ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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127ありんすちゃんダイエットする

 秋です。天高く馬肥ゆる秋、といいますが……ナザリック第二階層〈屍蝋玄室〉では……

 

 ありんすちゃんがベッドの中でお菓子を食べています。うーん……

 

 朝起きて朝食を食べ……お風呂。十時にはお茶の時間にお菓子……お昼に食事……その後はお昼寝……三時にはおやつ。それから階層の巡回。

 

 自分の足で歩かないでヴァンパイア・プライドにおぶさっての巡回ですね……うーん……

 

 巡回から戻るとお風呂……夕方に食事……で就寝……夜中に起きてお菓子……なんだかほとんど運動していませんね。それにお菓子を食べる回数が多すぎるような気がします。

 

 そう言えば……気のせいかありんすちゃん、まん丸くなってきたような……

 

 ありんすちゃんは鏡をマジマジと見つめました。間違いありません。ありんすちゃんは確実に太っていました。

 

「……ありんすちゃん様! そのお姿はいったい?」

 

 ありんすちゃんが振り替えるとプレアデスの一人、ソリュシャンが驚愕の表情で立ち竦んでいました。

 

「……ありんすちゃん様……これではアインズ様の寵愛を受ける事が出来なくなってしまいます!」

 

「……ありんちゅちゃは悪くないでありんちゅ。ちょっと……ちょっと食べしゅぎなだけでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは口を尖らせます。うーん……なんか起きあがりこぼしみたいな……ゴホンゴホン。

 

「……ありんすちゃん様……ハッキリと言わせていただきます。今のありんすちゃん様は『デブ』でございます。『デブデブ』の『おデブ』以外の何ものでもありません!」

 

 ありんすちゃんの顔がたちまち赤く染まっていきます。口をパクパクさせますが言葉が出てこないようです。

 

 ソリュシャンは腕を組むと静かに宣言しました。

 

「ありんすちゃん様はこれからダイエットしなくてはなりません! 全てはありんすちゃん様の為でございます!」

 

 ありんすちゃんは必死に反論しようと口をパクパクさせますがソリュシャンは頑として認めません。

 

「反論は認めません! よいですね?」

 

 それからソリュシャンはありんすちゃんに付きっきりでダイエットのコーチをするのでした。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「ピッピッ! ピッピッ! ピッピッ!」

 

 第一階層から第三階層までありんすちゃんは走らされました。ソリュシャンは笛を鳴らしてありんすちゃんを急かします。

 

「……ありんちゅちゃはちゅかれたでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはすぐに泣き言を言い出します。

 

「ダメです! よいですか? このままではアルベド様に負けるだけでなく正妃候補からも脱落してしまいます!」

 

「……ありんちゅちゃはべちゅにかまわない、でありんちゅ」

 

「いいえ! ありんすちゃん様には必ずアインズ様の正妃になっていただかなくてはならないのです!」

 

 ありんすちゃんはイヤイヤながらも走り続けるのでした。

 

「これはこれは我が階層の主、ありんすちゃん様。どうやらソリュシャン殿と一緒にダイエットに励んでおられるご様子……うむ。これは是非ともわたくしめに一肌脱がさせていただけませんか?」

 

 ありんすちゃんとソリュシャンが振り向くと領域守護者の恐怖公が丁寧にお辞儀をしていました。

 

「……ダイエットならば我が眷族に余分な脂肪を食べさせればあっという間に──」

 

「……チョリュチャ、もっとペーシュ上げるでありんちゅ!」

 

「ハイッ! ありんすちゃん様!」

 

 ありんすちゃんとソリュシャンの姿はあっという間に遠ざかっていきました。

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 

 ありんすちゃんがダイエットに挑戦している事は瞬く間に知れわたり、プレアデスや他の階層守護者たちはみな応援するのでした。

 

 しかしながらありんすちゃんの体重はなかなか減りません。

 

 それもそのはずです。ソリュシャンの目を盗んではお菓子を食べる事をやめませんでしたから……

 

 仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 ソリュシャンが側にいない間にドーナツを食べるありんすちゃんをぞっと見つめる人物がいました。

 

「……くっふっふっ。素晴らしいわ。八本指が見つけてきたこのマジックアイテムの効果がこんなに素晴らしいものだとは……これでライバルを全て脱落させてこのわたくしがアインズ様の正妃になってみせるわ。……次は誰の名前を書こうかしらね? やはりアインズ様と行動を共にする事が多いナーベラルかしら。あの娘はわたくしを支持しているけれど油断出来ないですからね……」

 

 彼女は手にした一冊のノートを広げました。黒い表紙にはDebu Noteとありました。


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