藍色の狙撃手   作:303

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古峰隊①

夜の廃墟に一条の閃光が疾った。

 

藍色にカラーリングされたライトニングと呼ばれるライフル、その機構によって加速した弾丸は不可視の速度でバムスターの目を射抜く。

鈍い地響きを立てて倒れる巨体を高台から見てとり、愛銃と同色のマントを纏う癖のある黒髪の少年、古峰千里は、辺りに視線を巡らせる。

 

『セン、次が来るよ!行ける?』

 

通信が入り、ハキハキとした少女の声が鼓膜を揺らした。

千里は出現させた半透明のキーボードを軽快に叩き、送信をタップして自らの意思をオペレーター、古峰姫里へと伝える。

 

了解、ヒメ、敵の種類と位置をよろしく。

 

『了解了解、またバムスター二体、モールモッドが六体にバンダーが一体だね、座標は今送るよー』

 

ありがと

 

『いーの、いーの、お仕事だしね、さっ、センさんやっておしまい』

 

自分の片割れの戯けた調子に小さな笑みを浮かべると、千里は示された座標、そこが射程に収まる箇所の中でも手近なところへ駆け出した。

 

まもなくポイントにたどり着き、スコープに先程と同様のシルエットが映し出される。報告通り数は2体。千里は短く息を吐き、スッと目を細める。

引き金が引かれ、閃光が疾るのは瞬きの一瞬。それをもう一度繰り返したところで漸く最初に被弾した一体が倒れ伏し、つられるように二体目が続く。

 

『四時の方向!砲撃来るよっ』

 

その言葉を聞き千里は迷わずビルから飛び降りた。

 

少し遅れて先程自分が構えでいた場所を砲撃が貫き、その発射元を確認、射程内と判断するや即座に照準して弾丸を放つ。

レーダーから反応の消失を確認しつつ無事着地、高さが高さだけにアスファルトは砕け、ズシリと振動が周囲に響いた。

 

『セン、生きてる?』

 

おかげで無傷。

 

『よかった〜』

 

画面に映る文字に姫里が安堵の声を漏らす。

 

トリオン体に大袈裟だよ

 

『心配なものは心配なのー』

 

ゴメン、でも無事だから

 

『もー、本当に分かってる?おねーさんシンパイです』

 

唐突に芝居掛かった口調。不安を紛らわせるためのいつもの癖。

 

……遊んでるなら勝手にいくね。

 

『あー、ウソウソッ、ちゃんとオペレートするから待ってお願い!』

 

よろしい。

 

それに乗っかりお決まりのやり取りを交わす。

 

『モールモッドは、バンダーのいた所のもう500メートル奥だね、このまま行っちゃおう』

 

了解。

 

残りの敵を仕留めるべく二人は動く。敵の動きを予測して横切るであろう四車線の直線道路、そこが射程に収まるギリギリの平地に敢えて陣取る。

 

『今だよ』

 

その声に応えるように引き金を引く。

モールモッドが建物の影から顔を出すと同時に閃光が貫き、続く五体が千里に気付く。そのまま彼に迫ろうと向かってくるが平地とはいえスナイパーの間合い、一体、また一体と射抜かれ、そうかからずに全てが同じ末路を辿るのだった。

 

 

 

 

「セーン、おつかれー!」

 

先ほどの通信越しに聴いていた声と共に、千里の背中に軽い衝撃が伝わる。柔らかな人の体温、視界に入る華奢なスーツの袖。

ため息を吐き、肩越しにスマホの画面をかざして見せる

 

ヒメ、本部の中だよ? 抱きつかない。

 

「イイじゃん、ケチ〜」

 

窘められ、姫里は口を尖らせ文句をいいつつもパッと離れる。クルリと千里の視界に回り込み、人懐こい笑みを彼に向けた。緩いポニーテールに纏めた黒髪が揺れる。

 

「今日も絶好調だったね」

 

オペレーターが良いからだよ。

 

「えへへ、それほどでもあるかなー」

 

口元を綻ばせて打ち込んだ言葉を示せば、彼女の頬が仄かに染まる。照れ隠しのぎこちない自画自賛。コロコロ変わる表情が見ていて飽きない。

 

「おーおー、相変わらずイチャついてんなーシスブラコンビ」

 

ふと2人に遠慮のない声がかけられる。千里が振り返り、その後ろから姫里が顔を覗かせれば、逆立った金髪にくわえ煙草、濃い緑に白と黒のラインの入った隊服という出で立ちの青年が立っていた。

 

「あっ、諏訪さんこんばんはー」

 

姫里が明るく挨拶を返し、千里がペコリとお辞儀を一つ。

 

「おう」

 

諏訪は片手を上げて応えて、2人に歩み寄る。

 

「誤解されるよーな呼び方しないでよ、諏訪さん!」

 

「アホ言え、姫里、おまえは鏡を見てみやがれ」

 

「むー」

 

怒ってます。いかにもそう言いたげな彼女の唸り声は、相手を威圧するには迫力が足りていない。

やや呆れ気味に諏訪が返す。

 

「……せめて人目を気にしろ、人目を」

 

否定出来ないツッコミに苦笑いを浮かべて、千里は気安いやり取りを眺める。

 

「っと、悪りぃな、千里」

 

いえいえ。

 

そんな視線に気付き、脱線しちまったと諏訪は頭をガシガシと搔く。それに千里はとんでもないとかぶりを振った。 傍目からは、じゃれているようにしか見えない会話。微笑ましい様相は、悪感情を抱くほうが難しい。

本題はだ、諏訪が紫煙を軽く吐き、そう前置きして会話を再開する。

 

「このあいだ勧めた映画あったろ?小佐野が持ってきてんだが、ちょうどおまえらが任務上がる時間だってんで誘いに来た」

 

一緒にどうだ?そう問われた双子は全く同時に頷く。

 

「やった!いきますいきます、ね、千里」

だね、ご一緒させていただきます、諏訪さん。

 

その様子に諏訪も満足気に頷く。

 

「うしっ、じゃあ今からうちの作戦室だ、日佐人と堤も待ってるぜ」

 

言うが早いか歩き出した諏訪に2人も続いた。

 

今日もまた、ボーダー本部の夜が更けていく。

 

 

 




Senri Frumine
古峰千里(フルミネ センリ)
Profile
本部所属 B級 古峰隊 スナイパー
15歳 3月21日生まれ
165㎝ A型 はやぶさ座
好きなもの
姉 自己鍛錬 テクノポップ
Parameter
トリオン22 攻撃9 防御援護7 機動6 技術9 射程9 指揮3 特殊戦術4 total69
Maintrigger
◎ライトニング◎イーグレット
◎シールド ◎弧月
Subtrigger
◉バッグワーム ◉Free
◉シールド ◉Free
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