ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ナザリック地下大墳墓第二階層にある屍蝋玄室を訪れたアインズは違和感を覚えました。
「……うむ? ……なんだこれは?」
屍蝋玄室の入り口には立看板が置かれていました。
「……『らんぷりい はうす』……なんだ?」
アインズは考え込みました。どうやらありんすちゃんが何やらまた、始めたみたいですね。
「…………入るべきか……うーむ……」
アインズはこめかみを押さえて考え込んでいました。改めて看板をよく見ると『らんぷりい はうす』の文字の下にかすかに『ラビットハウス』という文字の跡がありました。
「……『ラビットハウス』……だと?」
アインズは思い出しました。これは頭に丸いウサギを乗せた少女が喫茶店で働くストーリーのアニメに出てくる店名です。たしか心がピョンピョンするやつです。
「…………戻るか」
アインズは扉に背を向けました。どうせ中ではありんすちゃんが頭に大きな毛玉でも乗せて待ちかまえているのでしょう。
※ ※ ※
執務室のある第九階層に戻ってきたアインズはまたしても変なものを見つけました。
『ラビットハウスはこちら』
それは通路に置かれた立看板でした。立看板に書かれた矢印は副料理長のピッキーがバーテンをしているショットバーを示しています。
(……なんだなんだ? 流行っているのかこれ……)
アインズが看板を前にして考え込んでいると──
『……これは至高の御方、アインズ様。もしかしてアインズ様もバーにいらっしゃるので?」
アインズが声に振り返るとそこには部下に抱えられたエクレアがいました。
「実はピッキーが最近バーの模様替えをしたそうでして……なんでも守護者統括殿の指揮でずいぶんと凝ったものにするのだとか……」
「……ほう。アルベドが……」
アインズは少し興味を持ちました。
「他にもプレアデスのナーベラル殿も手伝っているそうで。があるずバー、とかいうものだそうですよ」
「……ガールズバー……だと?」
アインズは嫌な予感がしてきました。
「衣装にも凝ったらしいです。ばにいがーるとかいうウサギをモチーフにしたものらしいとか。それではお先に失礼いたします」
恭しくお辞儀をするとエクレアは部下に抱えられたまま『ラビットハウス』に入っていきました。
「……うむ。仕事に戻るか……」
アインズはラビットハウスを後にすると執務室に戻っていきました。
※ ※ ※
『らんぷりい はうす』ではカウンターにありんすちゃんとアウラ、マーレの三人が暇そうにしていました。三人とも可愛らしい色違いの制服を着ていてとても似合っています。
ありんすちゃんは髪をお団子にゆって、なぜか頭の上にスビアニードルの子供を乗せています。
「おかちいでありんちゅ。アインジュちゃま、来ないでありんちゅ」
「……うーん。この時間には第二階層を通る筈だったんだけどね……」
ありんすちゃんの言葉にアウラも首をかしげました。
「ちぇっかくアインジュちゃまにおいちいコーヒーのましぇるでありんちゅに……残念なんでありんちゅ」
ありんすちゃんがため息をつきました。
「……あ、あの……いま気がついたんだけど……」
ふと、マーレが口を開きました。
「……アインズ様は、あの、コーヒー……飲めないですよね?」
「「──あ……」」
仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。
「……コホン。ところで……店の名前の『らんぷりい はうす』ってどういう意味なの?」
何事もなかったかのようにアウラが訊ねました。
「ちらないでありんちゅ」
「──は?」
「ルプーが『ありんすちゃんのお店ならこれっすよ』ってちゅけてくれたんでありんちゅ。きっと『かわいくてかちこいありんちゅ』という意味なんでありんちゅよ」
うーん。ありんすちゃん、残念ですがランプリーって鰻という意味ですよ……