ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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038ありんすちゃんはんぶんこおる

 ありんすちゃんは寒さで目を覚ましました。

 

 まるで冷蔵庫の中みたいに冷たくて、ありんすちゃんは半分凍ってしまっていました。

 

 ありんすちゃんは冷たい冷蔵庫の中で見知らぬ人に抱っこされていたのでした。

 

 一体何が起きたのでしょう?

 

 ありんすちゃんは抱き上げている女の人を見上げて、その顔を見て……なんという事でしょう? 顔の皮膚がありません!

 

 あまりのショックでありんすちゃんは気を失ってぐったりしてしまいました。

 

 ありんすちゃんの反応に女の人もオタオタしちゃっています。

 

 さてさて、ありんすちゃんが寝ている間に何が起きたのでしょう?

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 ──時間を遡る事数時間前、アルベドがありんすちゃんをハーレム部屋で見つけた所まで遡ります。

 

 ありんすちゃんはかくれんぼをしていて、アルベドの部屋の秘密の『ハーレム部屋』に隠れているうちにすっかり眠ってしまいました。

 

 そこに部屋の主のアルベドが帰って来てしまったのだから大変です。

 

 なにしろアルベドは自分の部屋の中ですら一般メイドに立ち入りさせないのですから。

 

 アルベドはハーレム部屋でスヤスヤ眠っているありんすちゃんをじっと見下ろしています。

 

 その表情は怒りのあまりに無表情な能面みたいです。

 

 やがてありんすちゃんをむんずと掴むとアルベドは荒々しく部屋の外に出ました。

 

 アルベドはありんすちゃんをどうするつもりでしょう?

 

 もしかして恐怖公の領域に? それとも餓食狐蟲王の巣に放り込まれてしまうのでしょうか?

 

 ありんすちゃんはそんな事態になっているのも知らないでぐっすり眠っています。

 

 せめて、今起きて『ごめんなさい』をすれば命だけは助けてもらえると思いますが……

 

 アルベドは能面のような無表情のまま、第五階層にやって来ました。

 

 氷結牢獄に来ると扉の鍵を開けて叫びました。

 

「……姉さん! 私よ。あなたの子供を連れてきたわ!」

 

「子供、子供! わたしの子供ぉ!」

 

 部屋の奥から凄まじい勢いでニグレドが走ってきて、アルベドの手からありんすちゃんを奪い取りました。

 

 ありんすちゃんはまだ起きません。

 

 仕方ないですよね。

 

 ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なんですから。

 

 こうしてありんすちゃんはニグレドの腕に抱かれた状態で目覚める事になりました。

 

 ──半分凍ってしまっていましたが。

 

 ニグレドはいつもの人形だと思ったらありんすちゃんだったのでビックリ。

 

 お詫びにありんすちゃんの探し物を手伝ってくれるそうですよ。

 

 ありんすちゃんはラッキーですね。

 

 さて、何を探して貰いましょうか?

 

 かくれんぼで隠れているプレアデス?

 

 いえいえ、ありんすちゃんにはどうしても見つけたい、諦めきれない大切なものが一つありました。

 

 それは白いレースの飾りが可愛いお気に入りのパンツです。

 

 ニグレドはありんすちゃんのパンツの行方を水晶に映し出しました。

 

 そこには初めて見る国の王宮の中が映っていました。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 竜王国の女王、ドラウディロンは納まらない怒りに震えていました。

 

(あのロリコンめ! ロリコンの変態騎士め! よくもよくもよくもよくもよくも……)

 

「どうか陛下、お気をお鎮め下さい。上に立つものがさような怒りに身を任せていては……」

 

「……わかっておる!」

 

 ドラウディロンは深々と深呼吸をして心を静めようとしました。

 

 ──思い出しても腹立たしい。

 

 彼──セラブレイトは公衆の面前で、よりにもよってパンツで女王たるドラウディロンの顔を拭ったのである。

 

「しかし、陛下、いきなりかの者を降格の上謹慎など……冒険者組合も黙っていませんぞ」

 

「うるさい。うるさい。うるさい! そんな事はわかっておる! 追放しないだけマシと思え!」

 

「しかしながら……かの者は陛下より賜ったハンカチと思ってとの事でして……」

 

「赤じゃ!」

 

「は?」

 

「このドラウディロンは赤しか穿かぬわ!」

 

「……なんと!!……」

 

かくして竜王国の命数は一気に縮まってしまうのでした。

 

 

 

※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました

【挿絵表示】

 


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