ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉──階層守護者のありんすちゃんが着替え中です。うーん……V字型の赤い革の生地にメッシュ素材の服装……成熟した女性ならば目のやりどころに困ってしまいそうな衣装です。
「たいまにんありんちゅちゃ見参しるでありんちゅ」
ありんすちゃんは両手を前に合わせて胸もとを強調するポーズをとります。
うーん……どう見ても猿回しの猿が反省するポーズ──ゲフンゲフン。
かくして対魔忍となったありんすちゃんは意気揚々と出かけていきました。
※ ※ ※
第六階層にやってきたありんすちゃんは触手を持つ巨大な植物が住む穴に呼びかけました。
「ありんちゅちゃがたいまにんのお手本しるでありんちゅ。ちゃっちゃと出てくるますでありんちゅ」
ありんすちゃんの呼びかけに一人の女性が這い上がってきました。先日無理矢理ありんすちゃんに対魔忍にさせられた元イジャニーヤのティラです。
「……ううう……もう触手はイヤだ……」
「……ダメでありんちゅ。せくしぃさがじぇんじぇん、じぇんじぇーーん足りないでありんちゅ」
ありんすちゃんは肩をはだけると「いやーん」「ばかーん」「えっちぃ」と叫びながら身体をくねらせてみせます。
「テラもやるでありんちゅ」
ありんすちゃんはティラの肩をはだけさせました。
「いやーん」「……イヤーン」
「ばかーん」「……ん……バカーん」
「あーれー」「……あ、れー……」
ありんすちゃんは腕を組みました。
「まったくダメダメでありんちゅ。色っぽちゃ、じぇんじぇん足りないでありんちゅ」
ありんすちゃんは更にティラの肌をさらけ出させました。
「いやーん」「イヤーン」
「ばかーん」「バカーん」
「えっちぃ」「……エッチ」
ありんすちゃんは満足そうに頷きました。
「だいぶ良くなったでありんちゅ」
ホッとしたティラは思わずため息をつきました。
「……ふう。こんな事なら妹たちのように気楽な冒険者にでもなっていれば良かった……」
途端にありんすちゃんの目が光りました。
「……テラには妹がいるでありんちゅか? ありんちゅちゃはしゅてきなアイデア、ひらめいちゃでありんちゅ!」
※ ※ ※
リ・エスティーゼ王国首都リ・エスティーゼ。アダマンタイト級冒険者チーム“蒼の薔薇”のメンバー、ティアとティナは音信不通となった暗殺組織イジャニーヤの行方を探っていました。
「……おかしい。全く痕跡が消えている。これはあり得ない」
「……やはり皇帝が関わっていると見るべき。一度バハルス帝国に行く必要がありそう」
「……しかし王国もなにやらキナ臭いのも気になる。これは皇帝の策略かも……しかし信じられないのはイジャニーヤ首領程の実力者が……」
ティアとティナは不意に武器を構えました。二人の視線の先に人影が現れました。
「……ティラ? 貴女なのか?」
「ティア、ティナ、貴女たちに話がある。是非聞いてほし──」
「ありんちゅちゃパーンチ!」
ティアとティナはティラの隣にいた幼女のパンチを受けて意識を失ってしまいました。
※ ※ ※
「…………ここはいったい?」
ティアとティナが目覚めたのは円型闘技場でした。
「こりから二人にはたいまにんなる特訓しるでありんちゅ。いっちょけんめしるでありんちゅ」
先程の幼女が胸を反らせて言いました。ティラは幼女の後ろに隠れるようにして目を伏せています。
「……そんな無理強いがきけると?」
「……ショタなら許したが幼女なら許さない」
ティアとティナはありんすちゃんに飛びかかりました。が、あっさりと気絶させられてしまいました。
※ ※ ※
それから一週間後……
「……うむ。ありんすちゃんよ。対魔忍育成の成果を披露したい、だと? 良かろう。この私が直々に見学するとしよう」
ありんすちゃんはアインズを第六階層の円型闘技場に案内しました。やがて小さな舞台のたれ幕が開かれるとティラがベッドに寝ていました。
(……対魔忍……大丈夫か? そういえばペロロンさんのコレクションでもかなりハードだったよな……)
「……ゆーたいりだつー!」
ティラの身体からティアが起き上がりました。
「……からのー……更にゆーたいりだつー!」
更にティアからティナが起き上がりました。
「…………」
目を白黒させて言葉を失ったアインズとは反対にありんすちゃんは嬉しそうです。うーん……仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。