ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
アインズ・ウール・ゴウン魔導国が建国され、アインズは悩んでいました。
(……この国をどうしていきたいか、か。……なかなか難しい問題だな……)
階層守護者達はアインズの言葉に盲目的なだけにこの基本方針だけはアインズ自ら決めなくてはならないのです。
着替えを済ませて執務室へ向かう途中も考えています。
執務室でのアルベドやエルダーリッチ達と打ち合わせの最中も考えています。
「アインズ様。アウラ様とマーレ様です」
「おはようございます! アインズ様」
「お、おはようございます、アインズ様」
アウラがアインズに抱き上げて貰おうとVの字に手を上げてピョコピョコしている時も考えています。
アウラとマーレをそれぞれ膝に載せてあげた時も考えています。
アルベドがアウラを妬んで『おぎゃー』と言い出した時はさすがに考えていませんでした。
アルベドが腰掛けられるようにマーレをどかした途端、膝の上にありんすちゃんがいました。
ありんすちゃんはスヤスヤ眠っています。
アルベドは行き場の無い怒りに身を震わせましたがさすがにありんすちゃん相手には怒りをぶつけられません。
空気を読んでアウラがアインズの膝を譲ってあげたのでなんとか事なきを得られる事になりました。NPC達のやり取りを前にしながらもアインズは考えていました。
アインズは気分転換に久しぶりにパンドラズ・アクターに会いにいく事にしました。
パンドラズ・アクターが冒険者モモンとして生活している館の前で、アインズはハムスケ小屋からアンデッドの気配を感じて様子を見ました。
するとそこには熟睡しているハムスケとトゲが丸くなったデス・ナイトに挟まれて一緒に眠るありんすちゃんの姿がありました。
やっぱりありんすちゃんはスヤスヤ眠っています。
アインズは起こさないように静かにモモン──パンドラズ・アクターの住居へ向かいました。
「至高の御身、私の創造主であらせるアインズ様にはご機嫌うるわしく──」
アインズは長くなりそうな挨拶を止めさせて要件を切り出しました。
「──で、何か問題はあるか?」
パンドラズ・アクターはひとしきり宝物庫に時々帰りたいと感情的に訴えた後、アインズの悩みと同じ指摘をしました。
「多くの人間たちがこの国をどのように導いていかれるのか疑問に思っています。争いに駆り出されはしないか等と不安に思っています」
「……話したいところだが、まだ考えている最中だ。今後守護者各員と相談の上で話そう」
アインズはモモンの屋敷を出ると空を見上げました。
そこには青い空が浮かんでいました。
「飛ぶ」
慌てる従者をよそにアインズは空に浮かび上がりました。
ふと側の木に大きな鳥の巣があり、卵に並んでありんすちゃんがスヤスヤ眠っています。
その後も街を巡回するデス・ナイトの肩の上で、またまた、荷物を運ぶソウルイーターの荷車の上でスヤスヤ眠っているありんすちゃんを見かけるのでした。
まるでありんすちゃんの大量発生みたいですが、実はありんすちゃんが寝ぼけてアインズの行く先々に転移していたのでした。
そんなありんすちゃんを見ている内にアインズは閃きました。
「──そうだ。ハムスケ、動物、アンデッド。かつてのギルド、アインズ・ウール・ゴウンのように種族の垣根がなく、様々な種族が共存できる国をつくろう」
アインズは晴れ晴れした表情でスヤスヤ眠るありんすちゃんを抱き上げるのでした。ただ寝ていただけなのにアインズの悩みを解決するヒントになってしまうなんて、さすがですよね。ありんすちゃん。
でも、まだ5歳児位の女の子なんですよ。
おやすみ。ありんすちゃん。良い夢を。
※ ※ ※
おまけ『ありんすちゃんききいっぱつ』
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ある日、ありんすちゃんは夜中に目が覚めました。
そして小さくくしゃみをすると周りの景色が変わりました。
どうやらまたもや転移しちゃったみたいですね。
ありんすちゃんがいたのはとてもフカフカなベッドで、部屋の内装もゴージャスでした。
ふと見ると誰かベッドの中にいます。
なんとびっくり。
アインズ様!!!!!!!!!!!!!!!!!!──と思ったら──アインズ様のぬいぐるみでした。
よく見るとあたり一面アインズ様だらけです。
ありんすちゃんはアインズ様のぬいぐるみを抱きしめるとウツラウツラして……またもや寝入ってしまいました。