ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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009ありんすちゃんチャルメラになる

 カルネ村で馬車を降りたありんすちゃんを待ち受けたのは十歳位の少女でした。

 

 ありんすちゃんはちょっとビックリしたのでとっさに自己紹介が出来ずにまごまごしていました。だって相手は十歳位、ですがありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なんですから。

 

「仕方ないわね。いい? 私はネム。ネム・エモット十歳よ」

 

「わらわはチャルチェア……で、ありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはネムの勢いに押されて小さな声で答えました。

 

 しかも名前をちょっとだけかんでしまいました。

 

「チャルメラ・デ・アリンチュちゃんか。変わった名前ね。……あなたの事はこれからチャルメラちゃんって呼んでいい?」

 

 え? ネムってこんなキャラだったかですって? 本編では大概エンリと一緒でしたからね。でもンフィーの事を『ンフィー君』と呼んだりして結構したたかだと思いますよ。

 

 ありんすちゃんはネムに手を繋がれて歩き出しました。

 

 しばらく行くと、向こうから一匹のゴブリンと弓矢を持った女の人がやってきました。

 

「ジュゲムさーん。ブリタさーん」

 

 名前を呼ばれた二人はネム達に手を振り返しました。

 

「おやおや? こんな所にいたっすか? 馬車の中にいなかったから探しちゃったっすよ」

 

 不意に背後から声をかけられたありんすちゃんとネムは思わず飛び上がりました。

 

「びっくりした! ルプスレギナさん。……チャルメラちゃんは知り合いなんですか?」

 

「チャ? ……ああ……男胸さんなら友達っていうか、今はおもちゃっていうか……ま、そんな感じっすね」

 

 ルプスレギナと話しているありんすちゃんとネムのもとにジュゲムとブリタもやって来ました。

 

「チャルメラちゃん、こちらはジュゲムさん。ブリタさん」

 

「よろしく」

 

「──!」

 

 握手を交わすジュゲムとは異なり、ブリタの身には明らかに異変が現れました。

 

 握手をしようとありんすちゃんに手を差し出した途端、まるで石像になったのかのように全身が硬直してしまったのです。

 

「ああああ!!!」

 

 突然、糸が切れた操り人形のようにその場へたり込むブリタの周りには水溜まりが出来ていました。

 

「あらあら? ブリタさん、お漏らしっすか? しょうがないっすね」

 

 ブリタは何が起きたかわからない、という表情を浮かべていました。

 

 それもそうです。

 

 可愛らしい、5歳児位の女の子にしか見えないありんすちゃんがかつて出会った吸血鬼のシャルティアだなんて思うはずがありません。でも、身体が、もしくは魂があの恐怖を覚えていたのでしょう。

 

 しばらくするとブリタが落ち着いてきたので駆けつけたエンリに預け、とりあえず風呂に連れて行ってもらいました。

 

 ありんすちゃんは大人でもおもらしするという事を学びました。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 ──その夜のナザリック地下大墳墓第六階層──

 

「大人になってもおもらしちゅるんでありんちゅね……」

 

「──あーあー何を言ってるのかなーシャルティア。きーこーえーなーい」

 

 この話題はアウラにとってなぜか禁句だったようです。

 

 

 

 

※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました

【挿絵表示】

 

 


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