ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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023ありんすちゃんいすになる※挿絵あり

 ありんすちゃんはナザリックの外に建てられた大きな丸太小屋にやって来ました。

 

 今度ナザリックの遠征軍をコキュートスが率いる事になり、リザードマン達との戦いの拠点として使用される事になった、アウラが建設中の要塞です。

 

 中ではデミウルゴスがいろんな動物の骨を組み合わせてアインズの為の仮の玉座を作っている最中でした。

 

 フンフンと鼻歌を歌いながら楽しそうです。ありんすちゃんも何かお手伝いしたくなるのでした。

 

「デミオルチュチュ、それは何でありんちゅか?」

 

「これはだね、シャルティア。アインズ様に座って頂く為の玉座なのだよ」

 

 得意気にデミウルゴスはありんすちゃんに白く輝く玉座を披露します。人間やモンスター、動物……様々な生き物の様々な箇所の骨を見事に組み合わせて作られていました。どの骨も綺麗に磨き込まれていてまさに芸術品とも言うべき出来でしたから、デミウルゴスが得意になっていたとしても不思議はありません。

 

 あまりの美しさにありんすちゃんは思わず溜め息をつきました。

 

「……きれいでありんちゅね。デミオルチュチュは工作が得意なんちゅね」

 

「ありがとう。シャルティア。だがね、今のままではアインズ様に座って頂くのに何か足りないというか、相応しくない気がするのだよ。何かもう一つアレンジが出来れば良いのだがね」

 

 ありんすちゃんには難しい事はわかりません。ただ、リボンを付けたら可愛いいな、と思いデミウルゴスに提案してみました。

 

「ふむ。リボンですか。ふむふむ……なる程。シャルティア、ありがとう。君の意見を参考にして赤をワンポイント使ってみたら良いかもしれないな」

 

 さすがはありんすちゃんですね。ナザリック随一の知恵者とも言われるデミウルゴスよりありんすちゃんが賢い事が今まさに証明されたのです。

 

 ありんすちゃんは大得意でした。

 

「ふむ……そうだ、シャルティア。この椅子の背のこの窪みに入ってみてはくれまいか?」

 

 ありんすちゃんはデミウルゴスの指示するまま、椅子の背もたれ部分の窪みに身体を合わせてみました。すると驚いた事にまるでそうする為にこしらえたかのようにピッタリとありんすちゃんがはまりました。

 

「ありがとう。シャルティア。君のおかげでどうやら完成出来たようだよ」

 

 こうしてありんすちゃんは椅子──白骨の仮玉座の一部──になったのでした。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 部屋に入ったアインズは真っ先にその白い玉座に気がつきました。

 

 これ見よがしに人骨──それも頭蓋骨を含めた──を沢山つかい、何故か解らないが背もたれの真ん中にシャルティア──ありんすちゃん──がピッタリとはまっている白い玉座と、その側には恭しく会釈をしているデミウルゴスの得意そうな顔がありました。

 

(あれに座れという事なんだろうな。人骨、しかも頭蓋骨がこっちを見てるし……趣味悪いよな……それともこの世界の美的感覚では普通なのか?普通なのか? ……それにシャルティア。何やってんの? 意味判らないんだが?)

 

 心の動揺を隠してデミウルゴスに促されるままにアインズは白い玉座に腰掛けるのでありました。もし、仮に失態を犯した守護者がいて、その守護者に罰を与えるという名目でその守護者に腰掛ける事が出来たら白い玉座を使わずに済んだのでしょうが。

 

 ありんすちゃんは後ろからアインズ様の背中を揉み揉みします。

 

 確か『まっさあじちぇあー』というんですよね。

 

「……アインズ様、ちょっと外の空気を吸ってきます」

 

 俯いていたアルベドが唐突に部屋から出ていきました。

 

 ──と、建物の外でまるでダンプカーがマンモスと正面衝突したかのような音がしたかと思ったら──メキメキメキ──とアウラが建てた丸太小屋が全壊してしまいました。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 その後、リザードマン達へは戦闘が一週間後に変更になったという布告があったとの事です。

 

 

 

※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました

【挿絵表示】

 


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