ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

135 / 159
135ありんすちゃんとにじいろのみずたまり

 ありんすちゃんがナザリック地下大墳墓 第三階層にやって来ました。いつもの巡回のお仕事です。

 

「あめあめふれふれかーちゃんがー」

 

 おやおや? 今日のありんすちゃんは可愛らしい赤のレインコートと長靴、そしてピンクの傘をさしています。

 

 先程まで降っていた雨はすでにやんでいますが、ありんすちゃん、とっても似合っていますよ。

 

 ナザリック地下大墳墓では時折マーレが魔法で雨を降らせているんですね。

 

「ビッチビッチジャブジャブらんららーん」

 

 うーん……なんだか歌詞が微妙に違うみたいですが……

 

 ありんすちゃんは水溜まりを見つけると飛び込んでいきます。

 

「おもちろいでありんちゅ!」

 

 水溜まりの中でありんすちゃんの笑い顔が波紋で揺れます。吸血鬼は流れる水が苦手だったりしますが、こうした水溜まりは問題ないみたいですね。

 

「……あちょこ、綺麗でありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんが駆け出していきます。

 

「こりは綺麗なみじゅたまりでありんちゅね……」

 

 そこにあったのは虹色の水溜まりでした。いったい何の水溜まりなんでしょう? 確かに綺麗な虹色なんですが……

 

 ありんすちゃんはしばし虹色の水溜まりにうっとりと見とれていましたが、突然何かを閃いたみたいです。

 

「ちょうだ! こりがどこから出ているかちらべるありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんはウソンコのスキップをしながら歩きだしました。

 

「冒険で~ありんちゅう~冒険が~ありんちゅう~♪」

 

 何やら即興の歌を口ずさみながら、ありんすちゃんはどんどん進んでいきます。どこまでもどこまでも進んでいくと、何やら物音が聞こえてきました。

 

 

※   ※   ※

 

「……オェエエエ! ゲホッゲホッ! オェルルルエエエエ!」

 

 ありんすちゃんはとうとう虹色の水溜まりの発生源を突き止めました。

 

 なんとナザリックのアンデッド、シルクハットに取りつけられた金髪の少女の頭の口から滝のように虹色の液体が溢れていました。

 

「……これは、オェルルルエエエエ! ありんすちゃん様、オェルルルエエエエ! 申し訳ありません、オェエエエ! この首が、オェエエエ! 吐くのをやめ、オェルルルエエエエ! ないので申し訳あり、オェエエエ! その、ありんすちゃん様が、オェエエエ、近づいた途端に、オェエエエ! 吐くのがとまらなく、オェルルルエエエエ!」

 

 まるで噴水のように虹色の液体を吹き出すシルクハットをありんすちゃんはうらやましそうに見つめました。

 

「ありんちゅちゃもそりがほちいでありんちゅ、おえ~ちたいでありんちゅ」

 

 階層守護者の不興を買うかとビクビクしていたシルクハットは困ってしまいました。

 

「……この頭を、オェエエエ! ありんすちゃん様が、オェエエエ! お持ちになっても、オェエエエ! 意味はないかと、オェエエエ! 思いますが、オェエエエ!」

 

「ありんちゅちゃも、オエオエしるでありんちゅ! きれいな虹色、オエオエしるでありんちゅ!」

 

 シルクハットは丁寧にありんすちゃんに説明をしました。このままありんすちゃんにアルシェの首を渡しても腐らせてしまうだけです。せっかくアインズ様から賜ったのに無駄にする事は出来ません。

 

 シルクハットによるありんすちゃんの説得は三時間にもおよびました。

 

「……わかっちゃでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはしぶしぶとシルクハットから首をもらう事をあきらめると、何処かへ走り去っていきました。

 

「いいもーん! ありんちゅちゃの方がもっともっとしゅてきな頭、飾るでありんちゅもん!」

 

 うーん……嫌な予感しかしませんが……

 

 

 

※   ※   ※

 

 その後、アインズはユリ・アルファの頭を頭の上に結びつけて得意そうなありんすちゃんからユリ・アルファの首を返させるのに苦労したそうです。

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ五歳児位の女の子なのですから。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。