ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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088ありんすちゃんとスポイトランスとマーレとおしり

 今日もありんすちゃんが階層の見回りをしています。うーん……前回、あんな事があったのにまたもや真紅のフルプレートにゴッズアイテムのスポイトランスを片手にしていますね。これはまた何かトラプルが起きそうです。

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 おや? スポイトランスを振り振り歩くありんすちゃんのすぐ後ろにまたもや完全不可視化したルプスレギナがいます。また、ありんすちゃんをびっくりさせるつもりのようです。

 

 そのルプスレギナのすぐ後ろに、やはり完全不可視化したアウラがいます。ルプスレギナは全く気づいていないようです。

 

「あれ? ……ありんすちゃん。お、お姉ちゃん来ませんでしたか?」

 

 マーレがありんすちゃんに声をかけてきました。その瞬間──アウラが姿を現し、ルプスレギナがびっくりして駆け出し、ルプスレギナにぶつかったありんすちゃんがコロコロと転がって……

 

「ぷすぅー」

 

 なんとありんすちゃんのスポイトランスがマーレのお尻に刺さってしまいました。

 

「ちょっと、マーレ! あんた赤ちゃんに?」

 

 アウラがマーレに駆け寄りました。マーレは身体をくの字に曲げてお尻を突きだした姿勢で気絶していました。

 

「おやおや? マーレ様は赤ちゃんになっていないっすね?」

 

 ルプスレギナは感心したように言いました。ありんすちゃんはマーレのお尻に刺さったままのスポイトランスを見て、感激していました。

 

「さすがはゴッドアイテムでありんちゅね……マーレのお尻にみごちょに刺さっているでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはスポイトランスを突っついてみました。するとスポイトランスはマーレのお尻の上でユラーンと揺れました。

 

「……う、うーん……あれ? お姉ちゃん?」

 

 しばらくするとマーレが目を覚ましました。すぐに起き上がろうとしましたが、スポイトランスが地面に当たってまた倒れてしまいました。

 

「え、えー? ……どうなってるの?」

 

「マーレにはしっぽが生えちゃでありんちゅよ」

 

 得意そうにありんすちゃんが説明します。確かに現在のマーレはお尻からスポイトランスが生えているように見えなくもないですが……

 

「ヒャッハッハッハ……確かにマーレ様にはしっぽが出来たみたいっすよ? ……どうします?」

 

「……こ、こんなのイヤだよ。……すぐにぬ、抜いて欲しいな」

 

 ありんすちゃんはちょっとガッカリしました。偶然とはいえスポイトランスの刺さり方がまさに芸術的だったのですから。このまま型をとって銅像にして飾りたいくらい、気に入っていたのです。

 

「……マーレ、じゃああたし達が引っこ抜くから。……いくよー!」

 

「──あいたたた。お姉ちゃん、痛い」

 

 なんという事でしょう。スポイトランスの先がひっかかっていてなかなか抜けません。ありんすちゃんはこのままマーレがスポイトランスのしっぽを付けたままにしたら良いのに、と思いました。

 

「うーん……困ったっすね。このままだとトイレでふんばってもらうしかなさそうっすね。ありんすちゃん、このままだとせっかくのスポイトランス、臭くなっちゃうっす」

 

 ……それは大変です。ありんすちゃんは事の重大さがようやくわかってきました。トイレから拾ったスポイトランスをこれまでと同じように使えるでしょうか? 答えはノーです。デリケートなありんすちゃんにはとても無理です。

 

「ち、ちょっと、ありんすちゃん……な、何を? ……いたっ! イタタタタ! イタタタタ──」

 

──スッポーーン!! ──

 

 マーレのお尻に刺さったスポイトランスはありんすちゃんにより、なんとか無事に引き抜く事が出来ました。尚、マーレはしばらく安静にしなくてはならなくなったそうです。

 

 仕方ありませんよね。ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。




ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました
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