ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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134ありんすちゃん、ゆかたをきる

 ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉のありんすちゃんの部屋の扉に一枚の貼り紙がありました。

 

『きがえちう』

 

 中ではありんすちゃんがドッタンバッタン大騒ぎです。どうやらありんすちゃんは浴衣を着ようとしているみたいですが……うーん。一人で浴衣を着るのは無理みたいですね。

 

 あまりの騒ぎにヴァンパイア・ブライド達が駆けつけてきました。総出でありんすちゃんに巻き付いた布をほどいていきます。ようやくにしてありんすちゃんの顔が出てきました。

 

「ぷはー! グルグル巻きになっちゃでありんちゅ」

 

 夏祭りの季節ですからありんすちゃんが浴衣を着るのは良いと思いますが……

 

 ヴァンパイア・ブライド三人がかりでようやく帯をほどき、きちんと浴衣を着せ直します。最初からそうすれば良かったのではないでしょうか? それともまたしてもシモベ達からストライキされてしまったのでしょうか?

 

 なにはともあれ、ありんすちゃん、浴衣がとってもよく似合います。可愛らしい朝顔の柄がありんすちゃんの魅力を引き出していますよ。長い銀髪は結いあげられてピンク色の金魚の飾りの簪で留めてあります。

 

「ちょれでは浴衣をアインジュしゃまに見てもらうでありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんは胸をそらせると、鼻息も荒く屍蝋玄室を出ていくのでした。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 ありんすちゃんは真っ直ぐ第九階層にやって来ました。アインズの執務室の前で止まると扉にノックをします。ありんすちゃんってなかなか行儀が良いですね。

 

 アインズ当番の一般メイドがアインズ様の許可をとり、ありんすちゃんを部屋に入れます。

 

「アインジュちゃまに、ありんちゅちゃのかわいい、見てみるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは口上を述べるとクルリと回ってみせました。

 

「おお……なかなか似合うじゃないか。うむ。夏は浴衣が良いものだな」

 

 アインズは思わず破顔しました。夏らしく花火や縁日、盆おどり等をナザリックで楽しむのも良いかもしれないな。

 

 思いをはせるアインズにありんすちゃんがちょこんとお辞儀をします。

 

「ちょれでは、ペロロンチイノしゃまにおちえていただいちゃ、浴衣のさほをしるでありんちゅ」

 

(……さほ? うん、作法の事だろうか? しかしペロロンチーノの、というのが気になるが……)

 

 考え込むアインズの手をとると、ありんすちゃんは帯の端を持たせます。

 

「あーれー、でありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんはクルクルと独楽のように回りながら帯をほどいていきました。

 

 クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル……

 

 やがてすっかり帯がはだけると、浴衣が脱げてスッポンポンのありんすちゃんが飛び出してきました。

 

 素っ裸のありんすちゃんはヨヨヨとばかりに手をつくと、「……おちゃわむれでありんちゅ」と決めセリフを言いました。

 

「──ペロロンチーノォォォオ!」

 

 執務室にアインズの叫び声がむなしく響くのでした。

 

 仕方ありませんよね。だってペロロンチーノさんはエロゲ大王なのでしたから。


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