ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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087ありんすちゃんとアウアウちゃん

 ありんすちゃんが階層の見回りをしています。今日は随分と気合いが入っているのでゴッズアイテムのスポイトランスを振り回しながら一人で見回りをしています。いつもだったらヴァンパイア・ブライドに抱っこされての見回りですから偉いですね。遠目で見るとありんすちゃんが歩いているのかスポイトランスが歩いているのかわかりませんが……

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「クックックッ……こうして完全不可視化で近づいてありんすちゃんを驚かせてやるっすよ。あー楽しみっす」

 

 おや? 姿が見えませんが何やらありんすちゃんにイタズラしようとする誰かがいるみたいですね。ありんすちゃんは気がつかないみたいです。

 

「ありんすちゃーん。やっほー! ……ん? ルプスレギナじゃん」

 

 ちょうどアウラがやって来ました。アウラはどうやら隠れているルプスレギナに気がついたみたいですね。

 

 ありんすちゃんはアウラに気がついて手をふっています。と、いきなりルプスレギナが完全不可視化したままありんすちゃんを突き飛ばしました。

 

「──あぶない!」

 

 ありんすちゃんがコロコロ転がっていくのをアウラが慌てて止めます。その時スポイトランスがアウラを直撃してしまいました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「あちゃー……これはまずいっすね。まさかこんな事になるとは思わなかったっすよ」

 

「可愛いいでありんちゅ」

 

 ルプスレギナとありんすちゃんは変わり果てたアウラを目の前にしていました。ありんすちゃんのスポイトランスが運悪くアウラのお尻に刺さってしまい、精気を一気に吸われたアウラがなんと赤ちゃんになってしまったのでした。

 

「シュポイトランチュにこんな能力があったとはちらなかったでありんちゅ。アウアウ可愛いいでありんちゅ」

 

「あうー。だあーだあー」

 

 完全に赤ちゃんになってしまったアウラはネックレスの金のドングリをおしゃぶりのように舐め始めました。

 

「あうー。おちまんちゃん、だうー」

 

「……お、お姉ちゃん? ……あ、あの……」

 

 金のドングリはマーレの銀のドングリと通話するマジックアイテムだった為、マーレの困惑する声が聞こえてきました。

 

「マーレも第三階層に来るでありんちゅ。アウアウが大変なんでありんちゅ」

 

「えー! お、お姉ちゃんが? ……すぐ行きます」

 

「マンレあきちゅるちゅるんね。だうー」

 

 赤ちゃんになったアウラ──アウアウちゃんは何やら一生懸命にしゃべっていますが何を言っているかわかりませんでした。

 

「──おね、お姉ちゃん! えー!」

 

 到着したマーレが目を丸くしました。無理もありません。まさかアウラが赤ちゃんになってしまうなんて、ありんすちゃんも予想していませんでしたから。

 

「今日からはマーレがアウアウのお兄ちゃんでありんちゅね。良かったでありんちゅ」

 

 アウアウちゃんはマーレにハイハイで近づくと登ろうとし始めました。

 

「マーレ、抱っこしゅるでありんちゅ」

 

 マーレがアウアウちゃんを抱っこするとアウアウちゃんはマーレの耳に手を伸ばして掴もうとしました。マーレが嫌がって頭を降ると……

 

「う、うわーん! うわわわーん!」

 

 アウアウちゃんが泣き出しました。と、アウアウちゃんの近くで空間が歪み……なんと大きな魔獣が次々と召喚されました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「………これはなんとかしないとまずいっすね。うーん……」

 

「このままだとありんちゅちゃのお家もこわちゃれちゃうでありんちゅ」

 

「お、お姉ちゃん……耳をしゃぶるのはやめて……はふん」

 

 三人はマーレの耳をしゃぶりながらご機嫌のアウアウちゃんを眺めながらため息をつくのでした。

 

 仕方ありませんよね。だってアウアウちゃんはまだ小さな赤ちゃんに過ぎませんから。

 

 

 

 

 その後、スポイトランスのエネルギーを戻す事が出来て、なんとかアウラを元に戻せたそうです。




ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました
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