ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
アインズからの命令でクアゴアたちの捕獲に向かうありんすちゃんとアウラはかつてドワーフの王都であった都市にやってきました。そろそろお昼寝の時間だった為、ありんすちゃんは少し眠かったのでしたが我慢します。
「クアゴアとはどんな姿なんでありんちゅかね?」
「……うーん? 穴掘って生活しているし、モグラみたいなんじゃないかな?」
ありんすちゃんは笑顔で片手のスポイトランスをブンブン振りました。
「これでモグラたたきしゅるでありんちゅ」
「それじゃ、始めよっか」
アウラは背中に背負っていた大きな巻物を下ろして広げました。するとその能力が起動して、辺りは閉鎖空間に覆われました。ワールドアイテム山河社稷図──特定の一つ以外の脱出方法が無い閉鎖空間に相手を引き込む能力──が今まさに発動したのでした。
※ ※ ※
総数六万を超えるクアゴアたちの軍勢を率いる氏族王ぺ・リュロは一抹の不安を感じていました。突然王都を含んだこの巨大な洞窟内がぼやけた霧で覆われたからです。やがて彼らの目の前に赤い鎧の小さな女の子と黒い肌の少女が現れました。
「……私はこの地のクアゴアたちを統べる氏族王ぺ・リュロである。お前たちは何者か?」
リュロは二人の前に進み出ました。
「ちゃるちぇでありんちゅ」
と、いきなりありんすちゃんがスポイトランスを振り上げてリュロめがけて突進しようとしたので、アウラは慌てました。
「ちょ、シャルティア! 待ちなさいってば。アインズ様のお言葉忘れた?」
アウラに制止されたありんすちゃんはしばらくキョトンとしていましたが、ポケットからメモを取り出して確認し始めました。
「……危険 デスナイト 全力出すな チェック 一個か二個 しこを回転……」
ありんすちゃんは大きな声でアインズ様の言葉を記録したメモを読み上げました。後ろでアウラは呆れて天を仰いでいます。
「回転させたら良いでありんちゅ!」
ありんすちゃんは器用にスポイトランスでリュロを突き上げました。リュロはクルクル回りながら部下達のもとに戻ってきました。
「あいつら何を考えている? ……親衛隊を、ブルー・クアゴアとレッド・クアゴアたちを集めろ」
リュロは力強く立ち上がり吠えるのでした。
「これからが本当の決戦だ」
※ ※ ※
戦闘ではありんすちゃんが張り切っていました。スポイトランスでクアゴアたちをなぎ払い、まるでモグラたたきゲームを楽しんでいるみたいです。見た目は5歳児位の女の子に過ぎないのですがさすがはナザリックでも最強クラスの階層守護者ですね。あっという間に六万いたクアゴアたちは一万になってしまいました。
「………おねむ……ムニャムニャ……」
突然、ありんすちゃんがゴロンと寝転がってしまいました。どうやらお昼寝タイムみたいですね。
「……ま、いっか……アインズ様からは一万位に減らせって命令受けていたから丁度良いかも。……えっと、じゃあ降参してくれるよね?」
アウラは泣きながら平伏するリュロに尋ねました。リュロの答えは決まっていました。
「よ、喜んで……こ、降参致します。いや、是非とも降参させて下さいっ!」
ありんすちゃんはグッスリ眠っています。時折ムニャムニャ口を動かしている所を見ると、大好きなお菓子でも食べている夢を見ているのかもしれません。
今回もありんすちゃんが大活躍しました。きっとアインズ様も大喜びでしょう。良かったですね、ありんすちゃん。
※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました