ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉──
「ちゃるちぇあ・ぶらどほおるる、参りまちた‼」
扉を勢いよく開き、深紅のフルアーマーにスポイトランスを装備したありんすちゃんが入ってきます。
「……うーん……全然ダメっすね。いいですか? シャルティアはアインズ様にあるまじき失点をしていたんすよ? そんな時にアインズ様直々に命令を受けてはりきっているんす。もっと必死さが必要っす」
ルプスレギナの駄目出しにありんすちゃんは一瞬、ぐぬぬといった表情になりますが、すぐにやり直しをします。
「ちゃるちぇ、ぶらどほるる、まいりまちゃた‼」
うーん……なかなかうまくいかないみたいですね。
「いいっすか? アニメはあまくないんっす。私だって3期の時に『失望した』ってアインズ様から言われるシーンで散々ネットで叩かれたっすからね。やれ、もっと絶望的になるはず、だの、自殺したくなる心情が出なくてはおかしい、だの……」
ルプスレギナの瞳から光が失われていきます。余程辛い事があったのでしょうね。
「がんばりまんちゅ!」
ありんすちゃんはギュッとこぶしを握りしめると演技の稽古を再開するのでした。
※ ※ ※
ナザリック地下大墳墓
第九階層〈執務室〉ではアインズが階層守護者達と一緒にリモートビューイングを使ってありんすちゃんの様子を観察していました。
「……うん、あれは間違いなくアニメ4期に備えての練習……だよな?」
「はい。アニメ4期は帝国とドワーフ国が舞台になると聞いておりますので……」
アルベドの答えにアインズは頭を抱えました。
「……するとありんすちゃんは知らないのだな?」
いならぶ守護者達は黙って頷きました。
「……困ったな。アニメ4期に登場するのはあくまでもシャルティアなんだがな……カド●ワはなんと言ってきているのだ?」
「──はっ。我々の予測通り『ありんすちゃんという幼女がシャルティアを演じる事は認められない』との事です」
即座にデミウルゴスが答えます。
「……あれだけ本人がやる気になっているのだがな……だが、仕方あるまい。ありんすちゃんを説得するほかなさそうだな」
アインズの発言に皆の視線がアウラに集まります。
「──え? あたし? あたしにありんすちゃんの説得?」
「……仕方ないわ。だって貴女はありんすちゃんと違ってアニメ四期で活躍するじゃない? 下手したら恨まれるかもしれないわ」
そして結局、ありんすちゃんの説得はアウラがする事になりました。ありんすちゃんは泣き叫び、駄々をこね、地団駄を踏み、最後には監督を脅しに行くと言い張り大変だったそうです。
仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ、5歳児位の女の子なのですから。
※ ※ ※
「アウラよ。ご苦労だった。……ところでデミウルゴスの姿が見えないが……?」
アインズの問いかけに気まずそうな様子でアルベドが答えました。
「……それが……その……アインズ様。デミウルゴスは劇場版の稽古に張り切っていまして……特に聖王国編の後半のアインズ様と戦うシーンをいたく楽しみにしていて今もプレイアデスを連れて……」
「……なん……だ……と?」
アインズは頭を抱えました。
「……あのシーンのヤルデバオトはデミウルゴスではないぞ? ゴリラル──いや、憤怒の魔将だぞ? ……それにプレイアデス……まさかオレオールもか?」
「……オレオールは初めてナザリックの外に出れるとそれはもう、大変な喜びようだとか……」
「……馬鹿な……そのシーンのプレアデスはドッペルケンガーだぞ? オレオールに至ってはパンドラズ・アクターなんだが……」
アインズにとって胃の痛くなりそうな問題がまだまだ続くのでした。