ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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※お断り※

 この『薔薇は夕日に輝く』はラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ先生が執筆された同人小説であり、厨二病的な妄想に溢れた駄作です。

 ありんすちゃんがスパイ活動の成果としてナザリックに持ち帰ったものではありますが、ありんすちゃんは一切登場しません。

 この作品はあくまでも作者ラキュース先生がリ・エスティーゼの人物をモデルに書いたものであり、実際の人物設定とは異なります。

 文中にある表現はあくまでも武人が互いの武器を称賛し、激しく試合うだけのものであり、なんら性的な意味はありません。

 この作品に対する苦情は直接ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ先生にお願い致します。









031おまけ『薔薇は夕日に輝く』ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ

※注意※

 

 この作品『薔薇は夕日に輝く』は王国アダマンタイト級冒険者であり、大衆文芸研究家でもある、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ氏の作品です。したがってありんすちゃんは登場しません。しかも直接的な表現はありませんが作者(ラキュース女史)の趣味が反映された内容であり、やや薔薇的な示唆に富むと感じる方もあるようなのでご注意ください。

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 リ・エスティーゼ王国、首都リ・エスティーゼ。北側の城壁から市街へと続いた道に仲良さそうに歩く二人の男の姿があった。

 

 折しも昼の鐘が鳴り、行き交う人々の誰もが昼休みに心をとられている中、男の一人、ブレイン・アングラウスは真剣な表情でもう一人の男に迫った。

 

「……頼む。ストロノーフ。お前のレイザーエッジを見せてくれないか?」

 

 対する男──ガゼフ・ストロノーフはまるで少年のような、戸惑いとはにかみを混ぜたかのような複雑な表情を浮かべた。

 

「……ま、まさか……こ、ここでか?……こんな街中でアレを出すのはな。さすがに人目が気になるし、もっと人目が無い所でないと……」

 

「わかった。では人目に付かない場所で。……そうだ。二人っきり……ならば構わないだろ?」

 

 多くの人々が市街へと急ぐ中、二人の男は逆に城壁へと歩いて行った。やがて男達は人目の少ない茂みにやって来た。

 

 二人は互いの実力を認めあったライバル同士の武人で、かつては王宮の主催である御前試合で剣を交えた事もあった。その勝負は実にし烈なもので、最終的には“四光連斬”によって王国戦士長であるガゼフが勝利したのだが、両者の実力差はそう大きくは無い。

 

「……ここなら人目も無い。さあ、見せてくれ。ストロノーフ。お前の全てを」

 

「……うむ……まあ、待て。そんなに焦るなよ。アングラウス……今、見せるからな……うむ」

 

 荒々しい息を吐きながら、ガゼフは剣帯から鞘ごとレイザーエッジを抜き取る。そして目を閉じて何か小さく呟いた後に、カッと目を見開くと一気に刀身を抜き出してみせた。

 

 刀身の煌めきは小さな虹を作り、ブレインは感嘆のため息をついた。

 

「……アングラウス。貴様も出してみろ。前々からお前の刀なる逸品をまじまじと見てみたかったのだ」

 

「……そうか……わかった……だが、頼みがある。刀を出すまで後ろを向いていてくれないか?」

 

 しかし、ガゼフは直ぐに答えなかった。じっと見つめる視線が雄弁に疑念を現していた。堪えきれずにブレインは小さく呟いた。

 

「……見られていると……恥ずかしいんだ」

 

 俯いたブレインの長い睫毛を眺めながら、ガゼフはようやく頷いてみせた。

 

「了解した。いいと言うまで後ろを向いていよう。男同士の約束だ」

 

「……すまない」

 

 ブレインは優しく腰のベルトを外すと、両手を刀に添え、そっと慈しむかのように鞘から抜き身を出した。

 

 ふと、その様子をじっと見つめているガゼフに気がついた。ブレインは頬を染めながら恥ずかしそうに呟いた。

 

「……向こうを向いているって言ったのに……嘘つき……」

 

「いや、すまない。アングラウス、怒らないでくれ。かわりに俺のレイザーエッジを触らせてやる」

 

 ブレインは興奮に震える手でレイザーエッジの柄を握った。心なしかレイザーエッジも微かに震えているようだった。

 

「……凄いな……こんなに反っている……光沢も見事だ。これがまさしく王国の至宝か……」

 

 ブレインは吸い付かんばかりにして手にしたレイザーエッジを眺めた。柄側から、刃先側から、両面……ありとあらゆる角度から観察した。時折、吐く息が刀身に曇りを一瞬だけ作り、消えた。

 

「そういうアングラウスのもなかなかの逸品じゃないか。この鋭い切っ先は何でも突き抜けそうだ」

 

「……ふ……こうして息を吹きかけるとまるで呼吸をしているかのようだ。たまらないな……ストロノーフ、こいつで俺を突いてくれ」

 

 ガゼフはブレインの瞳を見つめた。ブレインの瞳にはガゼフが映っていた。もはや二人には言葉など無用だった。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「──むう。やるようになったな?アングラウス。さすがは俺が見込んだ漢」

 

「まだだ。まだ終わらんよ?“領域ぃっ”!!……ふっ。感じるぞ。お前をビンビン感じるぞぉ!ストロノーフ!お前も来い!」

 

「……ふ。……なに、甘いぞ!“不落要塞”!そんな程度じゃイケないな。こちらからもいくぞ!“四光連斬”!」

 

「……こいつはスゴいな。イキそうだ……しかし……まだだ。まだ足りん!」

 

 互いの攻撃はそれぞれの着衣を引き裂いていく。凄絶な命懸けの仕合いの爪痕が互いの皮膚に刻み込まれていく。

 

 が、しかし、まだまだ戦いは終わりそうにない。

 

 いつしか互いの着衣は全て引き裂け、隆々たる筋肉の陰影をくっきりと、惜しげもなく晒していた。ただただ、互いの息づかいと剣と剣が撃ち鳴らす音だけが静かに続く。

 

 それはあたかも永遠に続く、神々へ捧げる音楽であるかのようでさえあった。

 

 二人の男はワルツを踊るかの様に剣戟を競い合い、やがて、ひとつの影となった。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 いつしか芳醇な時間は過ぎ去り、リ・エスティーゼの街並みは夕日に染まっていた。

 

 あたりは静寂が支配し、いつの間にか二人の凄絶な戦いは終わっているのだった。

 

 沈みゆく大きな夕日が二人の一糸もまとわぬ産まれたままの姿を黄金に輝かした。男達は互いにじっと見つめ合い、そして──

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「……ブレイン。ブレインだ。俺の事はブレインと呼んでくれ」

 

「……わかった。ブレイン。……俺の事は今日からガゼフだ」

 

 黄金に染まる二人の男は熱く掌を握り締め、きつい抱擁を交わすのだった。

 

 

 

 

〈第一部おわり〉

 

 

 

 

 

※おくづけ※

 

 次回作はなんと蜥蜴人の兄弟の禁じられた愛情劇『しゃーすりゅ☆ざりゅ』?

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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