ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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022ありんすちゃんはげます

 ありんすちゃんはとってもご機嫌でした。

 

 アインズ様の命令であるバハルス帝国への使者という大任をちゃんとやり終えたからです。

 

 城から慌てて飛び出して来た皇帝ジルクニフの真っ青な顔……思い出しただけで笑っちゃいます。

 

「是非ともお願いですからアインズ・ウール・ゴウン閣下に謝罪させて下さい。お願いします」と何度も頭を下げていましたっけ。ありんすちゃんはその時、ジルクニフ皇帝の頭のてっぺんがうっすらと地肌が見えていたのに気がつきました。

 

 そして今日はバハルス帝国から皇帝自ら謝罪にやってくる日なんです。

 

 第十階層の玉座の間にはアインズ、アルベド、階層守護者達、周囲には沢山のシモベ達が並んでいます。

 

 ありんすちゃんとアウラ、マーレの3人は玉座の間ではなく、手前の廊下に面した小さな中庭のテーブルにいました。

 

 ありんすちゃんはバハルス帝国の皇帝が簡単にごめんなさいしないだろうと考えて、アウラとマーレと作戦会議をしているのでした。

 

 だってありんすちゃんだっておねしょは絶対絶対認めませんから。

 

 仕方ないですよね。

 

 ありんすちゃんはなんだかんだ言っても、まだ5歳児位の女の子なんですから。

 

「やっぱりさぁ、インパクトが大事だよね。シャルティア、あたしんとこのシモベを動員して道すがら廃墟にしていくのってどうかな? ぺんぺん草も生えないっての、やってみたいんだよね。あたし」

 

「……や、やっぱり僕はあの、ドラゴンが良いと思います。……こ、今度は、あの、二匹で行ったら凄いんじゃないかな?」

 

「やっぱりガルガンチャをアインジュしゃまにお借りんちゅて、一気に行くのが面白いでありんちゅね。城にガルガンチャがパンチしるとガラガラでバラバラになるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃん達が夢中になって話し合っているテーブルの近くでは、バハルス帝国皇帝ジルクニフが真っ青な顔をしていました。

 

 もしかしたらありんすちゃん達の計画が「ごめんなさい」をする勇気の励ましになってくれたかもしれませんね。

 

 ジルクニフに付き添ったバジウッドも真っ青な顔をしています。ジルクニフは悪魔にでも会ったかのように見開いた目でありんすちゃん達を凝視しながら考えます。

 

(──いかん。これはいかんぞ。このままではあの子供達はきっとやる。間違いなくやるぞ。絶対にだ。……どうする? どうしたら良い? 考えろ。考えるんだ)

 

 やがて意を決してアインズとの接見に臨んだハバルス帝国皇帝ジルクニフはさらに心をへし折られながらもなんとかナザリックとバハルス帝国の同盟に向けての第一歩を進める事になりました。

 

 そして、それはジルクニフの果てしない抜け毛の恐怖との闘いの始まりであった事はいうまでもありません。

 

 結果的にみればジルクニフを精神的に追い詰めたありんすちゃんの励ましはバハルス帝国にとってまずは存続の道を勝ち取る事になったといえます。

 

 とはいえ、三人──ことさらガルガンチュアで暴れたかったありんすちゃんは特に──残念で仕方なかったのでしたが。


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