってなにやら書いてます。
また落書き……ゲフンゲフン……挿絵を描いてくれているのでしょうか?
「かんしぇいしたでありんちゅ!」
どうやら完成したみたいですね。大学ノートをかざして得意そうな顔です。ノートの表紙には『ありんちゅちゃりかいてぶるげいむ』とあります。ありんすちゃんはノートを片手に飛び出して行ってしまいました。
※ ※ ※
ナザリック地下大墳墓 第六階層の〈アンフィテアトルム〉に集められたプレアデスとアウラは不満そうです。無理もありません。彼女たちは理由もわからないまま、ありんすちゃんに引っ張ってこられたからでした。
台に登ったありんすちゃんが得意そうに説明を始めます。
「……コホン。こりからありんちゅちゃのテブルゲイムしるでありんちゅ」
ありんすちゃんは手にしていたノートをみんなに見せます。
「……なんすかコレ? ありんすちゃんが書いたっすか?」
「……テーブルゲーム……もしかしたらテーブルトークロールプレイングゲームの事か? 確か最近アインズ様が守護者たちとされたらしい……」
プレアデスの面々は興味しんしんみたいですね。
「……確かアインズ様は守護者たちに人間について理解してもらいたいとの目的で人間理解テーブルゲームをやったとかでしたね。ボク──私は直接見てはいませんが……ありんす様は階層守護者として参加されたんですよね?」
ユリの問いかけにありんすちゃんはエヘンと胸を張りました。
「ちょうでありんちゅ。今度はプレアデシュがありんちゅちゃになるテブルゲイムしるでありんちゅ」
「……ハイハイ。じゃあたしは帰っていい? これでもいろいろ忙しいんだけど?」
アウラの言葉は無視されてしまいました。
ありんすちゃんは得意そうに『ありんちゅちゃりかいてぶるげいむ』と書かれたノートを広げます。
「……えと……えと……ユリはありんちゅちゃレベル1でありんちゅ。ルプーもありんちゅちゃレベル1でありんちゅ。ナーベもありんちゅちゃレベル1でありんちゅ。ソリシャはありんちゅちゃレベル2でありんちゅ。エントマはありんちゅちゃレベル1でありんちゅ。シズはありんちゅちゃレベル1でありんちゅ。ありんちゅちゃはこりからお風呂はいるありんちゅ」
ありんすちゃんはパタンとノートを閉じるとプレアデスを眺めます。
「……そりぞれありんちゅちゃになりきって行動しるでありんちゅ」
どうやらそれぞれありんすちゃんがやりそうな事を、出していく遊びみたいですね。
「……えーコホン。ありんすちゃんはお風呂で洗いずきたら身体が削れてしまったっす。……なんと胸はペッタンコになりました。『大変! 私の胸がなくなっていんす!』……ぷぷぷ……」
ルプスレギナは自分の言葉に吹き出してしまいました。ありんすちゃんは少し面白くありませんでした。
「……えっと……ありんすちゃんがお風呂に入っていました。……ありんすちゃんはまだお風呂に入っています。……まだまだお風呂に入っています」
シズの話にありんすちゃんは興味しんしんです。
「……ありんちゅちゃのお風呂、ずいぶん長いでありんちゅね?」
「……えーコホン。ありんす様はあまりにも長くお風呂に浸かっていたのでドロドロに溶けてしまいました。めでたしめでたし」
ありんすちゃんのほっべたがプクーと膨れてきました。
「……次は私が。……ありんすちゃんがお風呂に入っていると湯船の栓に気がつきました。ありんすちゃんは「こりを抜いてみるでありんちゅ」と言って栓を抜きました。ありんすちゃんは流れていってしまいました」
「……今度はぁ、わぁたぁしぃ。ナーベラルに続けるねぇ。……ありんすちゃんはぁブラックカプセルに流れてぇきましぃたぁ。恐怖公のぉ眷属がぁ……おいしくぅいただきましたぁ」
ありんすちゃんは真っ赤になって目には涙を浮かべています。
ウワーンと泣きながらありんすちゃんはどこかへ行ってしまいました。
「……あの、さ……あたしはもう帰っていいよね?」
最後にアウラがポツリと呟きました。
※ ※ ※
翌日、ありんすちゃんはシモベのヴァンパイア・ブライドを集めて言いました。
「……こりからありんちゅちゃのテブルゲイムしるでありんちゅ!」
懲りないですねありんすちゃんは。仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。